【保存版】左脇腹から背中にかけての痛み|女性に多い5つの原因と対処法

左脇腹から背中にかけての痛みは、筋肉・内臓・神経・ストレスなど多様な原因で生じるため、不安を抱く女性は少なくありません。

ときには一過性の筋肉疲労で済むこともあれば、内臓や神経の異常が隠れていることもあります。

本記事では、女性に多くみられる5つの代表的な原因と、自宅でできるセルフケア法をわかりやすく解説します。痛みを適切に見極め、安心して過ごすための参考にしてください。

左脇腹から背中にかけて痛むときにまず確認したいこと

脇腹を痛がる女性の画像

突然の痛みは不安ですが、まずは痛みの種類や出るタイミングを整理することが大切です。左脇腹から背中にかけての痛みは「ズキズキ」「チクチク」「重だるい」など多様に現れます。ズキズキと脈打つ痛みは血管や炎症チクチク・ピリピリは神経性の痛みが考えられます。デスクワーク後の重だるさは筋肉のこりや姿勢不良が原因となることが多いです。

また「急性か慢性か」の区別も重要です。突然の激しい痛みは尿管結石や膵炎などの内臓疾患に関わる可能性があり、冷や汗や吐き気を伴えば早めの受診が必要です。一方で慢性的に続く鈍痛は、筋肉疲労や婦人科系疾患、自律神経の乱れが背景にある場合があります。日常生活の中で「食後に悪化する」「運動後に強まる」「生理周期と関連する」といったパターンを把握しておくと、原因の特定に役立ちます。

参考記事:脇腹がつるのはなぜ?正しい対処法と効果的なストレッチ方法を紹介
参考記事:左脇腹がズキズキ痛むのはなぜ?考えられる病気と自宅での対処法を解説

女性に多い「左脇腹〜背中の痛み」の原因5選

脇腹を痛がる女性の画像

この部位に痛みを感じるとき、女性に多い原因は大きく5つに分類されます。それぞれの特徴と日常で起こりやすいケースを紹介します。

1. 筋肉の緊張・姿勢の悪さによる筋膜性疼痛

長時間のデスクワークやスマホ操作、猫背姿勢は、脇腹から背中にかけての筋肉を緊張させます。筋肉が硬くなると血流が滞り、押したときや動いたときに痛みを感じやすくなります。特に体の片側だけでカバンを持つ、足を組むといったクセがあると体のゆがみが進行し、慢性的な痛みの原因となります。

2. 肋間神経痛・帯状疱疹など神経性の痛み

肋骨の間を走る神経が刺激されると、チクチク・ピリピリとした特徴的な痛みが現れます。くしゃみや深呼吸で痛みが強まるのも肋間神経痛の特徴です。

また、帯状疱疹では皮膚に赤い発疹や水ぶくれが出て、片側の脇腹から背中にかけて強い神経痛が走ることがあります。皮膚症状を伴う場合は早めに皮膚科を受診することが必要です。

肋間神経の画像

3. 胃腸・膵臓などの消化器トラブル

胃や腸の不調は左脇腹に痛みを出すことがあります。過敏性腸症候群では下痢や便秘を繰り返しながら腹部の違和感を伴い、消化不良では食後に膨満感と痛みが出やすくなります。

さらに、膵臓の炎症(急性膵炎)は背中にまで響く強い痛みを特徴とし、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。飲酒や脂っこい食事の後に痛みが強くなるときは注意が必要です。

4. 腎臓や尿管など泌尿器系の異常

腎盂腎炎では発熱や全身倦怠感を伴い、腰背部から脇腹にかけて痛みが出ます。尿管結石の場合は、突然の激しい痛みとともに血尿や排尿時痛がみられることもあります。

こうした痛みは動くたびに増すことが多く、背中側に鋭く放散するのが特徴です。特に女性は膀胱炎から腎盂腎炎へと進行しやすいため、排尿異常を伴う痛みは軽視できません。

5. 婦人科系疾患やストレスによる自律神経の乱れ

女性特有のホルモン変動は、脇腹から背中にかけての違和感や痛みを引き起こすことがあります。生理周期に合わせて痛みが強くなる場合、子宮筋腫や卵巣の異常が隠れていることもあります。

また、強いストレスは自律神経のバランスを崩し、内臓の働きや筋肉の緊張を乱すことで慢性的な痛みを招きます。冷や汗や不安感を伴う場合は、精神的な影響も考慮が必要です。

