ふくらはぎに筋肉痛のような痛みを感じ、原因がわからず悩む方も多いのではないでしょうか。
本記事では、ふくらはぎの痛みの原因を深掘りし、自宅でできるセルフケア方法や予防策をご紹介します。
最後まで読み進めることで、痛みの原因を明確にし、適切に対処するための手助けになれば幸いです。
ふくらはぎに筋肉痛のような痛みを感じる原因とは?
ふくらはぎが筋肉痛のように痛む場合、その原因はさまざまです。両脚もしくは片脚どちらかに痛みが出る場合や、妊娠中の女性に症状が見られるケースもあります。
症状の程度によって、医療機関にかかる必要がある場合もあるので、主な原因を詳しく解説していきます。
1. 運動や歩きすぎによる筋肉疲労
ウォーキング、ハイキングなど、長時間ふくらはぎの筋肉を使う運動を行うと、筋肉繊維が微細な損傷を受け、炎症が起こります。その結果、筋肉痛のような痛みを感じることがあります。
特に急に強い運動をした場合や片足に負荷が集中した場合は、ふくらはぎの筋肉が疲労を蓄積しやすく、痛みが数日続くこともあります。
運動の頻度や強度を調整し、徐々に負荷を上げていくことが筋肉疲労による痛みを防ぐポイントになるので、運動内容を今一度見直してみましょう。
2. 血行不良やむくみ
長時間のデスクワークや立ち仕事により、ふくらはぎの血流が悪くなり、筋肉が固くなると片足または両足に痛みが出やすくなります。
ふくらはぎは「第二の心臓」と呼ばれ、脚の末端の血液を心臓へ送り戻すポンプの役割を担っているため、血行不良になるとむくみやだるさ、さらに筋肉痛のような痛みにつながることがあります。
予防のためには、こまめな休憩と軽いストレッチや歩行を挟むことが効果的でしょう。
3. 肉離れや軽度の筋損傷
ふくらはぎに急な力が加わると、筋繊維が断裂して肉離れが起きることがあります。軽度であっても筋肉が損傷しているため、筋肉痛と似た痛みを感じる場合があります。
肉離れは、スポーツ中だけでなく、つまずきや階段の昇降などの日常動作の中で起こることもあります。
痛みや腫れが続く場合は無理をせず安静を心掛け、アイシングなどのセルフケアを行っても症状が和らがない場合は、医療機関を受診しましょう。
参考:肉離れを早く治すコツとは?痛みの原因に効くストレッチやマッサージ・食べ物を解説
参考:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介
参考:【肉離れの治し方】痛みを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説
4. 下肢静脈瘤や血栓症などの血管系の疾患
ふくらはぎの痛みが頻繁に起こる場合、下肢静脈瘤や血栓症といった血管系の疾患の可能性も考えられます。下肢静脈瘤では、片足または両足の血流が滞ることで血管が拡張し、筋肉痛のような痛みを引き起こすことがあります。
また、エコノミークラス症候群のように、血栓がふくらはぎで詰まると、腫れや強い痛みを感じる場合があります。ふくらはぎが腫れたり色が変わったりする症状がある場合は、速やかに受診が必要になります。
5. 坐骨神経痛、脊柱管狭窄症などの神経由来の痛み
坐骨神経痛は、腰からお尻、ふくらはぎにかけて通る坐骨神経が圧迫されることで、痛みやしびれを引き起こす状態です。腰や太ももにも痛みやしびれが現れる場合、坐骨神経痛の可能性があるため、セルフケアの実施をしても改善しない場合は専門医の診察を受けることをお勧めします。
また、脊柱管狭窄症は脊髄が通る脊柱管が狭くなることで神経が圧迫され、腰や脚に痛みやしびれ、筋力低下が起こります。立っているときや歩いているときに症状が悪化し、座って休むと楽になることが特徴です。
この症状が進行すると、歩行困難や腰痛がひどくなることがあるためこれらの症状に当てはまる方は早期に医療機関を受診し、治療を行うことが大切です。
参考:坐骨神経痛でやってはいけないことは?つらい症状を軽くする簡単ストレッチも紹介!
