突然、左脇腹にズキズキとした痛みを感じると、「何か大きな病気では…?」と不安になりますよね。
本記事では、左脇腹に生じるさまざまな種類の痛みについて詳しく解説していきます。また、原因として考えられる代表的な病気や状態、受診の目安、自宅でできる対処法までをわかりやすく紹介します。
正しい知識を持つことで痛みに対する不安を軽減し、適切な対応につなげていきましょう。ぜひ最後までお付き合いください。
左脇腹のズキズキした痛みの原因とは?考えられる病気一覧
左脇腹の痛みには、さまざまな内臓疾患や筋肉・神経の不調が関連していることがあります。放置せずに、それぞれの可能性を知っておくことが大切です。
参考記事:脇腹がつるのはなぜ?正しい対処法と効果的なストレッチ方法を紹介
消化器系の病気(胃炎・腸炎・憩室炎など)
胃や腸の不調は左脇腹の痛みとして現れることがあります。特に多いのは「急性胃炎」や「過敏性腸症候群」、「憩室炎」などです。
例えば、急性胃炎の場合はみぞおち付近の痛みが左脇腹に広がることがありますし、過敏性腸症候群では下腹部から脇腹にかけて鈍い痛みを感じることも。憩室炎は、大腸の一部に炎症が起こる疾患で、左下腹部〜脇腹に強い痛みを引き起こします。
胃腸の不調が脇腹に出る理由
胃腸は神経ネットワークで他の内臓とつながっており、痛みが周辺部位に放散することがあります。左側の大腸は特に脇腹に近く、炎症やガスの溜まりなどが痛みの原因となるのです。
腎臓や泌尿器の病気(尿路結石・腎盂腎炎など)
左側の腎臓や尿管が原因となっている場合もあります。特に「尿路結石」では、結石が尿の通り道をふさいだときに、背中から脇腹、下腹部まで鋭い痛みが走ることがあります。
「腎盂腎炎」では、感染による炎症でズキズキした痛みに加え、発熱や寒気、排尿時の違和感を伴うことが多いです。場合によっては、血尿が出ることもあるため注意が必要です。
尿の変化に注目
痛みと同時に尿の色が濃くなる、血が混じる、排尿回数が増えるなどの症状があれば、腎臓や泌尿器の異常を疑いましょう。特に結石は、痛みの強さが激烈で、夜間に目が覚めるほどになることもあります。
筋肉や神経由来の痛み(肋間神経痛・筋肉痛)
長時間のデスクワークや姿勢の悪さ、ストレスなどが原因で筋肉や神経に負担がかかり、左脇腹に痛みを感じることもあります。
「肋間神経痛」は、肋骨に沿って走る神経が圧迫や炎症を起こし、鋭い刺すような痛みが脇腹や背中に出るのが特徴です。一方、筋肉痛であれば、重たい荷物を持った後や慣れない運動後に、筋肉を押すと痛みを感じるケースが多くあります。
参考記事:【胸や脇腹が痛む】肋間神経痛とは?原因や症状、自分でできる対処法を解説
ストレスや帯状疱疹にも注意
神経痛の原因にはストレスも大きく関わります。また、「帯状疱疹」の初期症状として、脇腹にチクチク・ズキズキする痛みが出ることがあります。皮膚に発疹が見られる場合は、速やかに皮膚科を受診しましょう。
どんな時に病院に行くべき?受診の目安と注意点
痛みが一時的で軽ければ様子を見るのも選択肢ですが、症状によっては早めの受診が重要です。医療機関を受診すべきタイミングや、何科を選べばよいのかなど、判断に迷わないように目安を知っておきましょう。
緊急受診が必要な症状とは
左脇腹の痛みが次のような症状を伴う場合は、すぐに病院を受診してください。
冷や汗や息苦しさがある場合
冷や汗をかくほどの痛みや息苦しさを感じる場合は、内臓や循環器に深刻な異常がある可能性があります。特に左側は心臓にも近いため、関連症状がある場合は循環器疾患も考慮すべきです。呼吸が浅くなる、動悸がするなどの変化にも注意しましょう。
我慢できないほどの鋭い痛み
急激に襲ってくる耐えがたい痛みは、尿路結石や腸閉塞、または消化管穿孔など、緊急性の高い病気の可能性があります。姿勢を変えても痛みが引かない、体を丸めるような姿勢しか取れないといった場合には、救急外来の受診を検討しましょう。
血尿・吐き気・発熱を伴う場合
血尿がある場合は、泌尿器系の疾患が疑われます。吐き気や嘔吐、38度以上の発熱を伴うようであれば、感染性疾患や腎盂腎炎などが原因であることが多いため、放置すると症状が急激に悪化するおそれがあります。
何科に行けばいい?判断のポイント
症状の特徴によって適切な診療科は異なります。以下の基準を参考にしましょう。
消化器の不調が疑われる場合
