突然ですがあなたは、ご自身の姿勢が「正しい姿勢」と感じていますか?
残念ながら「わたしの姿勢はキレイかつ正しい。」と言い切れる方は少ないと思います。
それもそのはず、自分の姿勢を改めて見る機会はほぼありません。
そのため、無意識に楽な姿勢がクセになっている方が多いです。
しかし、姿勢の崩れを続けているとぽっこりお腹などの容姿の変化を引き起こします。
さらに、慢性的な腰痛を招く可能性も。
そこで今回の記事では、ぽっこりお腹に見えやすい「反り腰」姿勢について主な原因を解説します。
そのうえで、簡単な反り腰チェック法から対処方法までご紹介していきます。
本記事を皆さまの反り腰姿勢の改善にお役立ていただけますと幸いです。
ぜひ最後までご覧ください。
腰痛の原因となる反り腰とはどのような状態?簡単なセルフチェック方法をご紹介
まずはじめに、反り腰の理解を深めるために背骨の仕組みと動きを解説していきます。
加えて、自宅やオフィスなどでも簡単にできる反り腰のセルフチェック方法もご紹介します。
そもそも反り腰とはどのような状態?
結論から申しますと、反り腰というのは腰の反りが通常より強い姿勢のことです。
背骨は椎骨という小さい骨が積み重なってできています。
そしてこの背骨の形は、横から見ると緩やかなS字カーブになっています。
このS字カーブの役割は、重力の分散と歩行時の衝撃吸収で身体にとって大切なのです。
しかしながら様々な要因で、背骨のS字カーブが強まると通常より腰の反りが強い姿勢に。
これを反り腰姿勢といいます。
そして反り腰の方は、腰の反りが顕著なだけでなく、背骨と繋がっている骨盤が前方に傾いています。
なぜなら骨盤は背骨と動きが一体になっているためです。
このように背骨の動きは、骨盤の傾きなど全身に影響を与えます。
あなたの姿勢は反り腰?壁に寄りかかって確認してみよう!
さて自分の姿勢が反り腰なのか、確かめたくなってきたのではないでしょうか。
そこで、壁があれば自宅や職場でも、簡単に反り腰をチェックできる方法をご紹介します。
反り腰のセルフチェック方法は、以下の通りです。
- 壁を背にして、寄りかかって立つ
- 後頭部・お尻・両肩・かかとを壁につける
- 腰と壁の間に手を入れる
腰と壁との隙間がこぶし1個分よりも大きいと、反り腰の可能性が高いです。
逆に手のひらくらいのスペースであれば、反り腰ではないと言えます。
反り腰を引き起こす主な原因3つを解説
反り腰を引き起こす主な原因は3つです。
あなたに当てはまる原因を見つけて、適切な対処法を実践しましょう。
下半身の筋肉の硬さ、腹筋の筋力低下1)
人体の構造からして下半身の筋肉が硬いと、背骨や骨盤が動きづらくなります。
なぜなら硬い筋肉が関節の動きを制限してしまうからです。
特に筋肉が硬くなりやすいのは、日頃から運動習慣がなく長時間座りっぱなしの方に多いです。
そして姿勢を保つための腹筋が弱い方も、良い姿勢を保てずに反り腰を引き起こします。
というのも腹筋の筋力が低下すると、腹筋と背筋の筋バランスが崩れて背筋が強まるからです。
このように背筋が過剰に働くと、腰を反らす力が優先されることで反り腰になります。
過度な体重による姿勢の変化
急激な体重増加によっても反り腰になります。
なぜなら、急激に体重が増えた場合に脂肪がつきやすい部位は腹部。
お腹に脂肪がつき腹部が前に飛び出すと、必然的に重心は身体の前方に移動します。
そうして重心が身体の前側に移ると、身体が前に倒れないように腰を反らせた姿勢になってしまいます。
よって、急激な体重増加は反り腰になりやすいのです。
ヒールの高い靴による姿勢の変化
ヒールの高い靴は、足のつま先に体重がかかり、身体を前に傾けた状態になります。
そしてヒールの靴で前に倒れた身体をおこすために背筋が働きます。
このように背筋を優先に働かせる姿勢を続けると反り腰を誘発します。
また、ヒールを履いている時のクセがついてしまうと、ぺたんこ靴を履いて治そうとしてもなかなか姿勢が戻りません。
反り腰によって引き起こされる体の不調や変化
反り腰姿勢は人によって体に不調や変化を引き起こしてしまいます。
そのなかでも、主な症状を3つご紹介します。
慢性的な腰痛
反り腰姿勢では腹筋に力が入りづらいため、常に腰回りの筋肉や骨に負担がかかっています。
よって、腰部の筋肉は凝り固まり慢性的な腰痛に繋がることも。
また慢性的な腰痛は放置してしまうと、下肢の痺れや痛みなどの神経症状を有する腰痛にも繋がりかねないので適切な対処が必要になります。
脊柱管狭窄症 2)
脊柱管狭窄症(せきちゅうかんきょうさくしょう)とは、背骨の中にある脊柱管という部分が狭くなる病気です。
脊柱管は背骨、椎間板、関節、黄色靱帯などで囲まれた脊髄の神経が通るトンネルです。
年をとると背骨が変形したり、椎間板が膨らんだり、黄色靱帯が厚くなって神経の通る脊柱管が狭くなって(狭窄)しまいます。
それによって神経が圧迫を受け脊柱管狭窄症が発症します。
主な症状としては神経が圧迫されることで、下半身の痺れや痛みがあげられます。
この脊柱管狭窄症は長年の反り腰姿勢が原因となることが多いです。
ぽっこりお腹など、容姿の変化
反り腰姿勢はお腹が前に出ている姿勢です。
実際に脂肪がついていなくてもその姿勢ではお腹がぽっこり出ているように見えます。
かつ、反り腰は腹筋の筋力が低下しがちです。
そのため姿勢を支えるための腹筋の筋力が低下すると重力に耐えられず、内臓がお腹側に垂れてしまいます。
そうしてさらにぽっこりお腹が目立ち、だらしない体型に見えてしまうのです。
【治し方】反り腰を改善させる簡単なストレッチ・筋トレをご紹介
では実際に反り腰になってしまった場合はどのようにしたらよいのでしょうか?
