産後の骨盤矯正はいつからいつまで?通う回数と効果の目安も紹介

産後の骨盤矯正」は、近年多くのママたちが注目している体のケア方法のひとつです。医学的には「骨盤が歪む」「ズレる」といった表現に明確な診断基準はありませんが、妊娠・出産を経て骨盤周囲の筋肉や靭帯のバランスが変化し、姿勢や体調に影響を及ぼすことがあります。

本記事では、産後の骨盤の状態や矯正に適した時期、通うべき回数の目安、さらに専門的な視点を交えて効果的なケア方法を紹介します。育児で忙しい中でも効率よく体を整えたい方に、必要な知識をしっかりお届けします。

骨盤矯正はいつからいつまで?産後ママが知っておくべきタイミング

骨盤矯正を受ける女性の画像

矯正の開始時期や終了時期は、効果を左右する重要なポイントです。

出産後すぐの骨盤はどうなっている?

出産直後の女性の体は、想像以上に大きなダメージを受けています。特に骨盤は、赤ちゃんが通るために広がり、その後しばらくはグラグラした不安定な状態になります。この時期の骨盤は、ホルモンの影響で靭帯がゆるんでおり、非常にデリケートです。

妊娠中から分泌される「リラキシン」は、骨盤周囲の靭帯や関節をゆるめて、出産をスムーズにする働きがあります。しかし産後もしばらくこのホルモンは体内に残り、骨盤が不安定な状態が続きます。これが骨盤矯正のタイミングに深く関係してくるのです。

産後すぐの矯正は避けるべき理由

産後すぐに骨盤矯正を始めるのは、あまりおすすめできません

なぜなら、悪露(産後の出血)が続いていたり、身体が十分に回復していなかったりする場合が多いからです。医師の診察で「問題なし」と言われるまでは、焦らず休養を優先しましょう。

帝王切開の人はいつから矯正できる?

帝王切開で出産したママの場合、傷口の回復具合が最優先です。

一般的には産後2ヶ月〜3ヶ月を目安に骨盤矯正を検討し始めると良いでしょう。ただし、自己判断は禁物で、必ず産婦人科の医師に相談してから始めましょう。

腹圧と骨盤底筋群への影響も考慮

産後は腹圧のコントロールが効かなくなり、骨盤底筋群に負担がかかることで、尿もれや腰痛が発生しやすくなります。

骨盤底筋の画像

この筋肉群の機能回復と、骨盤の正しい位置を取り戻すことが、産後矯正の重要な目的です。

「手遅れ」って本当?6ヶ月を過ぎても間に合うのか

もう6ヶ月経ってしまったから手遅れでは?」と不安になる方もいますが、結論から言えば、半年を過ぎても骨盤矯正は間に合います。たとえば、実際に8ヶ月から始めて体型が整い、腰痛が軽減したというケースも多くあります。

矯正の効果を得るには生活習慣の見直しも重要

たとえ開始が遅れても、日常的な姿勢の改善やセルフケアと組み合わせれば、骨盤矯正の効果は期待できます。「手遅れ」と思わず、少しずつでも始めることが大切です。

意味がないと言われる誤解とは?

ネットや口コミで「骨盤矯正は意味がない」という意見を目にすることがありますが、多くは正しい時期に適切な施術を受けていない」場合の話です。効果が出にくかった人は、通院回数が足りなかったり自己流のケアだけで済ませてしまっているケースもあります。

このように、産後の骨盤矯正は「いつから」「いつまで」というタイミングを正しく知ることで、その効果を最大限に引き出すことができます。

参考:骨盤矯正は意味ない?効果・メリット・デメリットを専門家が解説

骨盤矯正は何回通えばいい?平均回数と期間の目安

矯正は1回で終わるものではありません。必要な回数と期間を知っておきましょう。

骨盤矯正の標準的な通院回数と期間とは?

産後の体を整えるには、ある程度の継続的なケアが必要です。施設によって異なりますが、多くの整骨院や整体院では、産後1〜3ヶ月の間10〜15回程度の通院を目安とするケースが多いようです。週1回のペースで通い、徐々に月1回のメンテナンスへ移行するなど、段階的なアプローチが取られることが一般的です。

産後の骨盤矯正で得られる効果とは?体型・腰痛・不調

骨盤矯正の効果は多岐にわたりますが、全ての人に同じとは限りません。

骨盤が歪んだままだと何が起こる?

