【首の寝違えの治し方】原因と痛みの対処におすすめのストレッチ3選を紹介

「眠りから目が覚めた時、首に突然の激痛が走り動けない」

あなたも一度はこのような首の寝違えを経験したことがあるのではないでしょうか。

痛みが出てしまうと長引いてしまい、日常生活にも支障をきたしてしまうことが多々ありますよね。

そこで当記事では、首の寝違えの正しい対処法とおすすめのストレッチをわかりやすく解説していきます。

当記事を参考にすることで寝違えてしまった方も痛みが和らぎ、日常生活が楽になれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。

首の寝違えとは?一般的な症状を解説

男性が首を寝違えている写真

寝違えとは眠っていて目が覚めた時に、首に痛みが出ている状態です。

主な症状は首を動かした時に痛みを感じたり、痛みで片方しか向くことができないことが挙げられます。さらには、激痛が走るなど痛みが強い場合は、上下左右に首を動かせないことも。

一般的には数時間から数日で痛みが改善し、徐々に首を動かしていくことで治る1)と言われます。

もし痛みが長引いていたり頭痛やめまい、腕のしびれなどの症状がある場合は、寝違え以外に首の本格的な病気の可能性もあります。そのため、数日たっても症状が良くならない時には整形外科の受診をしたほうがよいでしょう。

首の寝違えが起こる3つの原因

一般的な症状がわかったところで、次は原因についてみていきましょう。あなたも普段の生活で心当たりがあるかもしれません。

睡眠中の不自然な姿勢による影響

常に同じ方向を向いて寝ていたり、仰向けで首が過度に曲がるような不自然な姿勢で寝てしまったりすると、首周りの筋肉が血流不足になります。その結果、筋肉が硬くなり痛みにつながります1)

枕の高さやベッドの周りの環境などが、睡眠中の姿勢に影響を与えることもあるので注意が必要です。

過労による影響

普段よりも体が疲れていると、筋肉への血流不足や炎症を引き起こす場合があります。

また腕の使いすぎなどでも首の筋肉に負担がかかると言われ、過度に腕を使うような作業を行った日は寝違えを引き起こしやすくなるケースもあるのです。

女性が首の疲労を感じている写真

飲酒後の睡眠による影響

飲酒後には眠りが浅くなると言われています。浅い睡眠は交感神経のはたらきが大きくなり、血管や筋肉の緊張にも影響を与えるため痛みにつながる可能性があります2)3)

状況によっては泥酔してしまい、床やソファで寝てしまうこともあるかもしれません。普段とは違う環境のため、うつ伏せで片方を向いたままであったり、枕を使わずに寝ていたりしたために首に負担が掛かることもあります。

以上を踏まえて、寝違えが起こりやすくなるので睡眠前の過度な飲酒には注意が必要です。

首を寝違えた時の応急処置方法

寝違えて痛みが出ると焦ってしまいますよね。しかし、正しい応急処置を知ることで落ち着いて対処できるでしょう。

ここからは、首を寝違えた際の適切な対処法について解説します。

痛みが出ている時は安静に

痛いときにはストレッチをした方が良いと思っている方もいらっしゃるかもしれません。しかし痛みが出ている時期には炎症が起こっている場合もあり、無理に動かすと逆に痛みを長引かせてしまう可能性があります4)

さらに痛みを我慢して動かすと、筋肉の緊張が過度に高まってしまうケースもあります。早く痛みを改善するためには、焦らず安静にすることも大切な治療の一つなのです。

炎症がある場合はアイシングが効果的

寝違えて1〜3日以内の時期に熱やはれなどの炎症がある場合は、アイシングがおすすめです。

冷やすことで炎症を抑えたり、血流を改善することで痛みを和らげる効果があります5)6)

痛み止めの薬は上手に活用しよう!

ロキソニンなどの非ステロイド抗炎症薬には痛みの発生物質を抑え、炎症を沈めるはたらきがあります7)8)寝違えてからすぐの炎症が起こっている時期に使用することで、痛みが強くなることを予防します。

ただし、お子様や妊娠中、また合併症がある場合は使用が禁止されている場合もあるので、該当する場合はお近くの薬局などでご相談ください。

女性が首に痛み止めを貼っている写真

首の寝違えに効果的な正しいストレッチ方法3選!

首の痛みや炎症が落ち着いたあとに行いたいストレッチを紹介します。

習慣にすることで首に負担の掛かりにくい姿勢をつくり、寝違えの予防になります。痛みが落ち着いてきたら、無理のない範囲で試してみましょう。

胸の前のストレッチ

胸の前面が硬くなると、肩甲骨が引っ張られ猫背姿勢になりやすいです。その結果、首も前にでやすい姿勢となりストレートネックを併発します。

胸の前をストレッチすることで、首を正しい位置に戻していきましょう。

大胸筋ストレッチ

STEP1:足を前方へ出し、片腕を壁に当てましょう
STEP2:体重を前方の足へ乗せましょう
STEP3:姿勢を元に戻します
※胸の前面が伸びた状態を保持することがポイントです!

