「上を向くと現れる首の痛み」は厄介です。もし痛みが改善されないと、上を向く度にストレスを感じてしまうでしょう。
日常生活にも影響を及ぼすので、できるだけ早く改善したいですよね。
そこで当記事では、上を向くと首が痛くなる症状について詳しく解説します。
最後まで目を通すことで、上を向いた時に首が痛む原因や改善までかかる時間、自分で実践できるセルフケアの方法がわかります。
ぜひ、お役立てください。
上を向くと(首を後ろに反らすと)首が痛い!原因は?
さっそく、上を向くように首を後ろに反らすと痛い症状の原因について解説します。
なお、原因は1つだけとは限らず、以下より挙げる原因が複数関係している場合もあるのであらかじめ把握しておいてください。
首に強い衝撃がかかった
まず考えられるのは、スポーツや交通事故などで首に強い衝撃がかかった際に、筋肉や靭帯(じんたい)を損傷した可能性です。
とくにスポーツを行っている最中は夢中になっていて、痛みに気づかないことも。したがって、首を痛めた場面について心当たりがないケースも多いです。
なお、首への衝撃が原因で発症する痛みは「むちうち」と呼ばれます。むちうちになった場合、首の筋肉が炎症を起こしているので、無理に動かさないようにしましょう。
参考記事:首のむちうちの治し方 |必ず押さえておきたい対処法をポイント解説!
参考記事:むちうちとは?代表的な症状や首の痛みを治すセルフケアを専門家が解説
悪い姿勢によって首に負荷がかかった
悪い姿勢のまま、長時間パソコンやスマホを操作したことが原因かもしれません。
パソコンやスマホの画面を覗き込もうと、つい首が前に出ます。この姿勢が続くことで、首の骨が真っ直ぐになってしまうのです。
首の骨が真っ直ぐになると、頭の重さや衝撃を分散できずに首への負担が増すので、そのうち痛みが生じます。もちろん、上を向く際にも痛みが現れるでしょう。
パソコンやスマホが原因で現れる首の症状は「ストレートネック」と呼ばれ、近年急増しているので注意が必要です。
参考記事:ストレートネックの原因とは?正しい寝方・枕の高さを理解しよう!
参考記事:首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説
生活習慣の乱れ
過労や睡眠不足、偏った食事や過度な飲酒など、生活習慣の乱れも首の痛みを生む原因の1つです。
生活習慣が乱れることで、首周りの血流が悪くなったり身体が緊張したりします。その結果、首の痛みにつながることも。
なお、起床後に急に現れる首の痛みは「寝違え」と呼ばれており、首を動かせる範囲が制限される症状が特徴的です。
そして、生活習慣の乱れによって寝違えになるケースがあるので注意してみてください。
参考記事:【首の寝違えの治し方】原因と痛みの対処におすすめのストレッチ3選を紹介
参考記事:【首を寝違えたような痛み】突然起きる痛みの原因と対処法を解説!
加齢による頚椎(首の骨)の変形
なかには、頚椎(首の骨)が変形することで、首の痛みが現れるケースもあります。代表的な症状(病気)は「頚椎症(けいついしょう)」です。
頚椎が変形する大きな要因は加齢や不良姿勢です。変形することで骨棘(骨のとげ)ができ、神経を圧迫することで首の痛みだけでなく手のしびれが現れる場合もあるので厄介だと言えます。
なお、頚椎が変形することで生じる手のしびれには、右側・左側の片方どちらかに現れるパターンと、両手に現れるパターンがあります。
もし、上を向くと首が痛むだけなく手のしびれも出ている場合は、頚椎症が原因である可能性を考えましょう。
参考記事:頚椎症で効果があるストレッチ&してはいけないことを解説
首の痛みをそのまま放置するとどうなる?
首の痛みをそのまま放置すると、さらに痛みが増す可能性が高いです。
また上を向くだけでなく、「下を向く」「ひねる」といった動きにも痛みが伴うようになります。
さらに、肩の痛みや手のしびれにつながる可能性もあります。
首の痛みはどのくらいで改善する?