出産によって広がった骨盤が自然に元通りになるとは限りません。もし骨盤のズレや歪みがそのまま残ってしまうと、体の重心バランスが崩れ日常の姿勢や動作に大きな影響を及ぼします。

結果として、反り腰猫背O脚といった姿勢の乱れにつながるだけでなく、体型の崩れや内臓の位置異常を引き起こすこともあります。

正しい姿勢や反り腰、猫背の女性の画像

また、骨盤の開きに加え、骨盤底筋群のゆるみも見逃せません。これらの筋肉は、膀胱や子宮、腸などの内臓を支える役割を持ちます。産後はこれらの筋力が低下しており、尿もれや便秘などのトラブルが起こりやすくなります。

慢性的な不調につながる骨盤のズレ

骨盤が歪むことで、背骨や股関節のバランスも崩れ慢性的な腰痛肩こり頭痛などの症状が出ることがあります。これは、筋肉のアンバランスが神経を圧迫し、血流やリンパの流れを妨げることが主な原因です。

このような不調は、見た目だけでなく、心身のコンディションにも悪影響を及ぼすため、放置せず早めのケアが重要です。

骨盤矯正で本当に痩せるの?

「骨盤矯正で痩せた」という話を耳にすることがありますが、これは骨盤が整うことで内臓の位置が本来の場所に戻り代謝が活性化することによる影響です。特に下腹部のぽっこり感が改善されたり、ウエスト周りがすっきり見えるようになったりすることがあります。

ただし、骨盤矯正だけで劇的な減量効果があるわけではなく、あくまで「痩せやすい体づくりの土台」としての役割を果たすものです。

効果が出ない人に共通するポイント

骨盤矯正の効果があまり感じられない人には、いくつかの共通点があります。まず挙げられるのが、通院頻度の少なさ。数回でやめてしまうと、筋肉や骨格が元に戻ってしまう可能性があります。

さらに、セルフケアを全く行っていない人や、姿勢・生活習慣を見直していない場合も、効果が出にくい傾向にあります。施術に頼りきりになるのではなく、自分でも身体と向き合う意識が必要です。

自宅でできる骨盤矯正エクササイズ|簡単セルフケアのススメ

育児中でも手軽にできるストレッチで、骨盤ケアを始めましょう。

骨盤周りをゆるめるストレッチからスタート

育児や家事で忙しい中でも取り入れやすいのが、寝ながらできるストレッチです。仰向けに寝て、膝を立てた状態で左右にゆっくりと倒す「ヒップロール運動」は、骨盤まわりの筋肉をやさしくほぐし、ゆがみを整えるのに効果的です。

動きは小さくても、深い呼吸を意識しながら行うことで、骨盤底筋群や腹部の緊張も緩和されます。朝起きたときや寝る前の習慣にすると、体も心もリラックスできるでしょう。

ヒップロール

STEP1:仰向けになり両手を横に広げ、両膝を90度に曲げましょう。
STEP2:両膝をくっつけたまま横に倒しましょう。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。
注意点:倒す際に肩が浮かないように注意しましょう。

参考:骨盤矯正ストレッチ!歪みを整える寝ながらできる簡単エクササイズ

呼吸を使って骨盤底筋を活性化

骨盤矯正に欠かせないのが、骨盤底筋群の強化です。難しい動きは必要なく、「呼吸」と組み合わせた簡単なエクササイズでも十分に効果が得られます。

たとえば、仰向けに寝て深呼吸しながら、お腹をへこませる「ドローイン」は、腹横筋と骨盤底筋を同時に鍛えることができます。特に産後はお腹の力が抜けやすくなるため、このようなインナーマッスルを意識したトレーニングが重要です。

腹式呼吸

STEP1:仰向けとなった状態でお腹に触れ収縮を感じましょう。
STEP2:鼻から息を吸いお腹を膨らませましょう(3秒間)
STEP3:口から息を吐きお腹に力を入れましょう(6秒間)
注意点:腰が丸まらないように注意しましょう

姿勢改善に効く簡単トレーニング

骨盤の歪みは日常の姿勢からも影響を受けます。立った姿勢で壁に背中をつけ、後頭部・肩甲骨お尻・かかとの4点自然につくかをチェックすることで、骨盤のニュートラルな位置を確認できます。

正しい立位姿勢の画像

この姿勢で3分間キープするだけでも、体幹を刺激し、骨盤の正しい位置を身体に覚えさせる効果があります。姿勢が整うことで、腰痛や肩こりの予防にもつながります。

サポートアイテムを賢く活用

自宅でのケアをより効果的にするために、骨盤ベルト着圧レギンスなどのアイテムを使うのもおすすめです。特に、動き回る育児中に骨盤の安定を保ちたい場合は、サポート力のあるアイテムが役立ちます。

ただし、使い方を間違えると逆効果になることもあるため、購入前に専門家のアドバイスを受けるのが理想です。「長時間の着用は避ける」「就寝時は外す」などのポイントを守りましょう。

整骨院・整体院はどう選ぶ?通院のポイントと費用相場

骨盤矯正の施術を受ける女性の画像

どこで施術を受けるべきか、費用や選び方を紹介します。

整骨院と整体院の違いとは?

