首の後ろが凝る原因とは?今すぐ試せる解消ストレッチとマッサージ法

首の後ろが凝ってつらい…」そんな症状に悩む方は少なくありません。

この記事では、首の後ろが凝る原因や関連する症状、そして自宅でできる解消ストレッチやマッサージ法まで詳しく解説します。

日常生活での注意点セルフケアの方法を知ることで、つらい不調を和らげるヒントが得られるはずです。ぜひ最後までお付き合いください。

首の後ろが凝るとどんな症状が出るのか?

首が痛い女性の画像

まずは代表的な症状を知ることが、正しい対策への第一歩です。首の凝りは単なる筋肉の問題だけでなく、日常生活に影響を及ぼす複合的な不調と関係しています。

首の後ろがゴリゴリ鳴る・硬い・だるい

首の後ろを動かすとゴリゴリと音が鳴る」「触ると硬くこわばっている」「常にだるさを感じる」—こうした感覚は、首の筋肉や靭帯が過緊張している状態を示しています。

特にパソコンスマートフォン長時間使う人に多くみられ、姿勢の崩れや同じ筋肉の使いすぎが主な要因です。筋肉に十分な酸素や栄養が届かず、老廃物が滞ることで「硬い」「だるい」といった感覚が出やすくなります。

また、首を回す際に鳴る「ゴリゴリ音」は、筋肉や腱の摩擦によって発生しており、慢性的な緊張状態のサインでもあります。軽視せず、日々のケアが重要です。

頭痛・めまい・目の疲れなどの関連症状

首の後ろの凝りは、肩や背中だけでなく、頭部や目の周囲にも影響を及ぼすことがあります。代表的なのが「緊張型頭痛」です。これは、首や肩まわりの筋肉がこわばることで血流が悪くなり、頭部への酸素供給が低下することで引き起こされます。

加えて、長時間のパソコン作業スマホ使用により眼精疲労が進行すると、目の奥の痛みや視界のぼやけを伴い、首の後ろの筋緊張をさらに悪化させます。

さらに、首の後ろには自律神経が集中しており、過剰なストレスや不眠が続くと、自律神経が乱れ、めまいやふらつき、動悸などが生じることもあります。首の凝りを甘く見ず、こうした関連症状に注意を払う必要があります。

首の後ろが凝る主な原因とは?

凝りの正体を知ることで、適切な対処がしやすくなります。首の後ろが凝る背景には、日常生活のクセや身体の使い方、精神的な負荷など、さまざまな要因が隠れています。原因を理解することで、効果的なセルフケアにつなげましょう。

長時間のデスクワークやスマホ姿勢

パソコン作業やスマートフォン長時間使う現代人にとって、前かがみの姿勢は避けがたいもの。特に、頭が前に突き出た「スマホ首」や「ストレートネック」の状態になると、首の後ろにかかる負担は通常の約3倍以上にもなります。

ストレートネックの画像

このような姿勢が続くと、首の後ろの筋肉が常に引っ張られた状態となり、血流が滞りやすくなります。その結果、乳酸などの老廃物がたまり、筋肉の張りや痛み、ゴリゴリとした違和感につながります。

加えて、猫背姿勢になると背中全体の筋肉バランスも崩れ、首だけでなく肩甲骨周囲や腰にも緊張が広がってしまうため、姿勢のクセを見直すことが重要です。

ストレスや精神的緊張

意外に思われるかもしれませんが、精神的ストレスは首の凝りと密接に関係しています。人はストレスを感じると無意識に肩や首まわりに力が入り筋肉が緊張します。

また、自律神経のバランスが崩れると、筋肉の血流や神経伝達が乱れ常に筋肉がこわばったままになりやすいのです。こうした状態は「緊張型頭痛」とも関連し、頭部を締め付けるような痛みや、眼精疲労、吐き気を伴うこともあります。

特に仕事や人間関係などで緊張状態が続いている方は、首の凝りを「心身からのサイン」として受け止め、リラックスする時間を意識的に作ることが大切です。

筋力低下・運動不足

在宅ワークやデスクワーク中心の生活で、体を動かす機会が減ったという方も多いのではないでしょうか。実は、運動不足による筋力低下も、首の凝りを引き起こす大きな原因の一つです。

特に、首や背中を支える「抗重力筋(こうじゅうりょくきん)」と呼ばれる筋肉群が衰えると、姿勢が崩れやすくなり、少しの時間でも首に大きな負担がかかります。

さらに、血行不良になりやすく、筋肉に栄養が届きにくくなるため、「凝りが取れにくい」「すぐ戻る」といった状態が慢性化してしまいます。軽い運動やストレッチで、首まわりの筋肉を使うことが予防の第一歩です。

