首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説

ふと鏡で自分の姿を見て、「首が前に出ているかも」と思ったことはありませんか?一度気がつくと、自身の姿勢につい敏感になってしまいますよね。

首が前に出過ぎた姿勢を改善する方法を探している方もいるでしょう。

そこで当記事では、首が前に出る姿勢の原因やチェック方法、改善に役立つセルフケアを紹介します。

最後まで目を通すことで、首が前に出る原因がわかり、対処法が理解できるでしょう。ぜひお役立てください。

首が前に出過ぎる姿勢(ストレートネック)の原因

首が真っ直ぐになる「ストレートネック」を解説した図

首が前に出る姿勢の方は、ストレートネックである可能性が高いです。

ストレートネックとは、首の骨(頚椎)が真っ直ぐになる状態を指します。通常、首の骨は前方に緩やかな弯曲(わんきょく)を描いているので、首への負担を減らし、頭と肩が縦に並んだ正しい姿勢を保てます。

ですが、さまざまな理由で首の骨の弯曲がなくなり真っ直ぐになることで、結果的に首や頭が前に出てしまうのです。

以下より、首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因を解説します。

長時間のパソコン・スマホ操作【スマホ首】

首が前に出る大きな原因が、パソコン作業スマホ操作です。

理由としては、パソコンやスマホの画面を覗こうとするとつい首が前に出てしまうからです。集中している時などは、首が前に出た姿勢のまま数十分以上経過することも珍しくありません。

ゆえに、普段から長時間パソコン・スマホを使う方は、首が前に出る姿勢(ストレートネック)になりやすいといえます。

なお、ストレートネックはスマホ操作との関連が強いことから、「スマホ首」と呼ばれる場合も多いです。

普段の姿勢が猫背気味になっている

普段から背中が丸まっている、いわゆる「猫背」になっていると、首が前に出やすくなります。背中(特に肩のあたり)が丸くなれば、自然と首が前に出るのは想像に難くないでしょう。

なお猫背の原因は、「長時間のスマホ操作」「背筋が弱くなる」などによって、背骨の弯曲(S字カーブ)が崩れることです。

日常生活での習慣や癖

日常生活の中で気づかないうちに行っている習慣も関係してきます。

例えば、歩いている時に無意識に下を向いていませんか。あるいは、就寝時に首が前に曲がっていませんか。

こういった習慣や癖は長期間続いている可能性が高く、首が前に出る原因になります。

首が前に出ているかをセルフチェック

なかには、「首が前に出ているかをチェックしたい」という方もいるでしょう。簡単にチェックする方法があるのでご紹介します。

まず背中(肩・腰)とかかとを壁につけます。ここから真っ直ぐ前を向いてみてください。

首が前に出た姿勢なのかをチェックする方法

もし、後頭部が壁から大きく離れているなら、首が前に出過ぎている可能性が高いです。

首が前に出たままだとどうなる?

首が前に出過ぎた姿勢だと肩こりなどになりやすい

首が前に出過ぎているということは、首の筋肉や骨に過度な負担がかかっていることに他なりません。

したがって、肩こり首こりが発生する可能性が高いです。重症度が高くなると頭痛しびれも現れる場合があるので注意しましょう。

首を正しい位置に戻すには時間がかかりますが、セルフケアを続けたり生活習慣を見直したりすることで、改善できる可能性はあります。

参考記事:つらい首こりの原因と解消法!おすすめストレッチを専門家が解説!

