ぎっくり背中を見分ける症状チェックリスト!ぎっくり腰との違い・要注意の病気も解説

突然の痛みが背中に現れる症状が「ぎっくり背中」です。

ぎっくり背中への対処法はさることながら、その前に「ぎっくり背中の見分け方を知りたい」と思う方も多いのではないでしょうか。ある程度ぎっくり背中だと見当がつけば安心ですし、適切な処置が行えます。

そこで当記事では、ぎっくり背中の見分け方を中心に解説します。「ぎっくり腰」との違いや、注意すべき病気についてもお話ししました。

最後まで目を通すことで、ぎっくり背中で現れる症状を把握でき、見分けやすくなるでしょう。

この痛みはぎっくり背中?見分けるための症状チェックリスト

ぎっくり背中で悩む女性

さっそく、ぎっくり背中の見分け方を解説します。

ぎっくり背中で見られる症状や痛み方の特徴をご紹介しますので、自身が当てはまるものはないかチェックしながらご覧ください。

参考記事:ぎっくり背中の治し方は?どうしたら楽になるの?原因と対処法について専門家が解説!

①寝違えのような激痛が急に現れた

まず、「痛みの感じ」と「痛みが現れたタイミング」に着目しましょう。

いわゆる「寝違え」に似た激痛が、急に背中に現れた場合、ぎっくり背中である可能性が高いです。ぎっくり背中の主な原因は、寝違えと同様に筋肉や筋膜の損傷です。

運動不足や悪い姿勢によって筋肉への血流が悪くなった結果、筋肉が伸び縮みできずに傷がつくことで激痛が現れます。ゆえに、寝違えにも似た背中の激痛が突然発生すると考えられます。

②身体を捻った・背伸びをした時に痛みが出た

どういった場面で痛みが現れたか、「痛みが出た瞬間」にも着目してみてください。

「背中の後ろにあるスイッチを押そうとした」「戸棚の物を取ろうと背伸びをした」など、背中を捻る・背伸びをする瞬間にぎっくり背中を発症するケースが多いです。

③腕の痛み・手のしびれがある

ぎっくり背中では、肩から腰にかけて付く背中の筋肉が痛みます。したがって、場合によっては、肩とつながっている腕の痛みも現れるのが特徴です。

筋肉の損傷が大きく重症の場合は、手のしびれが現れるケースもあります。

④くしゃみや咳をすると背中が痛む

ぎっくり背中になった後に「どういった動作をすると痛む」のかもチェックしましょう。

ぎっくり背中では、くしゃみや咳をすると背中が痛みます。くしゃみや咳の衝撃を受け止めようと、背中の筋肉が緊張するからです。

⑤息を吸う時に痛みが出る

ぎっくり背中では呼吸時にも痛みが出やすく、息苦しさ感じる方も少なくありません。

とくに息を吸う時に肩周辺にかけて痛みが出やすいです。息を吸う際に横隔膜(ドーム状の薄い膜)が収縮して、肩周りの筋肉も緊張するからです。

ぎっくり腰とぎっくり背中の違いとは?

ぎっくり腰かぎっくり背中か見分けにくい痛み

ぎっくり背中と名前が似ている症状が「ぎっくり腰」です。一般的には、ぎっくり腰のほうが知名度が高いと言えるかもしれません。

どちらも「ぎっくり」と付くだけに、ぎっくり背中とぎっくり腰の違いを知りたい方もいるでしょう。

両症状とも「突然激痛が現れる」という点は共通していますが、痛む部位が異なります。ぎっくり背中は胸の裏あたりを中心に痛むのに対し、ぎっくり腰は腰周辺が痛みます。

なかには、ぎっくり背中かぎっくり腰なのか見分けにくいケースも。

とはいえ、ぎっくり背中とぎっくり腰の対処法は似ているので、それほど厳密に区別する必要はないでしょう。

参考記事:これってぎっくり腰!?腰椎捻挫の症状と自分でできるリハビリ方法をわかりやすく解説!
参考記事:【ぎっくり腰】即効では治らない!1日でも早く治す適切な対処法を解説!

注意!ぎっくり背中に似た症状が現れる病気かも

背中に痛みが現れる症状(病気)は多いです。なかには、ぎっくり背中に似た重篤な症状も存在します。

例えば、「気胸(ききょう)」(肺に穴があく病気)や「背骨の骨折」内臓の病気」などです。

もし「ぎっくり背中ならそのうち痛みは引くから」と我慢してしまうと、重篤な病気を見逃してしまう可能性も出てきます。

したがって、背中の痛みに対しては十分注意しましょう。

参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説
参考記事:背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法

痛み以外の症状の有無を確認しよう

ぎっくり背中とその他の病気を見分けるために、痛み以外の症状の有無をチェックしてみてください。

ぎっくり背中の場合、基本的には背中の痛みと関係する症状(腕の痛みや息を吸った時の痛みなど)が現れます。

対して、内臓に関連する病気では、痛みの他に発熱や食欲不振、だるさなどを併発するケースがほとんどです。

背中の痛みが改善しない場合は病院を受診すべき

もし、「痛み以外の症状がある」「痛みが一向に改善しない」といった場合はすぐに病院を受診してください。

たとえ背中の痛みが比較的軽度であっても、早めにお医者さんに診てもらうに越したことはありません。

症状(病気)の改善には、早期発見が大切です。痛みをそのままにせず、早めの対処を心がけるべきです。

ぎっくり背中を早く改善するための対処法

ここから、ぎっくり背中を早く改善するために有効な対処法を紹介します。

痛みが強い場合はまず安静にして過ごし、痛みが引いてきた段階で以下より紹介するセルフケアを実践してみてください。

ストレッチを続ける

ぎっくり背中を改善するには、ストレッチがとくに効果的です。筋肉をじっくり伸ばすことで血流が改善され、痛みの早期改善が期待できます。

では、即効性が高いおすすめのストレッチを紹介します。

1つ目は「ヒップロール」です。

ヒップロール
STEP1:仰向けとなり両手を真横へ広げましょう
STEP2:両膝を閉じたまま片側へ倒しましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※腰の筋肉の伸びを感じながら実施しましょう
※肩が床から離れない様に注意しましょう

