毎朝起きると首が痛い…そんな悩みを抱えていませんか?
「寝違えだろう」とそのままにしてしまう人も多いですが、実際には枕や姿勢、生活習慣の乱れ、さらには体の不調が関係していることもあります。放置すると症状が悪化するケースもあるため注意が必要です。
本記事では、起床時の首の痛みの原因や考えられる病気、そして自宅で行えるセルフケアについて分かりやすく解説します。ぜひ最後までお付き合いください。
毎日起きると首が痛い…その症状、放置していませんか?
毎朝の首の痛みは、単なる寝違えと思われがちですが、慢性的な筋肉のこりや頚椎の不調が隠れている場合もあります。放置せずにまずは自分の症状を観察することが大切です。
「起きると首が痛い 毎日」「寝起き 首 痛み」といった検索をする人の多くは、ただの寝違えだと思い込んでいます。しかし、毎日のように痛みが繰り返される場合は、単なる一過性の筋肉トラブルではない可能性もあります。
特に40歳を過ぎると、首まわりの筋肉や靭帯は柔軟性を失いやすく、血流も低下しやすくなります。そのため、以前は気にならなかった枕や姿勢でも、朝に強い痛みやこわばりを感じやすくなるのです。
また、痛みが数時間以上続く場合や、しびれ・頭痛・吐き気などを伴う場合は、首の病気や神経への圧迫が関係している可能性があり、早めの対応が重要になります。
起きると首が痛くなる原因5つ【枕・姿勢・生活習慣】
朝の首の痛みは、寝具や姿勢だけでなく生活習慣や心身のバランスも大きく関係しています。原因を正しく理解することで、再発を防ぎ、快適な朝を取り戻すことができます。
① 枕やマットレスが首に合っていない
「枕が合わない」「マットレスが硬すぎる/柔らかすぎる」といった寝具の問題は、起床時の首の痛みの大きな原因です。高さの合わない枕は首に不自然な角度をつけてしまい、寝ている間に筋肉や靭帯に負担をかけます。結果として朝に「首が痛い」「寝違えたような感覚」が生じやすくなります。
特に、横向き寝の人は肩幅に合った高さの枕が必要です。低すぎると首が下がり、反対に高すぎると首が持ち上がってしまい、どちらも筋肉の緊張を招きます。
② 寝ている姿勢のクセや寝返りの少なさ
長時間同じ姿勢で眠っていると、首の筋肉や関節に負担が集中し、朝の痛みにつながります。仰向けや横向きの姿勢そのものよりも、「寝返りが少ないこと」が問題です。
本来、人は一晩に20〜30回程度寝返りを打つといわれています。寝返りは血流を促し、筋肉のこわばりを防ぐ役割があります。ところが、疲労やストレスで眠りが浅くなると寝返りが減少し、結果として「起床時に首が痛い」という症状が現れやすくなります。
③ 首まわりの筋肉のコリ・血行不良
首や肩の筋肉が硬くこわばると、血流が悪くなり、朝に痛みや重だるさを感じやすくなります。特にデスクワークやスマホの長時間使用は筋肉の緊張を強め、睡眠中にさらに血行が滞ることで、起床時に「首が痛い」と感じる原因になります。
慢性的な肩こりや首こりを持っている人は、寝起きの痛みも出やすい傾向があります。筋肉の緊張を和らげるためには、日中のストレッチや姿勢改善も重要です。
④ ストレスや自律神経の乱れ
ストレスが強いと自律神経のバランスが崩れ、睡眠の質が低下します。その結果、寝ている間に十分に筋肉が緩まず、首や肩がこわばったまま朝を迎えてしまうのです。
また、精神的な緊張は筋肉の収縮を促し、首回りの血流を妨げるため、痛みを悪化させる要因にもなります。「寝ても疲れが取れない」「朝から首が重い」と感じる場合は、自律神経の乱れが背景にあるかもしれません。
⑤ ストレートネックや頚椎の変性
長時間のスマホ操作や前かがみ姿勢が続くと、本来ゆるやかにカーブしている首の骨(頚椎)がまっすぐになり、「ストレートネック」と呼ばれる状態になります。ストレートネックは首の筋肉や靭帯に常に負担をかけ、朝起きたときに強い痛みを引き起こすことがあります。
さらに、加齢とともに椎間板や関節が変性し、頚椎症と呼ばれる状態に進行することも。しびれや手の力が入りにくいなどの症状を伴う場合は、早めに整形外科を受診することが推奨されます。
参考記事:ストレートネックは治せる?今すぐできる解消ストレッチと姿勢改善法
考えられる病気と医療機関を受診すべきサイン
ただの寝違えと思い込まず、しびれや強い痛みが続く場合は病気の可能性もあります。無理に我慢せず、受診の目安を知って早めに医療機関で相談することが安心につながります。
首の痛みが一時的であれば自然に改善することも多いですが、以下のような症状がある場合は注意が必要です。
- 首の痛みが数日以上続く
- 腕や手にしびれ、力の入りにくさがある
- 頭痛や吐き気を伴う
- 動かすだけで強い痛みが走る
こうした症状の背景には、次のような病気が隠れていることがあります。
ストレートネック
スマホの長時間使用や前かがみ姿勢が続くことで、本来ゆるやかなカーブを描く首の骨(頚椎)がまっすぐに近づいた状態を「ストレートネック」と呼びます。
病気ではありませんが、首や肩に負担がかかりやすく、慢性的な痛みやこりの原因となることがあります。進行すると朝のこわばりだけでなく、日中の動作にも影響が出やすくなるため注意が必要です。
頚椎椎間板ヘルニア
椎間板が飛び出して神経を圧迫し、首の痛みだけでなく腕や手のしびれ、脱力感を伴うことがあります。悪化すると日常生活に大きな影響を及ぼすため、早めの受診が必要です。
