「なぜか片側の腰だけ痛い」
「片方のおしりから足にかけて重だるさがある」
あなたはこのような悩みをお持ちではないですか?
仕事や家事・育児など、腰痛の原因につながる機会は日常にあふれています。そして普段の生活習慣やちょっとしたクセが腰痛の原因になっていることも。
こういったさまざまな腰痛のなかで、当記事では左側や右側だけ(片側)で腰痛が起きてしまう原因について解説していきます。最後まで読んでいただければ、片側だけ痛い腰痛の原因や対処方法が身につき、痛みの軽減につながるでしょう。
ぜひ最後までお付き合いください。
片側だけ痛い腰痛の原因3つ
腰痛にはさまざまな要因や症状があり、検査を受けても原因を断定できるものは少ないです。1)
まずは症状から考えられる、片側の腰だけが痛い原因を3つ解説していきます。
自身に当てはまる症状を探してみましょう。
おしり・下半身の痛みが出現【椎間板ヘルニア】
まず腰の痛みだけでなく、おしりや下半身にも痛みが出ている場合、「腰椎椎間板ヘルニア」の可能性が高いです。
では椎間板ヘルニアとはどのようなものなのでしょうか?まずはより病態の理解を深めるため、椎間板について簡単に説明していきます。
私たちの身体は、背骨によって支えられているというのはあなたもご存知でしょう。
そして背骨は頭を支えるための頸椎(けいつい)から胸椎(きょうつい)、腰を支える腰椎(ようつい)など24個の骨が積み重なってできているのです。
これらの骨と骨の間には、私たちが日々の生活で受ける衝撃を緩和するクッションが存在しています。
そのクッションの役割を持つ軟骨が、椎間板(ついかんばん)と呼ばれているのです。椎間板は老化や重労働による負荷などで、変形してしまう場合があります。
そして変形した腰椎椎間板の一部が飛び出してしまい、神経にふれ痛みを引き起こしている状態が腰椎椎間板ヘルニアです。
多くの場合、飛び出した椎間板は片側の神経を圧迫する程度の大きさです。そのため片側の足がしびれたり、片側の腰が痛くなります。
以下の症状が当てはまる場合、腰椎椎間板ヘルニアの可能性が高いです。
- 腰や背中に激しい痛み・しびれを感じる
- 片側の足だけにしびれるような痛みがある
- 尿が出にくくなったり、便秘がちになっている
参考記事:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!
参考記事:【腰椎椎間板ヘルニア】やってはいけないこと5つ!予防に効果的なストレッチも紹介
腰を片側に反らした時に痛い【椎間関節性腰痛】
背骨にある関節に問題が生じ、痛みを引き起こすのが「椎間関節性腰痛」です。
椎間関節とは連なっている椎体を上下で連結している関節を指します。そして、腰を反らす動きやひねる動きによって関節面が圧迫され、負担が大きくなるのです。
特に腰椎の椎間関節は腰を曲げたり伸ばしたりは得意ですが、ひねる動作は苦手です。そのため無理に腰をひねったり、片側に負担のかかる動きを繰り返していると腰の痛みにつながります。
以下の項目が当てはまる方は、椎間関節への負荷が原因である可能性が高いです。
- 片側の腰に激しい痛みがある
- 背骨から2〜3cm外側を押すと痛い
- 腰を反らせたり、後に振り返る動作で痛みが増す
参考記事:【症状別】腰を反らすと痛い場合の対処法を3分で解説
腰を中心に重だるい痛み【筋筋膜性腰痛】
背骨周囲に存在する筋肉に問題が生じ、痛みが引き起こされるのが「筋・筋膜性腰痛」です。
腰の片側だけが痛む場合、日常生活や仕事で片方の腰に負担をかける癖がついている可能性があります。片側の腰を頻繁に動かしたり、同じ方向にひねる・反るなどの動きをしていると背中の筋肉が疲労し、片側の腰が痛くなるリスクが高まるのです。
また座りっぱなしなど活動量が低下すると、体幹にある筋肉が弱くなります。それにより正しい姿勢を維持する事が難しくなるため、腰痛が起こりやすくなるのです。
以下の症状が当てはまる方は、筋・筋膜性腰痛のリスクが高いです。
- 長時間の同じ姿勢や同じ方向にひねる動きが続くと痛む
- ピンポイントではなく広い範囲で痛みが出る
- どちらかの筋肉を押すと痛みがでる
参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!
参考記事:長時間の座り過ぎは要注意!腰痛悪化の原因と対策を紹介
参考記事:立ちっぱなし腰痛はなぜ起こる?痛みの原因や立ち仕事が楽になるストレッチを紹介
片側だけ痛い腰痛には内臓が影響している可能性も?
