背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介

「毎日背中が張ってつらい」

「仕事終わりにいつも背中が痛くなる」

つらい背中の痛みやコリ、張りの原因は、作業中の姿勢や運動不足が原因かもしれません。また背中の痛みやコリなどの違和感は、1度出現するとなかなか改善されずに悩まされている方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、背中の痛みやコリを効果的に改善する方法や、詳しい原因を解説していきます。

さらに、背中の痛みにはどのような原因があるのかを自身で確認できるセルフチェックも紹介しています。ぜひ最後までお付き合いください。

つらい背中のコリ・張り・痛みの原因は?

女性が腰を抑えている写真

はじめに、背中の痛みやコリの原因をより理解するため、背中の構造について簡単に説明します。

背中は主に、脊柱と筋肉、靭帯、神経から成り立っています。一般的に脊柱は背骨と言われており、周りの筋肉に支えられながら安定しています。ですが、猫背など悪い姿勢を続けると背骨は不安定になり、周りの筋肉に大きな負荷がかかります。

したがって、つらい背中のコリや張り、痛みを引き起こす原因は、悪い姿勢により背中に負担がかかり、筋肉や靭帯が過度に緊張することです。

また、運動不足も痛みやコリの原因となります。なぜなら、筋力が弱まっている部分を補うため、他の筋肉が過剰に緊張して姿勢を支えることになり、補っている筋肉や関節に痛みやコリが生じます。

ですので、痛みやコリを改善するためには、姿勢の見直しや適度な運動で筋肉や関節の柔軟性を保つことが大切です。

【簡単】背中の痛みの原因となる体の硬さをチェックしよう!

まず、背中の痛みやコリを改善させるストレッチを行う前に、あなたの体のどこが硬くなっているのかをチェックしましょう。

そこで、体の硬さをチェックするための方法を以下で3つ紹介していきます。それぞれ、チェックする部位が違うので、全てのテストを行ってみましょう。

背中の筋肉の硬さチェック(広背筋テスト)

広背筋テストは、骨盤や背骨から始まり、腕の付け根に付着している広背筋の硬さをチェックできます。

広背筋は背中の中でも大きな筋肉で、以下のような腕を使う動作で負担がかかります。

  • 荷物を持つ
  • 赤ちゃんや重い荷物を抱える
  • 車の運転でハンドルを回す

ですので、何気ない生活のなかでも背中にある広背筋は緊張しており、結果的に腰や背中の痛みやコリにつながるのです。

広背筋テストは座った姿勢で行えるので、ぜひチャレンジしてみてください。

広背筋テスト

STEP1:イスに座り肩と肘が90度になるように腕を挙げます
STEP2:顔の前で両手を肘から指先までしっかりとくっつけます
STEP3:両腕を離さないよう腕を持ち上げます
※背中が反ったり丸まったりしないように注意しましょう

 

広背筋テストの写真

この広背筋テストの結果は以下のように解釈していきます。

  • 広背筋が柔らかい:両腕を閉じたまま、鼻が見える位置まで腕が挙がる
  • 広背筋が硬い:腕が離れてしまう、鼻が見えない

背骨の関節の硬さチェック(胸郭回旋テスト)

背骨は、24個の椎骨(ついこつ)が積み木のように重なっており、椎骨と椎骨の間は体に合わせて動く関節となっています。加えて、体を動かすときはどこか一部の関節が動くわけでなく、背骨全体が連動して動きます。

ですので、背骨のどこか一部が硬くなれば、正常に動いている関節や周囲の筋肉に大きな負担がかかるのです。

胸郭回旋テストで、自身の背骨が硬くなっているか確認しましょう。

胸郭回旋テスト

STEP1:仰向けで寝て片方の足を反対側に倒します
STEP2:倒した方の膝は床から離れないようにしましょう
STEP3:上半身をひねり片手を反対側の床につけましょう
※痛みのない範囲で実施しましょう

胸郭回旋テストの写真

胸郭回旋テストの結果は以下のように解釈していきます。

  • 背骨が柔らかい:膝を地面につけたまま、腕を開く側の手の甲が対側の床つく
  • 背骨が硬い:腕を開く側の手の甲が床につかない、腕を回す際に膝が床から離れてしまう