参考:【要注意】脊柱管狭窄症でやってはいけないことは?自宅で出来るストレッチも解説!
6. 妊娠による身体の変化
妊娠中は身体にさまざまな変化が起こり、ふくらはぎや腰に痛みを感じる場合があります。主な原因として、姿勢の変化と血流の変化があります。
姿勢の変化による神経の圧迫
妊娠に伴い、腹部の膨らみによって姿勢が変わり、腰や背中への負担が増加します。この姿勢の変化により、坐骨神経や脊柱管が圧迫され、ふくらはぎに痛みやしびれを生じることがあります。定期的に姿勢を調整し、軽いストレッチを行うことで負担を和らげることが効果的です。
血流の変化
妊娠中は子宮の圧迫やホルモンの影響で下半身の血流が悪くなり、ふくらはぎにむくみや痛みを感じることがあります。こまめに足を動かしたり、休息中に足を高い位置に置くことで、滞った血流を改善する効果があります。
ふくらはぎに痛みを感じたら放置はNG!早めに対処することが大切
ふくらはぎに痛みを感じても、「ただの疲れだろう」とそのまま放置していませんか?
痛みの原因によっては、放置することで症状が悪化するリスクもあるため、早めに対処する重要性と、病院で受診すべき症状の目安について説明します。
痛みを放置するリスクとは?
ふくらはぎの痛みが筋肉疲労や軽い筋肉痛の場合、数日で回復することもありますが、慢性的な痛みを感じる場合は放置すると痛みが長引き、慢性化するリスクがあります。また、下肢静脈瘤や血栓症、坐骨神経痛が原因の場合、治療が遅れると症状が悪化し、手術が必要になることもあります。原因を突き止め、早めに対処することが大切です。
病院で受診すべき症状のサイン
ふくらはぎの痛みに加えて、腫れや熱感、皮膚の変色がある場合は、血栓症や血管の病気が疑われます。また、腰やお尻からふくらはぎにかけてのしびれがある場合は坐骨神経痛の可能性もあるため、整形外科等での診察が推奨されます。早期に診察を受けることで、適切な治療を受けられます。
自宅でできる!ふくらはぎの痛みを和らげるセルフケア方法
ふくらはぎの痛みを緩和するためには、日常的にケアを行うことが重要です。ここでは、自宅でできる簡単なセルフケアの方法を紹介します。継続することで、痛みの予防や改善に役立ててください。
また、今回ご紹介するセルフケアは筋疲労による筋肉痛や、血行不良によるむくみに対して効果的な方法です。その他の原因が疑われる場合は、1度専門の医療機関に受診されることをお勧めします。
血行を良くするマッサージ
ふくらはぎの筋肉を軽くさすり上げたり、手のひらや指を使って優しく揉むことで、血流が促進され、筋肉の緊張を和らげる効果があります。入浴後の温まった状態で行うと、さらに効果的です。痛みを感じない程度に優しく行いましょう。
ふくらはぎのストレッチ
ふくらはぎのセルフケアとして、2種類の運動をご紹介します。これらの運動を行うことでふくらはぎや足首の柔軟性が高まり、痛みの予防にも役立ちます。
STEP1:壁に手をつき片足を前方に出しましょう。
STEP2:前方の膝を曲げ、体重をかけましょう。
STEP3:踵を浮かさないように注意す元の姿勢に戻りましょう。
※踵が浮かないように注意しましょう。
STEP1:膝下にタオルを入れます
STEP2:つま先を伸ばします
STEP3:足首を反ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
3. 冷温療法で筋肉の緊張を和らげる
筋肉痛のような鈍い痛みには温めることが効果的ですが、急性の痛みや腫れがある場合にはアイシングで炎症を抑えることが有効です。急性期には冷やし、筋肉が張っている感覚があれば温めるなど、症状に応じて冷温療法を使い分けると良いでしょう。
4. 弾性ストッキングやサポーターの活用
むくみや痛みが続く場合、弾性ストッキングやサポーターの使用が有効です。これらはふくらはぎに適度な圧ををかけることで、血流が改善され、痛みやむくみの軽減が期待できます。ドラッグストアやインターネットで簡単に入手でき、日常的に着用しやすい点も魅力です。