脇の下のストレッチ

脇の下には背中の大きな筋肉がついています。ここが硬い方は巻き肩になりやすく、さらには猫背姿勢を併発するケースも多いです。

首や背中の筋肉にも負担がかかりやすい姿勢となるので、改善していきましょう。

広背筋ストレッチ

STEP1:両手を繋いで万歳しましょう
STEP2:片側のお尻に重心を乗せ反対側へ体を傾けましょう
STEP3:姿勢を元に戻します
STEP4:繰り返し実施しましょう
※反対側のお尻に重心をのせて行うことがポイントです!

背骨の動きを良くする運動

胸周りの背骨は可動性を持つのが理想的です。しかし動きが悪くなると首の関節に大きな負担がかかり、首回りの筋肉疲労にもつながります。

そのため胸の可動域を広げることで首の負担を軽減させます。

胸郭回旋運動

STEP1:片膝を90度に曲げて床につけましょう
STEP2:両手を伸ばして合わせます
STEP3:上半身をひねり片手は反対側の床につけます
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
※膝が床から離れない様に注意しましょう!

ぶり返さないための首の寝違え予防法

寝違えは一度なるとまた繰り返すことが多いため、再発の予防が重要になります。日頃から簡単にできるものを紹介します。

日頃からストレッチを習慣化しよう

姿勢や体の使い方などから首の筋肉に負担がかかり、寝違えを起こしやすくなることがわかりましたね。ストレッチを行うと正しい姿勢をとりやすくなったり、筋肉の血流改善につながり首の負担を減らします9)

そこで先ほど紹介した3つのストレッチを、ぜひ日常的に行ってみてください。

ちなみにストレッチをする時間は、30〜60秒ほど続けることをおすすめします。40秒のストレッチで血流増大効果が最大になると言われ、30〜60秒では筋肉の緊張が落ち柔軟性を向上させる効果があると言われているからです。

あわせて、痛みが強すぎるストレッチは逆に筋肉を緊張させてしまうため、心地良い伸びを感じる程度の強さで行いましょう。

身体に合った寝具を選ぼう

寝具が身体に合っていないと首への負担は大きくなります。さらに眠りが浅いと疲労が蓄積し、寝違えを起こしやすい体になってしまいます11)

そこで改めて、敷き寝具と枕が身体に合っているかチェックすることがおすすめです12)13)

  • 立っている時と同じ姿勢で寝られるか(肩と耳が一直線)
  • 力を入れずに寝返りが楽にうてるか
  • 硬すぎず柔らかすぎないか

普段あまり意識をしない寝具ですが睡眠環境と身体への負担は大きく関連しています。あなたに合った寝具を選ぶことで寝違えを予防していきましょう。

正しい寝方を解説している図

参考記事:首が痛い時の楽な寝方とは?姿勢別に負担の掛からない方法をポイント解説

寝る前の過度な飲酒は要注意

寝る前にお酒を飲むと、寝つきがよくなるように感じる方も多いかもしれません。しかし寝る前に過度な飲酒をすることで、睡眠の後半で眠りが浅くなると言われています。

そのため寝るまでに、アルコールが完全に分解されていることが理想です。例えばビール500ml、ワイン200mlでは飲み終わってから約3〜5時間ほどでアルコールが分解されます。

寝るまでの時間も考えながら飲みすぎには注意をしましょう。

首の寝違えは何日で治る?一般的な治癒期間について

寝違えによる痛みは一般的に1週間程度で、徐々に和らぐと言われています14)。痛みを我慢してもんだりすると、かえって筋肉の治りを遅くしてしまうため注意が必要です。

我慢できないくらい痛みが強かったり手足にしびれや痛みを伴うときは、寝違え以外の病気の可能性があります。その場合はできるだけ早く病院を受診し、医師に相談しましょう。

まとめ

今回は寝違えの原因や対処法、ストレッチについて解説していきました。

もし寝違えてしまった時にも、解決策を知っておくことで速やかに対処できますね。また原因を知り対策をとることで予防にもつながりますので、ぜひ日頃から取り組んでみてください。

それでは本記事が、あなたの痛みを改善するのにお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)公益社団法人 日本整形外科学会
2)Roehrs T, Roth T, Sleep, Sleepness, and AlcoholUse. ALCOHOL RESEARCH & HEALTH 2001;25 (2);101-109.
3)豊浦麻記子.概日リズムと自律神経機能.脳と発達.第54巻 5号.311-316.2022
4)中野治郎.基礎研究の成果から急性痛に対する理学療法を再考する.理学療法学.第43巻 No.3 38-39.2016
5)公益社団法人 日本整形外科学会
6)加賀谷善教.寒冷療法.理学療法学.第32巻第4号.265−268.2005
7)愛知県薬剤師会
8)第一三共株式会社 製品情報センター
9)徳永哲夫.ストレッチ運動における血流量変化.デサントスポーツ科学 4 192-196, 1983
10)市橋則明.運動療法学 障害別アプローチの理論と実際 第二版.文光堂.201411)
11)中村勤.睡眠特性と寝具寝装品の開発.Vol.47 No.6 .2006
12)師岡孝次,寝る姿勢,31 巻,Supplement 号 ,148-149,1995
13)小暮貴政,寝具と睡眠,バイオメカニズム学会誌,Vol.29 No.4,2005
14)日本医師会