【接骨院・整骨院のかかり方】健康保険の適用範囲と注意事項を解説

接骨院・整骨院を利用する際に、「健康保険を使うことはできるのか?」と考える方も多いでしょう。

実際、接骨院・整骨院においても症状によっては健康保険を使い低価格で施術を受けられます。

そこで当記事では、これらの治療院において健康保険が適用になる症状と適用にならない症状、適用になった場合の手続きの流れ、保険を使う際の注意点を解説します。

最後まで読み進めることで、初めて接骨院・整骨院に通う方でも、安心して健康保険を使った施術を受けることができます。

接骨院・整骨院にて健康保険が適用となる症状にはどんなものがある?

接骨院にかかっている人の画像

はじめに、接骨院や整骨院で健康保険が適用となる症状について解説しますが、その前に多くの方が疑問に思っているであろう点について以下、解説します。

そもそも接骨院と整骨院で保険適用に違いはあるのか?

街を歩いていると、「〇〇接骨院」「〇〇整骨院」といった看板を目にすると思います。

そこで、「接骨院と整骨院って別物なの?」と戸惑う方もいるのではないでしょうか。

名称は異なるものの、この2つとも柔道整復師が開業した施術所です。したがって保険適用にも違いはありません。

一方で「整体院」は国家資格ではなく民間療法(医療行為や医療類似行為にあたらない施術)なので、健康保険の適用は認められていません。

利用者側にとってはややこしいと感じるかも知れませんが、あらかじめ把握しておきましょう。

参考記事:接骨院・整骨院の違いとは?整体院・整形外科との違いも合わせて解説
参考記事:整体で保険適用ができない理由を解説!例外的に整体院でも保険が使える条件とは

接骨院・整骨院で保険適用となる症状とは?

接骨院・整骨院で保険適用となる症状は以下の5つです。

①骨折
②脱臼
③打撲
④捻挫
⑤挫傷(肉離れなど)

したがって、突然の怪我により痛みが強い症状への施術に対して、保険が適用されると認識して下さい。

骨折・脱臼については、基本的に医師の同意が必要ですが、緊急の場合は同意をもらう必要はありません。なお捻挫(ねんざ)には、足首などの負傷の他に「ぎっくり腰(急性腰痛症)」も含まれます。

そのためぎっくり腰になって間もない段階なら、接骨院や整骨院で保険を使って施術を受けられます。

ただし「施術が3ヶ月以上続く」「一度に4部位以上施術する」場合には、接骨院・整骨院は保険者に対して明確な理由を書面で提出する義務があります。

したがって保険者の判断によっては、健康保険を使った施術を続けられなくなる場合もありえます。

捻挫をして接骨院にかかっている方

参考記事:これってぎっくり腰!?腰椎捻挫の症状と自分でできるリハビリ方法をわかりやすく解説!
参考記事:骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説
参考記事:足首の捻挫(ねんざ)を3日で治す方法はある?適切な応急処置やセルフケア方法を紹介

接骨院・整骨院で健康保険扱いにならず自己負担となる症状とは?

一方、接骨院や整骨院では健康保険扱いにならず、全額負担となる症状は以下のとおりです。

  • 慢性的な痛みや疲れ
  • 過去の怪我による痛み
  • 加齢による痛み
  • 改善の見込みがないと思われる痛み

長期間続いている腰痛や肩こりは保険適用外です。

もちろん、慰安目的のマッサージ、骨盤矯正・姿勢改善の施術にも保険は使えません。また、仕事中の怪我や通勤中に負った怪我については労災保険扱いとなり、健康保険との併用はできないので注意が必要です。

参考記事:【比較】腰痛になったら整形外科と整骨院・接骨院のどっちに通うべき?症状別に詳しく解説
参考記事:肩こりは整骨院・接骨院で治る?整体・マッサージと施術内容や保険適用について比較
参考記事:接骨院・整骨院で肩こりが保険適用される場合とされない場合を詳しく解説!

