左首から肩にかけての痛みの原因は?何科を受診?対処法と3つのおすすめストレッチを解説!

「左首から肩にかけて痛みが出てしまった。」あなたもこのような経験をしたことがありませんか。 

痛みが出た時、「そのまま放置しても良いの?」「受診した方が良さそうだけど何科を受診したら良いの?」など疑問に思うことも多いでしょう。

そこで当記事では、左首から肩にかけての痛みの原因や受診の際のポイント、対処法をわかりやすく解説していきます。

当記事を参考にすることで、首から肩に痛みがある場合の疑問や症状が解決できれば幸いです。

ぜひ最後までお付き合いください。

左首から肩にかけての痛みの原因は?

左首から肩にかけての痛みは、筋肉の疲労や炎症、首や肩の病気、心臓や血管の病気に分類されます。

また首や肩の病気、心臓・血管の病気のケースでは、早急に受診する必要がある場合も。

そのため正しく対処できるよう痛みの原因について詳しく解説していきます。

肩・首こりなどの筋肉疲労

首・肩こりを訴える女性の写真

左首から肩の痛みがある場合、多くの原因は肩・首こりです。

30・40代を対象に最近1年間で経験した痛みに関する調査(2016年実施)では、腰痛を差し置いて、肩こりが54.6%と最も多い結果となっています。1)

肩・首こりが引き起こされる原因については、重労働やデスクワークなど筋肉の緊張状態が続くことで血管が圧迫され、血流が悪くなります。その結果、筋肉に必要な酸素や栄養素が行き渡らず、疲労物質が蓄積し、肩・首こりや痛みを引き起こすのです。

また、こりを感じる場所は両側の場合もあります。しかし普段の姿勢や日常生活での身体の動き方が影響し、骨格や筋肉の負担に左右差がある場合は、片側だけに首や肩の痛みが出ることも考えられます。

寝違えによる筋肉の炎症

寝違えた女性の写真

寝違えとは、朝起きて首を動かした際に痛みが出ている状態です。

不自然な姿勢で寝てしまったり左腕に疲労が蓄積している場合に、左側の首・肩周りの筋肉に負担がかかり、炎症が起こることで痛みにつながっている可能性もあります。

そして症状としては痛みがあり首を片側にしか回すことができなかったり、症状が強いと上下左右に動かせないこともあるのです。

参考記事:【首の寝違えの治し方】原因と痛みの対処におすすめのストレッチ3選を紹介

首や肩の病気

実は筋肉が問題ではなく、神経やその他の組織が影響している可能性もあります。

まず首の神経が影響している代表的な病気は、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアです。

頸椎症と頸椎椎間板ヘルニアを説明する図

これらの病気になることで背骨の中を通っている脊髄神経や、左右に分岐した末梢神経が圧迫されることで首から肩にかけて痛みやしびれを伴います

原因としては長年の姿勢の悪さが影響しているケースが多いです。

次に首や肩周りの神経が影響している病気として胸郭出口症候群があります。

胸郭出口症候群を説明する図

この病気は、首・肩周りの神経が引っ張られたり圧迫されることで、首や肩周りの痛みを伴います。なかには腕や手指にしびれを生じることも。

原因としてはなで肩や重いものをもつ労働者で、起こる可能性が高い病気です。

また、その他の組織が影響しているケースとして、頸部リンパ節腫脹という病気があります。頸部リンパ節腫脹とは感染やガンが原因となる病気です。喉の炎症や虫歯などの感染、甲状腺がんなどでは片側の首に痛みが出ると言われます。

参考記事:頚椎(くび)椎間板ヘルニアの改善に効果的なストレッチ・筋トレ3選を紹介
参考記事:頚椎症で効果があるストレッチ&してはいけないことを解説

心臓の病気

胸の痛みを訴えている写真

首の付け根から肩にかけての痛みの原因で、最も知っておきたいものが心臓や血管の病気です。

具体的には、心臓の血管が狭くなる狭心症や血の塊が詰まってしまう心筋梗塞が挙げられます

狭心症や心筋梗塞になると、心臓の異常を脳へ知らせる刺激が起こります。そして心臓の異常を伝える神経は、肩の感覚を支配しているものと同じ束になっているため、肩周りへも痛みとして情報が伝わるのです。

もし首から肩にかけての痛みに加え、狭心症・心筋梗塞に特徴的な胸の締め付けや痛みを伴う場合は、速やかに受診することをおすすめします。 

右首から肩にかけての痛みの原因は?左右での違いはあるの?

