【背中のコリがしんどい方は要チェック】コリの原因と解消ストレッチを専門家が解説

「背中がガチガチにこっている」「背中の張りがひどい」

あなたも背中のコリに悩まされてしんどい思いをしたことがあるのではないでしょうか。

とくにデスクワークなど長時間に渡り同じ姿勢を取っている方は、背中がガチガチになったり張りを感じることも多いでしょう。

そこで当記事では、背中のコリの原因と解消に向けた効果的なストレッチを紹介します。当記事を参考にすることで、背中コリの改善に役立てていただければ幸いです。

ぜひ最後までお付き合いください。

【背中がガチガチ】しんどい背中のコリの原因は何?

背中を押さえる女性の写真

そもそもなぜ背中はガチガチになるのでしょうか。まずは背中のコリの原因について解説します。

背中のコリの原因は、主に血液循環の悪さによるものです。血流が悪くなることにより筋肉の酸素・栄養が不足し、疲労物質が蓄積します。筋肉は疲労物質が溜まることで硬くなる性質を持つため、コリを引き起こすのです。

それでは具体的な背中のコリの要因をみていきましょう。

長時間の同じ姿勢や運動不足

長時間の同じ姿勢では筋肉の伸び縮みが起こらず、血液循環が悪くなるためコリへとつながります。1)

また運動不足でも血流が悪くなるため、背中の筋肉がこる原因になります。よってデスクワークの方などは背中がコリやすいでしょう。

そのため、こまめに立ち上がったり、ウォーキングなどの有酸素運動で血流を促すよう心掛けましょう。

悪い姿勢

猫背や頭が前に出ているような悪い姿勢では、頭を支えるために背中の筋肉が過剰に働いています。常に筋肉が緊張状態となっているため疲労が蓄積しやすく、コリの原因になるのです。

普段から正しい姿勢を意識することで、背中に負担のない身体の使い方ができます。

正しい姿勢のポイントは以下の通りです。

  • 横から見た時に、耳の後ろと肩が一直線になっている
  • 胸前の骨(胸骨)が正面を向いている

正しい姿勢の図

以上の姿勢が取れていない場合は、悪い姿勢が原因となり背中がこっている可能性があるため、普段から正しい姿勢を意識していきましょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

自律神経の乱れ

自律神経の乱れもコリを引き起こします。なぜなら自律神経のうちの一つである交感神経が強く働くと血管が過剰に縮こまり、血流が悪くなるため、筋肉に疲労物質が蓄積するからです。

ストレスや睡眠不足、過度な緊張状態が続いている場合には、自律神経の乱れがコリの原因になっていることもあります。

【あなたは大丈夫?】しんどい背中のコリが引き起こす身体の不調

背中のコリ自体も辛いと思いますが、それに伴い起こる身体の不調もあるのです。一見、関係のないように思える症状も、背中のコリが原因となっているかもしれません。

呼吸が浅くなって起こる息苦しさ

本来、呼吸をする時には肋骨が開いたり、閉じたりしています。この肋骨の動きがあることで、肺に空気が入っていくのです。

しかし背中の筋肉が硬くなると、肋骨の動きが制限されるため、呼吸が浅くなるのです。その結果、息苦しさを引き起こしている可能性があります。

また呼吸が浅いと、肋骨や首周りにある呼吸を助ける筋肉(呼吸補助筋)が過剰に使われるようになり、さらに息苦しさにつながるという悪循環に陥ります。

よって背中や肋骨周りの柔軟性は呼吸と大きく関連しているのです。

頭の両側が締め付けられるような頭痛

頭の両側が締め付けられるような頭痛を緊張型頭痛と言います。

長時間の同じ姿勢や悪い姿勢を取っていると頭や首の筋肉が硬くなり、その結果として筋肉や筋肉の膜(筋膜)にある神経が過敏となって頭痛が起こるのです。

背中の筋肉は頭や首とつながりがあるため、背中のコリが重度になると頭や首の筋肉も硬くなることから背中コリにも注意が必要となります。

重度の場合に出る吐き気

硬くなった筋肉が神経や血管を圧迫し、吐き気を引き起こしている可能性があります。さらに自律神経が乱れることで、吐き気を促す器官(嘔吐中枢)を刺激している場合もあります。

また原因不明の吐き気がある場合、背中や肩コリではなく病気のケースもあるため、我慢できない症状が続く場合は病院への受診も検討しましょう。

あなたの背中のコリはどのくらい?背中の柔軟性をチェックしよう

実際にあなたの背中はこっているのか、またどの部位がこっているのかセルフチェックで確認できます。

チェックをして背中のコリがあった方は、最後に解説しているストレッチを行うことで解決していきましょう。

広背筋テスト

広背筋とは骨盤から背骨、腕にかけて走る大きな筋肉です。PCやスマホを使用する時間が長い方は硬くなっていることが多く、背中コリの原因になっている可能性が高い筋肉でもあります。

広背筋テストを行うことで、背中の筋肉の柔軟性を知り、背中コリの原因を見つけていきましょう。

広背筋テストの方法は以下の通りです。

STEP1:椅子に座り、肩と肘が90度になるように曲げます
STEP2:両手を合わせ、指先から肘までをくっつけます
STEP3:両腕が離れないように腕を持ち上げていきましょう