まず前提として反り腰姿勢は自然に治るものではありません。
そのため良い姿勢を身につける意識と適度に体操(ストレッチや筋トレ)を行うことで、改善を目指すケースが多いです。
それでは以下で体操の方法を説明します。
今回ご紹介する体操は太もも前面のストレッチ1種類とお尻や体幹の筋トレ2種類です。
股関節付け根のストレッチで、股関節や腰の前面に位置する筋肉を適度にゆるめましょう。
そうすることで、関節の動きを制限している筋肉の硬さの改善を目指します。
それに加えて体幹やお尻の筋トレを行うことで、体幹を鍛えて良い姿勢を保てるようになります。
これからご紹介するストレッチや低負荷の筋トレをすると、血流が良くなるので身体を温める効果もあります。
ぜひ寝る前などにリラックスして、行ってください。
股関節付け根のストレッチ
太ももの前側の筋肉が張っている人は、骨盤が前に倒れ反り腰がさらに悪化します。
股関節付け根の張りをほぐすことで、体の重心バランスを整えて反り腰を改善しましょう。
STEP1:片膝立ちになりましょう
STEP2:お腹に軽く力を入れながら骨盤を前方へ移動させます
STEP3:股関節の付け根の筋肉が伸びた状態を10秒間保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻り反対側も実施します
※腰を反らさないように注意
ヒップリフト
ストレッチで筋肉を柔らかくできたら、筋トレも行っていきましょう。
なぜかというと腰に負担がかからない姿勢を保つためには、お尻や体幹の筋力が必要です。
もしお尻や体幹の筋力が弱くなったときには、重力に耐えられず反り腰の悪化に繋がります。
寝ながらできる簡単な運動で、お尻や体幹を鍛えましょう!
STEP1:両膝を曲げた仰向け姿勢になりましょう
STEP2:鼻から大きく息を吸います
STEP3:息を吐きながらお尻を持ち上げます
STEP4:体が一直線のところで数秒間キープし、お尻を降ろしましょう
※※腰を反らさないように注意
ゆりかご運動
反り腰の方は骨盤が前に傾き、腰が反った形で背中の筋肉が縮んでいます。
そのため腰を丸める動作が苦手な場合が多いです。
だからこそ反り腰姿勢の方には、腹筋に力を込めて腰を丸める動作が必要です。
STEP1:床に座り、両膝を抱えましょう
STEP2:両膝を抱えたまま、身体を前後に揺らしましょう
※太ももとお腹は一定の距離を保ったまま揺らしましょう。
反り腰改善に必要な座り方・立ち方・歩き方
反り腰を改善するためには普段から姿勢に気を遣う必要があります。
身体に負担の少ない座り方は頭の位置がポイントです。
座っている姿勢では、以下の3つをチェックしてみましょう。
- 背骨と首がまっすぐになるように頭の位置を調節
- お尻には左右均等に体重をかける
- 背もたれがある場合は適度に寄りかかる
次に正しい立ち方をご紹介します。
正しい立位姿勢は、横から見たときに耳・肩・股関節・膝・かかとが一本のまっすぐな線になっている状態です。
そこで以下のポイントを意識してみてください。
- 足の裏全体に体重がかかるように意識する
- 肩の真上に耳を持ってくる
- 適度に腹筋に力を入れる
最後に反り腰を改善するための歩き方です。
反り腰の方が歩くときは胸を反らしすぎないことが重要です。
- 胸を張るのではなくフラットな位置を心がける
- 腕を後に大きく振るように意識しましょう
反り腰の方が腕を振ると、前にばかり大きく動くケースが多く見られます。
なので、しっかりと後ろにも腕を振る意識が必要です。
まとめ
今回は反り腰の原因と対処法を解説していきました。
反り腰の原因は様々ですが、ご自身に合った要因を見つけられましたでしょうか。
反り腰は長年の姿勢からくる身体のクセです。
反り腰に対する理解を深めたうえで、生活習慣を少し意識すると徐々に改善していきます。
お伝えしたトレーニングやストレッチを参考に、無理のない範囲で運動も心がけましょう。
それでは、当記事があなたの痛み解消のお役にたてれば幸いです。
参考文献
1)職場における腰痛予防対策指針及び解説の改定案 資料2.厚生労働省
2)整形外科シリーズ8 「腰部脊柱管狭窄症」.日本整形外科学会