お尻が痛いのはなぜ?痛みの原因や対処法、坐骨神経痛との関わりを解説!

あなたは日頃からお尻の痛みに悩まされていませんか?長時間立っていることが辛かったり、歩くとお尻以外にも脚に痛みが出て困っている方もいるのではないでしょうか。

また、お尻の痛みの原因がわからず、対処法に悩んでいる方もいるかと思います。

そこで本記事では、お尻の痛みの原因や対処法について紹介していきます。お尻が痛くなる原因には思わぬ病気が隠れている可能性もあるので、本記事が痛みの軽減にお役に立てるかもしれません。

どうぞ最後までお付き合いください。

お尻の痛みの原因とは?

お尻の痛みの原因として代表的なのが坐骨神経痛です。

そのほかにもケガによるものや変形性股関節症によるもの、骨盤周囲の組織の炎症によるものなどさまざまな原因が考えられます。

以下よりそれぞれの原因について詳しくご紹介していますので、ご自身の痛みと照らし合わせて参考にしてみてください。

坐骨神経痛によるもの(腰部脊柱管狭窄症、ヘルニアなど)

腰が痛そうな女性の画像

坐骨神経痛(ざこつしんけいつう)とは病気の名前ではなく、症状の総称です。

腰から足にかけて伸びている「坐骨神経」がなんらかの原因で圧迫・刺激され、お尻や太もも、ふくらはぎなどに痛みやしびれなどの症状が出現します。

坐骨神経痛の具体的な原因や症状については、のちほど詳しく解説していきます。

参考:坐骨神経痛を早く治す方法はこれ!痛みの原因とオススメストレッチ3つを解説!

ケガによるもの(肉離れや骨盤骨折など)

お尻の痛みの原因としてケガによるものが考えられます。たとえば、過度な運動によりお尻の筋肉に肉離れが起きたり、尻餅をついて骨盤を骨折したりすることが考えられるので注意が必要です。

変形性股関節症によるもの

変形性股関節症が原因でお尻周辺に痛みが出る場合があります。変形性股関節症とは、太ももの骨と骨盤の間にある軟骨がすり減り、痛みや変形を生じる病気です。

変形性股関節症を説明した画像

変形性股関節症の大部分は先天性疾患ですが、加齢による変化や体重増加、肉体労働、スポーツなどで股関節に負荷がかかりすぎると発症する危険性があります。

参考:【理学療法士監修】変形性股関節症の痛みを和らげる効果的なストレッチを紹介!

骨盤周囲の組織の炎症によるもの(仙腸関節炎、尾骨痛、骨盤輪不安症など)

骨盤周囲で炎症が生じるとお尻の痛みを感じる場合があるので、注意が必要です。

骨盤を構成している仙骨(せんこつ)と寛骨(かんこつ)を結ぶ関節で炎症が起こる、「仙腸関節炎(せんちょうかんせつえん)」やお尻の底面に位置する骨の尾骨(びこつ)が痛くなる、「尾骨痛(びこつつう)」が代表的です。

また、骨盤周囲の痛みを生じさせる原因として、骨盤輪不安定症(こつばんりんふあんていしょう)が挙げられます。

産前・産後にホルモンや出産の影響で骨盤が緩んだり、広がったりすることで痛みやそのほかの諸症状を生じさせる疾患です。

お尻の痛みを引き起こす坐骨神経痛とは?症状や原因となる病気を解説!

坐骨神経痛という言葉は聞いたことあるけれども、どのような症状なのかや原因についてはよくわからないという方が多いと思います。

そこで、坐骨神経痛の症状や原因について詳しく解説していきますので、ぜひご覧ください。

坐骨神経痛の症状とは

坐骨神経痛の代表的な症状は、片側の腰やお尻、脚の後面・外側に広がる痛みやしびれです。

坐骨神経とは腰骨のところから出てお尻を通り、足先まで伸びている神経のことです。坐骨神経が腰から足先までの間で骨や筋肉などに圧迫されると痛みが生じ、坐骨神経痛となります。

参考:意外と知らない】坐骨神経痛と間違える病気は?自宅でできるセルフチェック方法も解説
参考:【妊婦さん要注意】お尻が痛い坐骨神経痛とは?妊娠中に起こりやすい原因と対処法を解説!