さて片側だけ痛い腰痛で考えられる原因を解説しましたが、当てはまる症状は見つかりましたか?
しかし骨や筋肉以外にも、痛みを引き起こしている原因が隠れているかもしれません。
「安静にしていても常に痛みを感じる」
「マッサージしても効果はみられずなかなか治らない」
このように感じる腰痛がある場合、それは内臓に問題がある可能性もあります。
ここからは、腰痛の原因として考えられる内臓の病気を3つ解説していきますので、自身に当てはまる症状があるか確認してみてください。
参考記事:【ズキズキ】右腰後ろの強い痛みに要注意!危険な腰痛を見分ける方法を解説
参考記事:【重だるい】右腰の後ろの鈍痛はなぜ起こる?原因と対処法について解説!
腎臓が影響する病気
腎臓(じんぞう)とは、腰より上の背中側に位置している臓器です。
背骨を挟んで左右にひとつずつあり、そら豆のような形をしています。腎臓は血中の老廃物を排泄するために、尿を生成する役割を担っています。
では腎臓が腰痛を引き起こす病気とは、どのようなものがあるか解説していきましょう。
尿路結石
1つ目は尿路結石と呼ばれる病気です。
尿路結石とは、腎臓でつくられた小さな石が尿管につまってしまうことで起きる病気になります。
特に若い男性に多くみられ、左右どちらかの背中〜腰に強い痛みがでるのが特徴です。
また深夜や早朝など突然痛みがでることもあり、「世界三大激痛」とも呼ばれています。
腎盂腎炎
2つ目は腎盂腎炎(じんうじんえん)と呼ばれる病気です。尿路結石に比べると、聞き馴染みがあまりないかもしれません。
腎盂腎炎とは腎臓の細菌感染症で、若い女性や高齢の人に多くみられる病気です。
高熱や左右どちらかの、背中〜腰に重たいような痛みが出るのが特徴です。通常、腎盂腎炎と診断された場合は、抗生物質の投与と安静が基本となります。
しかし無理をすると重症化することもあるので、注意が必要です。
胃が影響する病気
胃が原因で腰痛を感じてしまう病気には、急性胃炎というものがあります。
まず胃とは口から食道を通って入ってきた食べ物が蓄えられる袋のような臓器で、消化の第1段階が行われるところでもあります。
急性胃炎の原因は、ストレスや刺激を与えるような食べ物の暴飲暴食など、胃への負担が大きくなると発症しやすいです。
そして胃の粘膜に急性の炎症が起こり、突然の痛みや吐き気などの症状が現れるのが特徴です。
また多くの場合はみぞおち付近に痛みが現れますが、問題が生じた場所によっては背中や左脇腹付近などにも痛みを引き起こします。
主に急性胃炎は2〜3日軽い症状が続くものもありますが、症状が強く何度も繰り返すケースもあります。
決して自己判断はせず専門の医療機関を受診しましょう。
膵臓が影響する病気
最後に、膵臓(すいぞう)が腰痛に影響する急性膵炎(きゅうせいすいえん)について解説します。
まず膵臓とはお腹の上かつ胃の後ろ側になる細長い臓器です。血糖値を調整するホルモンの分泌や、食べ物を消化させる分泌機能の働きを担っています。
通常、膵臓から分泌される消化酵素は、膵臓内では作用しないよう安全に働いています。
しかし、何かしらの原因でこの安全機能が働かなくなり、膵臓が自己消化を始めてしまうケースがあります。
急性膵炎とはこの自己消化により、発症する病気をさすのです。
急性膵炎の最も多い初期症状は上腹部の激痛ですが、膵臓は背中に近い側に張り付いているため、急性膵炎が起こると腰痛が引き起こされます。
他にも嘔気・背部痛・黄疸等の症状があり、重症化すると呼吸不全・神経症状・重症感染症等の危険な症状が見られることもあります。
片側だけ痛い腰痛は要注意!日常の生活習慣と動きの癖
片側だけ腰が痛くなる場合には、身体の病気だけでなくそれを引き起こしている、生活習慣や癖が大きく関係します。しかし生活習慣やクセというものは無意識に行っているので、自分では気がつきにくいもの。
そこでここからは、日常生活で注意するべき生活習慣と動きについて解説していきます。
無意識に行っているあなたの習慣やクセを見つけ、腰痛予防・改善につなげていきましょう。
片側のみ足を組んでしまう癖
椅子に座っているとき、足組みをしてしまう人も多いのではないでしょうか。モデルや芸能人も、テレビでかっこよく足を組んで座っている姿を目にしますよね?
