球技やコンタクトスポーツで発生しやすいケガの一つが「突き指」です。
突き指になると指が動かせなくなるため、プレーに支障が出るばかりか、日常生活にも影響が出てしまいます。
多くの突き指は、自身で行う処置により症状の回復を望めます。
しかし、中には骨折や脱臼など重度の外傷をともなう突き指もあるため、油断はできません。
当記事では、突き指をできるだけ早く治すための対処法を紹介しています。
また、病院に行ったほうが良い危険な突き指の症状についても解説していますので、ぜひ最後までご覧になってください。
突き指を早く治すための応急処置
痛めてから48〜72時間以内の「急性期」に適切な処置を行うことで、ケガによる痛みや腫れが早期に改善しやすくなります。突き指が疑われる際はそのまま放置せず、素早く次のような処置を行いましょう。
参考記事:突き指の治し方を解説!指を曲げると痛い場合の対処法と早く治すポイント
RICE処置を行う
RICE処置とは、以下の頭文字をとった応急処置の方法です。
- Rest(安静)
- Icing(冷却)
- Compression(圧迫)
- Elevation(挙上)
痛めてすぐのときは無理に動かさず、患部を安静に保ってください。そして、ビニール袋に氷水を入れたものを当てて、冷却します。
加えて、包帯やタオル、ハンカチなどを用いて患部を適度に圧迫しつつ、患部をなるべく心臓よりも高い位置に挙上しておきましょう。
RICE処置は突き指をはじめ、肉離れや捻挫など急性のケガに有効な対処法となります。
参考記事:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介
参考記事:足首の捻挫(ねんざ)を3日で治す方法はある?適切な応急処置やセルフケア方法を紹介
湿布を貼る
腫れて痛みのある箇所に湿布を貼りましょう。消炎鎮痛剤が肌から浸透し、痛みを鎮める作用を期待できます。
指は湿布がはがれやすくなっているため、以下のような貼り方をしてみてください。
- 湿布の端を縦に切る
- 細長い状態の湿布を、らせん状に巻き付けるようにして指に貼る
また、湿布がはがれないよう、端にテープを貼って固定する方法もおすすめです。
ただし、湿布を使用する際の注意点があります。
湿布は薬の作用で痛みを抑えているにすぎず、患部を治しているわけではありません。特に痛めた直後は、安静や冷却といったRICE処置を湿布と合わせて行うようにしてください。
テーピングで固定する
テーピングを巻いて指の動きを制限すると、腫れや内出血による痛みの軽減を図れます。突き指をした直後では、次のような巻き方で簡単に指を固定できます。
- 隣の指とあわせて、第二関節で一周巻く
- その上に、少しかぶるようにして一周巻く
※第一関節を突き指したケースでは、上のテープを第一関節の上に貼るようにして、指を固定してください。
循環障害を起こすかもしれませんので、硬く締めすぎないようにお気をつけください。また、貼りっぱなしでは肌がかぶれてしまうため、最低でも2日ごとにテープは貼り替えることをおすすめします。
参考記事:内出血(あざ)を早く治す方法とは?内出血する原因や皮膚色の変化・要注意な病気も解説
【要注意】突き指の間違った対処法
突き指をした際は、「指を引っ張る」「患部を触ったり揉んだりする」といった対処はしないでください。患部の状態が悪化して、症状の回復を遅らせるおそれがあります。
指を引っ張る
指を引っ張ることで、靭帯や腱、関節包(かんせつほう:関節を包んでいる膜状の組織)などの損傷を広げてしまう可能性があります。
また、指の変形がある際も、引っ張って自分で直そうとしないようにしましょう。
患部を触ったり揉んだりする
患部を触ったり、揉んだりすると炎症が悪化する可能性があります。特に受傷直後の痛みや腫れが強く出ている時期は、患部をなるべく刺激しないようにしてください。
※痛みや腫れが落ち着いたあとは、血流を良くしたり、緊張をほぐしたりする目的でマッサージが有効な場合もあります。
【骨折・脱臼の可能性も】病院に行くべき突き指の特徴は
次のような症状がみられる場合は、骨折や脱臼など重度のケガをしている可能性があります。自己判断で対処を続けず、早急に整形外科に行くようにしましょう。
指が曲げられない・伸ばせない
痛みや腫れが強く、指が動かなくなっている場合は、骨折や腱の断裂が起きている可能性があります。
ちなみに指が曲がり、伸ばせなくなった状態を「マレットフィンガー」と呼びます。指を伸ばすための腱が切れたり、腱の付着部が剥離骨折(はくりこっせつ)を起こしたりしているため、専門家による適切な固定や手術が必要です。
指が変形している
外からみて指が変な方向に曲がっている場合は、脱臼や骨折をしている可能性が高いです。
無理に動かすことで、関節周辺の組織をより痛めてしまうかもしれません。上でも説明しましたが、自身で指を引っ張り、関節を元に戻そうとしないでください。
参考記事:肩や指の脱臼を自分で戻すのは危険?脱臼の症状と正しい処置の方法も専門家が解説
指が横にぐらぐらと揺れる
指が横にぐらぐらと揺れる場合、指の靭帯を損傷している可能性があります。
断裂につながるおそれもありますので、引っ張ったり、何度も動かして患部の状態を確認したりしないようにご注意ください。
痛みや腫れがなかなかひかない
RICE処置や固定を施しても、症状が変わらなかったり、腫れが徐々に悪化したりする場合は骨折の可能性があります。そのまま放置はせず、骨に異常がないかレントゲンで確認してもらいましょう。
一般的な突き指であれば、2. 3日ほどで炎症は落ち着き、1週間から10日程度で症状は改善します。
参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説
突き指はリハビリも重要!簡単にできる指のエクササイズ
痛みや腫れがひいたからといって、それで突き指の処置は終わりではありません。
固定や安静によって関節が固まる関節拘縮(かんせつこうしゅく)を改善するためにも、リハビリとして「手指Six pack(シックスパック)エクササイズ」を行いましょう。
手順は次の通りです。
- 指の付け根の曲げ伸ばしを繰り返します
- 第1.第2関節の曲げ伸ばしを繰り返します
- 指のグーパーを繰り返します
- 指の開閉を繰り返します(指と指の間を広げたり、閉じたりする)
- 人差し指から小指までを順に親指とつけます
1〜5を各10回ほど繰り返すことで、指の可動域が本来の状態まで回復しやすくなります。お風呂上がりなど体が温まったタイミングだと関節の柔軟性が高まるため、指の曲げ伸ばしが行いやすくなるでしょう。
まとめ
今回は、突き指をできるだけ早く治すための処置の方法と、骨折や脱臼などが疑われる症状の特徴について解説しました。
多くの突き指は、受傷後に適切な処置ができていれば、早期に改善できます。しかし、誤った対処を行ったり、重度のケガを放置していたりすると、痛みや腫れを悪化させる可能性があります。
特に症状が強く出ている際は、早めに整形外科に行って、医師の診断と治療を受けるようにしましょう。
それでは本記事が、あなたのお悩みの解決に役立っていれば幸いです。