便秘や下痢、食後の不快感、腹部膨満感などがある場合は「消化器内科」へ。胃腸のトラブルは左脇腹の痛みと関連していることが多く、胃カメラやエコー検査が必要になることもあります。
排尿トラブルや背中の痛みがある場合
排尿時の違和感や血尿、腰や背中から脇腹にかけての痛みがある場合は「泌尿器科」がおすすめです。尿検査やCTなどで、腎臓や膀胱の状態を調べてもらえます。
チクチク・ズキズキする皮膚の違和感がある場合
皮膚に赤みや発疹が出ている場合や、チクチクとした感覚がある場合は「皮膚科」へ。帯状疱疹などのウイルス性疾患の可能性もあります。
女性特有の症状がある場合
女性であれば「婦人科」も視野に入れてください。卵巣や子宮の病気は腹部〜脇腹の痛みとして出ることがあり、月経周期との関連性があるかを確認することが重要です。
筋肉痛や動作時の痛みが中心の場合
動くと痛む、姿勢や体勢によって痛みが変わるような場合は「整形外科」での診察が適しています。肋間神経痛や筋筋膜性疼痛など、筋骨格系の問題が隠れていることもあります。
このように、症状によって受診すべき診療科は異なります。迷ったときは、まずは内科を受診し、必要に応じて専門科へ紹介してもらうのも一つの方法です。
自宅でできる!左脇腹の痛みを和らげるセルフケア・エクササイズ
痛みが軽度で、明らかな病気が疑われない場合は、自宅でのセルフケアが有効なこともあります。
ここでは、痛みを和らげるためのストレッチや日常生活で取り入れられるケア方法を紹介します。再発防止にもつながる習慣として、ぜひ取り入れてみてください。
簡単にできるストレッチ・体操
長時間の同じ姿勢や猫背などが原因で、肋間筋(肋骨の間にある筋肉)が硬くなると、呼吸や動作に伴って痛みを感じやすくなります。以下のストレッチを行うことで、肋間筋の緊張を和らげる効果があります。
脇腹のストレッチ
STEP1:両手を頭の上で組みましょう。
STEP2:体を真横に傾け、背中・脇腹を伸ばしましょう。数秒間姿勢を保持しましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
注意点:傾ける方向と反対側へ重心を移動させましょう。
ヒップロール
STEP1:仰向けになり両手を横に広げ、両膝を90度に曲げましょう。
STEP2:両膝をくっつけたまま横に倒しましょう。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。
注意点:倒す際に肩が浮かないように注意しましょう。
痛みが強いときは無理をせず、伸ばす範囲を調整してください。呼吸を止めずに、リラックスしながら行うことがポイントです。
食事と水分補給の工夫
左脇腹の痛みの原因に消化器のトラブルが関係している場合は食生活の見直しが重要です。脂っこいものや刺激物を避け、消化に良い和食中心のメニューを選ぶと胃腸への負担を軽減できます。
以下が食事の一例となります。
- 柔らかく煮た野菜(大根、にんじん、かぼちゃなど)
- 白粥やうどん
- 湯豆腐や味噌汁
また、一度にたくさん食べず、小分けにしてゆっくりよく噛んで食べることも大切です。
さらに、水分が不足すると、便が硬くなって腸に負担をかけ、脇腹の張りや痛みを引き起こすことがあります。1日にコップ7~8杯(1.5~2L程度)の水分を意識的に摂取しましょう。
便秘気味の方は、朝一杯の白湯やヨーグルト、オリゴ糖を含む食品などを取り入れるのも効果的です。
ストレス管理と睡眠の質向上
ストレスと睡眠の質は、脇腹の痛みに関わることがあります。
ストレスや疲労がたまると、自律神経のバランスが崩れ、筋肉が過緊張状態になり、痛みとして現れることがあります。深呼吸や瞑想、ぬるめのお風呂にゆっくり浸かるといったリラクゼーションを意識的に取り入れましょう。
また、睡眠不足は痛みを感じやすくする要因の一つです。寝る前のスマホ使用を控える、部屋を暗くして静かな環境を整える、就寝前にストレッチをするなど、入眠の質を高める工夫をしてみてください。
これらのセルフケアは、軽度の痛みに対して特に有効ですが、改善が見られない場合は、無理をせず医療機関を受診しましょう。
まとめ
左脇腹のズキズキした痛みは、消化器や腎臓、筋肉・神経などさまざまな原因が考えられます。軽度の痛みであれば、ストレッチや食生活の見直し、ストレス管理などで和らげることも可能です。
ただし、痛みが強い場合や症状が長引く、他の症状を伴う場合は早めの受診を心がけましょう。自分の体からのサインを見逃さず、正しい対処を心がけましょう。