坐骨神経痛の原因となる病気

腰から足先にかけて伸びている坐骨神経が圧迫されたり障害されることで坐骨神経痛が起こります。

坐骨神経痛の原因となる病気で代表的なものとして、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)腰椎椎間板ヘルニア梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)が挙げられます。

以下よりそれぞれについて詳しく解説していきますので、ご自身の痛みの症状と照らし合わせて参考にしてみてください。

腰部脊柱管狭窄症

脊柱管狭窄症を説明した画像

腰部脊柱管狭窄症は、脊柱管(背骨の中を通る神経の通り道)が狭くなることで、腰や脚に痛みやしびれを引き起こす病気です。 多くは、加齢に伴う背骨の変形が原因で起こります。

症状は腰痛のほかに脚の痛みやしびれ、脚の筋力低下や運動障害、脊椎性間欠跛行(せきついせいかんけつはこう)がみられます。なお間欠跛行とは、しばらく歩くと脚の痛みやしびれが出現して歩けなくなり、少し休むと症状が回復して再度歩けるようになる状態のことです。

これらの症状は、悪化と軽快を繰り返しながら、徐々に進行していくことが多いです。

また、転倒などの軽い衝撃がきっかけで急激に症状が悪化し、重度の脊髄麻痺を引き起こすこともあります。

参考:【要注意】脊柱管狭窄症でやってはいけないことは?自宅で出来るストレッチも解説!

腰椎椎間板ヘルニア

椎間板ヘルニアを説明した画像

腰椎椎間板ヘルニアとは、腰椎の椎骨(ついこつ)と椎骨の間にある椎間板(ついかんばん)がつぶれ、椎間板の内部にある髄核(ずいかく)が飛び出して神経を圧迫している状態です。

症状はお尻や下半身のしびれ排尿障害を来たす「馬尾(ばび)型」と、脚に痛みが出たり足の指に力が入らない脚の感覚が弱くなるなどがみられる「神経根(しんけいこん)型」に分けられます。

神経根型よりも馬尾型の方が寝たきりになる危険性が高いと言われていますが、神経根型でも病院受診をせずに放置していると生活に支障を来たす場合があるので注意が必要です。

参考:腰椎椎間板ヘルニアとは?痛みを和らげる方法をわかりやすく解説!

梨状筋症候群

梨状筋症候群を説明した画像

梨状筋症候群とは、梨状筋がなんらかの原因で硬くなったり炎症を起こしたりして坐骨神経を圧迫し、痛みやしびれなどが生じる疾患です。

梨状筋は、骨盤から大腿骨にかけて伸び、歩行の際に股関節がブレて不安定にならないように働いている筋肉のひとつです。

梨状筋症候群の主な症状としてはお尻の痛みや脚のしびれ、脚の冷感などが挙げられます。

参考:梨状筋症候群を知り尽くす!原因や症状、痛みを治すストレッチを専門家が紹介

坐骨神経痛の対処法について解説!

ここからは、ご自宅でできるお尻の痛みへの対処法について解説していきます。

日常生活の動作や姿勢で気をつけるポイントも解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

痛みが強い時は安静にする

動けないほどお尻の痛みが強い時は、炎症を抑えるために安静にしましょう。しかし、痛みが落ち着いたからといって病院受診をしないままでいると、原因となる病気が悪化する恐れがあります。

