「首の痛みがなかなか治らない」と悩んでいて、腕や手のしびれがある場合は頸椎症(けいついしょう)が原因かもしれません。
実は成人の頭の重さは約4〜6kgになり、普通に生活をしていても大きな負担になります。そのため、頭を支える首(頚椎)には常にストレスがかかり、非常に変形しやすい関節です。
さらに、首の周りには様々な血管・神経が通っていて、首の関節が変形することでこれらの血管・神経に影響を及ぼし、腕や手の痺れを引き起こします。
そこで、当記事では頚椎症による症状を改善するストレッチ方法と、一方でしてはいけないことを解説していきます。最後まで読んでいただければ、頚椎症による痛みやしびれ改善のお役にたてますので、ぜひお付き合いください。
頚椎症における痛みのメカニズムとは?ヘルニアとの違いも合わせて解説
まず、頸椎症の一般的な病態は、加齢などの原因により首の骨が変形することです。
首の骨が変形した結果、首の筋肉や神経に圧迫が生じ、炎症や痛みを引き起こしてしまいます。
一方、骨と骨の間にあるクッションの役割をする椎間板(椎間板)が壊れ、飛び出た中身が神経を圧迫している状態が頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアです。
ヘルニアの場合も、「頚椎の痛み」「腕がしびれる」「力が入らなくなる」などの症状が出ます。
したがって、頸椎症や頚椎椎間板ヘルニアのどちらも似た症状が現れますが、当記事では頚椎症について詳しく解説していきます。
参考記事:頚椎(くび)椎間板ヘルニアの改善に効果的なストレッチ・筋トレ3選を紹介
まずは頚椎症の特徴的な症状を知ろう!
頚椎症は首の骨に変形が起こる病気で、加齢による影響や現代社会のデジタル化、長時間のデスクワークなどが原因で、多くの人が悩まされる病気の一つです。
そのため、一言に頚椎症といっても病態によって現れる症状は違います。
以下より、特徴的な症状を解説していきます。
頚椎の変形による首の痛み
頚椎症の最も一般的な症状は「首の痛み」です。
歳を取ることで頚椎が変形し、周囲の組織を刺激することで痛みが現れます。
また、しびれなどの神経症状が現れていない場合、変形性頚椎症(頸椎の変形)ともいわれることがあります。
両腕に痛み・痺れが起こる頚椎症性脊髄症(けいついしょうせいせきずいしょう)
頚椎症性脊髄症とは、先ほど解説した「変形性頚椎症」が原因で脊髄(せきずい)が圧迫され、痛みやしびれが現れた状態です。
また、腕のしびれや腕や足の動かしにくさ(運動障害)など、より重篤な症状を引き起こすこともあります。
なお、頚椎症性脊髄症は50歳以上の男性に多いと報告されています。1)
片腕に痛み・痺れが起こる頚椎症性神経根症(けいついしょうせいしんけいこんしょう)
頚椎症性神経根症は、頚椎の変形により神経根が圧迫され症状を引き起こします。
主に、首から肩、手指にかけて痛みやしびれ・力が入りにくいなどの症状が引き起こされます。
さらに、症状の多くは片側に見られることが特徴的です。
参考記事:手のしびれの治し方は?原因と症状別の効果的な対処法を専門家がわかりやすく解説!
自宅で簡単!頚椎症に効果的なストレッチを紹介!
