突き指と骨折の見分け方を知りたい!症状の違いや対処法、注意点を専門家が解説

指を突いて、指先に強い外力が加わった際に起こるケガ(打撲、捻挫)が「突き指」です。

しかし突き指だと思っていたものが、実は骨が折れたり、ひびが入ったりした「骨折」だったというケースも少なくありません。

バスケなどの球技をはじめ、日常生活においても指をぶつけてしまう可能性は十分にあります。

その後の対応も変わってきますので、突き指と骨折の違いをしっかり理解しておくことが重要です。

本記事では、突き指と指の骨折の見分け方や、受傷後の処置方法について詳しくまとめています。

最後まで読むことで、症状の違いをご自身でもチェックできるようになるでしょう。ぜひお役立てください。

【症状でチェック】突き指と骨折の違い・見分け方

薬指を痛がる女性の画像

突き指と骨折は、いくつかのポイントに注目することで判別がしやすくなります。以下で骨折を疑うべき症状を挙げていくので、ぜひご自身の症状と比較して確認してみてください。

なお、これから紹介するのは、あくまでも見分けるための目安となります。正確な状態を知るには、医療機関の検査が必要な点はあらかじめご了承ください。

参考記事:突き指を正しい処置で早く治す!骨折との見分け方や対処法を専門家が解説

激しい痛みがある

通常の突き指と比較して、骨折は非常に鋭く、激しい痛みをともなうケースが多いです。

とくに腫れや炎症によって、安静にしていてもズキズキと患部が痛み、ピンポイントで飛び上がるほどの圧痛(押したときの痛み)がある場合は、骨折の可能性をお考えください。

指の曲げ伸ばしができない

骨折は、痛みで指の曲げ伸ばしが困難もしくは不能となりやすく、動かそうとするとさらに激しい痛みをともないます。

一方の突き指では、可動域は狭くなりますが、動かそうとすればなんとか動かせるケースがほとんどです。

なお、指を伸ばすための腱の付着部が剥離(はくり)骨折していると、指が軽く曲がった状態から伸ばせなくなります。指の第一関節が木槌(きづち)のように曲がった状態となるため、「マレットフィンガー(槌指)」とも呼ばれています。

指が大きく腫れている

骨折は、突き指と比べて腫れや内出血の程度が強い傾向があります。

もし患部の関節に限らず、指が全体的に腫れて紫色に変色してきた場合は、骨折の可能性を疑ってください。

受傷後より時間が経ってから腫れや内出血が広がってくるため、見た目に変化がなくともアイシングなどの処置は早めに開始することが重要です。

参考記事:内出血(あざ)を早く治す方法とは?内出血する原因や皮膚色の変化・要注意な病気も解説

指が変形している

通常では動かない方向に指が曲がっている場合は、骨折(もしくは脱臼)が起きています。

もし骨折や脱臼による変形があっても、指を引っ張って自分で元に戻そうとはしないでください。無理に動かそうとすると、損傷を広げる可能性があります。 

時間が経つほど整復(骨を本来の位置に戻す施術)が難しくなるため、すぐに専門家による処置を受けるようにしましょう。

参考記事:肩や指の脱臼を自分で戻すのは危険?脱臼の症状と正しい処置の方法も専門家が解説

痛みや腫れが1週間以上続いている

状態にもよりますが、突き指は1週間程度で症状が改善することが多いです。

したがって、時間が経過しても痛みや腫れが変わらない、もしくは悪化するといった場合は骨が折れている可能性が考えられます。ご自身での対処を続けるのではなく、医療機関に一度相談してみてください。

