ストレートネックは治せる?今すぐできる解消ストレッチと姿勢改善法

デスクワークやスマホの長時間使用で首の痛みや肩こりを感じていませんか?

それは「ストレートネック(スマホ首)」が原因かもしれません。ストレートネックは、首や肩のこりだけでなく、頭痛やめまい、手のしびれ、さらには集中力の低下や睡眠の質の悪化など、全身に思わぬ不調を引き起こすことがあります。

本記事では、ストレートネックの症状や原因をわかりやすく解説するとともに、今すぐできる解消ストレッチや日常生活での姿勢改善のコツをご紹介。最後までお読みいただくことで、自分の状態をセルフチェックし、再発を防ぎながら健やかな毎日を取り戻すための具体的なヒントが得られます。

ストレートネック(スマホ首)とは?

ストレートネックは、首の自然なカーブが失われている状態で、多くの人が気づかないまま慢性症状に悩んでいます。まずはその構造と特徴を知り、予防と対処の土台を作りましょう。

正しい頸椎とストレートネックの比較画像

ストレートネックとは、本来緩やかなカーブを描いているはずの頸椎(首の骨)が、真っ直ぐになってしまっている状態を指します。正常な首のカーブは、頭の重さを分散させる役割を持っていますが、このカーブが失われることで、首や肩に過度な負担がかかるようになります。近年では、スマートフォンやパソコンを長時間見る習慣から「スマホ首」とも呼ばれることが増えています。

ストレートネックの主な症状

スマホを覗き込む女性の画像

ストレートネックは首だけでなく、全身にさまざまな不調を引き起こします。ここでは主な症状を部位ごとに整理し、早期発見のポイントを解説します。

首・肩まわりの不調

最も多く見られるのが、首や肩の筋肉にかかる負担による「こり」や「痛み」です。首を後ろに反らすと痛む、肩が重だるい、首の動きが制限されるなどの症状が出ることがあります。筋肉の緊張が長引くと、頭痛や眼精疲労を引き起こすこともあり、作業効率の低下にもつながります。

頭痛やめまい・吐き気

首の筋肉が緊張し、血流や神経に影響が出ると、頭痛やめまい、吐き気を引き起こすこともあります。これらはストレートネックに起因する自律神経の乱れとも関係しています。特に、後頭部やこめかみに出る締めつけられるような頭痛は、首の緊張と関係していることが多くあります。

手のしびれや倦怠感

頸椎の神経が圧迫されることで、腕や手にしびれが出ることも。ひどい場合は、倦怠感や握力の低下なども見られます。これは頚椎の神経根(神経の出口)が狭まり、末梢に向かう神経の働きに影響を与えているためです。日常生活に支障をきたすケースもあるため、早期の判断が必要です。

ストレートネックの重症度セルフチェック

自分がストレートネックかどうか気になる方は、簡単なセルフチェックを行ってみましょう。重症度を把握することで、適切な対応が見えてきます。

姿勢チェック(耳と肩の位置)

鏡の前に立ち、耳の穴と肩の位置を横から確認してみましょう。耳が肩よりも前に出ている場合は、ストレートネックの可能性があります。猫背姿勢が慢性化している人ほどこの傾向が強く、デスクワーク中の姿勢がクセづいている人は特に注意が必要です。

壁立ちチェック(首が壁につくか)

ストレートネックをチェックしている画像

壁にかかと、お尻、背中をつけて立ち、首の後ろが壁に自然につくか確認します。つかない、あるいは不自然な姿勢でないとつかない場合は要注意です。違和感を覚えるほど首が前に出ていれば、重度のストレートネックの可能性が高くなります。

症状の頻度チェック

肩こりや頭痛が週に何度も起こる、日常的にしびれや倦怠感を感じるなど、症状の頻度が高い場合は重症度が進んでいる可能性があります。症状の記録を日記などにつけておくことで、改善傾向の有無を客観的に判断しやすくなります。

ストレートネックを引き起こす原因

スマホを覗き込む女性の画像

多くのストレートネックは生活習慣に根ざした「姿勢のクセ」から生まれています。原因を知ることで、再発防止にもつながります。

長時間のスマホ使用

下を向いた状態でスマホを見る時間が長くなると、首の前傾姿勢が固定され、ストレートネックの原因となります。スマホの画面を目の高さに合わせるように意識し、30分に一度は画面から目を離して首を伸ばすなど、こまめな姿勢リセットが必要です。

デスクワークによる猫背姿勢

パソコン作業中の姿勢が前かがみになると、背中が丸まり、首が前に出やすくなります。長時間続くと首のカーブが崩れてしまいます。椅子や机の高さを見直すだけで、姿勢は大きく変化します。特に骨盤の角度を意識して座ることが重要です。

枕や椅子の高さの不適合

睡眠中や座っているときの姿勢も、首に大きな影響を与えます。高すぎる枕、合っていない椅子の高さは、首の自然なアライメントを崩します。睡眠時の姿勢が悪いと、寝起きに首が固まったような感覚になることもあります。体格に合った寝具選びは、ストレートネック対策において見落とせないポイントです。

