後ろを振り向いたときや頭を傾けたときなどに、首に「ピキッとした痛み」を感じたことはありませんか?
一時的な痛みであれば問題ない場合が多いですが、中には首まわりの組織を痛めているケースもあるため、首まわりの異常には注意が必要です。
本記事では、首がピキッと一瞬痛む原因と、症状にあわせたセルフケアを詳しく解説しています。
予防法についても紹介していますので、首の痛みに不安のある方は、ぜひご参照ください。
首がピキッと一瞬痛むのはなぜ?メカニズムを解説
突然首にピキッとした痛みを感じるのは、以下の2つの原因が考えられます。
- ふとした動きで、首周辺の神経が一瞬伸ばされてしまう
- 硬くなった筋肉が伸ばされたときに、反射的に筋収縮を起こしてしまう
神経が伸ばされたり、筋収縮を起こしたりすることで首に電気が走るような痛みを一瞬生じますが、その場限りですぐにおさまるケースがほとんどです。
しかし、中には首まわりの筋線維や靭帯を損傷してしまったものもあります。急な動作で首まわりの組織を痛めた状態は「ぎっくり首」正式名「急性頚椎捻挫(きゅうせいけいついねんざ)」と呼ばれています。
ぎっくり首では、炎症による痛みが持続するため、症状にあわせて対処を行なっていくことが必要です。
なお、ぎっくり首と似た症状に「寝違え」があります。どちらも首を痛めた状態になりますが、寝違えは「起床時に首に痛みが生じる状態」であり、日常動作の中で痛めるぎっくり首とは分けて考えられています。
参考記事:【首を寝違えたような痛み】突然起きる痛みの原因と対処法を解説!
【要チェック】ぎっくり首のリスクを高める要因
筋肉の凝りが強く、首の動きが硬くなっているほど、ピキッとした痛みを生じやすくなります。
日常生活において、首の緊張を強める要因には、以下のものが挙げられます。
不良姿勢
背中が丸くなった「猫背」の姿勢では、前側にずれた頭部を支えるために、首まわりの筋肉が強く緊張してしまいます。
とくに最近では、パソコンやスマホの操作で自然と前のめりになる機会が増えているため、姿勢への意識が欠かせません。
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
長時間の同じ姿勢
同じ姿勢が長く続くと、筋肉の収縮によって血液を押し出す「筋ポンプ作用」が十分に働きません。それにより首や肩まわりの血行が悪化し、筋肉の凝りが強まってしまいます。
デスクワークやスマホの操作は、長時間の猫背姿勢が続きやすくなるため、注意が必要です。
体の冷え
体の冷えも筋肉を硬くする要因になり得ます。体温を外に逃さないように体表の血管が収縮し、血行が悪くなってしまうためです。
冬場の冷気はもちろんのこと、夏場であってもエアコンや扇風機などの風に長時間直接当たっていると、体が冷えて筋肉が緊張してしまう場合があります。
ストレス
長期的なストレスは、自律神経の乱れを生みます。ストレスによって「交感神経」が優位に働くことで体が緊張状態となり、筋肉の柔軟性を低下させてしまうのです。
精神的なストレスはもちろんのこと、気温や気圧の急な変化なども、自律神経を乱すストレスとなります。
ぎっくり首(首がピキッと一瞬痛む)を起こした際の治し方
首にピキッとした痛みを感じても、症状がすぐに落ち着く場合には、神経や筋肉が一時的に伸ばされた可能性が高いため、大事には至らないケースが多いです。
しかし、ピキッとした痛みを感じたあと、寝違えたときのような症状が続く際は炎症が起きている可能性があります。
筋肉や靭帯を痛めたぎっくり首の疑いがある場合は、患部の状態にあわせて、次のような対処を行なっていきましょう。
痛みが強いときは安静にする
首を動かせないほど痛みが強く出ている場合は、なるべく患部を安静にしてください。無理に動かすと、炎症を強めてしまうかもしれません。
痛みが出る動作や姿勢を避けることはもちろん、この時期は首を動かすストレッチや体操も控えるようにしておきましょう。
炎症がある時期は冷やす
首に熱感がある際は、氷嚢(氷水を入れた袋)などを当ててアイシングしましょう。冷やすことで、炎症や痛みを抑える効果が期待できます。
ただし、冷やしすぎると血行不良を招くおそれがあります。10分程度冷やしたら一度アイシングをやめてみて、痛みや熱感が戻るようであれば再度冷やすを何度か繰り返すようにしてください。
慢性期は温める
多くのケースで、2〜3日を目安に炎症は落ち着いていきます。
「ズキズキとした痛み(急性期)」から「筋肉の凝ったような感じ(慢性期)」に変わりましたら、今度は患部を温めていきましょう。
温めることで血流が良くなり、痛みや凝りもやわらいでいきます。
なお、1週間ほど経過しても「痛みが変わらない」「悪化している」といった場合は、何か病気の可能性が考えられます。原因を特定するためにも、一度医療機関で検査を受けることをお勧めします。
無理のない範囲でストレッチを行う
