左下腹部が痛い!考えられる病気と今すぐできる対処法

左下腹部の痛みは、ちょっとした体調の乱れから、大きな病気のサインまで原因がさまざまです。「我慢していいのか、すぐ病院に行くべきなのか」と判断に迷う方も多いでしょう。

本記事では、左下腹部の痛みに隠れているかもしれない病気注意すべき症状、今すぐできる対処法について、具体的にわかりやすく解説します。体の異変に気づいたとき、早めに正しい行動が取れるよう、ぜひ参考にしてください。

左下腹部の痛みとは?どんな症状に注意すべきか

お腹が痛くておさえる女性の画像

左下腹部の痛みの特徴や、放置すべきでないサインについて、わかりやすく解説します。

左下腹部の痛みの一般的な特徴

左下腹部に痛みや違和感を感じる場合、まず注目すべきは痛みの性質です。鋭い痛み、鈍い痛み、圧痛、あるいはチクチクする感覚など、痛み方によって原因が異なります。特に、日常生活に支障をきたすような痛みや、長期間続く違和感は注意が必要です。

また、痛みの出方もポイントです。食後に悪化する、安静にしていても改善しない、あるいは特定の動作で悪化するなど、状況に応じた変化も原因を絞る手がかりとなります。

参考:左脇腹がズキズキ痛むのはなぜ?考えられる病気と自宅での対処法を解説
参考:脇腹がつるのはなぜ?正しい対処法と効果的なストレッチ方法を紹介

チクチク・ズキズキする痛みの特徴とは

左下腹部でチクチク、ズキズキするような痛みを感じる場合、比較的軽度な炎症や神経痛が疑われることが多いです。チクチクした鋭い感覚は、筋肉や神経の軽い損傷、あるいは腸の一時的なけいれんによるものかもしれません。ズキズキと脈打つような痛みが続く場合は、炎症や感染症の可能性も視野に入れるべきです。

ただし、数日で自然に治まる程度なら大きな問題はないケースもあります。しかし、痛みが強くなったり、発熱を伴ったりする場合には、早めに医療機関を受診するべきです。

鈍痛・押すと痛い場合の注意点

左下腹部を押すと痛みを感じる、または常に鈍痛が続く場合には、内臓疾患の可能性が高まります。特に、腸や膀胱、大腸周辺の炎症が原因であることが多く、放置すると症状が悪化する恐れがあります。

押すと痛みが強くなる症状(圧痛)がある場合、大腸憩室炎や炎症性腸疾患などが疑われることもあります。また、急な鈍痛が続く場合は、血流障害による虚血性疾患など、命にかかわる状態も想定しておく必要があります。

軽い違和感や鈍い痛みでも、症状が長引くようであれば軽視せず、医師の診断を受けることが大切です。

考えられる消化器系の病気

左下腹部の痛みを引き起こす代表的な消化器系の病気について、それぞれの特徴や注意点を紹介します。

便秘による左下腹部の痛み

トイレにいる女性の画像

便秘は、左下腹部の痛みの最も一般的な原因の一つです。特に食後に腹部の張りや痛みを感じる場合、腸にガスや便が溜まって圧迫されることが原因となっています。

便秘による痛みは、鈍い圧迫感や時折生じるチクチクした痛みが特徴です。水分不足、食物繊維の摂取不足、運動不足、さらにはストレスも大きな要因となります。食後に悪化するケースも多いため、規則正しい食生活と腸内環境の改善を意識することが重要です。

ただし、長期間便秘が続く場合や、激しい腹痛や吐き気を伴う場合は、他の深刻な疾患が隠れている可能性もあるため注意が必要です。

大腸憩室炎や腸閉塞のリスク

左下腹部の痛みが急激に悪化した場合、大腸憩室炎の可能性が考えられます。大腸憩室炎は、大腸の壁にできた小さな袋(憩室)が炎症を起こす病気で、主に中高年に多く見られます。

症状は、鋭い痛みと共に、発熱や吐き気、場合によっては便秘や下痢を伴うこともあります。炎症が進行すると、腸閉塞を引き起こすリスクもあり、腸が完全に詰まってしまうと緊急手術が必要になることもあります。

特に、押すと強い痛みが出る、発熱が続く場合には、速やかに医療機関を受診すべきです。早期対応により、合併症を防ぐことができます。

大腸がん・虚血性腸炎など重篤な疾患も

左下腹部の痛みの背景には、まれに大腸がんや虚血性腸炎といった重篤な病気が潜んでいることもあります。大腸がんは、初期段階では自覚症状が乏しいため、便秘や便通異常、血便といったサインを見逃さないことが大切です。

また、虚血性腸炎は、大腸への血流が一時的に低下して起こる病気で、突然の激しい腹痛とともに、血便を伴うことが特徴です。高齢者や動脈硬化リスクの高い人に多く見られます。

