腰痛時に痛い方を下にして寝るのは正解?おすすめの寝方と注意点

「腰が痛くて寝つけない」「夜中に目が覚める」「朝起きた瞬間から腰が重い」

腰痛があると、休むはずの睡眠がつらい時間になってしまいますよね。横向きで寝たときに「痛い方を下にしたほうが楽かも」と感じる一方で、翌朝さらに悪化して「どっちが正解なの?」と迷う人も少なくありません。

実は腰痛は、痛みの原因や体の状態によって楽な姿勢が変わることがあり、合わない寝方を続けると、腰への圧迫やねじれが増えて痛みが長引くこともあります。だからこそ大切なのは、「なんとなく楽」ではなく、腰に負担がかかりにくい理屈のある寝方を知っておくことです。

本記事では、「痛い方を下にして寝るのはアリか?」をリスクと例外に分けて整理しながら、腰痛を軽減しやすい寝姿勢やクッションの使い方、寝具選び、寝る前にできるケアまで具体的に解説します。最後まで読むことで、今夜から試せる自分に合う寝方が見つかり、朝の腰痛を悪化させないためのポイントがはっきりします。

腰痛があるとき、寝方で痛みが悪化することはある?

腰痛でベッドの上で痛がっている女性の画像

寝方次第で腰痛が悪化することはあります。寝ている間も腰には重力や姿勢の影響がかかっており、特に仰向けで腰が浮いたまま反っている姿勢や、片側に体重が偏る横向き姿勢は要注意です。

また、柔らかすぎるマットレスで体が沈み込むと寝返りが打ちづらくなり、腰への圧力が一箇所に集中してしまいます。うつ伏せ寝も腰が反る姿勢になりやすく、筋肉の緊張を強めてしまうため、腰痛持ちには不向きです。

寝方を見直すだけで朝の腰の痛みが改善することもあるため、「どんな姿勢で寝ているか」を意識することが、腰痛対策の第一歩となります。

参考:腰が痛い時の寝方とは?腰の痛み別に正しい寝姿勢を紹介

痛い方を下にして寝るのはアリ?ナシ?

腰が痛くてベッドで横たわっている女性の画像

腰痛で寝る姿勢に悩む方の中には、「痛い方を下にしたほうが楽に感じる」という人もいます。 一方で、「痛みが悪化した」という経験を持つ人も少なくありません。

本章では痛い方を下にして寝るのは良いのか、リスクと例外的に有効なケースについて解説します。

痛い側を下にしたときのリスクとは

痛みのある側を下にして寝ると、患部に直接圧力がかかり、炎症を悪化させるリスクがあります。これは、寝ている間に無意識のうちに体重が集中し、筋肉や神経が圧迫されてしまうためです。

特に、椎間関節性腰痛や仙腸関節のトラブルがある場合は、患部に圧力がかかることで神経を刺激し、ズキッとした痛みやしびれが強まる可能性があります。
さらに、寝返りを打ちにくい体勢になることで、同じ姿勢が長時間続き、血流や筋肉の柔軟性が低下し、朝の腰痛を悪化させる要因にもなります。また、精神的なストレスや不眠症状を抱えている人の場合、「痛い側を下にして眠る」という姿勢自体が無意識のうちに緊張を生み、リラックスを妨げてしまうこともあります。

仙腸関節を説明した画像

椎間板ヘルニアを説明した画像

状態によっては「下にしてOK」なケースも

すべてのケースで「痛い方を下にして寝るのはダメ」というわけではありません。状況や痛みのタイプによっては、逆にその方が楽になる場合もあります。

たとえば、片側の筋肉にだけ張りや緊張がある場合や、反対側を上にすることで腰にねじれが生じてしまうケースなどでは、あえて痛い側を下にしたほうが安定し、安心感につながることもあります。その際に重要なのが、体のバランスを整えるサポートの工夫です。

■クッションや抱き枕の活用法:

  • 腰のくびれ部分に小さめのクッションを当てて隙間を埋める
  • 膝の間にクッションを挟むことで骨盤のねじれを防ぐ
  • 抱き枕を使って上半身の重さを分散し、腰への負担を軽減する

こうした工夫を取り入れることで、痛い側を下にしたままでも腰にかかる圧を和らげることが可能になります。また、クッションによって背骨の自然なカーブ(生理的湾曲)をサポートすることで、腰椎への負担も減らせます。

腰痛があるときにおすすめの寝方は?