 

このストレッチによって、背中の後ろに付く「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」が柔らかくなります。

2つ目は「菱形筋(りょうけいきん)ストレッチ」です。

菱形筋ストレッチ
STEP1:両手を繋いで前方へ伸ばしましょう
STEP2:お腹を覗き込みながら背中を丸めましょう
STEP3:数秒間姿勢を保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
※背中の後面が伸びるのを感じながら行いましょう

 

両手を前方に伸ばし、背中を丸めることで、肩の後ろにつく「菱形筋(りょうけいきん)」を伸ばせます。

どちらのストレッチも自宅で気軽に実践できるので、ぜひ継続してみてください。

参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介

セルフマッサージを行う

背中の痛む部位をセルフマッサージすることもおすすめです。血流が改善し筋肉がほぐれるので、痛みの早期改善につながります。

ただし、痛む部位を強くもみほぐすと、炎症が広がって逆効果になりかねません。したがって痛む部位の周りを、優しくもみほぐすことを心がけてみてください。

背中に手が届かない場合は、フォームローラー(転がすことで筋膜を伸ばす器具)やテニスボールを使ってほぐすのがおすすめです。

ぎっくり背中に効くツボ

ぎっくり背中に効く「ツボ」を刺激するのも効果的です。腕や脚など背中から離れた部分にぎっくり背中に効くツボが存在するので、2つご紹介します。

1つ目は「雲門(うんもん)」です。

鎖骨の下の縁(ふち)を腕の方向に滑らせ止まった部位に位置します。腕を前方に上げた際にできる窪み(くぼみ)を目安にしてみてください。

肩周辺の不調に効くほか、呼吸時に作用する「大胸筋(だいきょうきん)」を緩める効果も期待できます。したがって、ぎっくり背中の緩和にも役立つでしょう。

ぎっくり背中に効くツボ「雲門(うんもん)」

2つ目は「帯脈(たいみゃく)」です。

おへそから外側向けて指を水平に滑らせ、ややへこんでいる場所(いわゆる「くびれ」)に位置します。

こちらのツボを優しく刺激することで、上半身を緩めることが可能です。ぎっくり背中の早期改善につながるでしょう。

ぎっくり背中に効くツボ「帯脈(たいみゃく)」

生活習慣を見直す

普段の生活の中で、気づかないうちに背中へ負担をかけている可能性があります。

不規則な生活による睡眠不足になっていたり、ジャンクフードばかり食べたり、こういった生活習慣の乱れが身体の負担を強め、結果的にぎっくり背中につながることも考えられます。

ぎっくり背中の改善はもちろん、予防のためにも一度ご自身の生活習慣を見直してみましょう。

寝る姿勢・就寝環境に注意する

就寝時の姿勢にも注意しましょう。寝ている間に背中の筋肉に負荷がかかるケースもあります。とはいえ、就寝時に姿勢を意識するのは難しいのも事実。

背中への負担を減らすために、普段使っているマットレスや枕を見直してみてください。「自然に寝返りが打てるか」「硬すぎず柔らかすぎないか」こういった点をチェックし、合っていないようなら交換を検討しましょう。

ご自身に合うマットレスや枕を使うことで、就寝中でも自然と負担が少ない姿勢をキープできます。

なお、ぎっくり背中になった直後は、背中への負担を減らすために横向きで寝るのがおすすめです。

猫背・反り腰を矯正する

普段の姿勢が崩れていると、ぎっくり背中になりやすいです。

とくに「猫背」「反り腰」は背中へ負担をかけるので、早めに矯正することをおすすめします。

「ホームで電車を待っている時」「座ってパソコン作業を行っている時」などに、背中が丸まったり反りすぎたりしていないか注意を払ってみてください。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
参考記事:反り腰を改善!原因から治し方を簡単なストレッチをまじえ解説

適度な運動を心がける

運動不足によって背中の筋肉の血流が悪くなり、ぎっくり背中につながるケースもあります。

空き時間を使って、適度な運動を心がけましょう。ランニングや軽い筋トレでも十分効果があります。

ぜひ、運動を継続してみてください。

市販の鎮痛剤を服用する

ぎっくり背中の痛みが強い場合は、市販の鎮痛剤の服用を検討してみてください。

市販の鎮痛剤は、薬局やドラッグストアで販売されているので、足を運んで選んでみましょう。購入する際は、ぎっくり背中に効く鎮痛剤について薬剤師に話を聞くことがおすすめです。

参考記事:寝違えに湿布は効果ある?首の痛みを早く治すための対処法や予防法も解説

まとめ

急に背中が痛くなれば、「原因不明の病気では?」と焦ってしまうのも無理はありません。そのような時も冷静な判断を心がけてみてください。

本文で紹介した内容を参考に、ご自身の痛みがぎっくり背中であるか見極めてみましょう。もちろん痛みが強い場合や不安な場合は、すぐに医療機関を受診してください。

当記事が、あなたの役に立てば幸いです。

【参考文献】
1)一般社団法人日本呼吸器学会:気胸

2)日本ペインクリニック学会:IV-D 筋・筋膜性疼痛症候群
3)日本ペインクリニック学会:III-D 筋・筋膜性疼痛症候群
4)日本骨折治療学会:骨粗鬆症による脊椎圧迫骨折