足のすねがつる原因とは?今すぐできる治し方・予防法を徹底解説

夜中に突然訪れる激しい痛み、運動中や歩行中にふいに起こる筋肉の痙攣。足のすねがつるという症状は、多くの人が一度は経験したことがあるはずです。

ふくらはぎではなく「すね」がつるのは意外に思えるかもしれませんが、実はその背景にはさまざまな原因が隠れています。放置しておくと、再発を繰り返すばかりか、日常生活にも支障をきたすおそれがあります。

本記事では、すねがつる原因をわかりやすく解説するとともに、今すぐできる対処法や再発を防ぐための予防策も紹介します。

参考記事:足がつる(こむら返り)の原因が知りたい!すぐできる対処法や予防法を解説

なぜ足のすねがつるのか?考えられる主な原因

脛が痛そうな女性の画像

足のすねがつるとき、多くは筋肉の異常収縮によって起こっていますが、その原因は一つではありません。筋肉の使いすぎや栄養バランスの乱れ、冷え、さらには内科的疾患まで幅広く関連しています。ここでは、代表的な原因を順に見ていきましょう。

前脛骨筋の過緊張|運動・歩行時の使いすぎが影響

すねの外側にある「前脛骨筋(ぜんけいこつきん)」は、足首を持ち上げる動作や歩行時の踏み出しに関与する重要な筋肉です。日常的な歩行、階段の昇降、ランニングなどでこの筋肉が過度に使われると、疲労が蓄積し、筋肉が硬直しやすくなります。

前脛骨筋や他の下腿の筋肉の画像

特に、靴の形状が合っていなかったり、足首を酷使する運動を続けていたりする人は要注意。前脛骨筋の柔軟性が低下し、血流が悪くなることで「つる」症状が起こりやすくなります。運動後や長時間の歩行後にすねがつる場合、この筋肉の過緊張が原因であることが多いです。

水分・ミネラル不足による筋収縮異常

筋肉は、ナトリウム・カリウム・マグネシウムなどの電解質バランスによって正常な収縮と弛緩が保たれています。これらのミネラルが不足すると、筋肉が異常に収縮しやすくなり、つる原因となります。

特に夏場や運動中の発汗で水分やミネラルが失われると、すねやふくらはぎがつりやすくなります。バナナや梅干し、スポーツドリンク(ポカリスエットなど)を活用して、日常的にミネラルを補うことが予防につながります。ダイエットや偏った食生活が原因でミネラル不足になっている人も注意が必要です。

体の冷えや血行不良が引き金に

「布団の中で伸びをしたとたんにすねがつった」という経験がある人も多いでしょう。これは、筋肉が冷えていたり、血行が悪くなっていることが大きな要因です。冷えた筋肉は柔軟性を失い、わずかな刺激でも過剰な収縮を起こしやすくなります。

特に冬場に寒い部屋で寝ている人や夏場に冷房の効いた部屋で寝るている人は、すねが冷えやく、筋肉が緊張しやすくなります。体を温め、血流を促すことが大切です。レッグウォーマーや足湯などの温活も有効です。

糖尿病などの基礎疾患による神経の問題

すねがつる症状が頻繁に起こる、または明確なきっかけがなくても繰り返す場合、糖尿病などの基礎疾患が関係していることがあります。糖尿病性神経障害では、末梢神経が損傷されることで筋肉への信号が乱れ、異常な収縮が引き起こされることがあります。

また、肝機能障害や心疾患腎機能の低下が関係することもあります。「たかが足がつる」と軽視せず、特に中高年で生活習慣病のリスクがある人は、医師の診断を受けることが望ましいです。

すねがつったときの正しい対処法と即効ケア

すねがつったとき、あまりの痛みに驚き、とっさにどう動いてよいか分からなくなることもあります。間違った対処をすると痛みが長引いたり、筋肉を傷めてしまうこともあるため、正しい対処法を知っておくことは非常に大切です。