眼精疲労や睡眠の質の低下

目の疲れも首の凝りと密接に関係しています。目を酷使することで、首の後ろや後頭部につながる筋肉が緊張しやすくなります。特に、パソコンスマートフォンの画面を長時間見続ける作業では、まばたきの回数が減り、眼球運動も制限されるため、首から後頭部の筋肉が常に緊張状態となります。

また、睡眠の質が悪いと、筋肉が十分に回復できず疲労が蓄積されてしまいます。寝具が合っていない、夜中に何度も目が覚める、入眠がうまくいかないといった悩みがある方は、首の凝りとの関連を見直してみると良いでしょう。

参考記事:首こりの原因と改善法|おすすめストレッチで辛い症状を和らげる
参考記事:首の後ろが痛い原因とは?考えられる病気とストレッチなどの適切な対処法を解説

自宅でできる首の後ろの凝り解消ストレッチ3選

すぐに試せる簡単ストレッチで、つらい凝りをほぐしましょう。道具も不要1回数分のセルフストレッチで、首の後ろの重だるさや違和感を軽減できます。継続することで、凝りにくい体づくりにもつながります。

首の後ろをじんわり伸ばす「頸部伸展筋ストレッチ」

このストレッチは、首の後ろにある後頭下筋群や僧帽筋上部を優しく伸ばすことができ、血行促進や筋肉の柔軟性向上に効果的です。特に、デスクワーク後のケアとしておすすめです。

頸部伸展筋ストレッチ

STEP1:両手を頭の後ろへ回しましょう。
STEP2:頭を前方へ倒しましょう。首の後方が伸びた状態を保持しましょう。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。

ゴリゴリ音に効く「ロウイング」

首の後ろがゴリゴリ鳴る場合、肩甲骨まわりの筋肉の硬さも影響していることが多くあります。「ロウイング」で肩まわりを緩めることで、首への負担を減らし、動きやすさを取り戻すことができます。

ロウイング

STEP1:背中を丸めて両手を伸ばしましょう。
STEP2:肩甲骨を寄せながら肘を後ろに引きましょう。
STEP3:背中を丸めて両手を伸ばしましょう。
STEP4:肩甲骨を寄せながら肘を後ろに引きましょう。

デスクワークの合間にできる「首すくめ体操」

10秒でできる首こり解消法」として知られるこの体操は、簡単ながらも即効性があり、仕事の合間のリフレッシュにも最適です。首まわりの筋肉を一時的に収縮し、脱力させることで緊張状態をリセットする効果があります。

シュラッグ運動

STEP1:腕を降ろし、肩の力を抜きましょう。
STEP2:脇を閉じたまま両肩をすくめましょう。
STEP3:ゆっくりと下ろしましょう。繰り返し実施しましょう。
注意点:肩が前方に出ないように注意しましょう。

マッサージやツボ押しでのセルフケア方法

手軽にできるマッサージとツボ刺激で、血行促進とリラックス効果を得ましょう。首の後ろの凝りは、ちょっとした工夫で軽減できることも多く、毎日のセルフケアとして取り入れることで、不調の予防にもつながります。

指圧でほぐす首の付け根マッサージ

首の後ろが凝っていると感じたとき、一番手軽で即効性のある方法が指圧によるマッサージです。特に「うなじ」と呼ばれる首の付け根部分には多くの筋肉が集中しており、ここを丁寧にほぐすことで、首全体の緊張がゆるみやすくなります。

やり方

  1. 両手の中指または人差し指を使って、首の後ろ側、頭の付け根に当てます。
  2. 少し強めの圧をかけながら、円を描くようにゆっくり揉みほぐします。
  3. 特に硬く感じる場所は、5〜10秒ほどじっくり押してみてください。
  4. 全体を3分程度、無理のない範囲で行いましょう。

ポイント

  • 呼吸はゆっくりと深く行い、リラックスした状態で実施しましょう。
  • お風呂上がりなど、血流がよくなっている時間帯に行うと、より効果的です。
  • 押した後に「ズーン」とした鈍い感覚があるのは正常ですが、鋭い痛みがある場合は中止してください。

首こりに効く代表的なツボ「天柱・風池」

天柱と風池の画像

ツボ押しは、東洋医学に基づいた伝統的なセルフケア法で、首の凝りに特に有効なツボとして知られているのが「天柱(てんちゅう)」と「風池(ふうち)」です。この2つは、いずれも首の後ろ側にあり、首こり・頭痛・眼精疲労・自律神経の乱れにまで効果があるとされています。