【重要】指の骨折が疑われる際はまず病院へ

指の診察を受ける女性の画像

上で紹介した症状からみて、骨折が疑われる際は速やかに病院を受診してください。精密な検査を受けることで、骨折と突き指を正確に判別できます。

骨折に対しては、整復固定などを施すことで、痛みや腫れの軽減を図ります。また、患部の状態によっては手術が必要となるケースもあるでしょう。

もし外見や症状からでは判断が難しい場合であっても、少しでも不安があれば医療機関に相談することをおすすめします。

処置が遅れることで、指の変形や動かしにくさが後遺症として残るかもしれません。決して放置しないように気をつけてください。

なお、整形外科に限らず、接骨院・整骨院でも骨折への応急処置やリハビリの施術を受けられます。近所に接骨院がある場合は、そちらへの通院も検討してみると良いでしょう。

参考記事:【接骨院・整骨院のかかり方】健康保険の適用範囲と注意事項を解説

突き指・骨折を1日でも早く治すための対処法

突き指や骨折の早期改善を目指すためにも、医療機関の治療とあわせて、以下のようなセルフケアを行なっていきましょう。

RICE処置を行う

RICE処置とは「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字をとった処置の方法です。

痛めた直後は、なるべく患部を動かさないように安静にします。そして、氷水を当ててアイシングしましょう。

また、ハンカチや包帯などを巻いて患部を圧迫したり、手を心臓よりも高い位置に挙上したりすることで、腫れや内出血の軽減が期待できます。

なおRICE処置は、医療機関に行く前の応急処置としても有効です。処置が早ければ早いほど腫れはひきやすくなりますので、スピードを意識して行いましょう。

痛みが強い場合は湿布を貼る

骨折や突き指の痛みには、湿布を貼ることも効果的です。湿布に含まれる薬の成分が働き、痛みを緩和する効果が期待できます。

指への湿布ははがれやすいため、細長く切った湿布を指にらせん状に貼ったり、湿布の上から包帯を巻いたりすると良いでしょう。

テーピングで指を固定する

テーピングで指を固定することにより、患部の安静を図れます。

突き指、骨折の応急処置としては、以下のような貼り方が簡単でおすすめです。

指の固定には、25mm幅のテープをご用意ください。

  • 隣の指と合わせて痛めた関節(第1もしくは第2関節)に一周巻きます
  • その上に、半分ほどかぶるようにもう一周巻きます

もし指を2本固定するのに不便を感じる場合は、次の貼り方も試してみてください。

こちらは12mmのホワイトテープを使用します。

  1. 中節骨・基節骨の中心にアンカーテープを巻きます
  2. 指の外側にサポートテープを貼ります
  3. その上から2本のテープをX状に貼りましょう
  4. もう一度、中節骨・基節骨にアンカーテープを貼ります
  5. 指先を圧迫して血流の状態を確認してみてください

なお、テーピング固定が有効なのは、軽度の突き指骨折のリハビリ時期、応急処置に限ります。
靭帯や腱の断裂をともなう重度の突き指、もしくは骨折で骨がまだくっついていない時期は、専門家の管理のもとで強固な固定を施すようにしてください。

痛みや腫れが落ち着いたら徐々に動かす

痛みや腫れが強く出ている時期は、安静を第一にしてください。

そして、固定などの処置で炎症症状がなくなりましたら、徐々に指を動かしていきましょう。指を動かすことで、関節の可動域を回復していきます。

ただし、いきなり動かすと再度痛める可能性があるため、痛みの出ない範囲で動かすようにしてください。

また、骨折・突き指に効果的なリハビリの方法をこのあと紹介しますので、ぜひご参照ください。

骨折・突き指の早期改善が期待できるリハビリ方法

それでは、指の可動域を回復する簡単なリハビリ方法を紹介します。

痛みの状態をみながら、無理のない範囲で動かすように注意しましょう。

手指Six pack(シックスパック)エクササイズ
STEP1指の付け根の曲げ伸ばしを繰り返します
STEP2第1.第2関節の曲げ伸ばしを繰り返します
STEP3指のグーパーを繰り返します
STEP4指の開閉を繰り返します(指と指の間を広げたり、閉じたりする)
STEP5人差し指から小指までを順に親指とつけます

温めることで筋肉や関節の柔軟性が高まり、指を動かしやすくなります。したがって、上記のエクササイズはお風呂やシャワー後など、体が温まったタイミングで実施することがおすすめです。

参考記事:突き指の治し方を解説!指を曲げると痛い場合の対処法と早く治すポイント

参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説

まとめ

突き指と骨折は、「痛みや腫れの程度」「指の曲げ伸ばしが可能かどうか」「変形の有無」など、いくつかのポイントに着目することで見分けやすくなります。

しかし、症状が類似しており、判別が困難なケースも少なくありません。

少しでも不安がある場合は、まず医療機関で診てもらってください。専門的な検査を受けることで、今後どのような対処を行えば良いかが分かってくるでしょう。

また、安静や固定で指が固まってしまうため、本文で紹介したリハビリもぜひ取り入れてみてください。コツコツ継続することで、日常動作をはじめスポーツにもスムーズに復帰できるはずです。

それでは、本記事があなたのお悩みの解決に役立てば幸いです。

【参考文献】
1)公益社団法人 日本整形外科学会「突き指」

2)公益社団法人 日本整形外科学会「マレット変形(槌指)」

​​3)一般社団法人 日本骨折治療学会:突き指 -たかが突き指、されど突き指―