背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法

「くしゃみをすると背中の右側が痛くなる」
「何もしていないのに寝ているだけで背中の右側が痛い」

このような悩みをお持ちではないですか?

背中の右側の痛みの原因は、不良姿勢によるものから転倒などによるものまで多岐にわたります。さらには、腎盂腎炎や十二指腸潰瘍など内臓の病気が背中の痛みとして現れている場合もあるので、注意が必要です。

そこで当記事では、背中の右側が痛い原因と対処法について解説します。

当記事を参考にすることで、少しでも背中の痛みが楽になれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。

【背中の右側が痛い】考えられる原因はなに?

背中を抑えて座る女性の画像

背中の右側の痛みは、日常生活を過ごしていれば誰にでも起こりうる症状の1つです。そして、痛む場所や生活習慣などによってさまざまな原因が考えられます

まずは、症状から考えられる背中の右側の痛みの原因を5つに分けて解説するので、ご自身に当てはまる症状を探してみてください。なかには、重篤な病気が隠れている場合もあるので、気になる症状のある方はすぐに病院を受診しましょう。

参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説

姿勢からくる筋肉の問題

パソコンに顔を近づける女性の写真

背中の痛みの多くは、筋肉の過度な緊張や負担が原因で発症しています。とくに、デスクワークなどで長時間座っているような、同じ姿勢をとる方に多いです。

例えばパソコンをのぞき込んだり、スマホを見たりする姿勢は前かがみとなるので、背骨につく筋肉が過度に緊張します。そして筋肉に過度な負担がかかることで、痛みとして症状が出現するのです。

また、仕事などで日常的に重い荷物を持ち上げる方も注意が必要です。無理に背中の筋肉に力が入ったり、急な動きとなったりすることで、筋肉を痛めてしまう可能性があります。

転倒などの影響による骨の問題

転倒や尻もちをつくことで、背骨に大きな力が加わり強い痛みが生じることがあります。

とくに、「骨粗しょう症」という骨がもろくなってしまう病気の方は注意が必要です。骨粗しょう症の方は、普段通りに過ごしていても背骨がつぶれたように折れてしまう「いつのまにか骨折」になることがあります。

こういった場合は、症状を自覚した段階で症状が進行していることが多いので、すぐに整形外科病院への受診をおすすめします。

妊娠後期に多い坐骨神経痛による背中の痛み

坐骨神経痛」とは、腰から足の動きをコントロールする坐骨神経が圧迫されることで、腰や足の痛みやしびれ、筋力低下を引き起こす症状です。

坐骨神経を説明するイラスト

妊娠中期〜後期にかけては、お腹の中でお子さんが成長し子宮が大きくなります。それにより、坐骨神経が圧迫されて背中の痛みを感じる方が多いです。

また、妊娠によるホルモンバランスの変化も原因の1つと言われています。

参考記事:【妊婦さん要注意】お尻が痛い坐骨神経痛とは?妊娠中に起こりやすい原因と対処法を解説!

内臓の病気による影響

上記3つのような原因が思い当たらず、痛みが長期にわたって続いている場合は、内臓の病気による影響も考えられます。

一般的に、内臓の病気である場合は背中の痛みの他に食欲不振や発熱、倦怠感などの症状が出ることが多いです。とくに、発熱と倦怠感が続いている場合は早急に病院へ受診しましょう。

つぎに、痛む場所ごとに隠れている可能性のある病気を解説します。ただし、個人の病状によっては痛みの部位が限定されないことも多いので、あくまで目安として参考にしてください。

【肝炎】右肩甲骨下の肋骨周囲に痛み

肝炎とはウイルスやアルコール、薬剤などが原因で肝臓の細胞が破壊されてしまう病気です。肝臓は右上腹部に位置している臓器なので、右肩甲骨の下から肋骨周囲にかけて痛みが出現します。