腰痛を和らげるためには、「どのように寝るか」がとても重要です。寝方を変えるだけで、腰への負担が大きく軽減され、朝の不快感が驚くほど楽になることもあります。

ここでは、腰痛があるときに推奨される3つの寝方と、それぞれのポイント・注意点を詳しく解説します。

仰向け+膝下クッション|腰の反りを防ぐ安定姿勢

仰向けは、体全体が均等に支えられ、腰への負担も少ない寝姿勢とされています。しかし、仰向けのまま足をまっすぐ伸ばすと、腰が浮いて“反り腰”状態になりやすいのが難点です。

その対策として有効なのが、膝の下にクッションや丸めたバスタオルを入れる方法です。

■やり方:

  1. 仰向けに寝る
  2. 両膝の下にクッションを置く
  3. 膝が軽く曲がり、腰とマットレスの隙間が減るよう調整

この姿勢をとることで、骨盤が自然に後傾し、腰椎のカーブがフラットになりやすくなります。腰の筋肉の緊張が緩和され、就寝中の違和感や起床時の痛みが軽減されることが期待できます。

仰向けでクッションを膝下に入れて眠る女性の画像

横向き+膝間クッション|骨盤のねじれを防ぐ

横向きで寝る人は多いですが、そのままだと上の脚が前に出やすく、骨盤がねじれた状態になりやすいため、腰に負担がかかります。

そこでおすすめなのが、膝の間にクッションを挟む「ひざ枕」スタイルです。

■やり方:

  1. 横向きで楽な方を下にする(痛くない方が基本)
  2. 両膝を軽く曲げ、太もも〜膝の間にクッションや抱き枕を挟む
  3. 頭・首・背骨が一直線になるよう意識する

この方法により、骨盤の左右差が減り、腰椎のねじれが最小限に抑えられます。また、体の前側に抱き枕を入れると、上半身の重みが分散され、よりリラックスした姿勢が取れるので、腰だけでなく肩こり対策にも効果的です。

うつ伏せは避けた方がいい理由|腰を反らせる危険な姿勢

うつ伏せ寝は、腰が反る姿勢になりやすく、腰痛持ちには最も負担の大きい寝方といわれています。

うつ伏せの姿勢では、腰椎の前弯が強調されて腰が過伸展状態になり、腰部の筋肉や椎間関節に過剰なストレスがかかります。また、首を横にひねる形になるため、首・肩のこりや頭痛の原因にもなりかねません。

しかし、どうしてもうつ伏せが唯一楽に感じる方もいます。その場合は、下腹部にクッションを入れて腰の反りを軽減することで、負担をやわらげる工夫をしましょう。ただし、これはあくまで応急的な対応であり、可能であれば仰向けや横向きの姿勢へと徐々に改善していくことが理想です。

腰痛を悪化させないための寝具と寝姿勢の工夫

「どのように寝るか」だけでなく、「どんな環境で寝ているか」も、腰痛に大きな影響を与えます。特に、枕やマットレスなどの寝具の選び方や、寝返りしやすい寝室環境の整備は、腰への負担を減らすために欠かせません。

ここでは、腰痛の悪化を防ぐための寝具選びと、寝姿勢をサポートする工夫について解説します。

枕・マットレスの選び方|腰にやさしい睡眠環境づくり

■枕の高さと形状は「首・肩の自然なライン」に合うものを

腰痛と枕は一見関係がなさそうに見えますが、首の角度が不自然になると背骨全体のカーブに影響を与え、結果として腰に負担がかかることがあります。理想的な枕は、仰向け時に首の後ろのカーブが自然に保たれる高さ・形状のもの。高すぎても低すぎてもNGです。

  • 仰向け:頭と首のラインがまっすぐになる低めの枕
  • 横向き:肩幅に合わせたやや高めの枕(首と背骨が一直線になるよう調整)

最近では、仰向け・横向きどちらにも対応できる多機能枕も増えており、腰痛持ちには特におすすめです。

正しい枕とマットレスを説明した画像

■マットレスは「柔らかすぎず、硬すぎず」が理想

腰痛対策において、マットレスの硬さは非常に重要です。柔らかすぎると体が沈み込み、腰が過伸展されて反り腰状態になります。逆に硬すぎると、肩や腰に圧が集中し、血流障害や痛みの原因となります。

理想的なのは、体のラインに合わせて沈み込み、しっかりと支える“体圧分散型”のマットレスです。

  • 高反発ウレタンやポケットコイル素材が好まれる
  • 腰とお尻が沈みすぎず、背中全体を支える設計が理想
  • 体格や寝姿勢によって、マットレスの硬さを選ぶのがベスト

また、敷布団派の場合も、できるだけ厚みと弾力性があるものを選びましょう。畳やフローリングに直接寝るのは、腰には負担が大きくなります。

寝返りしやすい環境づくり|寝姿勢の固まりを防ぐ

腰痛のある人にとって、夜間に自然に寝返りを打てるかどうかは非常に重要なポイントです。同じ姿勢が長く続くと、一部分に圧が集中し、血流の悪化や筋肉のこわばりを引き起こします。

■寝返りを妨げない環境とは?