ここでは、すねがつったときに即効で行えるストレッチやマッサージの方法、逆効果になりやすいNG対応まで、実践的な内容を紹介します。

すねがつったときの正しいストレッチ方法

つった筋肉を無理に引き延ばそうとすると、かえって痛みを増すことがあります。大切なのは、ゆっくりと呼吸しながら、少しずつ筋肉を伸ばすことです。

前脛骨筋ストレッチ

STEP1:片足を対側の太ももにのせましょう。
STEP2:足首をつかみましょう。
STEP3:つま先を伸ばす方向にひっぱり、脛の前の筋肉を伸ばしましょう。
STEP4:元の姿勢に戻りましょう。


また、足の指をしっかり動かすことで、前脛骨筋の緊張がゆるみやすくなります。痛みが軽減してきたら、足首をゆっくり回すのも効果的です。

痛みを和らげるマッサージのやり方

ストレッチの後は、すねの筋肉を優しくマッサージして血流を促しましょう。前脛骨筋のラインに沿って、手のひらでさすったり、指の腹で軽く押すように動かすと効果的です。

特に有効なのは、以下のような方法です。

  • 両手で脛の外側を包み込み、上下にゆっくりさする
  • 親指を使って、筋肉を圧迫せず表面を撫でるように動かす
  • 足首から膝に向かって一方向に流すような動きで血流を促す

マッサージの前に蒸しタオルなどで軽く温めておくと、より筋肉がほぐれやすくなります。入浴後のタイミングもおすすめです。

やってはいけないNG対処法とは?

すねがつったとき、やりがちな間違った対応には注意が必要です。以下のような行動は避けましょう。

  • 強引に足を引っ張ったり、勢いよくストレッチを行う
  • すぐに立ち上がって歩こうとする
  • 痛みがあるのに運動やランニングを再開する
  • 冷えた状態で無理に動かす

これらは筋肉の損傷や二次的な炎症を引き起こす可能性があり、回復を遅らせてしまう原因になります。まずは「落ち着いて深呼吸し、無理のない範囲で伸ばす」ことを心がけましょう。

一度すねがつると、恐怖心から動きが固くなったり、再発しやすくなることもあります。だからこそ、正しい対処法を知っておくことが、安心につながります。

足のすねがつるのを防ぐ生活習慣とは?

バランスの良い食事をする女性

すねがつる頻度が高い人にとって、根本的な予防策を日常に取り入れることが非常に重要です。一時的に痛みを和らげるだけでなく、そもそもつらない体づくりを意識することで、快適な生活を維持できます。

ここでは、食生活、冷え対策など、簡単に取り組める予防法を紹介します。どれも今日から始められる内容なので、ぜひ取り入れてみてください。

水分と電解質のバランスを保つ食生活

筋肉の正常な働きを維持するには、ナトリウム、カリウム、マグネシウムといったミネラルをしっかり摂取することが基本です。特に夏場や運動後は汗とともにこれらが失われやすく、不足すると筋肉の異常収縮が起こりやすくなります。

以下のような食品が効果的です:

  • バナナ:カリウムとマグネシウムが豊富で筋肉の緊張を和らげる
  • 梅干し:塩分(ナトリウム)補給に最適で、水分とのバランスを調整
  • ナッツ類や海藻類:マグネシウムを効率よく摂取できる

また、スポーツドリンクや経口補水液なども、必要に応じて取り入れると良いでしょう。水分だけでなく、「ミネラル入りの水分」を補う意識が大切です。

体を冷やさないための工夫と温活習慣

冷えは筋肉を硬直させる大きな要因の一つです。足元が冷えることで、すねやふくらはぎの筋肉に血流が行き渡らず、つりやすくなります。特に女性や冷房が強い環境で過ごす人は注意が必要です。

予防のためにおすすめなのは以下のような工夫です:

  • レッグウォーマーや靴下を履いて寝る
  • 入浴時は湯船に浸かって体の芯から温める
  • カイロを足首周辺に貼る(就寝前は低温やけどに注意)
  • ショウガや根菜など「体を温める食材」を積極的に取り入れる

