あなたは勉強後やデスクワーク後、なんとも言えない首の重みを感じたことはありませんか?
肩こりとはまた違うような…
実は、その重みは首のこりが原因かもしれません。
たとえば首こりがあることで、
『首の後ろがだるい』
『姿勢を保つのが疲れる』
『頭が重たく感じる』
『首の後ろが痛い』
『首を動かしにくい』
など体の不調が起こることがあります。
そこで当記事では、首こりの原因や解決法をお伝えします。
当記事を読めば、首こりによる体の不調が解決に向かうかもしれません。
ぜひ最後までお付き合いください。
首こりとはどんな症状?1)
首こりとは、首の筋肉の過度な緊張が続く状態です。
医学的には頚性神経筋症候群と呼ばれ、研究が続けられています。
一般的な症状として、首の痛みや重さ・肩こり・頭痛・疲労感などがありますが、人によって症状の種類や強さは異なります。
『なんとなく元気が出ない』といった軽いものから、症状がひどくなると『身体中痛くて、日常生活も大変』といった日常生活に支障をきたす場合も。
また、こういった訴えは心理的なものが原因と診断され、適切な治療を受けられないケースも多いようです。
首こりを引き起こす4つの原因
首こりには大きく4つの原因があると考えられ、以下にその原因や理由を一つずつ解説します。
長時間の悪い姿勢による筋疲労
そもそも良い姿勢では背中がまっすぐ伸びていますが、実は背骨がゆるやかにカーブしています。
このカーブによって背骨は、重たい頭をクッションのように支えることができるのです。
しかしスマホやパソコンを至近距離で見る人は、画面を覗き込むことで背中が丸くなります。結果として背骨のカーブがなくなり、クッション効果が失われるケースも。
このクッション効果が失われる状態が悪い姿勢です。
さらに首の筋肉だけで約5kgもある頭を支えないといけないので、首の後ろ側にある筋肉の疲労が起こり首こりが現れると考えられています。
頚椎の変形
首にある背骨を専門用語で頸椎と呼びます。頸椎は7個の骨からなります。
この頸椎には様々な筋肉が付着しており、それぞれの筋肉が力を発揮することですることで頭を上下左右に向けたり、回転させたりと細かな動きを可能としています。
結果、頸椎が変形すると付着する筋肉のバランスが崩れ、首こりにつながるのです。
眼精疲労2)3)
眼精疲労とは簡単に言うと眼の疲れです。
本来、私たちは無意識的に眼の周りの細かな筋肉を動かして、ピントを合わせ視覚のブレをなくしています。
ですがスマホやパソコンの使いすぎは、眼の周りの筋肉を疲労させることに。
すると今度は首の周りの筋肉を動かして、焦点を合わせようとします。
その結果、首こりにつながる可能性が高まるのです。
コロナ禍のリモートワークで眼精疲労と首こりを同時に発症した方は多く、眼精疲労と首こりには強い関係があるようです。
精神的ストレスによる自律神経の乱れ4)
現代はストレス社会と言われています。
たとえば人間関係、お金、時間…挙げればキリがありませんが、あなたが日常的にストレスを感じることも非常に多いはず。
このようなストレスは自律神経に強く影響を与えます。
最近の研究では、この自律神経に与えるストレスが首こりに影響を持つのではと考えられています。
あなたは大丈夫?首こりのセルフチェック方法
では首こりを起こしやすい人、起こしてしまっている人のためのセルフチェック方法を2つ紹介します。
どちらの方法も無理矢理行わずにゆっくりと行ってくださいね。
万歳テスト(Alpha fit test)
万歳テストを紹介します。
- まずは壁に両足の踵をつけてください。
- 前方に一足分両足を離しますが、頭、背中、お尻は壁につけたままです。
- 両手を万歳するように挙げてください。
この時の手の挙がり方で採点します。
5点:手の甲が壁にピッタリとつく→良好(慢性的な首こりの危険性は少ない)
3点:指だけはつく→要注意(慢性的な首こりの可能性あり)
1点:手が壁に全く付かない(改善が必要)
左右両方とも行ってくださいね。
首の回旋テスト5)
首の回旋テストを紹介します。
- 椅子に座った状態で首だけ回してください。
- 首が回る角度が60度以上あるか確認します。
首を左右に回す角度は正常な人でおおよそ約60度です。