基本的に右首から肩にかけての痛みの原因は左側の場合と同様で、主に筋肉の疲労や炎症、首や肩の病気が挙げられます。

そして、左右での原因の違いはほとんどありません

しかし心臓が原因となる場合に限っては、左側のみに痛みが出現することがあります。

狭心症や心筋梗塞では、左側の神経に支配されている血管で多発しやすいため、心臓が原因の場合には、特に左の肩周りで痛みを感じる可能性が高いでしょう。

左首から肩にかけての痛みで受診するべき症状は?何科を受診?

なかなか痛みが治らない場合には、受診するべきか迷うこともあるでしょう。そんな時、何科を受診するべきか悩みますよね。ここでは、症状別に受診するべき診療科を紹介します。

首・肩を動かした時の痛み・手のしびれは整形外科

首・肩を動かした時の痛みや手のしびれがある場合は、首や肩の神経に異常がある可能性が高いです。また症状が出ているにも関わらず動かし続けていると、さらに神経の圧迫や組織の炎症が進行する危険性も。

そのため整形外科を受診して詳細な検査を受けることで、まずは自分の状態を知ることが重要です。もし首や肩の病気がみつかれば、必要に応じてリハビリを行うなど、より適切な処置を受けられます。

突然の首・肩の痛みや胸の締め付けがある場合は循環器内科

今までにないような首・肩の痛みが唐突に起こった場合には、心筋梗塞や狭心症の可能性があります。

さらに胸を締め付けるような症状が起こる場合にはかなり深刻な状態です。早急に循環器内科を受診して検査を行いましょう。 

仮に異常があったとしても、迅速な対処をすることで症状を軽度に抑えられます。しかし、処置が遅れると後遺症が重度になったり、最悪の場合そのまま命を落とすこともあるので注意が必要です。

【知っておくと便利】自分で行える対処法

次に、筋肉の疲労や炎症が原因となる場合の対処法について解説します。

寝違えた直後の場合は安静に

起床後に痛みがある場合は、寝違えで筋肉に炎症が起こっている可能性があります。

炎症が起こっている時期に筋肉を動かしてしまうと、筋肉の損傷が起きたり痛みが長引く原因になります。

よって、寝違えによる痛みが起こっているときにはストレッチやマッサージなどは行わずに安静にすることが望ましいです。なるべく楽な首の位置をみつけ、無理に動かさないよう心掛けましょう。

痛みが出てすぐの時期には首や肩を冷やす

湿布で冷やしている女性の写真

痛みが出てから1〜3日は炎症が続くため、症状がある部位を冷やしましょう。

冷やすことで炎症を抑え、筋肉の修復や痛みを和らげる効果があります。2)

そのため保冷剤や氷水をタオルに包み身体に当てたり、湿布を貼り約15〜20分ほど冷やすことがポイントです。長時間にわたり冷やしてしまうと、かえって血流が悪くなってしまうこともあるので注意しましょう。3)4)

慢性的な痛みには首や肩を温める

炎症が落ち着いてからも痛みが慢性的に続くことがあります。その場合には、痛みを感じる物質が蓄積している可能性も。

温めることで血液循環がよくなり痛みの物質が流れるため、改善につながるケースも多いです。

そのため慢性的な痛みには、温湿布や湯船に数分間浸かることで身体を温めることが適しています。

筋肉が硬くなっている場合にはストレッチ

女性がストレッチをしている写真

筋肉がこり固まり、血流が悪くなった結果、痛みの原因となる物質をため込んでいる可能性があります。

そんなときはストレッチを行い血流を改善させることで痛みは緩和することが多いです。

具体的な方法は最後に紹介していますので、ぜひ動画を見ながら行なっていきましょう。

普段の習慣が大切!痛みを予防する方法

できれば、首から肩の痛みを事前に防ぎたいですよね。ここから、首から肩にかけての痛みを予防するため、日常的に意識したいポイントを解説します。

快適に生活するために、是非参考にしてください。

睡眠の質を意識する

睡眠の質をあげることで、こりなどの筋肉疲労や寝違えによる痛みの予防につながります。5)そのため、睡眠環境や寝る前の準備を整えると良いでしょう。

意識するポイントは以下の通りです。6)7)8)9)

  • 楽に寝返りが打てる寝具か
  • 普段の立ち姿勢と同じ状態で眠れているか
  • 寝る前の飲酒やスマホの使用を避ける
  • ストレッチを行う

さらに、睡眠の質が上がると自律神経のバランスが整います。自律神経の乱れは心臓病の発症にも影響するため、心臓が原因となる首の付け根や肩の痛みを予防する効果があります。