天柱(てんちゅう)

場所
首の後ろ、髪の生え際の少し内側。首の両側の太い筋肉(僧帽筋)の外側寄り、少しくぼんでいる場所です。

押し方

  1. 両手の親指を使って、頭を支えるように押し上げる。
  2. 5秒押して、5秒離すを3回ほど繰り返す。
  3. 押す時に目を閉じて、深く息を吐くとさらにリラックス効果が高まります。

風池(ふうち)

場所
天柱よりやや外側。耳の後ろのくぼみと、髪の生え際の交差点あたり。

押し方

  1. 親指を風池に当てて、頭を軽く後ろにもたれかけさせるように支える。
  2. ゆっくり円を描くように3回まわしながら押す。
  3. 押した後、肩の力を抜いて深呼吸を数回行いましょう。

効果

  • 首のこり解消
  • 頭痛や目の疲れの緩和
  • 睡眠の質向上
  • 自律神経を整えるサポート

セルフケアで改善しない場合は病院へ

頭痛がする女性の画像

症状が続く、悪化する場合は医療機関での診察が必要です。首の凝りと思っていた症状が、実は別の病気のサインである可能性もあります。自己判断に頼りすぎず、適切なタイミングで医師に相談することが健康への近道です。

首が回らない・痛みが強い場合の受診目安

通常の首こりであれば、ストレッチやマッサージ、姿勢の改善で少しずつ緩和していきます。しかし、以下のような症状がある場合は、早めに病院を受診しましょう

  • 首を動かすと激痛が走る
  • 後ろを振り向けないほど可動域が狭まっている
  • 首にしこりのような腫れや硬結がある
  • しびれや脱力感を伴っている
  • セルフケアを継続しても改善の兆しがない

特に「後ろを向けない」「寝違えではないのに数日痛みが続いている」といった場合は、整形外科脳神経外科への受診が望ましいです。

また、首のしこりがあるケースでは、リンパの腫れ腫瘍甲状腺の異常などが背景にある可能性もあり、自己判断でマッサージなどを行うのは危険です。

考えられる疾患と治療の必要性

慢性的な首の痛みや凝りには、以下のような疾患が隠れていることもあります。それぞれについて、概要と治療の必要性を紹介します。

頸椎椎間板ヘルニア(けいついついかんばんヘルニア)

首の骨と骨の間にある椎間板が飛び出し神経を圧迫することで起こります。症状としては、首の痛みに加えて、腕や手にしびれ、力が入りにくくなるといった神経症状が見られます。

治療法
初期はリハビリや薬物療法、ブロック注射などで改善を図ります。重度の場合は手術も検討されます。早期発見が予後を左右するため、しびれや脱力を感じたら早めの診断が重要です。

くも膜下出血の前兆としての首の痛み

くも膜下出血は、脳の血管が破れて出血する重篤な疾患です。その前兆として「突然の強い首の痛み」を訴えるケースがあります。いわゆる「バットで殴られたような痛み」と表現されることが多く、普段の首こりとは全く異なるレベルの痛みです。

要注意ポイント

  • 突然の激しい頭痛と同時に首が動かせなくなる
  • 吐き気や嘔吐、意識障害がある
  • 40代以降で高血圧や喫煙歴がある方

このような症状が出た場合、すぐに救急車を呼ぶべき緊急事態です。決して「寝違えかも」と放置してはいけません。

まとめ

首の後ろの凝りは、姿勢の乱れストレス運動不足など、さまざまな要因から起こります。放置すると頭痛やめまいの原因になることもあるため、早めのセルフケアが大切です。

本記事で紹介したストレッチやマッサージは、自宅で手軽に実践できます。もし症状が改善しない場合や強い痛み・しびれがある場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。日々のケアで、快適な首まわりを取り戻してください。

【参考文献】
1)加藤 剛平,岩本 幸英,豊永 敏宏:勤労者の肩こり症状に関連する因子の検討,日本職業・災害医学会会誌;JJOMT第67巻第2号p87-94
2)Feldman JM, Cooper J, Reinstein F, Swiatoca J. Asthenopia induced by computer-generated fusional vergence targets. Optom Vis Sci. 1992 Sep;69(9):710-6. doi: 10.1097/00006324-199209000-00008. PMID: 1437013.
3)Mahmoud NF, Hassan KA, Abdelmajeed SF, Moustafa IM, Silva AG. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019 Dec;12(4):562-577. doi: 10.1007/s12178-019-09594-y. PMID: 31773477; PMCID: PMC6942109.