痛みの様子をみながら、ストレッチで筋肉を伸ばしていきましょう。ストレッチを継続し、首や肩甲骨まわりの柔軟性を高めることで、症状の改善と予防に繋がるケースが多いです。
どのようなストレッチを行えば良いのかは、このあと動画付きで詳しい方法を紹介していきます。
【簡単】ぎっくり首の痛みを改善するストレッチを紹介
それでは、ぎっくり首に効果的なストレッチをみていきましょう。
コツコツ継続することで、ぎっくり首の予防にも役立ちます。ぜひ患部の状態をみながら、実践してみてください。
急性期:胸張り運動
急性期は炎症が出ているため、首を動かすことはなるべく控えてください。しかし、急性期から肩や背中の筋肉をストレッチしておくと、首の緊張もあわせてほぐれやすくなります。
くわえて姿勢の改善にもつながりますので、できる範囲で胸張り運動を行なっていきましょう。
痛みの原因となっている首の筋肉の緊張をほぐしていきましょう。
STEP1:両手を前方へ伸ばしましょう
STEP2:胸を張りながら肩甲骨を内側へ寄せましょう
STEP3:背中を丸めながら両手を前方へ伸ばしましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※顎を引きながら運動を行いましょう
亜急性期:頸部伸展筋ストレッチ
炎症が落ち着いてきたら、徐々に首を動かしていきましょう。
首まわりの血行を良くしていくことで、痛みの早期改善が期待できます。
STEP1:両手を頭の後ろで組みましょう
STEP2:首を前方へ傾けましょう
STEP3:数秒間姿勢を保持しましょう
STEP4:姿勢を元に戻し、繰り返し実施しましょう
※首の後面が伸びるのを感じましょう
慢性期:チンインエクササイズ
首の筋力が弱くなっていると頭の位置を支えられず、顔や顎が前に出た猫背(ストレートネック)へとつながりやすくなります。
姿勢を改善して、首にかかる負担を軽減するためにも、チンインエクササイズで首まわりの筋力を鍛えていきましょう。
STEP1:座った状態で指先を顎につけましょう
STEP2:指先から顎を離すように引きましょう
STEP3:繰り返し実施しましょう
※後頭部を後方へ動かすように意識しましょう
※頭を下げないように注意しましょう
参考記事:首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説
首がピキッと一瞬痛くなる、ぎっくり首の予防法
首のピキッとした痛みやぎっくり首を何度も繰り返すようであれば、日常生活を見直すことが大切です。
首の硬さや痛みを感じやすい方は、以下の点に注意して、ぎっくり首を予防しておきましょう。
正しい姿勢を意識する
首への負担を減らすためにも、背中を伸ばした正しい姿勢を日頃から意識しておきましょう。
顎を軽く引き、頭が天井から引っ張られるようなイメージを持つと、正しい姿勢を無理なく維持できます。
また、姿勢が崩れないよう、デスクワークの環境も一度見直してみてください。パソコン画面を目線の高さにあわせることで、猫背を予防できます。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
長時間同じ姿勢を続けない
同じ姿勢が長く続くと、首や肩まわりの筋肉がこわばってしまいます。そのため、デスクワークやスマホの操作中も、30分から1時間を目安に休憩を入れましょう。
また、休憩中は首や肩を軽く動かしたり、ストレッチしたりして体をこまめに動かすようにすると、筋肉が硬くなることを防止できます。
適度な運動を行う
筋肉の柔軟性を維持するためにも、適度な全身運動を行いましょう。ウォーキングやジョギングなど軽い運動で構いません。
運動はストレスを発散し自律神経を整える効果も期待できるため、無理のない運動を習慣にしておくことをおすすめします。
ストレッチを続ける
痛みや凝りを感じたときに限らず、ストレッチは継続して行うようにしましょう。筋肉をやわらかい状態にしておくことで、ぎっくり首のリスクを軽減できます。
首まわりのストレッチをはじめ、姿勢の改善のためには先ほどご紹介した「胸張り運動」のように、肩甲骨を動かすストレッチや体操も行っておくことがおすすめです。
まとめ
首に一瞬ピキッとした痛みが生じたとしても、一時的なものであることがほとんどです。
ただし、中には筋肉や靭帯などを痛めた「ぎっくり首」が起きている場合もあります。痛みが続いたり、悪化するようであれば、医療機関に受診することをお勧めします。
また、日常生活において頻繁に首を痛めている方は、ストレッチや姿勢の改善をはじめとした予防にも努めておくことをおすすめします。
それでは、当記事があなたを悩ませる首の痛みの改善に役立てば幸いです。
参考文献
2)Rebecca Kim 1,Colin Wiest 1, Kelly Clark 1, Chad Cook 2, Maggie Horn 3