その他の症状としては食欲不振や倦怠感なども挙げられます。

肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれ、自覚症状を感じにくいと言われています。ゆえに、肝炎を治療せずに放置すした結果、肝硬変や肝がんなどのさらに重い病気へと進行してしまう恐れがあるので、早期の治療が大切です。

【肺炎】背中の右上部に出る痛み

肺炎の症状は咳や痰、発熱などが主で、一般的な風邪の症状とよく似ています。しかし、肺炎の症状が進行し、うまく呼吸ができなくなることで、胸痛や背中の右上部に痛みが出現することがあります。

とくに高齢者の方に多い疾患で、日本の死因順位の5位が肺炎、6位が誤嚥性肺炎1)となっているのです。肺炎と誤嚥性肺炎を合わせて集計すると、肺炎は3位となります。肺炎の予防として、65歳以上になれば「肺炎球菌ワクチン」の接種も可能なので、心配な方はぜひ検討してみてください。

【腎盂腎炎】右脇腹から背中にかけて出る鈍痛

腎盂腎炎(じんうじんえん)とは、腎臓が細菌に感染することによって炎症を起こす病気です。一般的に尿路に侵入した細菌は排尿により体外へ排出されますが、腎盂腎炎では細菌が尿道や膀胱から逆行性に腎臓へ侵入し感染します。

主な症状として、高熱や排尿時痛や残尿感などの膀胱炎症状の他に、脇腹から背中にかけて鈍い痛みが生じる場合があります。腎臓は背骨を挟んで左右に2つあるので、左右どちらの背中にも痛みを感じる可能性があるでしょう。

【胆石症】右上腹部・右肩への響くような関連痛

胆石症とは、摂取した食事の消化や吸収を助ける「胆汁」が流れる胆道に石(結石)ができる病気を指します。

実は、胆石症を発症しても約3割の人はほとんど症状がみられません。

しかし、5割以上の人には「胆道痛」という特徴的な右の肋骨の下やみぞおちの痛みに加えて、右肩周囲に痛みがみられます。また、「黄疸」という皮膚や白目の部分が黄色くなる症状が出現するのも特徴の1つです。

【十二指腸潰瘍】肩甲骨の間の激しい痛み

十二指腸潰瘍とは、胃の下にある十二指腸の粘膜が何らかの原因で損傷される病気です。病気になる方はピロリ菌の感染率が95%と高く2)、ストレスにより発生リスクが高まると言われています。

症状は腹部や肩甲骨の間の激しい痛み、食欲不振があります。空腹時や夜間に痛みが強くなり、食事をとると症状が緩和することが特徴です。治療にはピロリ菌除菌や胃酸を抑える薬の内服が有効なので、消化器内科へ受診するとよいでしょう。

背中の右側が痛い時の適切な対処法

背中を抑える人の写真

ご自身に当てはまる症状の原因は見つかったでしょうか?

ここからは、背中の右側が痛い時の適切な対処法を解説していきます。

痛みが数日続く場合は受診しよう

背中の右側の痛みが数日経っても治らない場合や、発熱、息苦しさなど他の症状を伴うときは、すぐに近くの病院に受診しましょう。とくに、内臓の病気が影響している場合は、早期に発見し治療することで病気の進行を防げます。

日常生活の姿勢を意識しよう

筋肉への負担からくる背中の痛みには、日常的に正しい姿勢を保てるよう意識することが重要です。

デスクワークが多い方は、とくに日常的に悪い姿勢をとってしまいがちです。例えば、背中が丸まった猫背の姿勢や、片方の足ばかり組んでしまうことが挙げられます。

さらに、長時間同じ姿勢で座っていると血流が悪くなり、筋肉への負担も大きくなります。背中や腰への負担をかけないよう、正しい姿勢を意識して長時間同じ姿勢をとらないように気を付けましょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

ストレッチ・運動を行い身体のバランスを整えよう

ストレッチや適度な運動には、血流改善や筋肉の緊張を和らげる効果があり、背部痛の改善へとつながる3)可能性があります。とくにデスクワークなど長時間座っていることの多い方は、30分に1度は軽いストレッチや運動で体を動かし、リフレッシュを行うとよいでしょう。