参考記事:頚椎(くび)椎間板ヘルニアの改善に効果的なストレッチ・筋トレ3選を紹介
頚椎症(加齢性変化)
加齢により椎間板や関節が変性し、首の動きが制限され痛みを伴う病気です。40代以降から増える傾向があり、朝の首のこわばりが続く人は要注意です。
このような病気が疑われる場合は、整形外科や脳神経外科の受診を検討しましょう。特にしびれや麻痺がある場合は、放置せずに早めの診断が重要です。
参考記事:頚椎症で効果があるストレッチ&してはいけないことを解説
自宅でできるセルフエクササイズ3選
毎日のセルフケアで首の筋肉をほぐし、血流を改善することで痛みの再発を防ぐことができます。ここでは、専門家が推奨する簡単な運動を紹介します。無理のない範囲で続けることが大切です。
大胸筋ストレッチ
大胸筋は胸の前側に広がる大きな筋肉で、胸と肩をつなぐ役割を持っています。柔軟性が保たれていれば、胸を張って背中を伸ばす動きをスムーズに行うことができます。
しかし、デスクワークやスマートフォン操作で長時間前かがみの姿勢(いわゆる巻き肩)を続けると、大胸筋が硬くなり、背中をしっかり伸ばす動きを妨げてしまいます。その結果、姿勢が崩れて常に前かがみの状態が習慣化し、首や肩まわりの筋肉に大きな負担がかかります。
こうした負担が積み重なることで首の筋肉は疲労や緊張を起こし、痛みにつながることもあります。
そのため、大胸筋の柔軟性を保ち、正しい姿勢を維持することは首の痛みを防ぐうえで欠かせないポイントです。
大胸筋ストレッチ
STEP1:両手を背中の後ろで組みましょう
STEP2:両肘を伸ばし胸を前方へ突き出しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施します
※胸の前面の筋肉が伸びているのを感じながら実施しましょう
広背筋ストレッチ
広背筋は背中の中央部に広がる大きな筋肉で、強い力を発揮するのが特徴です。この筋肉は背中だけでなく肩甲骨にも付着しているため、硬くなると肩甲骨の位置がずれてしまうことがあります。
肩甲骨は首まわりの筋肉ともつながっているため、広背筋のこわばりは間接的に首の筋肉へも負担を与えてしまいます。そのため、広背筋を柔軟に保つことは肩甲骨の位置を整えるだけでなく、首の負担を軽減するうえでも重要です。
広背筋ストレッチ
STEP1:両手を繋いでバンザイをしましょう
STEP2:片側のお尻に重心を乗せ、反対側へ体を傾けましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:脇腹の伸びを感じながら実施しましょう
※重心は反対のお尻にしっかり乗せましょう
僧帽筋上部線維ストレッチ
僧帽筋は上部・中部・下部の3つの線維に分かれる、首から背中にかけて広がる大きな筋肉です。なかでも僧帽筋の上部線維は、肩をすくめるような動きに関わっています。
長時間うつむいた姿勢やパソコン作業などで肩に力が入りやすい人は、この上部線維が過度にこわばったり、動きが制限されやすくなります。結果として首や肩に負担がかかり、痛みを招く原因となることがあります。こうした負担を軽減するためには、ストレッチで筋肉の緊張をほぐすことが有効です。
僧帽筋上部線維ストレッチ
STEP1:片手を後方へ回しましょう
STEP2:もう一方の手で肩を抑えましょう
STEP3:首を斜め前へ倒しましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※肩の上が伸びるのを感じながら行いましょう
毎朝首が痛い人が見直すべき生活習慣
首の痛みは寝具や一時的な筋肉のこりだけでなく、毎日の生活習慣が大きく関わっています。普段の姿勢や行動を少し工夫することで、首への負担を減らし、朝の快適さを取り戻すことができます。
睡眠環境を整える
枕やマットレスを自分に合ったものに変えるだけでも、首への負担は大幅に減少します。特に高さや硬さが合わない寝具は、首を不自然な角度に固定してしまうため、痛みの大きな要因になります。
長時間のスマホ・PC使用を控える
前かがみ姿勢でスマホやPCを長時間使用すると、首に体重の数倍の負荷がかかります。1時間に1回は姿勢をリセットする意識を持つことが、首の健康維持につながります。
適度な運動習慣を取り入れる
ウォーキングや軽いストレッチを日常に取り入れると、首まわりの血流が改善され、筋肉のこりを予防できます。特に肩甲骨を動かす運動は、首の負担を軽減するのに効果的です。
ストレスケアと十分な睡眠
ストレスは自律神経を乱し、首の筋肉を緊張させる大きな要因です。リラクゼーション法や趣味の時間を持つこと、そして十分な睡眠を確保することが、痛みの再発予防に役立ちます。
まとめ
毎朝の首の痛みは、単なる寝違えではなく、枕や姿勢、生活習慣の乱れ、さらには病気が関係している場合もあります。原因を正しく理解し、セルフストレッチや姿勢改善などのセルフケアを取り入れると、痛みの再発予防につながります。また、しびれや強い痛みが続く場合は、早めに医療機関を受診しましょう。日々のちょっとした習慣改善が、痛みのない快適な朝を取り戻す第一歩になります。
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