テニス肘を自分で治す5つの方法|専門家が教える効果的なセルフケア

「テニスなんてしていないのに、肘の外側がズキッと痛む」「ペットボトルのフタを開けるだけでつらい」「病院に行くほどじゃない気もするけど、このまま悪化したら不安…」そんな肘の痛みに悩んでいませんか?

それは、テニス経験がなくても起こるテニス肘(外側上顆炎)かもしれません。テニス肘は、使いすぎによる炎症が原因のことが多く、初期〜中等度の段階であれば、正しいセルフケアによって改善が期待できる症状です。逆に、自己流で無理をしたり放置してしまうと、慢性化して長引くケースも少なくありません。

本記事では、テニス肘が起こる仕組みをわかりやすく整理したうえで、専門家の視点から自宅で実践できる5つの効果的なセルフケア方法を具体的に解説します。

最後まで読むことで、「今の痛みに何をすればいいのか」「悪化させないために避けるべきこと」が明確になり、今日から無理なくケアを始められるようになります。

そもそもテニス肘とは?症状と原因を簡単におさらい

テニス肘で肘を痛がっている女性の画像

肘の外側にピンポイントな痛みがあり、物をつかむ、タオルを絞るといった動作で悪化する場合、それは「テニス肘(外側上顆炎)」の可能性があります。これは手首を伸ばす筋肉の付着部に炎症が起きることで発生し、テニス経験がなくても発症します。特に家事・デスクワークなど手首を使う習慣が多い人に多く見られ、適切なセルフケアによって改善が期待できます。

テニス肘を自分で治す5つの方法

セラピストから肘のケアを受けている人物の画像

テニス肘は放っておくと慢性化しやすく、日常生活にも支障をきたすことがあります。しかし、初期〜中等度であれば自分でできるケアでも十分に改善が見込めます

特に、前腕の筋肉をゆるめるストレッチやマッサージ、炎症への対応、日常の負担軽減など、症状に合わせた正しいセルフケアが効果を発揮します。ここでは、今日から実践できる具体的な5つの方法を紹介します。

参考記事:【理学療法士監修】テニス肘を自分で治す方法|ストレッチと予防法を徹底解説

① 手首のストレッチで前腕の緊張をほぐす

テニス肘の主な原因は、手首を伸ばす筋肉(伸筋群)の使いすぎによる炎症です。これらの筋肉は肘の外側につながっているため、前腕の緊張をゆるめることが痛みの軽減に直結します。

前腕後面ストレッチ

STEP1:手関節に痛みがある場合は肘を曲げても
STEP2:手を手前に引きましょう。
STEP3:反対側の手で手の甲を支えましょう。
STEP4:手を前方に伸ばし手の平を下に向けましょう。

このストレッチは、筋肉の張りを和らげるだけでなく、炎症の再発防止にも効果的です。無理に伸ばしすぎず、気持ち良い範囲で行うことが大切です。毎日1〜2セット、朝晩に取り入れると負担の軽減に役立ちます。

② マッサージで肘の外側の負担を軽減

テニス肘は、前腕の筋肉が硬くなり、肘の外側にある筋付着部へ過剰なストレスがかかることで発症します。そこで、前腕の筋肉を手でやさしくもみほぐすことで、局所の血流を改善し、痛みの緩和や回復促進が期待できます。

前腕外側軟部組織リリース

STEP1:前腕外側を反対側の手でつまみましょう。
STEP2:つまみながら腕を内側にまわしましょう。
STEP3:腕を元の位置に戻しましょう。
STEP4:繰り返し実施しましょう。

強く押しすぎると炎症を悪化させる恐れがあるため、「痛気持ちいい」程度を意識し、炎症期(腫れや熱感がある時)は避けるのが原則です。入浴後や温めたあとに行うと、より効果的です。

③ 輪ゴム・エルボーバンドで日常動作をサポート

テニス肘の痛みは、手首や肘に力が入る動作で悪化しやすいため、日常生活では負担を分散する工夫が大切です。そのひとつが、輪ゴムやエルボーバンドを活用したサポートケアです。

