『首の付け根にゴリゴリした塊がある。』
『首を回した時にゴリゴリする感覚があるのはなぜだろう。』
と気になったことがある方も多いはず。
首の付け根や肩のゴリゴリは首こり・肩こりの原因になり、放置すると頭痛や吐き気につながる可能性があるのです。そこで重症化する前に対処することで、こりや痛みを防ぐことができます。
当記事では、ゴリゴリ解消に向けた効果的なストレッチを3つ紹介します。当記事を参考にすることで、首の付け根や肩のゴリゴリの改善に役立てていただければ幸いです。
ぜひ最後までお付き合いください。
首の付け根・肩がゴリゴリする音の正体とは?
ゴリゴリと鳴るものの正体は、こり固まった筋肉の線維同士がこすれたり、縮こまった筋肉が関節の間に挟み込まれる時に発生する音です。
そしてこりは筋肉の血流が悪くなったり、緊張状態が続いたり、収縮回数が減ることで起こります。
こりが発生する原因は?
首の付け根・肩周りのゴリゴリする音の正体がわかったところで、こりが発生する原因についてさらに詳しく解説します。
姿勢の悪さによる影響
猫背や頭が前に出ているような不良姿勢は、首や肩周りの筋肉に大きな負荷を与えることに。
これは首や肩の筋肉が重たい頭を支えているため、常に収縮状態となり疲労を蓄積させるのです。その結果、筋肉がエネルギー不足となり収縮回数は減るため、こり固まる原因となります。
長時間のスマホやパソコンの使用による影響
スマホやパソコンを使用していると前かがみの姿勢になり、首や肩の筋肉が緊張状態になります。
さらに長時間にわたると筋肉への負担が大きくなり、収縮回数が減ることでこりが発生するのです。
同じ姿勢が続いていると感じたら、こまめに首や肩を動かすと良いでしょう。
運動不足による影響
運動不足では全身の血液循環が悪くなり、筋肉へ運ばれる酸素量は減少します。
そして、筋肉が柔軟に動くために必要な酸素が足りなくなるので、筋肉は硬まりやすくなるのです。
特にウォーキングなどの有酸素運動が足りていないと、筋肉のこりを引き起こしやすい身体になってしまいます。首や肩周りだけでなく全身の運動も重要なのです。
ストレスによる影響
実はストレスによる自律神経の乱れが、こりを引き起こします。なぜなら、ストレス状態では自律神経のうちの一つである交感神経が強く働き、筋肉を緊張させるからです。1)
さらに交感神経は血管を過剰に収縮させ、血流の悪化につながるため、こりを引き起こします。
放置は危険?首の付け根・肩のゴリゴリが引き起こす体の不調
それでは首の付け根や肩のゴリゴリを放置してしまうと、どのような症状が起こるのかを以下に解説していきます。
肩の痛み
肩周りの筋肉がゴリゴリする際、多くのケースで肩の痛みを伴います。なぜなら、筋肉がこり固まると血流が悪化し、痛みを感じる原因となる物質が発生するためです。
人の身体は痛みを感じると、さらに血管や筋肉を過剰に収縮させる仕組みがあります。そのため、ゴリゴリと音がした場合は肩の痛みが強くなる前に対処していきましょう。
また肩のゴリゴリと痛みが伴う際に、こりと勘違いしやすいのが胸郭出口症候群です。
胸郭出口症候群では、首や肩周りの神経が圧迫されるため、痛み以外に腕や指先のしびれを引き起こしたり、手の細かい動きが行いにくいなどの症状が現れます。2)
そこで、痛み以外の症状が続く場合は、医師の診察を受けた方が良いでしょう。
参考記事:肩甲骨を回すとゴリゴリ鳴る!正体は筋肉のコリ?音の原因や解消法を詳しく解説
首の痛み
肩の場合と同様に、首の付け根のこりが悪化すると、首の痛みにつながります。
特にストレートネックの方は、首の筋肉に大きな負担が掛かるため、コリが悪化し痛みを伴うケースが多いです。
さらに、コリや猫背や頭が前に出ているような悪い姿勢を放置することで、首の背骨(頸椎)が変形し、痛みを引き起こす可能性もあります。
参考記事:ストレートネックの原因とは?正しい寝方・枕の高さを理解しよう!
