【保存版】ふくらはぎの肉離れを1日でも早く治すための5つのポイント

運動中や歩行中、突然ふくらはぎに激痛が走り、動けなくなる。そんな経験をしたことはありませんか?

その症状、「肉離れ」である可能性があります。放置して無理をすれば、悪化したり再発を繰り返すリスクも高まりますふくらはぎの肉離れは、初期の対応とその後の回復ケアによって、治癒スピードに大きな差が出る症状です。

本記事では、1日でも早く治すために重要な5つのポイントを徹底解説します。まずは、症状と原因を正しく見極めるところから始めましょう。

参考記事:【肉離れの治し方】痛みを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説
参考記事:肉離れを早く治すコツとは?痛みの原因に効くストレッチやマッサージ・食べ物を解説

まずは正しく見極めよう!ふくらはぎの肉離れの症状と原因

ふくらはぎを気にする女性の画像

ふくらはぎの痛みすべてが肉離れとは限りません。捻挫や筋肉痛との違いを見極め、正確な判断をすることが、早期回復への第一歩です。

このセクションでは、肉離れの代表的な症状と主な原因について詳しく見ていきます。

歩けるけど痛い?ふくらはぎの肉離れの見分け方

肉離れは「筋肉の部分断裂」です。重症度によって症状は異なりますが、軽度の場合は「歩けるけど痛い」という特徴があります。これを筋肉痛や打撲と誤解して、無理に動かしてしまうと症状が悪化してしまいます。

軽い肉離れでは、次のような症状が見られます。

  • 歩行は可能だが、ふくらはぎに張りや違和感がある
  • ジャンプや走行中に「ブチッ」という音や感触があった
  • 押すとピンポイントで鋭い痛みを感じる
  • 時間が経つと腫れや内出血が出てくる

症状が出た時点で、無理に動かさず冷却と安静を優先することが重要です。「歩ける=大丈夫」とは限らないという認識が大切です。

なぜ起こる?ふくらはぎの肉離れの主な原因

ふくらはぎの肉離れは、筋肉への急激な負荷や準備不足が主な原因です。特に中高年や運動習慣のない人に起こりやすく、予防の意識が重要です。

主な原因としては以下のようなものが挙げられます。

  • 筋疲労の蓄積:トレーニングや仕事で筋肉が過剰に使われ、回復が追いつかない
  • 水分・電解質不足:脱水状態は筋肉の弾力性を低下させ、損傷を招きやすくなる
  • 準備運動不足:筋温が低い状態での急な運動は、筋線維の断裂リスクを高める
  • 運動フォームの乱れ:偏った体の使い方が特定の筋肉に負担を集中させる

また、過去に肉離れを経験している場合、再発しやすい傾向があり、慢性的なリスク管理も必要となります。ふくらはぎに痛みを感じたとき、「ただの筋肉痛」と思わず、肉離れの可能性を疑って適切に対応することが、回復を早める鍵です。

Point① 応急処置は「48時間以内」がカギ!RICE処置の正しい方法

応急処置をしている女性の画像

ふくらはぎの肉離れは、発症直後の対応がその後の回復スピードと痛みの度合いに大きく影響します。特に最初の48時間は「急性期」と呼ばれ、この間に適切な処置を行うかどうかで、炎症の広がりや内出血、組織損傷の進行を大きく抑えることができます。

この初期対応の基本が「RICE処置」と呼ばれる4つのステップです。ここでは、それぞれのやり方と注意点をわかりやすく解説します。

冷やす・圧迫・安静の正しいやり方とは?

「RICE」とは、以下の頭文字をとった処置法です。

  • Rest(安静)
    患部を無理に動かさず、できるだけ筋肉を使わないようにします。歩行が必要な場合は、松葉杖やテーピングで補助するのが望ましいです。
  • Ice(冷却)
    患部を冷やすことで炎症と腫れを抑える効果があります。氷嚢や保冷剤を使い、タオル越しに1回15〜20分程度を1日数回行うと効果的です。ただし凍傷の危険があるため、直接肌に当てないようにしましょう。
  • Compression(圧迫)
    弾性包帯などで適度に圧迫することで、内出血の広がりを防ぎます。締めすぎに注意し、就寝時は外すようにしましょう。
  • Elevation(挙上)
    患部を心臓より高い位置に保つことで、腫れや痛みを軽減できます。横になるときは、クッションやタオルを使って足を少し持ち上げるとよいでしょう。

この4つを組み合わせて48時間以内に集中して行うことで、回復の土台を整えることができます。

間違いやすいNG行動にも注意!

