多くの方が経験する不調の1つが「肩こり」です。
肩こりは決して侮れません。悪化するとさまざまな別の不調につながる可能性もあります。症状の程度によっては早めにケアする必要があるでしょう。そこで目安になるのが、肩こりの重症度です。
当記事では、肩こりの重症度をチェックする方法や、おすすめのケア方法を詳しく解説します。最後まで目を通すことで、あなたの肩こりの進行具合や、取り組むべきセルフケアがわかるでしょう。
ぜひお役立てください。
あなたの肩こりの重症レベルは?さっそくチェックしてみよう
肩こりの重症度は思いのほかわかりにくく、外見に現れるものでもなければ、「触ってすぐわかる」ものでもありません。
したがって、「肩を動かせる範囲」「肩こりが現れる頻度」「肩こりとともに現れる症状の有無」などを確認するのがおすすめです。
そこで以下より、肩こりの重症レベルをチェックする項目を用意しました。5つのチェック項目のうち、3つ以上当てはまる場合は肩こりがかなり重症化していると考えられます。
ご自身に当てはめながらご覧ください。
①肩を上げにくい(可動範囲が狭い)
まず、肩の可動範囲を確認してみてください。肩周りの筋肉が凝り、硬くなることで肩が上げにくくなります。簡単にできる肩周りの硬さチェック方法を紹介しますので、試してみてください。
まず壁を背にして立ち、両手を前に出して両肘を曲げます。ここから、両肘をつけて、天井方向に上げてみましょう。もし、両肘が鼻のラインまで上がらない場合、肩こりが重症化している可能性があります。
なお、肩の痛みが強く腕を背中側に回せない場合、肩こりではなく「五十肩・四十肩」かもしれないので注意が必要です。
参考記事:五十肩(肩関節周囲炎)を早く治す方法とは?痛みの改善に効果のあるストレッチや体操を紹介
②肩を動かすと「ゴリゴリ」音がする
肩を動かした時に、「ゴリゴリ」と音が鳴っていませんか?こういった音は、肩周りの筋肉や腱が凝り固まり、骨と擦れることで発生します。
したがって、音そのものはそこまで危険ではありませんが、肩こりが重症化しているサインの1つだといえます。
参考記事:肩甲骨を回すとゴリゴリ鳴る!正体は筋肉のコリ?音の原因や解消法を詳しく解説
③いつも肩が凝っている気がする
肩こりに悩んでいない方でも、曇った日や疲れた日には肩の痛み・重だるさを感じるものです。ただし、天候や疲労に関係なく、常日頃から肩こりを感じる場合、重症化が進んでいる可能性があります。
なお、「肩の痛みがまったく減らない」「指すような鋭い痛みがある」「日が経つにつれて痛みが増す」といった場合は、重篤な病気が隠れているケースが考えられるので注意してください。
④指先にかけてしびれがある
手の指先にかけて現れる「しびれ」も、肩こりが重症化しているサインの1つです。筋肉がこり固まった結果、神経にまで影響が出ていると考えられます。しびれを放置すると、手の感覚も鈍くなるおそれがあるので注意しましょう。
そして、手のしびれが出ている場合、肩こりがかなり悪化しているとお考えください。
参考記事:手のしびれの治し方は?原因と症状別の効果的な対処法を専門家がわかりやすく解説!
⑤頭痛・吐き気がする
肩こりの重症化が進むと、頭痛や吐き気が現れるケースがあります。
頭痛が現れるのは、肩こりが悪化し、首の筋肉まで凝るのが理由です。そして、肩こりと吐き気の関係に関しては不明点があるものの、肩周りの筋肉が緊張することで首の嘔吐中枢を刺激していると考えられます。
したがって、頭痛や吐き気が現れている場合、早めの処置が必要だとお考えください。
参考記事:肩こりで吐き気が起こる原因とは?辛い肩こりを解消できるストレッチやツボを解説
肩こりの重症化が進むとどうなる?
肩こりを放置すると、ますます重症化が進むことが予想されます。そうなると、肩の痛みや重だるさが増してしまうでしょう。肩こりが慢性化し、「肩が凝っていない状態を忘れてしまった」なんてことにもなりかねません。
また肩こりの重症化が進むことで、首や腰など他の部位へ痛みが広がってしまう可能性もあります。先述した「頭痛」もその1つです。
肩こりが自然に改善するケースはほとんどないので、放置するのは避けましょう。
放置はダメ!まずは整形外科の受診がおすすめ
先ほども少し触れたように、重篤な病気が原因で肩こりが重症化している可能性も考えられます。そして、詳しい原因については医療機関でなければ診断できません。
したがって肩こりが重症化していると思われる場合、まず病院(整形外科)を受診してください。
病院での検査によって肩こりの原因が判明すれば、どういった対処法を講じるべきなのかもわかるでしょう。
ひどい肩こりを改善する!簡単セルフケアを紹介
ではここから、ひどい肩こりに効くセルフケアを紹介します。
以下より紹介するセルフケアを続けることで、肩こり改善につながるのはもちろん、肩こりの重症化を防ぐことも可能です。
簡単に実践できる方法ばかりなので、さっそく始めましょう。
参考記事:肩こりを一瞬で治す方法とは?ストレッチやマッサージで辛い肩こりを解消する方法!