「どのくらいで上を向いても痛くならないようになるの?」と考える方もいらっしゃるでしょう。首の痛みが改善するまでの期間は原因によって異なります。
筋肉の軽い炎症が原因であれば、1週間ほどで改善するケースが多いです。もちろん、炎症が強い場合は1か月近くかかる場合もあります。
そして、骨の変形が原因の場合は3か月から6か月かかるケースがあり得ます。
痛みには個人差があり一概には言えませんが、大まかな目安として把握しておいてください。
痛みが強い・一向に改善しない場合は整形外科を受診しよう
首の痛みが強く生活に支障が出ている場合や、一向に痛みが改善しない場合は早めに整形外科を受診するべきです。くれぐれも、首の痛みを放置することは避けましょう。
また、より重篤な病気が隠れている可能性もあります。発見が遅れることで治療開始も遅れてしまいかねません。
痛みの原因が判明したうえで、お医者さんのアドバイスを守り、早期改善のためにできることを行ってみてください。
上を向くことができる!首の痛みにおすすめのセルフケア
では、首を反らすと現れる痛みに効果的なセルフケアを紹介します。
特別な用意が不要で、少しの空き時間で実践できる方法ばかりです。コツコツ継続することで、楽に上を向けるようになるでしょう。
首周りのストレッチを続ける
首の痛みを改善するために、ストレッチに取り組みましょう。ストレッチを行うことで首周りの血流が良くなるので、首の動きがスムーズになります。
以下より、おすすめのストレッチを紹介します。
1つ目は「頸部伸展筋(けいぶしんてんきん)ストレッチ」です。
両手を頭の後ろに組み、首を前方に傾けて数秒間保持します。こちらのストレッチで、首の後ろに付く「頸部伸展筋群」を伸ばせます。
2つ目は「胸椎伸展(きょうついしんてん)ストレッチ」です。
両手を壁につけ、額を当てます。そこから背中を反らす動作を繰り返してみましょう。
上記のストレッチを行うことで、背中の「胸椎(きょうつい)」の動きが良くなります。首を反らすような動きは、頚椎や胸椎が複合的に動くことでスムーズに動かすことができるので非常に重要な運動です。
適度な筋力トレーニングを行う
首周りの筋力トレーニングもおすすめです。
もちろん首を痛めているときは強い負荷での筋トレはできませんが、適度な負荷なら痛みの改善が期待できます。ではおすすめの筋トレを紹介します。
「チンインエクササイズ」です。
座った姿勢から、指先を顎に当てます。ここから、指先から離れるように顎を引きましょう。
こちらのエクササイズを行うことで、「頸部深層屈筋群(けいぶしんそうくっきんぐん)」を刺激できます。首が前に出てしまうようなストレートネックの改善に重要なエクササイズになります。
優しい刺激でセルフマッサージもおすすめ
ご自身の手を使って、首周りのセルフマッサージを行うのも有効です。
ただし、痛む部位を直接押したり揉んだりすると、炎症が広がり痛みが悪化する可能性があります。したがって痛む部位周辺の揉みほぐしをおすすめします。
加えて強く押す・揉むことはせず、できるだけ優しい刺激を心がけてみてください。
上を向くと現れる首の痛みに効果的なツボ
セルフマッサージを行う際、「ツボ」を狙うのも有効です。上を向くと首が痛む症状に効くツボを紹介するので、試してみてください。
1つ目は「肩井(けんせい)」です。
首の付け根と肩の先端をつなぐライン上のちょうど中間に位置します。手を後ろ(腰)に回したうえで、もう片方の手を使って刺激する方法がおすすめです。
2つ目は「璇璣(せんき)」です。
左右の鎖骨が付く部位の内側にある「くぼみ」から、3センチほど下にあります。
「胸骨柄(きょうこつへい)」という骨の上に位置するので、硬い感触があるはずです。親指でさすりながら、首をゆっくり後ろに反らす動作を繰り返してみましょう。
参考記事:【辛い】首こりに効果のあるツボはどこ?肩コリや目の疲れにも効くツボを紹介
首に負担の少ない良い姿勢を心がける
普段の姿勢が悪いことで首に負担がかかり、上を向きにくくなっている場合もあります。したがって、普段から良い姿勢を心がけてみてください。
とくに「猫背」気味になっている方は要注意です。背中が丸まることで首が前に出やすくなり、先述した「ストレートネック」につながりやすいです。
猫背を矯正するとともに、意識的に頭を後ろに引いてみましょう。これだけで首への負担がかなり減ります。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
生活習慣を見直す
普段の生活習慣を見直すことも大切です。
睡眠不足や偏った食生活が疲労の蓄積や血流の悪化を招き、首の痛みにつながります。また、生活習慣の乱れが痛みの改善を妨げてしまいます。
睡眠時間を十分に確保し、バランスの良い食生活を心がけましょう。
また、就寝時に使用している枕がご自身に合っているか改めて確認してみてください。もし首へ負担がかかっているようなら、枕を買い替えることをおすすめします。
参考記事:首が痛い時の楽な寝方とは?姿勢別に負担の掛からない方法をポイント解説
まとめ
上を向くと首が痛い場合、考えられる原因はさまざまです。
ただ、原因が何であれ放置するべきではありません。肩こりや首のこりにつながる前に、早めの対処をおすすめします。
空き時間を使って、本文で紹介したエクササイズを続けてみてください。きっと、首の痛みが楽になるでしょう。
ただし、それでも痛みが緩和されない場合は、すぐに医療機関を受診するべきです。
それでは、当記事があなたのお役に立つことを願っています。
【参考文献】
1)Sravisht Iyer , Han Jo Kim:Cervical radiculopathy
2)J L Kelsey, P B Githens, S D Walter, W O Southwick, U Weil, T R Holford, A M Ostfeld, J A Calogero, T O’Connor, A A White 3rd:An epidemiological study of acute prolapsed cervical intervertebral disc
3)Peter R Blanpied, Anita R Gross, James M Elliott, Laurie Lee Devaney, Derek Clewley, David M Walton, Cheryl Sparks, Eric K Robertson:Neck Pain: Revision 2017
4)公益社団法人 日本整形外科学会:頚椎症性神経根症