立ちっぱなしの状態が長く続いた際に、腰の痛みを感じることはありませんか?
症状が一時的に緩和したとしても、仕事や家事などで体を使っているうちに、痛みをぶり返してしまう方もいるでしょう。
当記事では、長時間の立ち仕事で腰が痛くなる原因と、自身で行える対策をわかりやすく解説していきます。
当記事を読むことで、立ちっぱなしで引き起こされるつらい腰痛を改善することができるでしょう。
ぜひ最後までご覧ください。
【最初に結論】立ちっぱなしで現れる腰痛は筋肉の凝りから起こる
結論から言いますと、立ちっぱなしで起こる腰痛の原因には「筋肉の凝り」が挙げられます。
残念ながら腰痛のおよそ85%は、医療機関の検査では異常が認められません。痛みは出ていながら、原因がはっきりとは分からないのです。
しかし、関節や椎間板(ついかんばん)に問題がみられない点からは、原因不明の腰痛は筋肉や筋膜の凝りから起きていることが考えられています。筋肉や筋膜が原因となり発生する腰痛のことを「筋筋膜性(きんきんまくせい)腰痛」と呼ぶ場合もあります。
参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!
立ち仕事が辛い!腰の筋肉が凝る2つの原因
立ちっぱなしから起こる腰痛の多くは、筋肉の凝りが引き金として考えられています。
症状への適切なケアが行えるよう、腰部周辺の筋肉が凝ってしまう原因をこちらで確認していきましょう。
筋肉の疲れ・血流不足
立ちっぱなしの状態が長く続くと、体を支えている腰まわりの筋肉に疲労がたまっていきます。
さらに、疲労により柔軟性が低下した筋肉が周辺の血管を圧迫し、血の巡りが悪くなることで、老廃物が体外に排出されにくくなります。
「疲れがたまる→筋肉が硬くなる→血行が悪くなる→より疲労がたまる」の悪循環で筋肉の緊張が強まり、凝りへとつながってしまうことに。
このように筋肉が原因となる腰痛は、疲れが溜まってくる夕方以降に生じやすいことが特徴です。
悪い姿勢による腰への負担増
本来の背骨は、横からみると頚椎(首の骨)と腰椎(腰の骨)が前側にカーブしている状態が理想とされています。
緩やかなS字の湾曲を描くことで、重たい頭を体の真上で支え、負担を分散しているのです。
しかし、背中が丸くなった猫背や、腰が強く反った反り腰の姿勢では背骨の湾曲が崩れ、腰部周辺の筋肉への負担が増加してくるため、凝りを生じやすくなってしまいます。
日常生活においては、デスクワークやスマホの操作、読書などにより、姿勢が悪くなる傾向があります。
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
参考記事:反り腰を改善!原因から治し方を簡単なストレッチをまじえ解説
立ちっぱなしで発症する腰痛をそのまま放置するとどうなる?
立ちっぱなし腰痛をそのままにしていると、ぎっくり腰を発症するおそれがあります。
ぎっくり腰とは、急激に発症する動けなくなるほどの激しい腰痛のことです。詳しいメカニズムは分かっていませんが、急な負荷で筋線維や筋膜を損傷し、炎症を起こした状態と考えられています。
ぎっくり腰を一度起こすと、数日から一週間程度は体を動かすことができず、日常生活に支障が出てしまうケースも多いです。
その他にも、腰部への負担の積み重ねから椎間板が潰れて、中から髄核(ずいかく)と呼ばれるゼリー状の組織が飛び出す腰椎椎間板ヘルニアを引き起こす場合も。飛び出した髄核で神経が圧迫されると、腰の痛みに加えて、足のしびれや歩行障害につながるかもしれません。
ぎっくり腰やヘルニアを起こさないためにも、立ちっぱなしによる腰痛は早めに対処していくことが重要です。
参考記事:【ぎっくり腰】これでひと安心!楽な姿勢(寝方・座り方)と対処法を解説!
参考記事:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!