  • マットレスが柔らかすぎない(反発力があり、動きやすい)
  • 毛布や掛け布団が重すぎず、体の動きを邪魔しない
  • ベッドスペースに余裕があり、肩や脚が自由に動かせる

また、冬場は布団の重さや冷えが寝返りの減少につながるため、軽くて保温性の高い寝具を選ぶことも大切です。

■寝返りを促すための工夫

  • 寝る前に軽くストレッチをして筋肉の緊張を和らげておく
  • 足元にクッションを置いて足を少し立てた姿勢をつくる
  • 寝返りが打ちやすい服装(締め付けの少ないパジャマ)を着用する

寝返りを自然に打てる環境が整えば、睡眠中に身体の歪みや負担を自動でリセットできるようになり、結果的に腰痛の悪化予防につながります。

寝方以外にもできる!腰痛緩和のナイトルーティン

腰痛の軽減には、寝姿勢だけでなく「寝る前の過ごし方」も大きく関わっています。一日の終わりに、身体をほぐし、血流を整え、リラックスした状態で眠ることで、睡眠中の回復力が高まり、朝の腰痛を軽減する効果が期待できます。

ここでは、腰痛持ちの方におすすめのナイトルーティンを2つ紹介します。

寝る前ストレッチで筋肉をリラックス|緊張を解きほぐすケア

一日中同じ姿勢で過ごしたり、運動不足が続いたりすると、腰まわりの筋肉は硬くなり、血行不良や神経の圧迫を引き起こすことがあります。その日の疲労やこわばりは、その日のうちにゆるめておくのが理想です。

■おすすめストレッチ例

膝抱えストレッチ

STEP1:仰向けに寝て両膝を抱えましょう
STEP2:腰を丸めるようにお腹に引き寄せます。腰の伸びを感じましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります。
STEP4:さらに伸ばしたい場合は、腰の下に丸めたタオルを入れましょう

内転筋ストレッチ

STEP1:両足の足底を合わせましょう。
STEP2:肘を太ももに当て、体を前方へ傾けましょう。太ももが伸びた状態を保持します。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。

CAT & DOGエクササイズ

STEP1:四つ這いになりましょう。
STEP2:背中を反り肩甲骨を寄せましょう。
STEP3:背中を丸めて肩甲骨を広げましょう。
注意点:肘が曲がらないように注意しましょう。

いずれも呼吸をゆっくり意識しながら、反動をつけずに15~30秒キープするのがポイントです。「やや伸びている」と感じる程度で十分な効果があります。

ストレッチの注意点:

  • 強い痛みがあるときは無理をしない
  • 寝る直前よりも「就寝30~60分前」が理想
  • ストレッチの後に軽く温めると効果アップ

寝る前に軽く体を動かすことで、副交感神経が優位になり、自然な眠りに入りやすくなるというメリットもあります。

入浴や温めで血流改善を促す|筋肉と神経をゆるめる習慣

入浴は、腰痛のセルフケアとしてとても効果的な手段のひとつです。
温めることで筋肉の緊張がほぐれ、血流が促進されるため、痛みの軽減や回復力の向上につながります。

■効果的な入浴のポイント:

  • ぬるめ(38〜40℃)のお湯に15分ほど浸かる
  • 腰をしっかり温めるように、浴槽内で前かがみになってもOK
  • 入浴後は冷やさないように、すぐに衣類を着る

また、どうしてもお風呂に入れない日や、朝方冷えによって腰がこわばる人には、使い捨てカイロや温熱パッドの活用もおすすめです。

■温熱アイテムの活用法:

  • 就寝30分前に腰にカイロを当てておく
  • 電子レンジで温めるタイプの温熱パッドを使用
  • 湿布との併用は避ける(発赤ややけどのリスク)

温めることで副交感神経が優位になり、リラックス効果も生まれます。寝つきが悪い人や夜中に目が覚めやすい人にも、温熱ケアはおすすめです。

まとめ

腰痛時の寝方は、痛みの悪化にも軽減にもつながる重要な要素です。「痛い方を下にする」姿勢は、状況により有効なこともありますが、基本的には患部への圧迫で悪化リスクがあるため注意が必要です。仰向けや横向きでのクッション使用、寝具の工夫、ストレッチや温めなどで腰をサポートしましょう。本記事が、あなたの痛みの解決につながることを祈っております。

【参考文献】
1)Alsaadi SM, McAuley JH, Hush JM, Lo S, Lin CW, Williams CM, Maher CG. Poor sleep quality is strongly associated with subsequent pain intensity in patients with acute low back pain. Arthritis Rheumatol. 2014 May;66(5):1388-94. doi: 10.1002/art.38329. PMID: 24782195.
2)Thawrani DP, Agabegi SS, Asghar F. Diagnosing Sacroiliac Joint Pain. J Am Acad Orthop Surg. 2019 Feb 1;27(3):85-93. doi: 10.5435/JAAOS-D-17-00132. PMID: 30278010.
3)小林正典:腰部コルセット装着の腰背筋群の筋力の影響に関する形状記憶合金入りコルセットを用いた実験と考察,大同大学紀要,50:p59-64,2014

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桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。