肘が鼻の高さまでこないようであれば、広背筋の柔軟性は低下しています。

広背筋テストの写真

胸椎回旋テスト

本来、胸椎は柔軟に動くべき組織です。しかし、デスクワークや悪い姿勢などから動かせる範囲(可動域)が低下しているケースを散見します。

背骨が硬いと、同時に背骨周りの筋肉も硬くなっている可能性があります。とくに胸椎(胸の背骨)はいわゆる背中の位置にあるため、背中コリと大きく関連するのです。

胸椎回旋テストの方法は以下の通りです。

STEP1:仰向けになり肩の高さで手を横に広げます
STPE2:両肩が床についた状態を維持し、片足を反対側へと倒します
STEP2:膝は床につけ、離れないように注意しましょう

肩や膝が床から浮く場合は胸椎の硬さがあり、背中の柔軟性も低下している可能性があります。

胸椎回旋テストの写真

なかなか取れないしんどい背中のコリをスッキリ解消させるストレッチを紹介

セルフチェックで背中の柔軟性が落ちていた場合、筋肉の硬さが原因で背中がしんどくなっているかもしれません。

ここではしんどい背中をスッキリさせるストレッチを紹介します。ストレッチで筋肉の血流を改善し、背中コリを解消していきましょう。

広背筋ストレッチ

広背筋テストで両腕が離れてしまったり、鼻の高さまで肘が上がらなかった方は、広背筋の硬さが背中のコリの原因になっているかもしれません。

広背筋は骨盤から腕に掛けて走っている筋肉であり、硬くなると巻き肩を引き起こすことも。広背筋が硬くなると姿勢も悪くなり、背中コリを助長するケースもあるため、しっかりと柔軟性を高めていきましょう。

広背筋ストレッチ

STEP1:四つ這いとなり斜め側方へ両手をつきましょう
STEP2:手をついたまま体を後方へ動かしましょう
STEP3:脇腹、背中の筋肉が伸びた状態を10秒間保持します
STEP4:元の姿勢に戻り繰り返し実施しましょう
※脇の下の伸びを感じながら行いましょう

胸椎回旋ストレッチ

胸椎回旋テストで肩や膝が床から離れてしまった方は、胸椎の柔軟性の低下を認めます。

胸椎は背骨の中でもとくに硬くなりやすい部位です。なぜならPC・スマホを使用する際に猫背姿勢になり、胸椎の位置が悪くなっていることや、肋骨に囲まれており元々動きが小さいためです。

そのためストレッチを行うことで動かせる範囲を広げ、背中コリを解消していきましょう。

胸椎回旋ストレッチ

STEP1:片膝を90度に曲げて床につけましょう
STEP2:両手を伸ばし合わせましょう
STEP3:上半身をひねり片手を反対側の床につけましょう
STEP4:背中をしっかりとひねりましょう
※膝が床から離れないように注意しましょう

胸椎モビライゼーション

もう1つ、おすすめのエクササイズを紹介します。「胸椎モビライゼーション」です。

こちらのエクササイズによって胸椎とともに、肩の後ろ側につく「肩甲骨(けんこうこつ)」を動かせます。継続することで、背中のコリが改善されるでしょう。

エクササイズを行う際は、テニスボールなどを用意します。そして、ボールの位置を少しずつずらすのがポイントです。

胸椎モビライゼーション

STEP1:テニスボール(2個)をテーピングで合わせます
STEP2:肩甲骨の間に当たるように仰向けになりましょう
STEP3:背中を繰り返し伸ばしましょう
STEP4:テニスボールの位置を少し上にずらします
STEP5:再度繰り返し背中を伸ばしましょう
STEP6:テニスボールの位置を少し上にずらします
STEP7:繰り返し背中を伸ばしてみてください

ガチガチな背中のコリをマッサージでほぐすことはできるの?

結論から言うと、一時的にはできると言えます。

ガチガチに凝っている筋肉をマッサージすることで血流が改善し、緊張が低下するため、一時的にほぐすことはできます。

しかしガチガチになってしまっている原因を解決しない限り、背中のコリを繰り返してしまい根本的な解決にはなりません。

しんどい背中のコリを根本から解消したい場合は、正しい姿勢を意識し、運動不足にならないようこまめに体操を行うなどコリの原因を解決していくことがポイントです。

まとめ

今回は背中のコリがしんどい場合の原因と解消ストレッチを解説していきました。

背中のコリは血流不足が原因で起こり、コリや痛みだけでなく呼吸や頭痛なども引き起こす可能性があることがわかりましたね。

また紹介したセルフチェックを行うことで、ご自身のコリの程度を確認できます。

セルフチェックで背骨の柔軟性が低下していた方は、とくに日頃からのセルフケアが重要になります。ぜひ紹介した動画を参考にしながらストレッチを継続してみてください。

それでは本記事が、あなたのコリや痛みを予防や改善するのにお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)Park S, Kim H et al. Longer sitting time and low physical activity are closely associated with chronic low back pain in population over 50 years of age: a cross-sectional study using the sixth Korea National Health and Nutrition Examination Survey. Spine J, 18(11), 2051 – 2058, 2018.