【肉離れの治し方】痛みを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説

肉離れは、スポーツ中に発生しやすいケガの一つです。
肉離れを起こすと患部に激しい痛みをともなうため、運動はもちろんのこと、歩行などの日常動作にも支障が出てしまうでしょう。

そこで当記事では、肉離れをできるだけ早く治すための応急処置やセルフケア(ストレッチ)を詳しく解説しています。
あわせてケガの予防法も紹介していますので、ぜひ最後まで目を通してみてください。

肉離れとはどんなケガ?症状や原因について

肉離れしやすい部位の写真

肉離れは、筋肉の急激な収縮によって筋線維を損傷・断裂するケガです。

肉離れが起こりやすい部位としては、ハムストリングス(太もも裏側)大腿四頭筋(太もも前側)下腿三頭筋(ふくらはぎ)などが挙げられます。
筋肉であればどこでも肉離れが発生する可能性はありますが、下半身に起こりやすい傾向があります。

肉離れの症状

患部の痛み腫れ内出血が肉離れのおもな症状です。

筋線維を損傷することで急激な痛みを発症するため、重度の肉離れでは歩行が困難になるケースもあります。

また、筋線維を大きく損傷した場合は患部がへこんでしまったり、血腫が溜まることでしこりができたりすることもあります。

肉離れの原因

スポーツをメインに、ダッシュやジャンプの着地、急停止、方向の切り替えなど急な動きにより、筋線維を損傷することが多くなっています。

また、スポーツに限らず、何気ない日常動作で肉離れを起こす場合もあります。
たとえば「仕事で重たいものを持ち上げる」「段差につまずいて強く踏ん張る」といった状況です。

加えて、肉離れには体のコンディションも大きく影響しており、とくに次の要因があると筋線維の断裂を起こしやすくなります。

  • 筋肉の疲労
  • ストレッチ不足(柔軟性の欠如)
  • 筋力のアンバランス・筋持久力の低下
  • ウォーミングアップ不足
  • 体の冷え
  • 水分不足

その他、スポーツを行う際の天候やグラウンドの状況なども、肉離れのリスク要因に考えられています。

参考記事:肉離れを早く治すコツとは?痛みの原因に効くストレッチやマッサージ・食べ物を解説

【スピードが大事】肉離れを早く治すコツと対処法

ここからは、1日でも早く肉離れの症状を改善するためのセルフケアを紹介します。
放置するほど回復に時間がかかってしまうため、スピードを意識した対処を行うようにしましょう。

受傷直後はRICE処置を素早く行う

アイシングをしている写真

腫れや炎症を広げないよう、受傷後の48時間は入念にRICE処置を行ってください。

RICE処置とは「Rest(安静)」「Icing(冷却)」「Compression(圧迫)」「Elevation(挙上)」の頭文字をとった処置の方法です。

受傷後は痛みが出る動作はなるべく避けて安静にします。そして、氷水や保冷剤などを当てて15分を目安にアイシングを行いましょう。

腫れを最小限に抑えるために包帯やハンカチ、タオルなどを用いて患部を圧迫し、仰向けに寝て台の上に足を乗せるなどして、なるべく心臓よりも高い位置に患部を挙げてください。

病院や接骨院・整骨院に行く

重度の肉離れが起きている可能性があるため、自己判断で対処を続けていると症状が長引いてしまうかもしれません。
できる範囲でのRICE処置を行ったら、病院に行って患部の状態を確認してもらい、適切な処置を受けるようにしましょう。

また、肉離れを早期に治すためには、整骨院の施術も有効です。固定や電気療法、超音波、手技などの施術を受けることで、患部の治癒力を高められます。

患部が動かないように包帯やテーピングで固定する

包帯やテーピングなどを巻いて、筋肉の動きを制限します。固定を施すことで患部の安静が保たれ、腫れもひきやすくなるでしょう。
しかし、固定期間が長すぎると血流の低下を招き、治癒を遅らせる場合があります。

筋断裂の具合にもよりますが、固定は1〜2週間に限定して、早めにストレッチなどで動かすことが推奨されています。

セルフマッサージで血流を促す

セルフマッサージで患部周辺の緊張をほぐしましょう。マッサージを行うことで血流が促され、治癒に必要な酸素や栄養が患部へと運搬されやすくなります。

しかし、太ももの裏側は手でのマッサージが難しいかもしれません。その場合は、フォームローラー(筋膜を伸ばすための器具)やテニスボールの上に太ももを乗せることで、楽にマッサージが行えます。