定期的な運動習慣を身につける

定期的な運動は、心臓病の予防や免疫力向上につながります。また、全身の血流がよくなることで、肩こり、寝違えを起こしにくくする効果も

推奨される運動量の目安は、以下の通りです。10)

  • 歩行と同じ程度の活動を毎日60分以上
  • 息が弾む程度の運動を週に60分以上
  • 65歳以上の場合には、内容は問わず毎日40分以上

以上を目安に、定期的な運動習慣を身につけていきましょう。

正しい姿勢を意識する

たとえ運動をしていても普段の姿勢が悪いと、常に首や肩には負荷が掛かっています。正しい姿勢を意識することで首や肩の負担を減らし、痛みを予防しましょう。

意識するポイントは以下の通りです。

  • 横からみた時に、耳と肩が一直線上にあるか
  • 肩が内側に巻いていないか

日常生活の中で、鏡や窓に映る姿をぜひ確認してみてください。

左首から肩にかけての痛みを改善!簡単に行えるセルフストレッチ3選

次に、左首から肩にかけての痛みを改善させるためのセルフストレッチを紹介します。自宅で簡単に行えますのでぜひ試してみてください。

首の筋肉を柔らかくするストレッチ(胸鎖乳突筋ストレッチ)

猫背や頭が前に出ている姿勢になる方は、頭を支えるために首の筋肉が過剰に緊張しています。筋肉が硬くなることで、こりを引き起こしてしまうため、首のストレッチを行い緩和していきましょう。

胸鎖乳突筋ストレッチ

STEP1:片手で肩を抑えましょう
STEP2:首を斜め後方へ反らせましょう
STEP3:数秒間姿勢を保持しましょう
STEP4:姿勢を戻しましょう
※首の前面が伸びるのを感じましょう!

背骨を柔らかくするストレッチ(CAT & DOG ex)

猫背姿勢になり背骨が固まっていると、首や肩の筋肉に負担が掛かります。

さらに胸が硬くなると隣合わせの関節である首の関節に負担がかかり、頸椎症や頸椎椎間板ヘルニアなどの病気につながることも。

ストレッチをすることで、しなやかな背骨をつくりましょう。

CAT&DOGエクササイズ

STEP1:四つ這い姿勢となります
STEP2:肩甲骨を寄せながら背中を反らせましょう
STEP3:肩甲骨を離しながら背中を丸めましょう
STEP4:2つの動きを繰り返し実施します
※肘が曲がらないように注意しましょう!

首を正しい位置に修正する運動(チンインエクササイズ)

頭が前にでている姿勢では、首周りの筋肉が落ちてしまっているケースを散見します。首の筋肉を鍛え、骨を正しい位置に戻していきましょう。

上位頸椎屈曲運動

STEP1:四つ這い姿勢となりましょう
STEP2:後頭部を後方へ動かし顎を引きましょう
STEP3:繰り返し実施しましょう
※背中を丸めないように注意しましょう!

まとめ

今回は左首から肩にかけて痛みがある場合、痛みの原因や受診の際のポイント、対処法について解説していきました。

首や肩周りの痛みには、筋肉の疲労や炎症、首や肩の病気、心臓や血管の病気が影響することがわかりましたね。また症状別に何科に行くべきか判断するポイントを解説しましたので、ご自身の状態と見比べて、受診の際に参考にしてください

さらに日常生活で運動習慣や正しい姿勢を意識することで、首や肩の痛みを予防できます。ぜひ紹介したストレッチも合わせて、取り組んでみましょう。

それでは本記事が、あなたの痛みが出た際の疑問点や症状を改善するのにお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1)第一三共ヘルスケア株式会社
2)Knight KL: Effects of hypothermia on inflammation and swelling. Athl Train, 11: 7-10, 1976
3)坂本雅昭:寒冷療法と皮膚温の変化 ―3種類の冷却方法での比較―.理学療法科学14(1):25-28 1999
4)公益社団法人 日本整形外科学会
5)公益社団法人 日本整形外科学会
6)勝呂徹:あなたの枕は合っていますか?正しい眠りのための枕調整.Pharmaceutical Society of Japan.46巻11号  1063-1067.2010
7)Roehrs T, Roth T, Sleep, Sleepness, and Alcohol Use. ALCOHOL RESEARCH & HEALTH  25 (2)101-109.2001
8)豊浦麻記子.概日リズムと自律神経機.脳と発達.第54巻 5号.311-316.2022
9)北堂真子:良質な睡眠のための環境づくりー就寝前のリラクゼーションと光の活用ー.バイオメカニズム学会誌Vol.29,No.4.2005
10)厚生労働省 健康づくりのための身体活動基準2013