応急処置でやってしまいがちな「逆効果の行動」にも注意が必要です。以下のような対応は、炎症や損傷を悪化させるおそれがあります。

  • 温湿布を使う・入浴する
    温めることで血流が促進され、腫れや内出血が広がるリスクがあります。特に発症から48時間以内は、患部を温める行為は避けましょう。
  • 自己判断で無理に動かす
    「少し痛いだけだから大丈夫」と思って歩いたり走ったりすると、筋繊維の損傷が進行し、回復期間が延びてしまいます。軽度の肉離れでも、無理をしないことが鉄則です。
  • マッサージやストレッチをすぐに始める
    急性期に筋肉を刺激すると、炎症が強くなり逆効果になります。リハビリは炎症が収まってから、医師や専門家の指導のもと始めるのが理想です。

応急処置は「やること」だけでなく「やらないこと」も非常に重要です。自己流のケアが症状を長引かせることのないよう、確実に冷却・安静・圧迫・挙上を実施しましょう。急性期を正しく乗り切れば、その後の治癒はぐっとスムーズになります。

Point② 栄養と食事の改善で回復スピードUP

栄養がバランスがとれた食事をする女性の画像

ふくらはぎの肉離れを早く治すためには外からのケアだけでなく、体の内側からのサポート、つまり「食事と栄養」が欠かせません。筋肉が損傷した際、修復には多くの栄養素が必要となり、不足していると回復が遅れるばかりか、再発のリスクも高まります。

このセクションでは、肉離れ回復に効果的な栄養素や食事のポイント、避けた方がよい食べ物について詳しく解説します。

筋肉修復に必要な栄養素とは?

筋肉の再生をスムーズにするには、以下のような栄養素を意識して摂取することが大切です。

  • たんぱく質(プロテイン)
    筋繊維の材料になるたんぱく質は、肉離れ回復に欠かせません。鶏むね肉、卵、大豆製品などからバランスよく摂取しましょう。食事からの摂取が難しいときは、プロテインパウダーの活用も有効です。
  • ビタミンC
    コラーゲン生成を助け、筋肉や腱の修復を促進します。ブロッコリーやキウイ、赤ピーマンなどに多く含まれています。
  • アミノ酸(BCAAやグルタミンなど)
    筋肉の分解を抑制し、修復をサポートする働きがあります。BCAA(バリン・ロイシン・イソロイシン)はサプリでも手軽に補給可能です。
  • 亜鉛・鉄・マグネシウム
    これらのミネラルは、筋肉の修復や血流改善に必要不可欠です。レバー、海藻類、ナッツ類などに多く含まれています。

また、果物やヨーグルト、バナナは筋肉のエネルギー代謝を助ける補食としても優秀です。運動後や間食として取り入れると効果的です。

食事で意識すべきポイントと避けたい食べ物

いくら良質な栄養素を摂っていても、逆効果になるような食習慣があれば台無しです。炎症を悪化させたり、筋肉の修復を妨げる食べ物は避けるべきです。

〈避けたい食習慣〉

  • アルコールの摂取
    筋肉の合成を妨げ、回復を遅らせる作用があります。飲酒は炎症の悪化や脱水も引き起こすため、回復期にはできるだけ控えましょう。
  • 加工食品や高脂質な食事
    スナック菓子、インスタント食品、揚げ物などは酸化ストレスを高め、炎症を悪化させる可能性があります。
  • 糖分の摂りすぎ
    過剰な糖質はインスリンの過剰分泌を招き、回復の妨げになることも。甘い飲料やスイーツの摂りすぎに注意しましょう。

〈食事で意識したいこと〉

  • 主食・主菜・副菜をバランスよく揃える
  • 毎食にたんぱく質を取り入れる
  • 野菜や果物でビタミン・ミネラルを補う
  • 水分も意識してしっかり摂る(スポーツドリンクやミネラルウォーター)

毎日の食事は、筋肉の回復力を大きく左右する要素です。「早く治したい」と思うなら、まずは食事内容を見直すことが重要です。

外からの処置と同時に内側からの栄養サポートを意識することで、ふくらはぎの肉離れはより早く、確実に回復に向かいます。

Point③ ストレッチとマッサージの再開はいつから?正しいタイミングと方法

ふくらはぎのマッサージをする女性の画像

ふくらはぎの肉離れからの回復において、ストレッチやマッサージは欠かせない要素です。しかし、タイミングを間違えると、かえって再損傷や炎症の悪化を招くことがあります。大切なのは、「痛みが引いた=再開OK」ではなく、回復段階に応じた正しい判断と方法を知ることです。