それでは、自宅で簡単に行える頚椎症に効果的なストレッチを紹介します。
頚椎症による首の痛みや腕のしびれを改善するためには、日常的なストレッチが大切です。
どれも簡単に行えるストレッチなので、リラックスした状態で試してみてください。
首の筋肉を柔らかくする「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)ストレッチ」
胸鎖乳突筋は首から鎖骨にかけて走る筋肉で、首を曲げたり鎖骨を持ち上げたりする動作に作用します。
そのため、胸鎖乳突筋が硬くなることで、首の可動域が制限されたりストレートネックや猫背姿勢を引き起こします。結果的に首や背中への負担が大きくなり、痛みを引き起こしやすくなることも。
よって、筋肉を柔らかくし首への負担を減らしていきましょう。
STEP1:片手で肩を抑えましょう
STEP2:首を斜め後方へ反らしましょう
STEP3:数秒間姿勢を保持しましょう
STEP4:首の前面が伸びるのを感じましょう
※痛みに注意しながら行いましょう
参考記事:首が前に出る姿勢(ストレートネック)の原因は?ストレッチや筋トレでの治し方を解説
背骨の姿勢を正す「胸張り運動」
猫背や長時間のデスクワークなど悪い姿勢を長時間続けることは、首に大きな負荷をかけることになります。
僧帽筋中部繊維(そうぼうきんちゅうぶせんい)を鍛え、胸を開いて正しい姿勢を保つ「胸張り運動」は、頚椎症の痛み緩和に有効です。
簡単にできるストレッチですので、ぜひ試してみてください。
STEP1:仰向けとなり両手を真横へ広げましょう
STEP2:両膝を閉じたまま片側へ倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:腰の伸びを感じながら実施しましょう
※肩が床から離れないように注意しましょう
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
首を正しい位置に修正する「上位頸椎屈曲運動」
首の前面にある筋肉は、頭を支える役割も担っています。
そのため、首の前面にある筋肉が弱まると4〜6kgある頭を支えることができず、頭が前に出るような姿勢となり首への負担が大きくなります。
また、頭が前に出るような悪い姿勢で長時間過ごすことにより、首の痛みや手のしびれなど悪化させることもあるのです。
そこで、「上位頸椎屈曲運動(じょういけいついくっきょくうんどう)」で首の筋力を強化して、首にかかる負荷を軽減していきましょう。
STEP1:両肘をついたうつ伏せ姿勢になりましょう
STEP2:顎を軽く引きましょう
STEP3:頭を後方へ引くイメージで運動を行いましょう
STEP4:繰り返し実施します
※首が丸まらないように注意しましょう
マッサージはしてもいいの?頚椎症でしてはいけないこと
先ほど、自宅で簡単にできる効果的なストレッチ方法の紹介をしました。
しかし、頚椎症で痛みやしびれが出ている時にやってはいけないこともあります。
これから紹介する項目は、場合によっては症状を悪くさせる可能性もあるので注意しましょう。
自己流のマッサージはやめよう
頚椎症の場合、マッサージすることは避けた方がよいです。
ここまで解説してきたように、頚椎症は頚椎の変形によって神経が圧迫されたり、筋肉の炎症が起こっている状態。つまり、マッサージを行うことで変形した頚椎がより神経を圧迫したり、血流がよくなることで、かえって炎症を助長してしまう可能性があります。1)
場合によっては症状が重症化するケースもあるため、注意が必要です。
首に痛みが生じる運動は控えよう
首の痛みを大きくする運動は避けるべきです。
とくに、激しい運動や長時間同じ姿勢での作業は、症状を悪化させる恐れがあります。
ただし、適度な運動は血液循環を良くしたり、筋肉を強化することで症状の緩和につながります。
痛みのない部分のストレッチなど行える範囲で実施していきましょう。
日常生活の悪い姿勢に気をつけよう
日常生活での悪い姿勢も、頚椎症の症状を引き起こす原因の一つです。
とくにパソコンやスマートフォンを使用する場合、前かがみの姿勢や頭が前方に突き出した姿勢になりがちです。これらの姿勢は首の筋力低下を招き、頚椎への負荷につながることで痛みや症状がより悪くなる可能性もあります。2)
そのため正しい姿勢を心がけ、画面に向かい合う時間を調整しましょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
参考記事:首が痛い時の楽な寝方とは?姿勢別に負担の掛からない方法をポイント解説
まとめ
今回は、頚椎症の原因と症状を改善するストレッチの解説をしていきました。
まず頚椎症は、頚椎の変形によって首に痛みを引き起こしたり神経を圧迫して、しびれを引き起こす病気です。
また、ストレッチは首周りや背中周りなどをほぐすことで、症状の緩和に効果があります。
しかし、自己判断によるマッサージは症状がより悪くなる場合もあるため注意しましょう。
他にも、日常の姿勢が原因となって症状が悪くなることもあるため、正しい姿勢を保つことも大切です。
それでは当記事が、あなたの痛み緩和に役立つことを願っています。