あくまでも参考ですが、首を回した時にはっきりと肩が見えたら60度回旋しています。
- 60度に明らかに達しない
- 明らかな左右差がある
- 痛みを伴う
この場合、慢性的な首こりの危険性は高いです。
つらい首こりおさらば!自宅でできるストレッチ・マッサージ3選
それでは自宅でできる簡単なストレッチやマッサージを紹介します。
タオルを使った肋骨マッサージ
まずは肋骨マッサージを紹介します。
この肋骨マッサージを行うと、肋骨に付着している斜角筋という筋肉を柔らかくできます。
斜角筋は肋骨から首につながる筋肉なので、首こりに影響している可能性が高いと考えられます。
STEP1:バスタオルを用意してください
STEP2:バスタオルの端をお尻の下に入れ固定します
STEP3:背中側を通して、バスタオルを肩に押し付けてください
STEP4:首を反対側に傾けてタオルで肋骨を圧迫しましょう
※痛みに注意しながら行いましょう
ボールマッサージ(小胸筋)
次はボールマッサージです。
このボールマッサージでは小胸筋という筋肉をほぐすことができます。
小胸筋は肩甲骨につながる筋肉のため、直接的に首の症状への影響は少ないです。
ですが、肩甲骨を通じて頸椎の位置を改善する効果があります。
STEP1:小さめのボールを用意してください
STEP2:脇の下にボールを当て内側に寄せるように動かしましょう
STEP3:胸の下の筋肉をほぐすように繰り返し実施しましょう
※痛みに注意しながら行いましょう
背骨の運動(回旋)
最後に背骨の運動です。
この背骨の運動を取り入れることで、丸まった姿勢を正しい姿勢に近づけることができます。
STEP1:両手を胸の前で組みましょう
STEP2:足を閉じたまま体をひねりましょう
STEP3:元の姿勢にもどり、繰り返し行いましょう
STEP4:上半身をなるべく大きくひねりましょう
※足が開かないよう注意しましょう
首こりの方は気をつけよう!日常生活でできる予防法
首こりは日常生活の過ごし方が大きく影響しています。
そのため先ほど紹介した運動と併用して、今から紹介する日常生活の予防法も意識してみてください。
日常生活の姿勢改善
首こりの1つの原因は、猫背のような背中が曲がった前屈みの姿勢です。
あなたはそのような姿勢になっていませんか?
姿勢を改善することが、首こりの予防には大切です。
背筋を伸ばして胸を張り、顎を引いた姿勢を心がけてください。
特にデスクワークが多い方は悪い姿勢になりやすいです。
長時間の同一姿勢は避けよう
デスクワークや勉強…長時間似たような姿勢で過ごしている方はいませんか?
同じ姿勢を取り続けることは、首こり含めて色々な体の不調を引き起こします。
その原因として筋肉の血流の循環が悪くなることが一因と言われています。
そのため30分に一度立ち上がったり、背伸びをしたり、体をひねってみたり、こまめな体操を心がけてください。
くれぐれも同じ姿勢を取り続けることは避けてください。
ストレッチの習慣化
ストレッチを行うことを習慣にしましょう。
先ほど首こりの原因として紹介した不良姿勢や筋肉の硬さは、1度のマッサージやストレッチでは効果は一時的です。
そのため習慣化することで首こりの原因を取り除ける可能性があります。
首こりの原因を一瞬で治す方法はあるのか?
残念ながら首こりを一瞬で治すことは難しいかもしれません。
冒頭でも触れましたが、首こりは悪い姿勢が原因となっていることが多く、長い時間を経る中で習慣化されています。
そのため、首こりの原因を一瞬で取り除くことは困難です。
したがって地道なストレッチやエクササイズを日常生活に上手く取り入れて、姿勢の改善を行っていきましょう。
まとめ
本記事では首こりの考えられる原因と、有効なエクササイズを紹介してみました。
首こりは自律神経症状とも深く関与しており、人によって多彩な症状が生じます。
そのため思いもよらない症状の原因が、首こりということもありえます。
ですが自己判断による治療は症状を悪化させる可能性があります。
医師の指示のもと、姿勢やエクササイズを取り入れ、改善・再発防止に努めましょう。
それでは当記事が、あなたの首こり改善のお役に立てば幸いです。
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