現代ではスマホの普及やデスクワークなどの影響から、ストレートネックが増えていると言われています。ひどい場合には、頭痛や肩こりなどを招いてしまうこともあり、日常生活に支障をきたす可能性もあります。
そのストレートネックには、寝方や枕の高さが関係していることをご存知ですか?私たちは人生のうちの3分の1を寝て過ごすため、睡眠時の寝方や環境は姿勢や骨格に大きな影響を与えるのです1)。
そこで当記事では、ストレートネック改善のための正しい寝方、枕の高さについてわかりやすく解説していきます。さらに、寝る前に簡単に行える効果的なストレッチも合わせて紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。
当記事を参考にすることで、ストレートネック改善のお役に立てれば幸いです。
そもそもストレートネックとはどういう状態?
ストレートネックとは、首の骨(頸椎)のゆるやかな曲がり(弯曲)がなくなり、真っすぐになった状態を言います。
本来この弯曲は衝撃を分散する役割があり、身体の重要な神経や血管などを守っています。
しかしストレートネックでは弯曲がなくなるため、神経が圧迫され痛みやしびれを引き起こしたり、血流が悪くなり筋肉のコリや疲労を感じやすくなったりします2)。
症状がひどい場合には、頭痛や慢性疲労などの自律神経失調症につながることもあるため注意が必要です。
参考記事:ストレートネック(スマホ首)の治し方とは?寝ながら簡単にできるストレッチを紹介
ストレートネックになる主な原因3つ
それでは、なぜストレートネックになってしまうのでしょうか。次にその原因を詳しく解説していきます。
スマホの長時間の使用
スマホを使用していると、気がついたら猫背になっていませんか。このとき頭が前に突き出た姿勢となるため、首の背骨のポジションが乱れストレートネックを引き起こします1)。
また、長時間に渡りこの姿勢が続くと首の前側にある筋肉が低下し、首のカーブを保持できなくなります。その結果ストレートネックを助長するのです。
さらに、重い頭を支えようと首の後ろや肩周りの筋肉は緊張し続けるため、首こりや肩こりも併発する可能性があります。
長時間のデスクワーク
長時間のデスクワークもスマホと同様に猫背姿勢になり、ストレートネックにつながります。
仕事に集中していると、一日中ずっと同じ姿勢で過ごすこともありますよね。その時間が長くなればなるほど、背骨や筋肉への負担は増えるので注意が必要です。
さらに、パソコンの位置が目線よりも低い位置にある方は姿勢が悪くなり、よりストレートネックを助長することもあるのでデスク環境の見直しをおすすめします。
理想的なデスク環境として、①目線の高さにパソコンの画面を合わせる、②肘と机の高さを合わせるなどが挙げられます。
就寝時に枕の高さが合っていない
睡眠中の姿勢が、ストレートネックの原因になっているケースもあります。
寝ている姿勢なので負担が掛からないように見えますが、枕の高さが合っていないと頭が前に押し出され、首のカーブが乱れてしまうのです。
日本人の睡眠時間は、平均7時間42分と言われています。それだけ長い時間を自分の身体に合っていない枕で過ごしていたら、首の位置にも影響を与えることが想像できますよね。
そこで後ほど、枕の高さのチェックポイントを紹介します。使っている枕はご自身の身体に合っているのか、ぜひ確認してみてください。
ストレートネック改善のために推奨される寝姿勢
寝ている間の姿勢がストレートネックに関係していることがわかったところで、推奨されている寝姿勢について解説します。
ストレートネックの改善には、仰向けでの睡眠が推奨されます。仰向けは立っているときの状態に近く、首の骨を自然なS字カーブに保ちやすい寝姿勢です3)。
さらに人間がぐっすりと力を抜いて眠れているときには、仰向けで寝るのが自然な状態と言われています。仰向け姿勢は、首だけでなく全身の筋肉を緊張させないため、血液の循環を阻害せず快適に眠れます。
しかし、仰向けで寝ていても首や肩まわりに疲れを感じるような場合は、寝具を見直してよいかもしれません。
そこで正しい楽な姿勢で眠れているのか、以下のポイントをチェックしてみましょう。
- 極端に首が曲がっていたり反ったりしていないか
- しばらく仰向けで寝ていて首や肩に違和感がないか
- 呼吸がしやすいか
このようにストレートネック改善には正しい姿勢で眠り、首への負担を軽減させることが重要なのです。
ストレートネックの方は要注意!寝るときに避けたい姿勢
ストレートネック改善には、仰向けでの睡眠が重要だとわかりましたね。中には、仰向け以外の姿勢で寝ている方もいらっしゃるかもしれません。
そこで、ストレートネックの方が寝る時に避けたい姿勢は「横向き」であることを覚えておくとよいです。
横向きで寝る姿勢は、肩が内側に入り猫背になりやすいため、ストレートネックを引き起こす可能性があります。
首の骨のカーブも仰向けに比べて乱れやすくなるため、首の神経や血管を圧迫し、しびれを引き起こしたり、筋肉のコリにつながったりするケースもあるのです。
寝返りをうつタイミングで横向きになることもありますが、最初から横向きで寝ることは避けて仰向け姿勢で寝ることを推奨します。
自分の身体にあった枕選びのポイント
枕の高さは頭の位置に影響を与えます。そのため、ご自身の身体にあった枕を選ぶことはストレートネックの予防や改善に効果的です。
そこで以下、枕選びのポイントを解説します。実際に寝る前にぜひ確認してみてください。
- 立っている姿勢と同じ姿勢で眠れるか(首の角度は床から15度程度が理想)
- 硬すぎたり柔らかすぎたりしていないか(沈まないものが良い)
- 形状はなるだけ平らなものを
- 寝返りがスムーズに打てるか
以上の点に注意して枕を選ぶことが重要です4)5)6)。
一般的には首に良い枕でも人それぞれ体格が違うため、必ずご自身にとって合う枕を使用することが推奨されます。
あなたは大丈夫?ストレートネックの簡易チェック方法