エルボーバンドは、肘の外側から約2~3cm下の前腕部分に巻き、筋肉の張力が肘の付着部に集中しないように分散させる役割があります。輪ゴムでも代用可能で、タオルを絞る動作やカバンを持つときの痛みを和らげることができます。

巻くときは、筋肉の盛り上がりを軽く押さえる程度の強さで固定し、きつく締めすぎないよう注意しましょう。装着のタイミングは、痛みが出やすい作業前後や長時間の手作業時がおすすめです。

ただし、装着中も痛みが増す場合や違和感があるときは中止してください。あくまで補助的なケアとして取り入れることがポイントです。

エルボーバンドを装着している人の画像

④ 炎症期のアイシングと休養の取り方

テニス肘が「ズキズキする」「触れると熱をもっている」といった炎症初期の段階では、無理な運動やストレッチは逆効果です。まずは炎症を抑えるための「アイシング」と「休養」が最優先となります。

アイシングは、保冷剤や氷をタオルで包み、肘の外側(痛みの中心部)に10〜15分あてて冷却します。1日2〜3回を目安に行うと、炎症物質の拡がりを抑え、痛みを軽減できます。冷やしすぎによる凍傷を防ぐため、直接肌に当てないようにしましょう。

また、この期間はなるべく患部を動かさないことが重要です。重い物を持つ、ドアノブを強く回すなどの動作は避け、肘を休ませる意識を持つことで回復が早まります。

⑤ 肩甲骨・姿勢を整えることで根本改善

テニス肘は肘だけの問題と思われがちですが、実は「肩甲骨の動き」や「姿勢の悪さ」が大きく関わっています。肩甲骨が硬くなると腕全体の動きがぎこちなくなり、その負担が肘へと集中します。また、猫背や前傾姿勢では、肘から手首にかけての筋肉が常に引っ張られやすくなります。

根本的な改善を目指すなら、肩甲骨を大きく回す運動や、胸を開くストレッチを日常的に取り入れましょう。たとえば、両肩をすくめてから後ろへ回す動きを10回行うだけでも、肩まわりの可動域が広がり、結果的に肘への負担が軽減されます。

また、作業中は猫背にならないよう姿勢を意識することも大切です。デスクワーク時は、画面の高さや椅子の位置を調整し、腕を自然に下ろせる環境を整えるだけでも肘の疲労はぐっと軽くなります。

デスクワークの正しい姿勢の画像

やってはいけないNGセルフケアと逆効果の注意点

テニス肘のセルフケアで注意したいのは、「痛みがあるのに無理にストレッチをする」「自己流でマッサージを強く押す」といった行動です。特に炎症期に無理をすると、かえって組織を傷つけ悪化させるおそれがあります。

また、サポーターの誤った装着や使いすぎも血流を妨げる原因に。大切なのは気持ちよくできる範囲を守り、違和感を感じたらすぐ中止する柔軟な対応です。安全第一で継続しましょう。

まとめ

テニス肘は正しい知識と方法を持てば、自宅でのセルフケアでも改善が可能です。ストレッチやマッサージ、姿勢の見直し、サポートアイテムの活用など、無理なく続けられる工夫が大切です。

早期から適切に対処すれば、手術や長期通院を避けることもできます。本記事で紹介した5つの方法を日常に取り入れ、無理のない範囲で継続し、肘の健康を守っていきましょう。

【参考文献】
1)Sluiter JK, Rest KM, Frings-Dresen MH. Criteria document for evaluating the work-relatedness of upper-extremity musculoskeletal disorders. Scand J Work Environ Health. 2001;27 Suppl 1:1-102. PMID: 11401243.
2)Shiri R, Viikari-Juntura E. Lateral and medial epicondylitis: role of occupational factors. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2011 Feb;25(1):43-57. doi: 10.1016/j.berh.2011.01.013. PMID: 21663849.
3)Boyer MI, Hastings H 2nd. Lateral tennis elbow: “Is there any science out there?”. J Shoulder Elbow Surg. 1999 Sep-Oct;8(5):481-91. doi: 10.1016/s1058-2746(99)90081-2. PMID: 10543604.

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桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。