日常生活を送る中で、背中のコリ(凝り)が気になるという方も多いのではないでしょうか。
背中は、自身で触りにくい位置なので厄介です。かといってそのままコリを放置すると、重度の肩こりや腰痛につながってしまいかねません。
そこで当記事では背中が凝る原因、背中にできたコリの解消法を詳しく解説します。最後まで目を通すことで、背中のコリをほぐす方法がわかり、すっきりした身体で毎日を過ごせるでしょう。
そもそも背中にできるコリ(凝り)ってなに?
私たちは何気なく「肩が凝った」「腰が凝った」と口にしますが、そもそもコリ(凝り)とはどういった状態を指すのでしょうか。
コリとは、筋肉が硬くなった状態を指します。そして筋肉が硬くなってしまう大きな原因は血流の悪化です。
通常、体内で生まれた老廃物(乳酸・尿素・アンモニアなど)は血液の流れで体外に排出されます。しかし血管が収縮したり、血管のポンプ機能が低下したり、血液の濃度が濃くなったりすることで血流が悪くなり老廃物が溜まります。
さらに血流が悪くなると、筋肉に酸素と栄養が行き届きにくくなり、筋肉の柔軟性が低下してしまいかねません。老廃物が筋肉に溜まり、かつ筋肉の柔軟性が失われることで「コリ」が生まれます。
コリの現れ方はさまざまで、ピンポイントで現れる場合もあれば、広範囲あるいは線状に現れる場合もあります。基本的にコリを放置する期間が長いと、コリの硬さは増していくものだとお考えください。
参考記事:肩こりの重症度レベルをチェックしたい!ひどい肩こりに効くセルフケア方法も紹介
【しんどい】背中が凝る原因とは?
背中が凝ってしまう原因は「生活習慣」に隠れている可能性が高いです。ここから、コリが生まれる要因や理由をいくつか見ていきましょう。
運動不足
背中のコリに「運動不足」が関係している可能性があります。
運動が不足すると、血液を押し上げ心臓に戻す「筋ポンプ作用」が低下し、血流が悪くなってしまいます。すると背中の筋肉に老廃物が溜まり、酸素と栄養が不足することでコリができるのです。
仕事や家事などが忙しいと、つい運動不足になりがち。少しずつでも良いので運動する習慣をつけましょう。
普段の姿勢が悪い
普段の生活での「姿勢の悪さ」も背中が凝る原因の一つです。
正しい姿勢が崩れると背中の筋肉に負担がかかり緊張します。すると血管が収縮して血の巡りが悪くなり、コリが生まれてしまいます。
いわゆる「猫背」や「反り腰」になっていたとしても、自分ではなかなか気づけません。定期的に姿勢をチェックして改善することで、背中のコリが早期改善する可能性もあります。
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
参考記事:反り腰を改善!原因から治し方を簡単なストレッチをまじえ解説
背中で特にコリやすい場所
背中のコリの出方には個人差があるものの、コリやすい場所(箇所)は存在します。ここから、背中でとくにコリやすい場所を紹介します。ご自身のコリと比較してみてください。
首の付け根
まず、首の付け根はコリやすい傾向にあります。長時間パソコン作業を続ける方は、首への負担が多くコリやすいので注意しましょう。
また近年、スマホを覗く時間が増えたことにより首への負担が増えていることが懸念されます。首の付け根のコリが悪化すると、肩こりや頭痛に繋がるので注意しましょう。
参考記事:【辛い】首こりに効果のあるツボはどこ?肩こりや目の疲れにも効くツボを紹介
参考記事:首の付け根から後頭部にかけて痛いのはなぜ?関連する症状や痛む原因・対処法を解説
参考記事:頭痛を早く治す方法とは?即効性が高いツボや対処法・おすすめの食べ物を紹介
肩(肩甲骨)の内側
肩の後ろ側にある「肩甲骨(けんこうこつ)」もコリやすい場所の一つ。とくに肩甲骨の内側が凝るケースが多いです。
肩甲骨の内側は手が届きにくい場所でもあり、コリを感じていても放置してしまいがち。もし肩甲骨の内側のコリが悪化すると、肩こりはもちろん腰痛につながるおそれもあります。
参考記事:肩甲骨周りが痛い原因とは?肩・首こり解消にもオススメのストレッチを紹介!
