「肩が痛くて病院に行ったら五十肩と診断された」
「五十肩の痛みが出ないように生活するにはどうしたらいいの?」
あなたもこのような経験をしたことがありませんか?
普段の生活を送っているだけなのに、洋服を着替える時やシャンプーをする時など、肩の痛みに悩まされるさているという方がいらっしゃると思います。
当記事では五十肩の原因・なりやすい方についての解説や、やってはいけないことを紹介します。
また、少しでも肩の痛みを軽減してもらうため、簡単にできるセルフケアの方法も動画を交えて紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。
【最初に確認】五十肩の原因・なりやすい人とは?
五十肩の原因はまだ明らかにされていませんが、何らかの原因で肩関節を構成する骨や軟骨、筋肉の一部である腱などに炎症が起きていることと言われています。
昔の日本では50歳頃で発症しやすいことから五十肩と名付けられ、同じ症状が40歳頃で出た場合、四十肩と言われていました。
今では五十肩は40〜70代で発症し、特に40〜60代の女性で痛みに悩まされている方が多い傾向にあります。
また、糖尿病の方や甲状腺疾患を患っている方、血中脂質値が高い方があげられ他にもデスクワークが多い職業の方でも五十肩になりやすいとの報告があります。
参考記事:腕を上げると肩が痛い場合の対処法!『五十肩』や『腱板断裂』など原因別に解説!
五十肩を早く改善するためにやってはいけないこと5つ
五十肩の痛みに悩んでいる方は、「早くこの痛みから解放されたい!」と思っている人がほとんどでしょう。
しかし、間違った動きや行動をすることで、かえって症状が悪化することがあるので注意が必要です。
また、五十肩には急性期と回復期という病期があり、それぞれでやってはいけないことが違ってきます。
そこでここからは、五十肩を早く改善するためにやってはいけない5つのことを紹介していきます。
普段の生活で無意識にやっていないか、チェックしてみて下さい。
参考記事:五十肩(肩関節周囲炎)を早く治す方法とは?痛みの改善に効果のあるストレッチや体操を紹介
急性期にやってはいけないこと
五十肩の急性期は肩関節で炎症が起き、安静にしていても痛みが出てしまう病期です。
急性期にやってはいけないこととしては、「無理に動かそうとする」「横向きで寝る(痛む肩を下にする)」「強く揉む・マッサージする」の3つがあります。
ここからはそれぞれについて詳しく解説していきます。
無理に動かそうとする
五十肩の急性期は肩関節に炎症が起きているため、無理に動かそうとすると症状が悪化する危険性があります。
「動かさないと肩が動かなくなってしまうのでは?」と思う方もいらっしゃるかとは思いますが、この時期は安静を心がけてください。
横向きで寝る(痛む肩を下にする)
痛む方の肩を下にして寝てしまうと、関節に負担がかかり、痛みが増す危険性がありますので注意が必要です。
急性期は痛みが出る方の肩に負担をかけない様に生活しましょう。
強く揉む・マッサージする
五十肩はよく肩こりと勘違いされやすいため、「整体やマッサージを受ければ治るのでは?」と考える人もいます。
しかし、五十肩で痛みが強く出る急性期では肩関節に炎症が起きているため、強く揉むことやマッサージをすることで外からの刺激が加わり、症状が悪化する恐れがあります。
肩に強い痛みや動きの制限が出ている場合は、自己判断でマッサージを受けたり、強く揉んだりせずに病院へ受診をすることをおすすめします。
回復期にやってはいけないこと
回復期にやってはいけないこととしては、「過度な安静(運動をしない)」「不規則な生活」の2つがあります。回復期は肩の痛みが和らぎ、動きも徐々によくなっていく時期です。
ここからはそれぞれについて詳しく解説していきます。
参考記事:肩甲骨周りが痛い原因とは?肩・首こり解消にもオススメのストレッチを紹介!