実はこの姿勢は腰にあまりよくない座り方なのです。
では脚を組んだ姿勢が身体には、どういった影響が出てしまうのでしょうか。
まず足を組むことによって骨盤の傾きに左右差が生じ、骨盤と連動している腰椎の姿勢も悪くなります。その結果、腰周りの筋肉や骨に負担がかかり、片側の腰痛につながる可能性が出てきます。
左右どちらか組みやすい方があると思いますので、注意するようにしましょう。
家族との食事で体を毎回片側へ向けている
家族と食卓を囲む時、いつも同じ席に座っていませんか?
たとえば自分の右側に家族がいる席で食事をしていると、右に体をひねって会話をすることが増えます。そうすると右側の腰に体重がかかり、負担が大きくなるのです。
腰をひねるという動きは小さな負荷に感じますが、何ヶ月・何年と繰り返し負荷をかけ続ければ気がつかないうちに大きな負担に変わります。
日常の定位置を見直して席替えをしてみたり、テレビや机の配置を変えてみるなど工夫してみましょう。
重労働で毎回同じ方向へ物を運ぶ
重いものを持つ仕事をしている人は、腰痛を引き起こしやすいです。
特に中腰や前かがみの姿勢は、まっすぐ立っている姿勢と比べ腰にかかる負担が大きくなるのです。それに加え、毎回同じ方向へ荷物を運ぶとなれば片側の腰へより負担は大きくなります。
そうなれば腰の筋肉は硬くなり、ある日突然腰痛が引き起こされます。
そのため重たいものは分担して軽くしたり、運ぶ方向を変えるなど工夫しましょう。
【対処法】片側だけ痛い腰痛のおすすめストレッチ方法
それでは片側だけに現れる腰痛の対処法を解説していきます。
紹介するのは、3種類のストレッチと運動です。
どれも簡単にできるものなので、朝起きて活動する前や1日の終わりにリラックスした状態で行うことをおすすめします。
四つ這いでの背中・脇腹のストレッチ
このストレッチでは、背中の後面にある広背筋(こうはいきん)や、脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)の緊張を和らげることができます。
重労働や正しい姿勢の保持のために、緊張してしまった筋肉をストレッチすることで、筋肉が原因となる腰痛の痛みを和らげることができます。
特に痛みが出ている側の腰痛をしっかりと伸ばしましょう。
STEP1:両腕をつき斜め側方へ両手をつきましょう
STEP2:手をついたまま体を後方へ動かしましょう
STEP3:ゆっくりと元の姿勢にもどし、繰り返します
STEP4:脇の下の伸びを感じながら行いましょう
※痛みのない範囲で行いましょう
股関節付け根のストレッチ
次に股関節の付け根にある、腸腰筋(ちょうようきん)の緊張を和らげるストレッチを解説します。
腸腰筋は股関節の前面を経由し、腰椎まで伸びている筋肉です。
そのため腸腰筋が硬くなると腰椎の動きが制限され、反り腰など腰への負担につながります。
腸腰筋の硬さに左右差がある場合は、どちらか一方の腰に負担がかかっている可能性もあります。
より伸ばされる方を中心にストレッチを行っていきましょう。
STEP1:片膝立ちの姿勢になりましょう
STEP2:前方の足に体重をのせましょう
STEP3:元の姿勢に戻り、繰り返し実施しましょう
STEP4:股関節の付け根の伸びを感じながら実施しましょう
※腰が反らないように注意しましょう
背骨の運動
最後に紹介する運動は、腰痛予防や姿勢改善に効果的な脊柱(背骨)の運動です。
背骨が硬くなることで猫背姿勢となり、腰痛が引き起こされやすくなってしまいます。
この運動は、肩甲骨周りや脊柱・股関節全体を連動させることで、可動域を広げていくことを目的としています。
痛みのない範囲でストレッチと合わせて行いましょう。
STEP1:四つ這い姿勢となります
STEP2:肩甲骨を寄せながら背中を反らせます
STEP3:1〜2の動きを繰り返し実施しましょう
STEP4:背中をなるべく大きく動かしましょう
※肘が曲がらないよう注意しましょう
まとめ
今回は片側だけ痛い腰痛の原因と対処法を解説しました。
腰痛は日常の生活習慣や癖により、知らない間に腰に負担がかかり発症する場合もあります。そのため当記事でお伝えした運動やストレッチを参考にしていただき、同時に生活習慣の見直しも行っていきましょう。
反対に、思わぬ病で腰痛が引き起こされているケースもあります。腰痛以外の症状も確認し、不安な時は専門の医療機関を受診しましょう。
それでは当記事があなたの痛み解消のお役にたてれば幸いです。
参考文献
1)厚生労働省 腰痛対策
2)千葉俊美. “急性胃炎, 急性胃粘膜病変.” jmed mook 40 (2015): 73-75.