突然の背中の痛みに「これって筋肉痛?」と不安になったことはありませんか?
その痛みは、単なる筋肉疲労だけでなく、意外な原因が潜んでいることもあります。今回は、背中に現れる“筋肉痛のような痛み”の主な原因と、今すぐできる対処法について詳しく解説します。
当記事を最後までお読みいただくことで痛みの原因が理解でき、急な痛みに対する適切な対処法が身につくでしょう。ぜひ最後までお付き合いください。
背中が筋肉痛のように痛むときに考えられる主な原因とは
背中の痛みは「筋肉痛のように感じる」ことが多いですが、その背景にはさまざまな原因が存在します。
運動後の疲労だけでなく、姿勢のクセや内臓の不調、さらにはストレスまで関係しているケースも少なくありません。ここでは、代表的な原因を詳しく見ていきましょう。
運動や長時間の同一姿勢による筋肉疲労
筋肉痛のような背中の痛みで最も多いのが、筋肉の疲労によるものです。
過度な運動をした翌日や、重い荷物を持ち上げたあとなど、筋繊維が微細な損傷を受けることで炎症が起き、痛みを感じることがあります。
また、デスクワークなどで長時間同じ姿勢を続けることも、筋肉の緊張を招きます。特に背中の広背筋や脊柱起立筋は、体を支える役割を担っているため、姿勢が崩れると過剰な負荷がかかり、筋肉痛に似た痛みが出やすくなります。
姿勢不良による慢性的な筋緊張
猫背や前かがみ姿勢を長く続けていると、背中の筋肉は常に引っ張られ、慢性的な緊張状態に置かれます。これは血流の低下を招き、酸素や栄養が筋肉に届きにくくなり、筋肉痛のような鈍い痛みを生む原因となります。
また、骨盤の傾きや肩の高さの左右差など、体のバランスが崩れている人も注意が必要です。背骨のゆがみがあると、特定の筋肉に負担が集中しやすくなり、慢性的な痛みが習慣化してしまう恐れもあります。
内臓疾患に伴う放散痛の可能性
一見、筋肉の痛みに感じられても、実は内臓の不調が影響している場合もあります。これは「放散痛」と呼ばれる現象で、内臓の異常が皮膚や筋肉に関連した痛みとして現れるものです。
例えば、右側の背中が痛む場合は「胆のう炎」や「肝臓」、左側や背中中央であれば「膵炎」や「胃の不調」、腰に近い部分なら「腎臓疾患」などが隠れていることもあります。
特に、食後に痛みが強まる・発熱や吐き気を伴うなどの症状がある場合は、速やかに医療機関を受診することが大切です。
ストレスによる自律神経の乱れと筋緊張
精神的なストレスが溜まっていると、自律神経のバランスが崩れ、筋肉が過剰に緊張することがあります。特に交感神経が優位になると、無意識のうちに肩や背中に力が入り、常にこわばった状態に。
このような状態が長引くと、筋肉の血行不良が進み、痛み物質が蓄積され、筋肉痛に似た感覚を引き起こします。また、ストレスによって睡眠の質が低下し、筋肉の修復が十分に行われない点も、痛みの慢性化に拍車をかける要因です。
背中の痛みは複数要因が絡むことも
実際には、これらの原因が単独ではなく、複数重なって背中に筋肉痛のような痛みを生じていることも多くあります。たとえば、長時間のデスクワークで姿勢が悪化し、筋肉に疲労が蓄積、さらにストレスで筋肉が緊張状態になっている。そんなケースも少なくありません。
背中の痛みは「ただの筋肉痛」と軽視しがちですが、原因によっては放置すると悪化したり、日常生活に支障をきたしたりすることもあります。だからこそ、自分の生活習慣や身体の使い方を一度振り返ることが、根本的な解決につながります。
このように、背中に筋肉痛のような痛みを感じるときは、身体の中で何が起きているのかを正しく見極めることが重要です。次に、放置してはいけない危険なサインについても確認していきましょう。
参考記事:背中の筋が痛いのはなぜ?原因と対処法や危険な症状の見分け方も解説
参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介
放置は危険?こんな背中の痛みは病院に行くべき
背中の筋肉痛のような痛みは、多くの場合は筋肉疲労や姿勢の影響による一時的なもので、自宅でのケアで改善します。