【矯正】首を正しい位置に戻すセルフケア方法

ではここから、前に出過ぎた首を正しい位置に戻すために効果的なセルフケアを紹介します。

誰でもすぐ実践できる方法なので、ぜひ始めてみてください。

参考記事:ストレートネック(スマホ首)の治し方〜寝ながら簡単ストレッチとともに解説〜

ストレッチ

まず、ストレッチを重点的に続けましょう。ストレッチを行うことで首周りの筋肉の血流が良くしたり、関節の動きを良くしたりできます。

首の位置の矯正効果も期待できるでしょう。それでは、おすすめのストレッチを2つ紹介します。

1つ目は「胸郭回旋運動(きょうかくかいせんうんどう)」です。

横向きに寝た姿勢から片膝を90度に曲げて床につけ、両手を伸ばして合わせます。そこから上半身をひねり、片手を後ろ側の床につけてから戻してみてください。

この運動を繰り返すことで、背中の「胸椎(きょうつい)」の動きが良くなります。

2つ目は「胸張り運動」です。

椅子に座った姿勢から、両手を前方に伸ばします。

胸を張りながら両手を後ろに回し、肩の「肩甲骨(けんこうこつ)」を内側に寄せます。そこから、背中を丸めながら両手を前に戻してみてください。

こちらの運動によって、背中につく「僧帽筋(そうぼうきん)」「菱形筋(りょうけいきん)」といった筋肉が伸びます。

ストレッチを行う際は、呼吸を止めずにゆっくり動かすことを心がけましょう。

筋トレ

首や肩の筋肉トレーニング(筋トレ)も効果的です。筋力を刺激することで、血流改善効果が期待できます。

首の位置を戻す目的の場合、激しい筋トレを行う必要はありません。ではおすすめの筋トレを2つ紹介します。

1つ目は「チンインエクササイズ」です。

仰向けの体勢から顎(あご)に指を当てます。ここから、顎を指から離すように引いてみてください。

こちらのエクササイズによって、首の前面に付く「頸部深層屈筋群(けいぶしんそうくっきんぐん)」を刺激できます。

※「チン」とは英語で「顎」を指す言葉です。

2つ目は「僧帽筋下部エクササイズ」です。

うつ伏せから片手を前に伸ばします。そこから、伸ばした手を天井の方へ上げ、ゆっくり降ろしましょう。

上記のエクササイズを行うことで、肩の後ろに付く「僧帽筋下部線維(そうぼうきんかぶせんい)」を刺激できます。

今回ご紹介した筋トレは、どちらも家にいながら実践しやすいです。ぜひ継続しましょう。

自身の正しい頭の位置(重心)を把握する

自身の頭の位置(重心)を把握し、注意してみましょう。

先ほども少し触れましたが、横から見て頭と肩が縦に並んでいれば正しい位置だといえます。日常生活の中で注意を払うことで、首が正しい位置に戻るでしょう。

とはいえ、自身の頭の位置をイメージするのは難しいのも事実です。

そこで日常生活で、特にパソコンやスマホを操作する時は、意識的に頭を後ろに引いてみてください。

顎を引くのではなく、後頭部を後ろに引くように意識するのがポイントです。これだけに頭の重心が正しく乗り、首も前に出にくくなります。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

日常で使っている道具を見直す

日常のなかで使っている道具やアイテムをあらためて見直してみましょう。

首に負担がかかっていないか、首が前に出る原因になっていないか確認することをおすすめします。

枕の高さ

寝る時に使う枕が高すぎると、首が前に曲がってしまいます。首が前に出やすくなるのはもちろん、睡眠の質が低下してしまうので見直しましょう。

仰向けになった際に、呼吸がしやすく目線が自然と真上を向く高さで、くわえて「自然に寝返りが打てる」「平らな形状」の枕を選びましょう。

参考記事:ストレートネックの原因とは?正しい寝方・枕の高さを理解しよう!

机の高さ・パソコンの位置

普段、作業している机の高さやパソコンの位置が低くなっていませんか。

机の高さが低すぎると、書き物をする際などに首が前になりがちです。またパソコンの画面が低すぎると覗き込む姿勢が多くなるので、やはり首が前に出やすくなります。

机は、肘が自然に乗る高さに合わせてみましょう。そして、パソコンの画面は目線の高さに合わせてみてください。

理想的な机の高さを解説した図

病気が原因で首が前に出ているケースもあるので注意

首が前に出る姿勢について解説してきましたが、なかには病気が原因で首が前に出てしまうケースがあります。

首が前に出てしまう症状の1つが「首下がり症候群」です。

首の筋力の低下によって頭が上がらなくなってしまう症状で、高齢者に多いという特徴があります。症状が悪化すると、日常生活にも大きな影響を及ぼします。

そして「首下がり症候群」は、「パーキンソン病」や「重症筋無力症」などの重篤な病気が原因で発症するケースがあるので、早めの発見・早めの治療が大切です。

違和感がある時はすぐに病院へ

もし、首が前に出てしまうことで生活に支障が出ている場合は、すぐに病院で診てもらいましょう。

病院での精密な検査でしか発見できない病気もあります。放置することによって発見が遅れ、治療開始も遅れてしまったら大変です。

ぜひ早めの行動を心がけましょう。

まとめ

首が過剰に前に出ることで、肩こりや首コリといった不調につながります。したがって放置するのはおすすめしません。

首を正しい位置に戻せれば、不調が改善するのはもちろん、見た目が美しい姿勢も手に入るでしょう。生活習慣を見直すとともに、ストレッチや筋トレを続けてみてください。

それでは、本記事があなたのお役に立てば幸いです。

【参考文献】
1)林欣霓 長岡 正範 林 康子 米澤 郁穂:種々の疾患にともなう首下がり症候群の病態生理学的分析―表面筋電図所見と理学療法の効果から―
2)工藤 理史 豊根 知明 松 岡  彰 丸山 博史 山 村  亮 江 守  永 石川 紘司 星野 雄志 白旗 敏之 尾又 弘晃 大下 優介 稲垣 克記:首下がり症の病態と手術戦略

3)勝 呂 徹 山 田朱 織:あなたの枕はあっていますか?正しい眠りのための枕調