これらの疾患は、早期発見・早期治療が命を守るカギになります。腹痛とともに体重減少や血便が見られた場合には、迷わず専門医を受診してください。

婦人科系・泌尿器系の病気にも要注意

特に女性に多い婦人科疾患や、男女ともに注意すべき泌尿器系疾患について、それぞれの特徴を解説します。

女性特有の疾患による左下腹部痛

女性の場合左下腹部の痛みは婦人科系の病気が原因であることも少なくありません。子宮内膜症、子宮筋腫、卵巣囊腫などが代表的な疾患です。

子宮内膜症は、本来子宮内にあるべき組織が他の場所で増殖する病気で、生理時以外にも下腹部に鈍痛や違和感を感じることがあります。子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、大きくなると周囲の臓器を圧迫し、慢性的な痛みや月経異常を引き起こします。卵巣囊腫も初期は無症状なことが多いものの、サイズが大きくなると強い痛みを伴うことがあります。

さらに、卵巣の茎がねじれる「卵巣茎捻転」は、突然の激しい痛みと吐き気を伴う緊急性の高い状態です。急な激痛が現れた場合、直ちに救急受診が必要となります。

尿路系トラブルに注意!

泌尿器系のトラブルも、左下腹部の痛みの原因となります。特に注意すべきは尿路結石と膀胱炎です。

尿路結石は、腎臓や尿管にできた石が尿の流れを妨げることで激しい痛みを引き起こします。痛みは突発的で、波のように強弱を繰り返すのが特徴です。また、血尿や排尿時の痛みを伴うこともあります。

膀胱炎女性に多く頻尿や排尿時の痛み、そして下腹部の鈍痛を伴います。特に、排尿後に痛みが残る場合や、尿が濁ったり血が混じったりする場合には、早めの治療が重要です。これらの泌尿器系の疾患も、放置すると感染が広がり腎臓にまで影響を及ぼすリスクがあるため、早期の対処が必要です。

今すぐできる!痛みのセルフケアと受診の目安

症状が軽い場合に自宅で試せるセルフケアの方法と、医療機関を受診すべきサインについて紹介します。

自宅でできるストレッチとリラックス法

左下腹部の軽い痛みや違和感であれば、まずはセルフケアを試してみるのも有効です。特に、腸の動きを促進する簡単なストレッチやリラックス法が役立ちます。

膝抱えストレッチ

STEP1:仰向けに寝て両膝を抱えましょう
STEP2:腰を丸めるようにお腹に引き寄せます。腰の伸びを感じましょう。
STEP3:ゆっくりと元の姿勢に戻ります。

この運動では腸の動きを促進し、腹部のガス溜まりや張りを和らげる効果が期待できます。

ヒップロール

STEP1:仰向けになり両手を横に広げ、両膝を90度に曲げましょう。
STEP2:両膝をくっつけたまま横に倒しましょう。
STEP3:元の姿勢に戻りましょう。
注意点:倒す際に肩が浮かないように注意しましょう。

腹部を優しくねじることで、内臓への血流が促進され便秘による違和感緩和にも効果的です。

CAT & DOG エクササイズ

STEP1:四つ這いになりましょう。
STEP2:背中を反り肩甲骨を寄せましょう。
STEP3:背中を丸めて肩甲骨を広げましょう。
注意点:肘が曲がらないように注意しましょう。

息を吸いながら背中を反らせ(犬のポーズ)、吐きながら背中を丸め(猫のポーズ)ます。この動きを繰り返すことで、腹部の筋肉を優しく刺激し、腸の働きを活発にします。

こんな症状が出たらすぐ受診を

病院を受診をしている女性の画像

左下腹部の痛みが以下のような症状を伴う場合は、早急に医療機関を受診してください。

  • 高熱(38度以上)が続く
  • 血便、黒色便が出る
  • 吐き気や嘔吐を伴う
  • 激しい痛みで動けない
  • 痛みが数日間改善しない
  • 排尿時の強い痛みや血尿がある

これらは、消化器系の重篤な病気や、泌尿器系、婦人科系の緊急疾患の可能性を示唆します。自己判断で放置すると、症状が悪化して回復に時間がかかる場合があります。

なお、どの診療科を受診すればよいか迷った場合、まずは内科」や「消化器内科」を選択するのが基本です。婦人科系が疑われる場合は「婦人科」、尿路系の症状が強い場合は「泌尿器科」の受診を検討してください。

受診時には、症状の経過や痛みの場所、どのようなきっかけで痛みが出たかなどをメモして持参すると、診断がスムーズになります。

まとめ

左下腹部の痛みには、便秘などの軽い原因から、大腸憩室炎や大腸がん、婦人科系・泌尿器系の重大な疾患まで様々な可能性があります。

軽い痛みでも長引く場合や、発熱や血便を伴う場合は、速やかな受診が必要です。セルフケアも有効ですが、異常を感じたら早期に専門医に相談することが重要です。

体のサインを見逃さず、健康管理に役立てましょう。

【参考】
1)大腸がん 国立がん研究センター
2)緊急手術を要した宿便性イレウスの1例,荒木 政人, 角田 順久, 飛永 修一, 國崎 真己, 岩崎 啓介, 石川 啓

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