骨盤矯正を受ける場所として、整骨院と整体院がありますが、違いを理解せずに選ぶと期待した効果を得られないこともあります。整骨院は、国家資格である「柔道整復師」が在籍しており、筋骨格系の痛みや機能障害に対する施術を行えます。一定条件下では保険適用も可能です。

一方、整体院民間資格の施術者が多く、保険は適用されませんが、独自の技術やリラクゼーション要素を取り入れた施術を受けられるのが特徴です。リラックスを目的とした施術を希望する場合や、通いやすさ重視の方に向いています。

保険適用の可否と施術内容の違い

整骨院では、骨折・脱臼・打撲・捻挫など、原因が明確な「外傷性の障害」に対して保険が使えますが、「産後の骨盤矯正」は基本的に自由診療扱いになります。保険がきくと思って来院しても、適用外であることを知らされることも多いため、事前に確認が必要です。

整体院は全て自費になりますが、オーダーメイドの施術が受けられる点ではメリットがあります。通う頻度や目的によって、どちらを選ぶかを判断するのがベストです。

通う前に確認したいポイント

産後のママが安心して通えるかどうかは、環境面も大きなポイントになります。たとえば、以下のような条件をチェックしておくと安心です:

  • 子連れOKかどうか:キッズスペースやベビーベッドがあるか
  • 女性施術者の有無:女性同士だからこそ話せる体調や悩みもある
  • 予約制の有無:待ち時間が少なく、スムーズに施術を受けられる

施術内容がいかに良くても、安心して通える環境でなければ長続きしません。ホームページや口コミ、初回のカウンセリングなどで丁寧に確認しましょう。

通いやすさとスタッフの対応力

自宅からの距離やアクセスの良さも重要です。育児の合間を縫って通うためには、移動時間を短縮できるかどうかが大きな差になります。また、スタッフが産後の体について理解を持っているかどうかも、安心感に直結します。

施術者が体の状態をしっかり聞いてくれるか、説明が丁寧か、無理な勧誘がないかなど、「信頼できる人に任せられるか」が最終的な決め手になります。

骨盤矯正の費用相場と保険適用の条件

産後骨盤矯正の費用は、1回あたり3,000円〜6,000円が相場です。都心部ではもう少し高めの設定になっているところもありますが、料金が高いから効果が高いとは限りません。

整骨院でも整体院でも、回数券やお得なプランを用意しているところも多く、継続通院する場合にはコストを抑えやすくなります。

保険が使えるケースと使えないケース

再度確認ですが、「骨盤矯正」の名目で保険が使えることはほとんどありません。ただし、産後に「ぎっくり腰になった」「転倒して足を捻った」など、明確な外傷があれば、その部位に対する施術は保険の対象になる可能性があります。

不安な場合は、事前に「何が保険適用になるのか」を電話や初回カウンセリング時に尋ねておくと、トラブルを防げます。

まとめ

産後の骨盤矯正は、始める時期通院頻度によって効果が大きく変わります。

理想は産後1〜6ヶ月に集中的にケアすることですが、半年を過ぎても決して手遅れではありません。継続的な施術に加え、自宅でのセルフケアや正しい姿勢を意識することが、体型の回復や不調の予防につながります。無理のない範囲で、できることから始めてみましょう。

【参考文献】
1)Thawrani DP, Agabegi SS, Asghar F. Diagnosing Sacroiliac Joint Pain. J Am Acad Orthop Surg. 2019 Feb 1;27(3):85-93. doi: 10.5435/JAAOS-D-17-00132. PMID: 30278010.
2)Sacroiliac Joint Pain,Marc A. Raj; George Ampat; Matthew A. Varacallo.
3)Changes in pelvic floor and diaphragm kinematics and respiratory patterns in subjects with sacroiliac joint pain following a motor learning intervention: A case series,Darren J. Beales