過度な安静(運動をしない)
急性期では関節に炎症が起きているため、安静にすることが大切だとお伝えしました。
しかし、痛みが落ち着いてきた回復期では過度の安静は逆効果となり、肩の関節が固く動きが悪くなる危険性があります。
五十肩の回復期には痛が出ない範囲で積極的に適切な運動をすることが重要です。
不規則な生活
五十肩になりやすい人の中には血中脂質値が高い人がいますが、血中脂質値が高くなる原因として暴飲暴食、運動不足、肥満、喫煙、ストレスなどがあげられます。
また、現代では同じ姿勢での長時間のデスクワークや、ながらスマホなどで身体を動かさない時間が増え、肩周りの血流も悪くなってしまいます。
これらの不規則な生活は、回復期でなるべく運動を行ったほうがいい時期の五十肩にはいい影響は与えないでしょう。五十肩を1日でも早く改善するために不規則な生活を見直すことをおすすめします。
【リハビリ】五十肩を早期改善!自分でできるセルフケア方法
ここからは、五十肩を少しでも早く改善させるために自分でできるセルフケアの方法を紹介していきます。
急性期は冷やす・回復期は温める
五十肩の急性期には肩関節に炎症が起きているため、症状がある部位を冷やすことが重要です。
また、回復期には肩周りの血流の改善や筋肉の硬さを和らげるために、湯船につかって入浴することや運動をすることがおすすめです。
肩に負担が少ない寝方を心がける
肩に負担が出ない寝方としては、仰向けや痛みがない方の肩を下にした横向き姿勢がおすすめです。
痛みが出ている肩を下にしてしまうと関節に負担がかかり、痛みや炎症が悪化してしまう場合があります。
適度なストレッチ・筋トレを続ける
先ほど回復期では積極的に運動を行うことの重要性についてお話ししてきましたが、安静が中心の急性期であっても肩に痛みや負担がかからない適度の運動であれば行うことが推奨されます。
ここからは急性期と回復期に適したストレッチと筋トレを紹介していきます。
ご自宅で簡単にできますので、動画を参考にしながら行ってみて下さい。
急性期は肩甲骨周りの体操が中心
五十肩の急性期では痛みの出ない範囲で肩関節の周りについている筋肉をストレッチしたり、筋トレをすることが大切です。
参考記事:【ガチガチ肩こり解消】寝ながらできる肩甲骨ストレッチを動画で解説!
STEP2:胸を張りながら肩甲骨を内側に寄せます
STEP3:背中を丸めながら両手を前方に伸ばします/span>
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※顎を引きながら運動を行うことが大切です
STEP2:可能な限り肩をすくめます
STEP3:STEP1〜2を繰り返します
※上手くできない方は両腕を支えながら行って下さい
※脇を開きすぎないように注意して下さい
※肩が前方に出ないように注意して下さい
回復期は肩の可動域を広げる体操がおすすめ
五十肩の回復期では痛みが和らぎ、肩の運動制限が徐々に改善してきている時期のため、適度な運動をすることで肩の動かしやすさを向上させていきましょう。
STEP2:タオルを滑らせ、手を前方に動かします
STEP3:STEP1〜2を繰り返します
※痛みのない範囲で手を伸ばします
※背中を丸めないように注意して下さい
STEP2:脇を閉じた状態で棒を外側に動かします
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※外側へ動かした状態を数秒間保ちます
※肩に痛みがある場合はタオルを挟んで行って下さい
※脇を開かないように注意して下さい
STEP2:棒を背中に回し両手で持ちます
STEP3:痛みのない方の手で棒を引っ張ります
STEP4:ゆっくりと戻します
STEP5:STEP1〜4を繰り返します
※痛みのない範囲で行って下さい
※可能な方は手首を返して棒を握ります
正しい姿勢を意識する
猫背や背中を丸めた姿勢では腕を挙げる時などに肩関節の動きが制限されます。
さらに、猫背の姿勢をつづけていると肩甲骨の周りの筋肉や胸の筋肉が硬くなり肩甲骨の動きが悪くなり、肩の痛みの原因につながる場合があります。
五十肩と診断された場合は猫背にならないように胸をはって背筋を伸ばし、正しい姿勢を意識して生活することで痛みの緩和につながるでしょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
【肩が痛くなったら】まずは整形外科で診てもらうことが大事
「肩が痛いのは肩こりかな?」「肩の痛みくらいで病院に行くのはな…」「市販のサポーターを使ったり、整体や行ってマッサージを受ければ大丈夫かな?」と安易に自己判断をしてしまうと実は五十肩だったということがあるかもしれません。
治療が遅くなりその後の生活に支障をきたしてしまう場合もありますので、「肩が痛い」と思ったらまずはお近くの整形外科クリニックや病院で診てもらうことが重要です。
まとめ
今回は五十肩でやってはいけないことについて紹介していきました。
五十肩は肩関節を構成する骨や軟骨、腱などの組織の老化し炎症が起きることが原因とされています。
五十肩には急性期や回復期などの病期が存在し、それぞれの病期でやってはいけないことが違います。
【急性期にやってはいけないこと】
- 無理に動かそうとする
- 横向きで寝る(痛む肩を下にする)
- 強く揉む・マッサージする
【回復期にやってはいけないこと】
- 過度な安静(運動をしない)
- 不規則な生活
以上のことに気をつけながら、急性期であっても痛みのない範囲で今回紹介したセルフエクササイズを行ってみて下さい。
また、回復期ではセルフエクササイズを習慣化することで、五十肩の痛みの改善や運動不足の解消にもつながることが考えられます。
五十肩の痛みは一瞬で取ることは難しいので、焦らず根気よく運動を続けていくことが大切です。
それでは、当記事があなたの痛みの軽減につながれば幸いです。
【参考文献】
1)理学療法ガイドライン 第2版
2)村木孝之:肩関節周囲理学療法ガイドライン,理学療法学43(1).67-72.2016
3)関口賢人:肩関節周囲炎に対する徒手的機能的診断と治療,標準徒手医学会誌,6,1-9,2019