今すぐできるストレートネック解消ストレッチ

ストレートネックの改善には継続的なセルフケアが不可欠です。ここでは自宅でも簡単にできるストレッチ法を3つ紹介します。
参考記事:ストレートネック(スマホ首)の治し方〜寝ながら簡単ストレッチとともに解説〜

頸部ストレッチ

STEP1:耳をゆっくりと肩に近づけ頭を横に倒します。
STEP2:頭をゆっくりと肩の方へ回旋させましょう。
STEP3:顎をゆっくりと胸に近づけ下を向きます。
STEP4:顎をゆっくり上げ、視線を上に向けて頸部を伸展させましょう。

胸張り運動

STEP1:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP2:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。
STEP3:背中を丸め手を前方に出しましょう。
STEP4:胸を張り肩甲骨を寄せるように、手を後ろに引きましょう。

顎引き運動

STEP1:人差し指で顎に触れましょう。
STEP2:顎を引きながら後頭部を後方へ移動させましょう。
STEP3:ゆっくりと戻しましょう。
注意点:頭を傾けないように注意しましょう。

日常生活で意識すべき姿勢改善ポイント

セルフストレッチと並行して、毎日の生活環境を整えることが再発防止につながります。ここでは3つの視点から改善法を紹介します。

スマホの持ち方を変える

スマホを目の高さに近づけて持ち、下を向く時間を減らすことが重要です。休憩時にストレッチを取り入れるのも効果的です。スマホスタンドやタブレットスタンドの活用も、姿勢維持に役立ちます。SNSや動画視聴も、時間を決めて姿勢チェックをすることで、習慣化しやすくなります。

デスク環境の見直し

正しい座り方の画像

モニターの高さは目線と同じ、椅子の高さは肘が90度になるように調整すると、自然な姿勢を保てます。キーボードやマウスの配置も手首が無理のない位置にあることが重要です。リモートワーク環境では、在宅用のワークチェアや昇降式デスクの導入も検討しましょう。

枕の選び方と睡眠姿勢

首のカーブを保てる高さと硬さの枕を選びましょう。仰向けで寝るのが理想ですが、横向きでも首の角度が自然になるよう調整が必要です。枕だけでなく、マットレスの硬さや寝返りのしやすさにも注目しましょう。睡眠の質が上がることで、日中の姿勢保持力も高まります。

参考記事:ストレートネックの原因とは?正しい寝方・枕の高さを理解しよう!

整体・整骨院での治療が必要なケース

セルフケアで限界を感じたときは、整体・整骨院の力を借りるのも選択肢のひとつです。ここではその判断基準と施術例を紹介します。

セルフケアで改善しない場合

ストレッチや姿勢改善を試しても効果が見られない場合は、専門的な施術が必要です。自分では気づきにくい骨格のズレや筋肉のアンバランスを、プロの視点で正確に判断してもらえます。施術後に日常生活での注意点も指導してもらえるのがメリットです。

しびれや強い痛みがある場合

手のしびれや激しい首の痛みは、神経や椎間板の異常が疑われるため、早期の診断と治療が重要です。特に日常生活に支障が出ている場合は、すぐに専門機関を受診しましょう。病院との連携も視野に入れ、早めの対応が大切です。

施術内容の一例

整体・整骨院では、姿勢矯正や筋膜リリース、関節モビリゼーションなどを行い、根本的な改善を目指します。状態に応じて電気治療や鍼灸を併用する場合もあります。施術は個別の状態に応じてプランが組まれるため、まずは問診で詳しく相談することが大切です。

まとめ

ストレートネックは、姿勢と生活習慣の積み重ねによって起こる現代的な症状です。セルフチェックで重症度を確認し、ストレッチや日常の姿勢改善を継続することで、多くは改善が可能です。ひどい痛みやしびれがある場合は、早めに専門機関を受診し、適切な対応を行いましょう。

日々のちょっとした意識と行動が、首や肩の不調を防ぐカギになります。今日からできるストレッチや姿勢の見直しを取り入れて、健やかな毎日を取り戻しましょう。

【参考文献】
1)葉 清規,対馬 栄輝,村瀬 正昭,他:頸椎変性疾患患者におけるMcKenzie法に基づく運動療法の効果とそれに関連する因子,2016;理学療法学第43巻第2号p107-111
2)Carroll LJ, Hogg-Johnson S, van der Velde G, Haldeman S, Holm LW, Carragee EJ, Hurwitz EL, Côté P, Nordin M, Peloso PM, Guzman J, Cassidy JD; Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders. Course and prognostic factors for neck pain in the general population: results of the Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders. Spine (Phila Pa 1976). 2008 Feb 15;33(4 Suppl):S75-82. doi: 10.1097/BRS.0b013e31816445be. PMID: 18204403.
3)Mahmoud NF, Hassan KA, Abdelmajeed SF, Moustafa IM, Silva AG. The Relationship Between Forward Head Posture and Neck Pain: a Systematic Review and Meta-Analysis. Curr Rev Musculoskelet Med. 2019 Dec;12(4):562-577. doi: 10.1007/s12178-019-09594-y. PMID: 31773477; PMCID: PMC6942109.

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桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。