この章では、ストレッチやマッサージをいつから始めればいいのか、回復までの目安と注意点をわかりやすく解説します。

問題なく歩けるようになるのはいつ頃か?回復までの期間と目安

ふくらはぎの肉離れは、損傷の程度によって回復期間が異なります。

  • 軽度(Grade I):筋線維の微細な断裂。歩行可能で、違和感程度。回復まで約1〜2週間
  • 中度(Grade II):筋繊維の部分断裂。腫れや内出血あり。回復には2〜4週間
  • 重度(Grade III):筋断裂が完全または広範囲。歩行困難、手術が必要な場合も。回復には1ヶ月以上

軽度であっても、無理をすると中度以上に悪化することがあるため、目安としては「痛みが完全に引き、歩いても違和感がない状態」になるまでストレッチやマッサージは控えるべきです。

参考記事:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介

自己流はNG!回復段階に応じた運動のコツ

「痛くないからそろそろ動かそう」と自己判断で始めるリハビリは非常に危険です。炎症が完全に治まっていない段階で無理な動きをすると、再発や癒着の原因になります。

回復段階に応じた運動の進め方は以下の通りです:

  • 急性期(〜3日):完全安静。ストレッチ・マッサージ厳禁
  • 回復初期(4日〜1週間):痛みが落ち着いてきたら、患部を避けた軽い運動(上半身や反対足)を取り入れる
  • 回復中期(1〜2週間):専門家の指導のもと、軽い負荷のストレッチや荷重練習をスタート
  • 回復後期(2週間以降):痛みがない範囲で徐々に強度を上げ、筋力・柔軟性を取り戻す

いずれの段階でも、「痛みが出たら即中止」が原則です。リハビリのゴールは“元通り動けるようになること”であって、急ぐことではありません。

リハビリに効果的なふくらはぎストレッチ&マッサージ法

回復期に入ったら、硬くなった筋肉や関節をゆるめるためのストレッチ・マッサージを少しずつ再開します。以下に代表的な方法を紹介します。

腓腹筋ストレッチ

STEP1:壁に手をつき片足を前方に出しましょう。
STEP2:前方の膝を曲げ、体重をかけましょう。
STEP3:踵を浮かさないように注意す元の姿勢に戻りましょう。
注意点:踵が浮かないように注意しましょう。

〈マッサージ法〉

  • お風呂上がりなど、筋肉が温まった状態で行う
  • 両手のひらでふくらはぎを包み込むようにさすり上げる
  • 強く押さず、ゆっくりとリズミカルに筋肉をほぐしていく
  • 痛みや腫れがある場合は避ける

どちらも「気持ちいい」と感じる範囲で行うのがポイントです。痛みや違和感があるときは無理せず中止し、再開時期を調整しましょう。

Point④ 再発を防ぐための正しいリハビリとトレーニング

ふくらはぎの肉離れは一度治ったと思っても、再び同じ場所を痛めてしまう「再発」が非常に多いケガのひとつです。特に回復後に急に運動を再開した場合、再発のリスクは飛躍的に高まります。

本章では、再発しやすい人の特徴を理解したうえで、日常に取り入れやすい予防トレーニングやケア方法を紹介します。

再発しやすい人の特徴とは?

肉離れを繰り返す人には、ある共通の傾向があります。自分に当てはまっていないか、チェックしてみましょう。

  • 筋肉の柔軟性不足
    特にふくらはぎの筋肉が硬い人は、運動時の衝撃を吸収しきれず、筋線維に過剰な負担がかかります。長時間のデスクワークやストレッチ不足も原因のひとつです。
  • 筋力の低下
    筋肉量が少なかったり、特定の筋群だけを使っていたりすると、疲労が一部に集中しやすくなります。特に、片足立ちでグラつく場合は筋力バランスの崩れが疑われます。
  • 過負荷運動や急な再開
    回復後に準備不足でいきなり全力疾走やジャンプをすることで、再び筋肉を痛めてしまうことがあります。フォームが崩れている人も再発しやすいです。

これらに当てはまる場合は、特に予防のための習慣づくりが必要です。

日常に取り入れやすい再発防止エクササイズ

再発を防ぐには、「筋肉をしなやかに保ちつつ、無理なく鍛える」ことがカギです。以下のような簡単なトレーニングは、毎日続けやすく、ふくらはぎの回復後にもおすすめです。