参考記事:肩甲骨を回すとゴリゴリ鳴る!正体は筋肉のコリ?音の原因や解消法を詳しく解説
腰の下側
「腰」もコリやすい場所で、日常動作に影響を及ぼしかねません。腰のコリの出方には個人差があるものの、骨盤(臀部)に近い腰の下部が凝るという方が多いです。
腰のコリをそのまま放置すると腰痛に発展したり、急な腰の激痛(ぎっくり腰)につながったりする可能性が高くなるでしょう。
参考記事:【ぎっくり腰】即効では治らない!1日でも早く治す適切な対処法を解説!
【内臓の病気?】背中がひどく痛む場合は要注意!
もし背中がひどく痛む場合は、筋肉ではなく内臓の病気である可能性が考えられます。手遅れにならぬよう十分に注意してください。
他にも「痛みがまったく減らない・増えている」「発熱や倦怠感もある」場合は決して放置せず、病院を受診することがおすすめです。
参考記事:背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法
参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説
背中のコリをほぐしたい時におすすめの方法7選
背中のコリは、日常生活での意識によって軽減や解消が可能です。
ではここから、背中のコリをほぐしたい時におすすめの方法を紹介します。背中のコリを悪化させないためにも、ぜひ参考にしてください。
普段から水をしっかり飲む
普段から、十分な量の水分を補給しましょう。しっかり水分を摂ることで血流が良くなるので、老廃物が体外に流れやすくなったり筋肉に栄養が行き届きやすくなったりします。結果的に背中のコリが解消されやすいです。
暑い季節はもちろん寒い季節も、1日約2リットルを目安に水分を摂ってみてください。
中には「お茶やコーヒーを飲んでいるから大丈夫」と考える方もいるかもしれませんが、お茶やコーヒーは利尿作用を促進するので結果的に体内の水分が不足してしまう可能性もあります。
できるだけ水(ミネラルウォーター)を補給することを心がけましょう。
肩・腰のストレッチを入念に行う
肩や腰の筋肉が伸びるストレッチを入念に行うことで、背中のコリ解消が期待できます。ここで、おすすめのストレッチを3つ紹介します。
1つ目は「肩甲骨挙筋(けんこうきょきん)ストレッチ」です。
STEP2:首を前方に傾けましょう
STEP3:そのまま斜め前方に捻りましょう
STEP4:姿勢を戻します
STEP5:首の後ろが伸びるのを感じながら実施してみてください
こちらのストレッチを行うことで、肩の後ろ(肩甲骨)がスッキリするでしょう。
2つ目は「ヒップロールストレッチ」です。
STEP2:両膝を閉じたまま片側へ倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
STEP5:腰の筋肉の伸びを感じながら実施してみてください
※肩が床から離れないように注意しましょう
こちらのストレッチは、腰回りの筋肉を伸ばしたい時に適しています。
3つ目は「広背筋(こうはいきん)ストレッチ」です。
STEP2:手をついたまま身体を後方へ動かしましょう
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
STEP5:脇の下の伸びを感じながら実施してみてください
※腰を反らさないように注意しましょう
このストレッチを行うことで、肩から腰まで背中全体が効率良く伸びるでしょう。いずれも自宅で行えるストレッチです。お風呂上がりや就寝前に行ってみてください。
参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介
定期的に運動を行う
定期的な運動も、背中のコリ解消に効果的です。適度に運動することで、筋肉のポンプ機能が活性化して血流が良くなります。ただし運動する際、背中のコリを解消しようと背中ばかり鍛えていては、腹筋と背筋のバランスが崩れてしまいかねません。
したがって、腹筋・背筋の両方が刺激される種目を選ぶことをおすすめします。
以下の「膝付きフロントブリッジ」は手軽にできるうえに効果も高いです。
STEP2:お腹を持ち上げ膝と肘で身体を支えます
STEP3:姿勢を一直線に保ちましょう
STEP4:ふらつかないように注意して行ってください