立ちっぱなしで起こる腰痛を解消!おすすめセルフケア方法
立ちっぱなし腰痛をそのままにしていると、痛みが長引くばかりか、ぎっくり腰やヘルニアにつながるリスクもあります。腰痛の原因となる筋肉の凝りをほぐし、症状の早期緩和を目指していきましょう。
ここからは、日常で簡単に行える、立ちっぱなしで起こる腰痛へのセルフケアをご紹介いたします。
ストレッチで筋肉の血流を良くする
立ちっぱなしで起こる腰痛には「膝抱えストレッチ」と「ハムストリングスストレッチ」がおすすめです。
STEP2:腰を丸めるようにお腹に引き寄せます
STEP3:姿勢を保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻します
※腰が伸びるのを感じながら実施しましょう
※丸めたタオルを入れるとさらに伸びます
膝抱えストレッチにより、骨盤から背骨にかけて付着し、姿勢を維持している脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)を伸ばせます。腰部や背中まわりの筋肉の柔軟性を高め、血の巡りを良くすることで、腰痛の緩和が期待できます。腰の筋肉が伸びることを意識して行いましょう。
続いて、ハムストリングスストレッチを紹介します。
STEP2:可能な限り膝を伸ばしましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施しましょう
※もも裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施しましょう
適度な筋トレを行う
ストレッチとあわせて、腰部にかかる負担を減らすためにも、筋力を鍛えていきましょう。
立ちっぱなしによる腰痛を改善に導くには、骨盤から肋骨にかけて付着するインナーマッスル、腹横筋(ふくおうきん)のトレーニングがおすすめです。
体幹の筋力を鍛えることで、猫背や反り腰といった不良姿勢の予防にもつながります。
STEP2:お腹を持ち上げ膝と肘で身体を支えます
STEP3:姿勢を一直線に保ちましょう
※ふらつかないように注意しましょう
※腰を丸めないように注意しましょう
※腰を反らないように注意しましょう
良い姿勢を意識する
猫背や反り腰になっていると、筋肉に余計なストレスをかけてしまいます。
筋肉への負担を減らし、腰痛を改善していくためには、背骨が正しいS字のカーブを描くように意識することが大事です。
確認方法としては、体を横から見て耳、肩、腰、膝、くるぶしが直線上に並ぶ姿勢が理想とされています。鏡などでこまめに姿勢をチェックしておくと良いでしょう。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
セルフマッサージで筋肉を揉みほぐす
筋肉の凝りをマッサージでほぐすことにより、腰痛の改善が期待できます。方法としては、テニスボールを置き、その上に仰向けに寝ます 。次に自身の体重を利用して、背骨まわりに付着する脊柱起立筋をほぐしていきましょう。
また、腰部への負担を緩和するには、お尻の筋肉のマッサージも有効と言われています。仙骨(骨盤後方の平たい骨)のきわからお尻のえくぼ部分、骨盤横にかけて満遍なくほぐしてください。
痛みが引くまでコルセットを使用する
コルセットを巻いて腰部を固定することで安定感が増し、痛みが軽減する場合があります。
しかし、コルセットを長期間着けていると、腰部を支える筋力が低下するという研究もあります。
筋力が衰えることでさらなる腰痛を引き起こす可能性があるため注意が必要です。
腰痛を長引かせないよう、コルセットの使用は痛みが強く出ている時期に限るようにしてください。
参考記事:コルセットは寝る時に外すべき?就寝時・寝起きの腰痛を改善するセルフケアも紹介
十分な水分補給を心がける
体の水分量が少ないと代謝が悪くなり、凝りの原因となる老廃物が蓄積しやすくなります。
体格により個人差はありますが、腰痛を改善、予防するには1日1.5〜2リットルほどの水分補給を心がけてください。
しかし、一度に大量の水を飲むのでは、体内に水分を十分に吸収できません。効率的に水分を取り入れるには、1時間半〜2時間おきにコップ一杯分(200mlほど)をこまめに補給していくことが推奨されています。
腰の痛みが続く・痛みが強い場合は病院を受診するべき
筋肉の凝りからくる痛みであれば、ストレッチやセルフマッサージなどにより、症状の緩和を期待できます。しかし、もしセルフケアで症状が改善しない、痛みが悪化するといった場合は、何かの病気の可能性があります。
原因を特定するためにも、早めに医療機関に行きましょう。
腰の痛みについては、まずは整形外科に相談してみることがおすすめです。内科的な治療が必要であれば、適切な専門科を紹介してもらえるでしょう。
まとめ
今回の記事では、立ちっぱなしで起こる腰痛の原因や、対策について解説しました。立った状態が長く続くと疲労が蓄積し、筋肉に凝りが生じることで痛みにつながると考えられています。
特に猫背や反り腰など、姿勢が悪くなっている方は腰を痛めやすいため注意が必要です。ストレッチやマッサージで筋肉の凝りをほぐしていくことはもちろん、腰痛を引き起こさないように姿勢にも意識を向けておきましょう。
それでは、あなたが現在悩まれている腰痛の改善に、当記事が役立てば幸いです。
【参考文献】
1)末廣 忠延,渡邉 進:腰部安定化運動においてコルセット装着の有無が体幹筋活動に及ぼす影響.理学療法科学27(3)p309–313,2012