症状が落ち着いたら、早めに病院受診をして適切な治療を受けるようにしましょう。

腰やお尻を温める

腰やお尻の筋肉を温めて血流を良くすると、痛みの軽減につながります。

とくに梨状筋症候群が原因で生じる坐骨神経痛では、筋肉の緊張が緩んで痛みの軽減につながることが期待できます。

日常生活での動作や姿勢を見直す

日常生活では、痛みを悪化させる動作や姿勢を避けるようにしましょう。

避けた方がいい動作や姿勢は以下になります。普段のご自身の生活スタイルと照らし合わせてみてください。

  • 悪い姿勢での長時間のデスクワーク
  • 重い荷物を持ち上げる時に中腰になってしまう
  • 家事の際に前屈みになるような姿勢を繰り返している

以上のような動作や姿勢は一例ですので、普段から痛みを誘発するような無理な姿勢を取らないように心がけましょう。

無理のない範囲でのストレッチ

坐骨神経痛の軽減には無理のない範囲でのストレッチが効果的です。硬くなった筋肉をほぐし、血流を良くすることで痛みの軽減が期待できます。

ストレッチをする時に大切なのは、適切な方法と強度で行うことです。自己流や負荷が大きすぎるストレッチでは、逆に痛みを悪化させてしまう危険性があります。

次の見出しでは、坐骨神経痛の際におすすめのストレッチを紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

参考:坐骨神経痛でやってはいけないことは?つらい症状を軽くする簡単ストレッチも紹介!

坐骨神経痛によるお尻の痛みを改善するストレッチ3選

坐骨神経痛によるお尻の痛みを改善するストレッチを3つご紹介します。

ご自宅でも簡単に行えますし、動画で何度でも見返すことが可能なので、ぜひ行ってみてください。

ボールマッサージ(殿部)

お尻にある筋肉の大殿筋(だいでんきん)や梨状筋(りじょうきん)をやわらかくするストレッチです。

大殿筋は股関節を反るような動作時に働き、梨状筋は股関節を外側に回す際に働きます。

ボールマッサージ
STEP1:テニスボールを用意してお尻にあてましょう
STEP2:体重をかけ筋肉を圧迫します
STEP3:反対側の足を動かして身体を前後に揺らしましょう
STEP4:反対側でもSTEP1〜STEP3を行いましょう

梨状筋ストレッチ

こちらのストレッチでも、梨状筋(りじょうきん)をやわらかくする効果が得られます。

お尻の筋肉の伸びを意識しながら行ってみてください。

梨状筋ストレッチ
STEP1:片脚を反対側の太ももの上にのせましょう
STEP2:骨盤を前方に倒し姿勢を保持しましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※お尻の筋肉が伸びた状態を保持しましょう

坐骨神経モビライゼーション

坐骨神経(ざこつしんけい)の働きを良くする運動をご紹介します。坐骨神経は太ももの裏側の筋肉を支配し、脚の後面全体の感覚を司る神経です。

痛みのない範囲で無理せずに行ってください。

坐骨神経ストレッチ
STEP1:両手を後ろに回しましょう
STEP2:上を向きながら膝を伸ばし足首を反らせましょう
STEP3:姿勢を戻し下を向きます
STEP4:繰り返し実施しましょう
※膝の伸びと足首を曲げることを意識して行いましょう

まとめ

今回は、お尻が痛くなる原因について解説していきました。さまざまな原因が考えられる中で、代表的なのは坐骨神経痛によるものだと解説していきました。

坐骨神経痛によるお尻の痛みを改善するためにも、今回紹介した対処法やストレッチを参考にしてみてください。

本記事があなたの痛み改善に少しでもお役に立てれば幸いです。

【参考文献】
1)社団法人 日本整形外科学会「坐骨神経痛」
2)公益社団法人 日本整形外科学会「腰椎椎間板ヘルニア」
3)腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2021(改訂第2版)
4)腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン2021(改訂第3版)
5)Hopayian K, Danielyan A. Four symptoms define the piriformis syndrome: an updated systematic review of its clinical features. Eur J Orthop Surg Traumatol. 2018 Feb;28(2):155-164. doi: 10.1007/s00590-017-2031-8. Epub 2017 Aug 23. PMID: 28836092.
6)一般社団法人 日本脊髄外科学会「殿皮神経障害」
7)厚生労働省 「広範囲脊柱管狭窄症」
8)厚生労働省 「腰痛対策」