しかし、なかには早期に医療機関を受診すべき深刻な原因が隠れていることも。ここでは、注意すべき症状や病院で診てもらうべきタイミングについて詳しく解説します。
痛みが長引く・日に日に悪化している
通常の筋肉疲労による痛みであれば、数日以内に和らいでいくのが一般的です。しかし、1週間以上続いたり、日ごとに痛みが強くなったりする場合は注意が必要です。慢性的な筋膜炎や、神経の障害が隠れていることもあります。
特に「安静にしていても痛む」「寝ている間にもズキズキする」という場合は、炎症が進んでいる可能性が高く、整形外科での診察をおすすめします。
発熱・吐き気・しびれなどの症状を伴う
背中の痛みに加えて発熱や吐き気、手足のしびれなどがある場合は、筋肉の問題にとどまらない可能性があります。たとえば、腎盂腎炎や膵炎などの内臓疾患、あるいは脊髄や神経系のトラブルが原因のケースもあります。
こうした全身症状があるときは、内科的疾患の兆候として考え、速やかな受診が必要です。特に高熱が続く、尿の色や量に異常があるといった場合には、泌尿器科や消化器内科を検討しましょう。
背中以外にも胸や腹部に痛みが広がっている
背中の痛みが胸やお腹、肩など別の部位にも広がっている場合は、「放散痛」の可能性が高まります。たとえば、心筋梗塞や胆石症、胃潰瘍などでは、痛みが背中にも及ぶことがあります。
このような痛みは一時的におさまっても再発を繰り返しやすく、命に関わる病気が隠れていることもあるため、症状があるうちに病院を受診することが非常に重要です。
市販薬やストレッチでも全く改善しない
鎮痛薬や湿布、ストレッチなどのセルフケアを試しても改善の兆しがない場合、それは単なる筋肉痛ではない可能性があります。椎間板ヘルニアや狭窄症といった整形外科的疾患が進行しているかもしれません。
特に、動作のたびに鋭い痛みが走る、左右どちらかに偏った痛みがある、夜間痛が続くといった症状があるときは、MRIなどの精密検査が必要となるケースもあります。
何科に行けばいい?症状別の受診先
痛みの種類や伴う症状によって、適切な診療科が変わります。以下の目安を参考にしてください。
整形外科を受診するべき場合
- 姿勢の崩れ、運動後の痛み、同じ姿勢による疲労感が強い
- 手足のしびれや可動域制限がある
- 痛みが姿勢や動作で変化する
内科・消化器内科を受診するべき場合
- 背中と同時に胃やお腹の不快感がある
- 食後や空腹時に痛みが増す
- 発熱・吐き気・便秘や下痢などの消化器症状がある
泌尿器科を受診するべき場合
- 腰に近い背中が痛む
- 排尿時の違和感、血尿、尿のにおいが気になる
- 腎臓結石や感染症の疑いがある
自宅でできる!背中の筋肉痛のような痛みに効くセルフケア
背中に筋肉痛のような痛みを感じたとき、まず試してほしいのが「セルフケア」です。軽度の痛みであれば、日常生活の中で取り入れられるストレッチや温熱療法、リラクゼーションなどを行うことで、改善が見込めます。
ここでは、特別な道具を使わずに実践できるケア方法をご紹介します。
肩甲骨まわりを動かして血流を促進するストレッチ
背中の筋肉痛のような痛みは、血流が滞っていることが大きな原因の一つ。肩甲骨まわりの筋肉を動かすことで、血行が促進され、筋肉のこわばりが和らぎます。
胸張り運動
STEP2:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
STEP3:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP4:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
この運動は、背中全体の可動性を高めると同時に、筋肉をほぐす効果もあるため、デスクワークの合間にもおすすめです。
CAT&DOG
STEP2:背中を反り肩甲骨を寄せましょう。
STEP3:背中を丸めて肩甲骨を広げましょう。
注意点:肘が曲がらないように注意しましょう。
背骨の動きを柔らかくするこのストレッチは、姿勢改善や呼吸の安定にもつながり、背中の深層筋をゆるめる効果があります。
温めて血流を改善し、緊張をゆるめる