いますぐ自宅でできる対処法・セルフエクササイズ

セルフエクササイズをする女性の画像

痛みが軽度であれば、自宅でできるケアや簡単なエクササイズが効果的です。無理をせず、体の状態に合わせて試してみましょう。

温める・冷やすの判断とやり方

筋肉のこわばりや長時間の姿勢不良で生じる重だるい痛みには「温める」ことが有効です。蒸しタオルや温湿布を脇腹から背中にかけてあてると血流が改善し、筋肉が緩みやすくなります。入浴で体を温めるのも効果的です。

一方、炎症や急にズキズキする痛みには「冷やす」対応が適しています。冷湿布や保冷剤をタオルに包んで患部に当てると、血管が収縮して炎症を抑える効果が期待できます。冷やす場合は10〜15分を目安に行い、やりすぎないように注意しましょう。

肋骨まわりのストレッチ方法

脇腹から背中にかけての痛みは、肋骨の動きが硬くなることで悪化することがあります。体側を伸ばすストレッチは、呼吸を助け、筋肉の緊張を和らげる効果があります。

方法は、椅子に座り足を開きます。片腕を頭上に上げて反対側に体をゆっくり倒すだけ。脇腹から背中にかけて伸びを感じながら、深く呼吸を行います。左右30秒ずつを1〜2セット行うと効果的です。座ったままでも実施できるため、デスクワーク中の休憩にも取り入れやすい運動です。

広背筋ストレッチ

STEP1:両手を頭の上で組みましょう。
STEP2:体を真横に傾け、背中・脇腹を伸ばしましょう。数秒間姿勢を保持しましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
注意点:傾ける方向と反対側へ重心を移動させましょう。

ストレス性の緊張をほぐす深呼吸法

ストレスで自律神経が乱れると、筋肉が緊張しやすくなり痛みを悪化させます。深呼吸は心身を落ち着かせる簡単な方法です。

椅子に腰かけて目を閉じ、4秒かけて鼻から息を吸い、6秒かけて口から吐き出します。腹式呼吸を意識し、お腹が膨らむのを感じながらゆっくり行うと副交感神経が優位になり、リラックス効果が高まります。寝る前やストレスを感じたときに取り入れると、痛みの予防や改善につながります。

こんな症状があればすぐに受診を

軽度の痛みなら様子を見ても問題ありませんが、次のような症状を伴う場合は早急な受診が必要です。

突然の激しい痛みは尿管結石や膵炎の可能性があり、冷や汗・吐き気・発熱を伴えば内臓の炎症や感染を疑います。血尿や排尿時の強い痛みは泌尿器系の異常、皮膚の発疹や強い神経痛は帯状疱疹の可能性があります。

また、痛みに加えてしびれや呼吸困難があるときは循環器・呼吸器系の病気も否定できません。自己判断で放置せず、早めに医療機関を受診することが大切です。

何科を受診すればいい?症状別の目安

痛みの背景にある原因によって、受診すべき診療科は異なります。判断に迷ったら参考にしてください。食後の痛みや吐き気がある場合は消化器内科排尿痛や血尿を伴うときは泌尿器科が適切です。生理周期や不正出血と関連する痛みは婦人科で相談しましょう。

長時間の姿勢不良や動作で悪化する痛みは整形外科が目安になります。どの科に当てはまるか判断が難しい場合は、まず一般内科を受診し、必要に応じて専門科へ紹介してもらうのが安心です。

まとめ
左脇腹から背中にかけての痛みは、筋肉のこりや神経の不調といった軽度なものから、内臓疾患や婦人科系の異常など重大な病気まで多様な原因が考えられます。

自宅での温熱ケアやストレッチ、深呼吸法で改善するケースもありますが、激しい痛みや冷や汗、血尿、呼吸困難などを伴う場合は速やかな受診が必要です。症状のパターンを整理しておくと診察時の手がかりになります。自己判断に頼らず、必要に応じて専門医を受診することが、安心して日常を過ごす第一歩となります。

【参考文献】
1)公益社団法人 日本産婦人科学会:産婦人科 診療ガイドライン 2023
2)日本泌尿器学会:女性株尿路症状診療ガイドライン
3)公益社団法人 日本皮膚科学会:帯状疱疹診療ガイドライン 2025

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桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。