肩周りのストレッチ
肩こりを改善するために、とくに有効なのは肩周りのストレッチだといえます。
筋肉を伸ばしたり関節を動かしたりすることで、肩周辺の筋肉が緩み、血流が改善します。肩の可動範囲も広がるでしょう。
では、おすすめのストレッチをいくつか紹介します。
1つ目は「僧帽筋上部線維ストレッチ」です。
STEP2:もう一方の手で肩を抑えます
STEP3:首を斜め前方に倒しましょう
STEP4:元の姿勢に戻ります
STEP5:繰り返し実施しましょう
※肩の上が伸びるのを感じながら行ってみてください
STEP2:片側のお尻に重心を乗せ反対側へ体を傾けましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※脇腹の伸びを感じながら行ってみてください
※傾ける側と反対側のお尻にしっかり重心を乗せましょう
STEP2:反対側の腕を使い引き寄せます
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※肩の後面の伸びを感じながら行ってみてください
※腕を床と平行に挙げることを意識してみてください
肩の筋力トレーニング
肩周りの筋力トレーニングも肩こり改善に効果的です。
筋トレを行うことで、筋肉のポンプ作用によって血流が良くなります。また姿勢を改善する効果もあります。
筋トレを始めるにあたって特別な器具は必要ありません。では、簡単にできる筋トレを紹介します。
1つ目は「オーバーヘッドシュラッグ」です。
STEP2:指先を天井に伸ばし肩甲骨を伸ばします
STEP3:力を抜き肩甲骨を下げます
STEP4:繰り返し実施しましょう
※肩甲骨を大きく動かしながら行ってみてください
STEP2:万歳をしたまま壁から手を離しましょう
STEP3:ゆっくり戻します
STEP4:繰り返し実施しましょう
※肘が曲がらないように注意して行ってみてください
普段の姿勢を矯正する
「猫背」「ストレートネック」「巻き肩」など、姿勢の崩れも肩こりの重症化につながります。悪い姿勢を続けることで、肩への負担が増すからです。
ぜひ、ご自身の姿勢をチェックしてみましょう。気づかないうちに姿勢が崩れているかもしれません。とくにスマホ使用時やパソコン作業中に姿勢が崩れがちなので注意してみてください。
先ほど紹介したストレッチや筋トレを続けつつ、頭が前に出過ぎないように意識するのがおすすめです。頭の位置に注意するだけで、肩への負担を減らせるでしょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
参考記事:巻き肩を治す方法はある?効果的な寝方やグッズの使い方・おすすめストレッチを解説
生活習慣を見直してみる
生活習慣が肩こりの重症化につながるケースも多いです。
たとえば、ショルダーバッグを長時間同じ側の肩にかけていませんか?あるいは、肩周りがきつく感じるほどタイトな服を着てはいないでしょうか。
普段使用しているアイテムが、肩こりと関係している可能性もあります。
また睡眠時間が短かったり、栄養が偏った食事を摂ったりしている場合も要注意です。睡眠不足や栄養不足は身体を緊張させ、肩こりを悪化させてしまいます。
生活習慣を見直すことは容易ではありませんが、ぜひ一度見直してみてください。
肩こりはどのくらいで改善する?
肩こりが改善するまでの期間については、一概にいえません。
ただし、重症度が高いほど改善までに時間を要することが予想されます。肩の痛みや重だるさが気にならなくなるまで、数か月かかるケースも多いです。
長い目で見ながら、コツコツセルフケアを続けましょう。
まとめ
肩こりが軽い場合はまだしも、症状が悪化するとしびれや吐き気が現れることがあります。したがって症状の程度にかかわらず、肩こりを放置するべきではありません。
ぜひ、本文で紹介したセルフケア方法を実践してみてください。きっと肩こりが軽くなり、快適に生活できるはずです。
それでは当記事が、少しでもあなたのお役に立てば幸いです。
【参考文献】
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2)Linda J Carroll 1, Sheilah Hogg-Johnson, Gabrielle van der Velde, Scott Haldeman, Lena W Holm, Eugene J Carragee, Eric L Hurwitz, Pierre Côté, Margareta Nordin, Paul M Peloso, Jaime Guzman, J David Cassidy; Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders:Course and prognostic factors for neck pain in the general population: results of the Bone and Joint Decade 2000-2010 Task Force on Neck Pain and Its Associated Disorders
3)Joseph D Zuckerman 1, Andrew Rokito:Frozen shoulder: a consensus definition
4)Julie Freischlag 1, Kristine Orion:Understanding thoracic outlet syndrome
5)永関 慶重1) 永関 一裕2):緊張型頭痛の疫学と肩こり頭痛の成因分類