5. 食事と水分補給で内側からサポート
ふくらはぎの筋肉の回復には、ビタミンやミネラル、特にカリウムを含む食事が効果的です。カリウムはむくみの予防にも役立ち、バナナやほうれん草などに多く含まれています。また、筋肉の疲労回復には水分補給も重要で、日常的にこまめな水分摂取を心がけましょう。
ふくらはぎの痛み予防のためにできること
ふくらはぎの痛みを予防するためには、日常生活での習慣も大切です。以下に、日頃から気をつけたいポイントをまとめました。予防策を取り入れて、ふくらはぎの痛みを未然に防ぎましょう。
1. 定期的なストレッチと軽い運動
ふくらはぎの筋肉を柔軟に保つために、1日に数回、ストレッチや軽いウォーキングを行いましょう。特にデスクワークや立ち仕事が多い場合、こまめに筋肉を動かすことが、痛みの予防に効果的です。
2. 正しい姿勢を心がける
デスクワークや立ち仕事の際、姿勢が悪いと筋肉に余計な負担がかかり、血流が悪くなりやすくなります。椅子に深く腰掛け、足をしっかり床につけるなど、正しい姿勢を意識することがふくらはぎの痛み予防につながります。
3. 靴の見直し
足に合わない靴は、ふくらはぎに余計な負担をかけます。長時間の歩行や立ち仕事では、足に合ったクッション性のある靴を選び、適切なサイズやフィット感を重視しましょう。また、サポート力のあるインソールを活用するのもおすすめです。
4. 十分な休息をとる
ふくらはぎの痛みや疲労をためないために、定期的な休息を取り、筋肉が回復する時間を確保しましょう。リラックスできる時間を持ち、ストレスの軽減や質の良い睡眠も痛みの予防に効果的です。
湿布を貼ることは効果的?
ふくらはぎの筋肉痛のような痛みに対して、湿布は効果的な場合があります。痛みの原因や症状に合わせて、以下のように湿布を使い分けると良いでしょう。
湿布の種類と効果
冷湿布
冷湿布は炎症や腫れを抑えるのに役立ちます。運動後すぐの筋肉痛や、ふくらはぎが熱を持っている場合は、冷湿布が効果的です。冷却効果により、血流が抑えられ、痛みを和らげることが期待できます。
温湿布
温湿布は筋肉を温めて血流を促進し、筋肉のこわばりをほぐす効果が期待されます。疲労回復や慢性的な痛みに効果的で、筋肉が冷えて硬くなっていると感じる場合には温湿布が適しています。
湿布を使用する際のポイント
使用期間:筋肉痛が数日以内であれば、適切に湿布を貼ることで回復を促せますが、長期間同じ箇所に湿布を続けるのは避けましょう。
使用前後のケア:湿布を貼る前には皮膚を清潔にし、使用後は肌を休ませることが大切です。貼りすぎると肌に負担がかかるため、必要に応じて使用してください。
湿布を使用しても痛みが改善しない場合や、腫れやしびれが続く場合は、他の原因が考えられるので医師に相談することをおすすめします。
まとめ
ふくらはぎの筋肉痛のような痛みの原因と対策について、日常生活で取り入れやすい方法をご紹介しました。適切な対処をすることで症状を和らげることができるため、痛みを感じた際には早めのケアを心がけましょう。気になる症状が続く場合は、医療機関の受診も検討してください。
また、日常的な負担を調整し、ストレッチや運動を実施することで、ふくらはぎの痛みを未然に防ぐことができます。より健康的に過ごすためにも、日頃からのセルフケアを心がけましょう。
【参考文献】
1)日本体育協会スポーツ医・科学研究報告 №Ⅴ 肉離れに関する最新の指針
2)Prevalence of symptomatic lumbar spinal stenosis and its association with physical performance in a population-based cohort in Japan: the Wakayama Spine Study
3)Sports-related muscle injury in the lower extremity