冷えた筋肉は硬くなり、痛みを感じやすくなります。背中の痛みに悩んでいるときは、患部を「温める」ことがとても効果的です。
湯船に浸かる習慣をつける
シャワーだけで済ませるのではなく、ぬるめのお湯(38〜40℃)に15分程度浸かることで、背中の血流が改善され、筋肉が自然にほぐれます。また、精神的な緊張を緩和する効果も期待できます。
温湿布や蒸しタオルを使う
自宅に入浴の時間が取れない場合でも、温湿布や電子レンジで温めた蒸しタオルを背中にあてるだけでも十分効果があります。特に肩甲骨の内側や背骨沿いに貼ると、リラックス効果が高まります。
深い呼吸とリラクゼーションで自律神経を整える
背中の痛みには、自律神経の乱れも深く関わっていることがあります。緊張状態が続くと筋肉がこわばり、血流が悪くなってしまうため、リラックスを意識した呼吸法を取り入れるのも有効です。
腹式呼吸
STEP2:鼻から息を吸いお腹を膨らませましょう(3秒間)
STEP3:口から息を吐きお腹に力を入れましょう(6秒間)
注意点:腰が丸まらないように注意しましょう
副交感神経を優位にし、心身の緊張をほぐしてくれる呼吸ストレッチは、寝る前に行うと睡眠の質も向上します。
再発を防ぐ!日常生活でできる予防と姿勢改善
背中の筋肉痛のような痛みを一度和らげたとしても、根本的な原因を解決しなければ再発のリスクは高いままです。
特に姿勢の乱れや生活習慣による慢性的な筋肉疲労は、日常の中で少しずつ蓄積されていきます。ここでは、痛みを繰り返さないために重要な、日常生活の工夫と姿勢改善のポイントを紹介します。
正しい座り方・立ち方を意識する
姿勢は、背中への負担を大きく左右します。特に、現代人の多くが長時間の座り作業を行っているため、無意識のうちに猫背になってしまいがちです。
座るときのポイント
- 椅子に深く腰掛け、骨盤を立てる意識を持つ
- 背もたれに軽く背中を預け、肩の力を抜く
- 両足は床にしっかりつけ、膝と股関節の角度が90度になるよう調整する
立つときのポイント
- 頭を天井から引っ張られているように意識し、背筋を伸ばす
- 顎を引き、肩を後ろに引いて胸を軽く張る
- 重心は足裏の中心(かかとと指の付け根の間)に置く
これらのポイントを習慣づけることで、背中の筋緊張を大幅に減らすことができます。
長時間同じ姿勢を避ける・こまめなストレッチを取り入れる
座りっぱなしや立ちっぱなしの状態が続くと、筋肉は固まり、血行が悪くなります。最低でも1時間に1回は席を立って軽く体を動かすだけでも、背中のこわばりを防げます。こうした小さな習慣の積み重ねが、背中のトラブルを遠ざけます。
デスク環境を見直して身体の負担を軽減
日々長時間過ごすデスク周りの環境が、実は姿勢に大きな影響を与えています。ちょっとした調整で、背中や腰への負担を軽くすることができます。
見直すべきポイント
- モニターの高さ:目線と同じ高さ、または少し下になる位置に
- 椅子の高さ:足裏が床にしっかりつくように調整
- キーボード・マウス:肘が90度に曲がる位置で、手首が反らないよう配置
- クッションやランバーサポート:骨盤が立つようにサポートする背もたれを使用
睡眠・食事・ストレス管理も重要
生活習慣の乱れも、背中の筋肉疲労や慢性的な緊張の原因になります。特に質の高い睡眠は、筋肉の修復に欠かせません。
- 寝具を自分の体に合ったものにする(硬すぎず柔らかすぎないマットレス)
- 就寝前はスマホやテレビの光を避け、リラックス時間を持つ
- 栄養バランスを意識し、ビタミンやミネラルをしっかり摂取する
- ストレスを感じたら深呼吸や軽い運動でリセットする習慣を
心身をトータルで整えることが、背中の痛みの根本解決へとつながります。
まとめ
背中に筋肉痛のような痛みが現れたとき、その原因は単なる筋疲労だけでなく、姿勢の乱れや内臓疾患、ストレスの影響も考えられます。
セルフケアやストレッチで改善が見込める軽度な痛みもあれば、早期受診が必要な症状もあるため、見極めが大切です。
日頃から正しい姿勢や生活習慣を意識し、ストレッチや軽い筋トレを取り入れることで、再発を防ぐことができます。痛みを放置せず、身体のサインにしっかり向き合いましょう。