※腰を丸めたり反らしたりしないように注意しましょう
1日10分ほどの運動であっても、背中のコリ解消に十分な効果が期待できます。ぜひ継続しましょう。
背中のコリに関係の深い「ツボ」を押す
背中のコリを解消するために「ツボ」を押すこともおすすめです。
東洋医学(鍼灸)には、背中に現れる不調に効くとされるツボが多数存在します。ご自身で優しく押したりさすったりすることで、背中のコリ改善が期待できます。
とはいえ、背中にあるツボをご自身で押すのは難しいでしょう。そこで肘と膝に存在する押しやすいツボを2つ紹介します。
1つ目は、肘にある「曲池(きょくち)」というツボです。
肘を曲げた際に現れるシワの外側先端、筋肉が膨らんだ部位に存在します。とくに「肩甲骨のコリ」に対して効果が期待できるでしょう。
2つ目は、膝のお皿の真裏に位置する「委中(いちゅう)」というツボです。背中の痛みや不調に効くツボとして有名で、もみほぐしや鍼灸施術でも多用されます。椅子に座りながら押してみてください。
どちらのツボも、定期的に刺激することで背中のコリ解消につながるでしょう。
ただしツボを押す際、強く押しすぎることは避けてください。「気持ちいい」と感じる圧で1分ほど押しましょう。
フォームローラーで筋膜を緩める
寝る前などに「フォームローラー」で背中を緩めることも有効です。とくに、筋肉を覆う「筋膜」を緩める効果が高く、コリの解消も期待できます。価格もお手頃なので、ぜひ活用してみてください。
使い方はいたって簡単で、仰向けになってフォームローラーを背中の下に置き、身体を揺らしながらゴロゴロと転がすだけです。
ただし体重を乗せすぎたりローラーを強く転がしたりすると、筋肉が傷んでしまうので注意しましょう。
普段の姿勢を見直す
日常生活での姿勢を見直すことも大変効果的です。例えば無意識に背中が丸まって「猫背」になっているかもしれません。あるいは腰が反ってお腹が出る「反り腰」になっている可能性もあります。
姿勢が悪いということは、背骨の弯曲が崩れ、筋肉や骨格に負担がかかっているということ。
簡単なセルフチェックの方法として、ご自身が自然に立った状態を撮影したのち、耳・肩・腰・膝・くるぶしが一直線になっているか確認してみましょう。
姿勢を直すだけで背中の筋肉の緊張が取れて、コリが解消されることも少なくありません。ぜひ、ご自身の姿勢を把握したうえで改善に取り組みましょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
マッサージや整体・鍼灸院に通う
もし時間が取れるなら、マッサージ店や整体院、鍼灸院に通うことも検討しましょう。メリットとしては専門家に施術してもらえるという点と、自身で手が届きにくい背中をじっくりほぐしてもらえるという点です。
背中のコリが軽い場合はマッサージ店を選ぶのもアリですが、コリが強かったり痛みを伴ったりしている場合は整体院か鍼灸院を選ぶことをおすすめします。
ただし1度の施術でコリが全て解消されるとは限りません。したがって定期的に通う必要があるかもしれないことを、あらかじめ把握しておきましょう。
参考記事:整体は効果ある?効果なし?整体院へ行くべき人の特徴や料金の目安を解説
参考記事:鍼(針)治療はなぜ効果がある?痛みを改善するメカニズムや効き目が出るまでの期間を解説
まとめ
コリ(凝り)は運動不足や姿勢の悪さなどから筋肉が緊張して、血流が悪くなることで発生します。背中のコリを解消するには、まず定期的な運動を心がけ、普段の姿勢を見直してみてください。
また普段から水を意識的に多めに摂ることも大切です。そのうえで背中のコリに効果のあるツボを押したり、フォームローラーで筋膜をゆるめることも効果的です。
それでも思うように改善しない場合は、近所のマッサージ院や整体院、もしくは鍼灸院に通って専門家に施術してもらいましょう。
背中のコリは確かに厄介ですが、ご自身の継続的な努力によって改善できます。それでは当記事を参考に、背中のコリを解消していきましょう。
【参考文献】
1)エーザイ株式会社:肩こり・腰痛の3大原因
2)ピップ株式会社:コリのメカニズム
3)株式会社ロッテ:血行を良くするには?血行不良の原因や症状、改善のポイントを解説
4)大正製薬:水分不足が疲れの原因!?
5)日立:背中を緩めて心と体をほぐす呼吸法