痛みがひいたら無理のない範囲でストレッチを行う

痛めてから数日〜1週間ほど経過し、腫れや内出血が落ち着いてきたら、徐々に患部を動かしていきます。リハビリとして痛みの出ない範囲でストレッチを行いましょう。

筋肉を伸ばすことで血流がよくなり、患部の修復を早める効果を期待できます。具体的なストレッチの方法については、このあと詳しく解説していきます。

【予防にも効果的】肉離れの痛みを早期に治すストレッチ

それでは、痛めた部位別にできるストレッチの方法を紹介します。再負傷するおそれがありますので、呼吸をしながらゆっくりと筋肉を伸ばすようにしてください。

太もも後面のストレッチ

最も肉離れが発生しやすい、太もも後面の筋肉(ハムストリングス)を伸ばすストレッチです。

ふくらはぎのストレッチ

続いてふくらはぎの筋肉、下腿三頭筋を伸ばすストレッチになります。

太もも前面のストレッチ

最後に太もも前面の大腿四頭筋を伸ばすストレッチを紹介します。

肉離れが治るまでの期間はどれくらい?

Ⅰ度の軽い肉離れ(筋肉内または筋間、筋膜の出血、筋腱移行部には損傷がないタイプ)の場合、治るまでの期間は1〜2週間が目安です。

そしてⅡ度の肉離れ(筋腱移行部を含む部位に損傷が認められるタイプ)では完治するまでに1〜3ヶ月、Ⅲ度の重度の肉離れ(腱または腱付着部が断裂するタイプ)では半年程度かかる場合があります。

しかし、年齢や患部の状態にもよるため、治るまでの期間は一概には言えません。

筋線維を大きく断裂したものは手術が必要となり、リハビリとあわせると治るまでにより長い期間がかかってしまうケースもあるでしょう。

参考記事:肉離れが治るまで何日かかる?早く治すコツや部位別のストレッチ方法も紹介

【再発防止】普段からできる肉離れの予防法

どれだけ気をつけていても、肉離れを完全に防ぐことはできません。しかし、次に挙げるようなケアを普段から行っていれば、肉離れのリスクを下げることは可能です。

どれも簡単にできるものになりますので、ぜひ実践してみてください。

ウォーミングアップ・クールダウンを入念に行う

ストレッチをしている人の写真

スポーツの前には、ウォーミングアップを欠かさず行いましょう。体を軽く動かし筋肉をやわらかい状態にしておくことで、急な負荷でも筋線維を痛めにくくできます。

また、運動後にはクールダウンも合わせて行うことがおすすめです。運動で高まった体温や脈拍を落ち着けることで、疲労回復につなげられるといわれています。

水分補給をしっかり行う

肉離れを予防するには、水分補給も大事です。水分量が足りていないと血流が悪化し、筋肉の柔軟性が低下しやすくなるためです。

特に運動中は汗をかきますので、こまめな水分補給を心がけてください。

ストレッチで筋肉をやわらかくしておく

運動の前後だけではなく、お風呂上がりなどにもストレッチを行いましょう。とくに肉離れをしやすい太ももやふくらはぎを中心にストレッチをしておくと、ケガの予防につながります。

まとめ

今回の記事では、肉離れを早く治すための応急処置やストレッチの方法を解説しました。

肉離れが起きた際は、RICE処置を中心にできるだけ素早い処置を行いましょう。また、自己判断では重度の外傷を見逃してしまう可能性があるため、医療機関で検査を受けるようにしてください。

肉離れは再発しやすいケガになりますので、スポーツへの復帰は焦らず、慎重にケアしていくことが重要です。

それでは、当記事があなたのお悩み解決に役立てば幸いです。

【参考文献】

1)財団法人 日本体育協会スポーツ医・科学専門委員会:肉離れに関する最新の指針,2008

2)​​B J Gabbe 1, K L Bennell, C F Finch, H Wajswelner, J W Orchard:Predictors of hamstring injury at the elite level of Australian football

3)S S Yeung, A M Y Suen, E W Yeung:A prospective cohort study of hamstring injuries in competitive sprinters: preseason muscle imbalance as a possible risk factor

4)Tero A H Järvinen 1, Teppo L N Järvinen, Minna Kääriäinen, Hannu Kalimo, Markku Järvinen:Muscle injuries: biology and treatment