健康保険適用された場合の施術から支払い完了までの流れ

それでは、接骨院・整骨院で保険適用された場合の手続きの流れを解説します。

  1. まず健康保険証を提示
  2. 「療養費支給申請書」を記入
  3. 施術を受ける
  4. 一部負担金を接骨院の窓口で支払い  通常は3割負担ですが、年齢や所得によって例外もあります。
  5. 領収書と施術明細書を必ずもらう

保険を使う場合、患者が一旦全額支払い、後で手続きを行って負担した金額を患者が受け取る「償還払い」が一般的です。しかし、接骨院・整骨院では「受領委任制度」となっています。

そのため保険適用にあたって、月初に保険証の提示をお願いされる場合があるので、忘れずに持参しましょう。

接骨院・整骨院にかかる際の注意事項

ここから、接骨院・整骨院で健康保険を使う際の注意点を解説します。

誤った手続きを行ったり、確認を怠ったりすると思わぬトラブルに繋がります。場合によっては不正請求に加担してしまいかねません。

ご利用前にしっかり目を通して下さい。

症状と負傷の原因を正確に伝えよう

接骨院・整骨院の先生に、症状と負傷の原因を正確に伝えましょう。

先程お話したように、保険適用となる症状には条件があります。

不明な点があれば、先生としっかり話し合って下さい。

同時期に整形外科での治療の併用はしない

同時期に同じ症状で整形外科での治療を併用した場合、基本的に接骨院での健康保険は適用されないので注意しましょう。(同じ月内に、複数の接骨院・整骨院で同一症状にて保険診療を受けることも認められていません)

ただし、骨折後の治療の後など、医師から指示があった場合は例外があります。

また、交通事故に遭った後の治療でも例外はあるので、詳しくは保険会社に問い合わせましょう。

参考記事:整形外科と整骨院の併用(はしご)は要注意!バレる理由と例外ケースも詳しく解説
参考記事:【一日いくら?】交通事故後に整骨院・接骨院へ通う際に請求できる慰謝料を詳しく解説!

療養費支給申請書は必ずチェックし署名をしよう

療養費支給申請書の内容はしっかりチェックして下さい。

負傷内容、施術内容、通院回数、支払い額などに目を通した上で、必ずご自身で署名しましょう。

もし、白紙の申請書に署名を求められたら、きっぱりと断って下さい。接骨院・整骨院側が不正請求を行っている可能性も考えられます。

接骨院・整骨院側とトラブルになることを避けるためにも、確認を怠らないことが大切です。

署名している人

領収書は必ずもらおう

施術後に、領収書を必ず窓口でもらいましょう。

接骨院・整骨院では、毎回領収書を発行することが義務付けられています。

  • 患者の氏名
  • 施術した日時
  • 施術の合計金額
  • 各種金額の内訳
  • 施術所の住所
  • 施術管理者の名前と印鑑

これらの内容に記入漏れが無いか確認して下さい。

後日、健康保険組合から送られてくる「医療費のお知らせ」と照合して、もし金額に相違があった場合は保険組合に問い合わせしましょう。

また、領収書は「医療費控除」の際に必要です。再発行はされないので、紛失には十分注意しましょう。
(代わりに領収証明書が発行されます)

「受領内容回答書」には忘れずに対応しよう

接骨院・整骨院での保険診療に関して、後日保険会社から「受領内容回答書」という調査票が届くことがあります。

これは、保険適応が正しくされているか確認するための調査です。

アンケートだと思って放置を続けていると、受領委任払いから償還払いに変更される可能性があるので、忘れずに対応しましょう。

施術から数ヶ月経ってから届く場合が多いので、療養支給申請書や領収書と照らし合わせながら記入して下さい。

まとめ

以上、接骨院・整骨院で健康保険を使う際に押さえてくべきポイントを解説しました。

ただし今後、接骨院・整骨院での健康保険の適応範囲について変更される場合もあるので、通院前にこれら治療院などへあらかじめ確認してみて下さい。

この記事を参考に、適切な形で健康保険を活用しましょう。

参考文献
1)サンヨー連合 健康保険組合 健保のしくみ
2)建設国保 全国建設工事業国民健康保険組合 『接骨院・整骨院」の正しいかかり方

3)全国健康保険協会 柔道整復師(整骨院・接骨院)のかかり方
4)協同組合 日本接骨師会 白紙委任問題
5)厚生労働省:柔道整復師等の施術にかかる療養費の取扱いについて