両脚ヒールレイズ

STEP1:両足を肩幅よりも開きましょう。
STEP2:踵をできる限り高くあげましょう。
STEP3:ゆっくりと下ろしましょう。
注意点:踵は真っ直ぐあげる事を意識しましょう。

再発予防には、何よりも「継続」が大切です。負荷をかけすぎず、少しずつ体を整えていく意識が、肉離れと縁のない体をつくる近道になります。

Point⑤ 整骨院・整形外科の活用法|病院に行くべきタイミング

ふくらはぎの肉離れは軽度であれば自宅ケアで回復することもありますが、すべてのケースがそうとは限りません。痛みや腫れが強い場合や、再発を繰り返している場合には、自己判断をせずに専門機関の力を借りることが回復への近道になります。

ここでは、整形外科や整骨院で受けられる主な治療法と、医療機関を受診すべきタイミングについて解説します。

整形外科・整骨院でできる治療とは?

ふくらはぎの肉離れに対して、整形外科や整骨院では症状に応じて以下のような治療が行われます。

  • 電気治療(低周波・干渉波)
    痛みの軽減と筋肉の緊張緩和を目的に使用されます。微弱電流が患部に作用し、自然治癒力を高めます。
  • 超音波治療
    深部組織に微細な振動を与えることで血流を促進し、治癒のスピードを高める効果があります。特に慢性化した筋損傷に有効です。
  • テーピングや包帯固定
    患部の動きを制限し、再負荷を防ぐことで回復を助けます。症状に応じた適切な固定が、再損傷の予防につながります。
  • 鍼治療(整骨院・鍼灸院)
    筋肉の緊張を和らげ、血行を促進する東洋医学的アプローチ。慢性化した違和感や回復が遅れているケースに選ばれることがあります。
  • リハビリ指導
    理学療法士による適切な運動療法が行われることもあり、再発防止や筋力回復のための専門的な指導が受けられます。

こうした治療は症状の程度や回復段階によって使い分けられるため、正確な診断を受けることが非常に重要です。

こんな症状があればすぐ受診を!

以下のような症状が見られる場合は、自己判断せずに速やかに医療機関を受診してください。

  • 強い内出血や広範囲の腫れ
    皮下に血液がたまり、紫色や赤黒く変色している場合は、筋肉の損傷が大きい可能性があります。
  • 歩行が困難なほどの激痛
    痛みで足をつけられない、歩行が明らかに不自然な場合は、完全断裂など重度の損傷が疑われます。
  • 1週間以上たっても痛みや腫れが引かない
    通常、軽度の肉離れは数日で症状が和らぎます。改善が見られない場合は、治療の見直しが必要です。
  • 筋肉がへこんだり、触ると明らかに硬い塊がある
    筋断裂によって筋肉が縮んでしまっている状態かもしれません。これを放置すると、機能障害につながるリスクもあります。
  • 過去にも同じ箇所を傷めたことがある
    再発を繰り返している場合は、根本的な原因(筋力低下・フォームの乱れなど)を専門家に見てもらうべきです。

医療機関での正しい診断とケアにより、回復までの時間を短縮できるだけでなく、再発のリスクも大幅に減らせます。

まとめ|ふくらはぎの肉離れを1日でも早く治すには「正しい行動」が最短ルート

ふくらはぎの肉離れは、初動の対応とその後のケア次第で回復スピードが大きく変わります。正しい見極め、48時間以内のRICE処置をしましょう。そして、栄養バランスを整えた食事や適切なタイミングでのリハビリ、再発予防のエクササイズまでどれもが回復を早める重要なステップです。

痛みを感じたら無理せず、必要に応じて整骨院や整形外科の力を借りることも大切です。「正しい行動」が、最短で回復への道を開きます。

【参考文献】
1)​​B J Gabbe 1, K L Bennell, C F Finch, H Wajswelner, J W Orchard:Predictors of hamstring injury at the elite level of Australian football
2)公益社団法人 日本整形外科学会:症状・病気をしらべる「肉離れ」

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桐内 修平
理学療法士資格保有:http://www.japanpt.or.jp/
【経歴】
  • 医療法人社団紺整会 船橋整形外科病院
  • 株式会社リハサク
理学療法士免許取得後、国内有数の手術件数・外来件数を誇る整形外科病院に7年間勤務。多種多様の症状に悩む患者層に対し、リハビリテーションを行う。その後、株式会社リハサクに入社。現在はマーケティングに従事し、より多くの方へリハサクの魅力を届ける。