下半身からの影響チェック(FFDテスト)

FFD(finger floor distance)は指床間距離テストと呼ばれ、立った状態で床に手を伸ばし、床と指の距離を計ります。

FFDテストにより、ハムストリングス(もも裏の筋肉)や腰・背中の柔軟性があるかチェックできます。とくに、背中や腰の痛みが強い方はハムストリングスが硬くなっていることも多いので確認してみましょう。

FFDテスト

STEP1:まず両足をそろえて真っ直ぐ立ちましょう
STEP2:膝を曲げないようにして指先で床を触ります
※痛みのない範囲で行いましょう

FFDテストの写真

FFDテストの結果は以下のように解釈していきます。

  • ハムストリングスが柔らかい:膝を曲げずに指先が床につく
  • ハムストリングスが硬い:指先が床につかない

硬い部位別に実践!背中の痛みに効果的な寝ながらできるストレッチを紹介

先ほどセルフチェックの方法を解説しましたが、結果はいかがでしたか?

では、セルフチェックの結果をもとに、寝ながらできる効果的なストレッチを紹介していきます。自身に当てはまる部位を確認し、チャレンジしてみてください。

背中の筋肉が硬い方向け:広背筋ストレッチ

先ほど紹介した広背筋テストで肘が離れてしまった、腕を挙げて鼻が見えなかった方は、広背筋の硬さが疑われます。広背筋が硬くなることで姿勢の乱れを引き起こし、結果として背中周りの痛みやこりに繋がります。

広背筋テストに引っかかってしまった方は、入念にストレッチを実施しましょう。

広背筋ストレッチ

STEP1:両腕をつき斜め側方へ両手をつきましょう
STEP2:手をついたまま体を後方へ動かしましょう
STEP3:ゆっくりと元の姿勢にもどし、繰り返します
STEP4:脇の下の伸びを感じながら行いましょう
※痛みのない範囲で行いましょう

背骨の関節が硬い方向け:胸郭回旋運動

胸椎回旋テストで、膝が離れてしまった、広げた手が床に付かなかった方は、背骨の硬さ(特に胸椎)が疑われます。

胸椎は背骨の中で、胸の部分にある12個の椎骨が積み重なってできています。また、肋骨と連結しており、頚椎や腰椎より動きがすくない関節です。

ですので柔軟性も低下しやすく、胸椎が硬くなることで不動(動かないこと)による痛みが出現しやすくなります。

胸椎回旋運動を行い、背骨周りの柔軟性を高めていきましょう。

胸椎回旋運動

STEP1:片膝を90度に曲げて床につけましょう
STEP2:両手を伸ばし合わせましょう
STEP3:上半身をひねり片手を反対側の床につけましょう
STEP4:背中をしっかりとひねりましょう
※膝が床から離れないように注意しましょう

下半身の筋肉が硬い方向け:ハムストリングスストレッチ

最後に解説するのは、もも裏にあるハムストリングスのストレッチです。

ハムストリングスは、お尻の付け根(骨盤)から始まり、膝の裏に付いている筋肉です。膝を曲げたり足を後ろに引くときにハムストリングスが動き、歩くときや走るときにより力を発揮します。

ですが、長時間座った姿勢で作業するなど、ハムストリングスを動かす機会が減ると、血流が悪くなります。すると、必要な栄養が筋肉に行かず、ハムストリングスの柔軟性が低下するのです。

さらに、ハムストリングはお尻の付け根(骨盤)から始まっているので、筋肉の柔軟性が低下すると骨盤が後ろに傾くように引っ張られ、同時に骨盤に連動して背筋が丸くなる姿勢(猫背)となります。

したがって、ハムストリングスが硬くなると、正しい姿勢を維持できなくなり、背中や腰への負担が大きくなり痛みやコリが引き起こされることに。

FFDテストで床に指が付かなかった方は、ハムストリングスのストレッチで背中や腰の負担を軽減していきましょう。

ハムストリングスのストレッチ

STEP1:仰向けで片足を抱えます
STEP2:可能な限り膝を伸ばします
STEP3:もも裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施しましょう
STEP4:元の姿勢に戻り繰り返し実施しましょう
※太ももがお腹から離れないように実施しましょう

背中の痛みを引き起こすNG習慣とは?