参考記事:頚椎症で効果があるストレッチ&してはいけないことを解説
頭痛
頭痛は日常的に起こりやすい症状です。中でも頭の筋肉が緊張することで起こる緊張型頭痛には多くの方が悩まされ、締め付けられるような痛みが生じます。
緊張型頭痛は、首の後ろ側にある筋肉がこり固まった結果、頭痛に関係している神経が圧迫され起こります。3)
そのため慢性的な頭痛には、首のゴリゴリを改善することが解決の糸口になるかもしれません。
自律神経失調症
首や肩の筋肉がこり固まると、自律神経のうちの一つである副交感神経の働きが低下し、自律神経失調症を引き起こす可能性があると言われています。
自律神経失調症とは、自律神経のバランスが乱れ、動機やめまい、全身倦怠感などの症状を生じる症状のことです。
どのようなメカニズムで首や肩のこりが自律神経に影響を及ぼすかは、未だはっきりと解明はされていません。しかし、肩こりの治療を行うことで自律神経失調症の症状を改善できたという報告もあります。
首の付け根・肩のゴリゴリを治すために意識したい日常生活のポイント
ゴリゴリする音を放置すると、様々な症状を引き起こすことがわかりましたね。ここでは、首の付け根・肩のゴリゴリを治すために日常的に意識したいポイントを解説します。
長時間のスマホやPCの使用を避ける
長時間にわたりスマホやPCを使用しないために、
- スマホアプリの使用時間を制限する設定へと変更する
- 仕事中はタイマーを設定し、30分に一度は首・肩周りのストレッチを行う
以上のような工夫をすることで、こりを予防しましょう。
正しい姿勢を意識する
普段から猫背姿勢になっている方は、常に首や肩周りの筋肉が過負荷状態になっているため注意が必要です。
正しい姿勢のチェックポイント
- 横から見た時に、肩の真上に耳があるか
- 肩が内側に巻いていないか
以上のポイントを意識して姿勢を正しながら生活することで負担が軽減し、ゴリゴリが解消します。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
水分をしっかり摂る
身体の水分が足りなくなると血流が滞り、筋肉の収縮に必要な酸素が行き渡らなくなってしまいます。その結果、収縮する回数が減り、こりを発生させることに。
よって十分な血流を促し、柔軟性のある筋肉を保つためには、水分をしっかり摂ることが重要なのです。
仮に成人男性が安静にしていても、1日に1.2Lの水分摂取が理想的です。運動をしたり夏場の暑さで発汗量が増えた時には、さらに多くの水分を摂る必要があります。5)
湯船につかる
湯船につかることで血行が良くなり、筋肉の緊張を和らげます。6)
筋肉のこりを改善させる入浴方法としては、以下の通りです。7)
- 全身浴の場合は、40度のお湯に10分間
- 半身浴の場合は、38度のお湯に20分間+肩へのシャワー浴を3分間
日常の入浴の際に、ぜひ取り入れてみてください。
首の付け根・肩のゴリゴリからくるこりを一瞬で治す方法はあるのか
ゴリゴリを一瞬で解消する方法があるなら知りたいと思う方も多いはず。
しかし、こりが発生する原因は先ほど解説したように、日頃の生活習慣が影響しているため、即時に治す方法はありません。
そのためこりを解消するには、日常的に正しい姿勢を意識して過ごすことや、こまめなストレッチの実施をおすすめします。
簡単にできる!首の付け根・肩のゴリゴリ改善に効果的なおすすめストレッチ3選
ここでは、ゴリゴリの原因となるこり解消ストレッチを紹介します。
どれも座ったまま簡単にできるストレッチなので、こまめに行なっていきましょう。
僧帽筋ストレッチ
長時間のデスクワークなどで不良姿勢が続くと、首の付け根や肩に負担が掛かり、ゴリゴリを引き起こす原因になります。
特に、僧帽筋は血流が滞りやすい血管の構造になっているため、こりやすい筋肉なのです。5)そのためストレッチで柔軟性を高め、血流を促進していくことで首の付け根や肩のゴリゴリを解消する効果があります。
STEP1:片手を後方へ回しましょう
STEP2:もう一方の手で肩を抑えましょう
STEP3:首を斜め前方へ倒しましょう
STEP4:元の姿勢に戻ります
※肩の上が伸びるのを感じながら行いましょう!
広背筋ストレッチ
ゴリゴリを引き起こす長時間のスマホやPCの使用では、前かがみ姿勢や巻き肩が続き、背中の筋肉(広背筋)の硬さを引き起こしています。
広背筋ストレッチを行い正しい姿勢で過ごす時間を増やすことで、首や肩周りの筋肉をゆるめていきましょう。
STEP1:両手を繋いで万歳しましょう
STEP2:片側のお尻に重心を乗せ反対側へ体を傾けましょう
STEP3:姿勢を元に戻します
STEP4:繰り返し実施しましょう
※反対側のお尻に重心をのせて行うことがポイントです!
胸張り運動
胸を張る動きでは猫背を改善し、緊張している筋肉を緩められます。
さらに僧帽筋の中部線維が鍛えられ、肩甲骨を安定させることができ、正しい姿勢が身につきます。
STEP1:両手を前方へ伸ばします
STEP2:胸を張りながら肩甲骨を内側へ寄せましょう
STEP3:背中を丸めながら両手を前方へ伸ばします
STEP4:繰り返し実施しましょう
※顎を引きながら運動を行いましょう!
まとめ
今回は首の付け根や肩にあるゴリゴリの原因と解消法について解説していきました。
ゴリゴリの正体であるこり固まった筋肉は、血流を改善し筋肉の柔軟性を向上させることで解消することが多いです。
そこで今回は、こりを解消するために効果的なストレッチを3つ紹介しました。座りながらでも簡単に行えるので、ぜひ日常の中に取り入れてみてください。
それでは本記事が、あなたのゴリゴリを改善するのにお役立ていただけますと幸いです。
参考文献
1)兵頭正義:肩こり.日良自律4号 :97ー109
2)公益社団法人 日本整形外科学会
3)山口智:鍼治療が瞳孔反応に及ぼす影響.日温気物医誌 1995;58(4):232-240
4)Takayoshi Matsui:Cervical muscle diseases are associated with indefinite and various symptoms in the whole body.European Spine Journal volume29,2020:1013-1021
5)「健康のため水を飲もう」推進運動:厚生労働省
6)鎌田孝一:肩こりとつきあう.順天堂医学 2008;54 359-362
7)東京ガス株式会社都市生活研究所:「肩こりと入浴」ー肩こり緩和に効果的な入浴法ー