それでは、ご自身でもできるストレートネックのチェック方法を紹介します。ご自宅で簡単にできるので、この機会に確認していきましょう。
- 壁の前に意識せずリラックスした状態で立ちます
- 後頭部、肩、お尻、踵が壁につくかどうか確認します
このとき「後頭部が壁についているかどうか」がポイントです。つかない場合はストレートネックの可能性があります。
ついていても姿勢を保持するのが大変な方は、今後ストレートネックになる危険性があるため今のうちから予防をしていきましょう。
参考記事:首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説
ストレートネック改善に効果的!睡眠前に気軽に行えるストレッチ3選
次に、睡眠前に行えるストレートネック改善に効果的なストレッチを紹介します。
先ほどのチェック方法で当てはまってしまった方も、ストレッチを行うことでストレートネックの改善に役立つので、ぜひ毎日の習慣にしてください。
CAT & DOG エクササイズ
ストレートネックは猫背姿勢になっている方が多く、胸の背骨(胸椎)が硬くなっていると予測されます。そのため背骨を反らす動きができるように、可動域を広げていきましょう。
また、首や胸の背骨を正しい位置で保つ筋肉(多裂筋や頸部後面筋)を使い、正しいS字カーブを取り戻します。
STEP1:四つ這い姿勢となります
STEP2:肩甲骨を寄せながら背中を反らせましょう
STEP3:肩甲骨を離しながら背中を丸めましょう
STEP4:2つの動きを繰り返し実施します
※肘が曲がらないように注意しましょう!
参考:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
チンインエクササイズ(四つ這い姿勢)
長時間のスマホやパソコンなどで頭が前に出たような姿勢が続くと、首の前側にある筋肉が弱くなるケースが散見されます。すると正しい位置に頭を戻せず、ストレートネックを引き起こすのです。
そこで、首の位置を整えるために首の前側にある筋肉を使っていきましょう。うなずくように動作を行うことがポイントです。
STEP1:四つ這い姿勢となりましょう
STEP2:後頭部を後方へ動かし顎を引きましょう
STEP3:繰り返し実施しましょう
※背中を丸めないように注意しましょう!
ウォールシットリーチ
ここでは胸の背骨を反らし、頭の位置を整えていきます。後頭部と肩、お尻を壁につけたまま行うことで、首の弯曲を正しい位置に戻す効果が期待されます。
普段から腰が反りやすい方でも、腰が固定されているので胸から反らす感覚が非常にわかりやすくおすすめです。
さらに肩甲骨から動かす意識をすることで、硬くなっている胸の前側をストレッチし、弱い背中の筋肉が使われます。その結果、猫背の改善にもつながるのです。
STEP1:あぐらをかき壁に寄りかかりましょう
STEP2:棒を両手で持ち頭上に挙げます
STEP3:頭の位置まで棒を下ろしましょう
STEP4:ゆっくりと元の姿勢に戻ります
※体を壁から離さないように注意しましょう!
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
まとめ
今回は、ストレートネック改善のための正しい寝方、枕の高さについて解説していきました。
人生の3分の1も占める睡眠時間をうまく活用することで、ストレートネックを改善・予防できることがわかりましたね。
また、胸周りや首を意識してストレッチを行うことで、より効率的にストレートネックを改善していきましょう。寝る前に簡単に行えるので、ぜひ日常の中に取り入れてみてください。
それでは本記事が、あなたのストレートネックを改善するのにお役立ていただけますと幸いです。
参考文献
1)eヘルスネット.生活習慣病予防のための健康情報サイト.厚生労働省
2)Seung-Hyean Oh, PT.The effects of stabilization exercises using a sling and stretching on the range of motion and cervical alignment of straight neck patients.J. Phys. Ther. Sci. 28: 372–377, 2016
3)木暮貴政.寝具と睡眠.バイオメカニズム学会誌 Vol,29 No,4 2005
4)Chun-Yiu JP, Man-Ha ST, Chak-Lun AF. The effects of pillow designs on neck pain, waking symptoms, neck disability, sleep quality and spinal alignment in adults: A systematic review and meta-analysis. Clin Biomech (Bristol, Avon). 2021 May;85:105353. doi: 10.1016/j.clinbiomech.2021.105353. Epub 2021 Apr 19. PMID: 33895703.
5)Ren S, Wong DW, Yang H, Zhou Y, Lin J, Zhang M. Effect of pillow height on the biomechanics of the head-neck complex: investigation of the cranio-cervical pressure and cervical spine alignment. PeerJ. 2016 Aug 31;4:e2397. doi: 10.7717/peerj.2397. PMID: 27635354; PMCID: PMC5012320.
6)勝呂徹.あなたの枕は合っていますか?正しい眠りのための枕調整.Pharmaceutical Society of Japan.46巻11号 1063-1067.2010