先ほど解説したように、背中の痛みを引き起こす原因は、筋肉や関節の硬さが影響しています。

では、筋肉や関節が硬くなるのはなぜでしょうか?

その理由は日常生活に潜むNG習慣が原因かもしれません。それでは、背中の痛みやコリがある方にとくに注意していただきたい、NG習慣を3つ解説していきます。

長時間デスクワークを行う

悪い姿勢でパソコン作業をしている写真

長時間のデスクワークは、同じ姿勢で作業することが多く、背中や腰に負担をかけてしまいます。

とくに、パソコン作業は首が前に出る姿勢になりやすく、正しい姿勢に戻そうと首や背中、腰の筋肉が過剰に緊張します。また、長時間同じ姿勢で作業することで、筋肉や関節を動かす機会が減り血流の流れが悪くなるのです。1)

したがって、血流の流れが悪くなることで筋肉に必要な栄養素が不足し、筋肉の疲労感や力の低下が生じることで、痛みやコリを引き起こします。

デスクワークが多い方は、以下のポイントを意識しましょう。

  • パソコン画面は目線と同じ高さに上げる
  • 両足はしっかり床につける
  • 適度に休憩をとり体を動かす

悪い姿勢で重いものを持つ

重いものを持つと、背骨や背中の筋肉に大きな負荷がかかります。加えて、悪い姿勢で重いものを持つと、より大きな負荷となり背中の痛みやコリを引き起こしてしまうのです。では、悪い姿勢とはどのような姿勢でしょうか。

一般的には荷物を持ち上げる時に前かがみの姿勢になったり、中腰の姿勢で持ち上げようとするのは危険です。2)

重いものを持ち上げるときは、以下のポイントに注意して正しい姿勢で行いましょう。

  • 物を持ち上げるときは、上半身を真っ直ぐにした姿勢で行う
  • 荷物は体にしっかりと近づけて持ち上げる
  • 腕だけで持ち上げようとせず、足の力も使う

重いものを持つときの正しい姿勢を説明している図

足を組んで座る

女性が足を組んで座っている写真

最後に、足を組んで座る習慣のある方は、背中の痛みやコリを引き起こしやすいです。人間の体は、左右均等ではなく誰でも左右どちらかに歪みがあります3)

ですが、足を組んで座る習慣がある方は、より体の歪みが大きくなるのです。

また体の歪みが大きくなるほど正しい姿勢を保てなくなり、一方の腰や背中に大きな負担がかかります。結果、背中の痛みやコリが引き起こされるので、足を組む習慣がある方は座り方を見直しましょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

まとめ

今回は、つらい背中の痛みやコリを改善するストレッチとセルフチェックの方法を解説しました。

当記事をまとめると

  • 背中の痛みやコリの原因は、長時間の悪い姿勢や運動不足によるものが多い
  • セルフチェックで体の硬くなっている部分を知ることが大切
  • 痛みを引き起こすNG習慣は、長時間のデスクワークや悪い姿勢で重いものを持つ、足を組んで座ること

となります。

日頃の生活習慣を見直し、できるだけ体のゆがみを出さないように意識しましょう。

それでは、当記事があなたの痛み軽減のお役に立てば幸いです。

参考文献
Park S, Kim H et al. Longer sitting time and low physical activity are closely associated with chronic low back pain in population over 50 years of age: a cross-sectional study using the sixth Korea National Health and Nutrition Examination Survey. Spine J, 18(11), 2051 – 2058, 2018.
2)Wilke HJ, Neef P, Caimi M, Hoogland T, Claes LE. New in vivo measurements of pressures in the intervertebral disc in daily life. Spine (Phila Pa 1976). 1999 Apr 15;24(8):755-62. doi: 10.1097/00007632-199904150-00005. PMID: 10222525.
3)古後晴基, and 村田潤. “利き脚および組み脚が立位姿勢の骨盤前傾角に与える影響.” 理学療法科学 29.1 (2014): 39-43.