参考記事:長時間の座り過ぎは要注意!腰痛悪化の原因と対策を紹介

【自宅で簡単】背中の右側が痛い時に効果的なストレッチ3選

ここからは、ご自宅で簡単に行える効果的なストレッチを解説します。朝起きたときやお風呂に入った後の時間に、ぜひ痛みを感じない範囲で試してみてくださいね。

脊柱起立筋ストレッチ

背骨の両側につき、背中を反る作用がある「脊柱起立筋」の緊張を和らげるストレッチです。特に長時間、同じ姿勢を保持することで筋肉が緊張してしまっている方に効果的です。また椅子に座った状態でできるストレッチなので、デスクワーク時の休憩にも行うことができます。

脊柱起立筋ストレッチ

STEP1:片方の足を前に反対側の足を組みましょう
STEP2:つま先に向かって両手を伸ばしましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:腰周りが伸びるのを感じながら行いましょう

体幹前面ストレッチ

次に紹介するのは、腹筋と略されることの多い「腹直筋」の緊張を和らげるストレッチです。

腹直筋の主な役割は体を安定させることですが、硬くなることで体を反らすことができず、背中が丸まってしまいます。良い姿勢を保つためにも、腹直筋のストレッチを行いましょう。

体幹全面ストレッチ

STEP1:手をついてうつ伏せになりましょう
STEP2:肘を伸ばして体を後方へ反らせましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:腹筋の伸びを感じましょう

 

胸郭回旋運動

最後に紹介するストレッチは、背骨の胸の部分に位置する「胸椎」の動きを改善する胸郭回旋運動です。

胸椎は、頸椎や腰椎に比べて動きが少ないので柔軟性が低下しやすく、背中の痛みの原因にもなりやすい場所です。胸椎の柔軟性が改善されることで、体を丸めたり反らしたりという体幹の柔軟な動きの改善にもつながります。

FFDテスト

STEP1:片膝を90度に曲げて床につけましょう
STEP2:両手を伸ばして合わせせましょう
STEP3:上半身を捻り片手を反対側の床につけましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
STEP6:背中をしっかりと捻りましょう
※膝が床から離れない様に注意しましょう

背中の右側が痛い時は何科に受診するのが適切?

患者に説明している医者の写真

先述した通り、痛みが数日経過しても続いているようであれば、病院への受診が必要です。

受診する際、体を動かしていない安静状態でも背中が痛む場合は、「内科」に受診しましょう。どのような体勢をとっても痛みが出る場合は、内臓の病気が原因の可能性が高いです。

また、体を動かした時や、くしゃみをした時に背中に痛みが出る場合は「整形外科」を受診しましょう。ただし、痛みが激しかったり、胸痛や息苦しさを感じたりする場合は注意が必要です。

命に関わる場合もあるので、すぐに救急外来への受診や救急要請を行ってください。

まとめ

今回の記事では、背中の右側が痛い原因と対処法について解説しました。背中の痛みにはさまざまな原因があります。普段の姿勢を気にすることや、ストレッチなどのセルフケアを行うことで、少しずつ痛みを改善しましょう。

ただし、背中の痛み以外の症状が見られる場合は、自分で判断せずに病院へ受診することが重要です。内臓の病気の場合は早期発見、治療をすることで病気の進行を防ぐことができます

本記事が、あなたの痛みを改善することにお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1厚生労働省.令和3年(2021)人口動態統計月報年計(概数)の概況
2)三宅一昌:ピロリ菌,日本食品科学工学会誌 53 (5), 316-316, 2006-05-15
3)伊藤俊一,久保田健太,隈元康夫,森山秀樹:慢性腰痛者に対する筋収縮後ストレッチングの有効性について,日本腰痛会誌,15(1): 45 ‒ 51, 2009