また、冷たい飲み物を避け、常温か温かい飲み物を選ぶだけでも体の冷え対策になります。

日々の小さな積み重ねが、足のすねがつる悩みを大きく改善するカギとなります。次のセクションでは、「もしかして病気かも?」と心配なケースに備えた注意点を解説します。

頻繁にすねがつる人は病気のサインかも?受診の目安と注意点

整形外科で脚を診てもらっている画像

「またつった」「最近すねがよく痛む」――そんな頻度の高い足のつりは、単なる筋肉疲労ではなく、体が発している重大なサインかもしれません。特に40代以降の中高年にとっては、生活習慣病や神経系の疾患が隠れているケースもあるため注意が必要です。

ここでは、頻繁にすねがつる人に考えられる疾患と、病院に行くべき症状の判断ポイントを詳しく解説します。

頻繁に足がつる場合に考えられる疾患

すねがよくつる人にまず疑われるのが、糖尿病性神経障害です。糖尿病が進行すると、末梢神経がダメージを受け、筋肉の異常収縮を引き起こすことがあります。すねやふくらはぎに原因不明のしびれや痛み、つりが続く場合には、早期の血糖値チェックが重要です。

その他にも、以下のような疾患が足のつりと関係しています:

  • 肝臓疾患:解毒機能の低下により、電解質バランスが乱れやすくなる
  • 腎機能障害:体内のミネラル排出や吸収に影響し、筋肉異常を引き起こす
  • 甲状腺機能低下症:代謝が低下し、筋肉の柔軟性が失われる
  • 脳梗塞・心筋梗塞の前兆:足のつりが繰り返されることが前兆の一つとなることも

特に、「毎晩のようにつる」「日中も違和感がある」など、繰り返し症状が出る場合は医療機関での検査をおすすめします。

すぐに病院を受診すべき症状とは?

次のような症状がある場合は、すみやかに整形外科や内科などの受診を検討してください。

  • 足に強いしびれを感じる
  • 痛みやつりが片側だけに集中している
  • つりのあとに麻痺のような感覚が残る
  • 頻繁に夜間覚醒するほどの激しい痛み
  • むくみや変色を伴う足の異常がある

つりと一時的な「筋肉のこわばり」は似ていても、神経のトラブルや循環器疾患では、感覚や反応が異なることがあります。「ただの筋肉疲労」と思い込まず、症状の変化を注意深く観察することが大切です。

医療機関では、血液検査や神経伝導検査、超音波検査などを通じて、原因を特定できます。特に高血圧や高血糖の傾向がある人、既往歴のある人は、早めの受診が症状の悪化を防ぐポイントです。

足のすねがつるのは単なる日常の不快症状と思われがちですが、体の内側の異変が現れている場合もあります。繰り返す症状や違和感を見過ごさず、適切な対応を心がけましょう。

まとめ

足のすねがつる原因は、前脛骨筋の使いすぎ、水分やミネラル不足、冷え、基礎疾患など多岐にわたります。一時的な不調と思いがちですが、放置すると再発を繰り返し、日常生活に支障をきたすことも。

正しいストレッチやマッサージ、水分・栄養補給、体を冷やさない生活習慣の見直しが予防のカギです。また、頻繁に症状が出る場合は糖尿病や神経障害などの可能性もあるため、早めの受診を検討しましょう。日常的なケアを取り入れて、すねがつる悩みから卒業しましょう。

【参考文献】
1)中野 英貴,渡辺 秀雄,他:糖尿病患者を対象とした下肢動脈血流波形による末梢神経障害の評価.超音波検査技術,2007,32-4,p413-417
2)馬場 正之,鈴木 千恵子,他:神経伝導検査による2型糖尿病神経障害の重症度分類: 重症度別にみた足病変, 大血管障害および突然死の発生に関する5年間の前向き研究.臨床神経生理学,2018,46-2,p71-77

author avatar
桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。