【症状別】腰を反らすと痛い場合の対処法を3分で解説

日本人の多くの方が日頃、悩まされている腰痛。

最近では在宅勤務を推奨する企業も増加し、腰痛に悩まされる方々も年々増えていくことが予測されます。

特に腰痛の一般的な症状として多いのが、腰を反る際の痛みが挙げられます。例えば椅子から立ち上がる時、洗濯物を干す時、背伸びをする時など、腰を反らすと痛い腰痛に悩まされている方も多いのではないでしょうか?

そして、腰痛には様々な症状があり、その原因によって対処方法も異なります。

今回の記事では、腰を反らすと痛い腰痛の主な原因を解説し、症状別の対処方法をお伝えします。

まずは腰椎の働きを知ろう

背骨は頭蓋骨と骨盤の間に位置し、上から頸椎、胸椎、腰椎の3つに構成されます。それぞれはいくつかの椎体(ついたい)が積み木状に重なることでできています。
さらに、背骨の周りには多くの筋肉が走行しており、これらの筋肉が協調して働くことで、人は腰を反らす動作や前屈みになる動作をスムーズに行うことができているのです。

頸椎・胸椎・腰椎の説明

また、人の身体を横から見た時に背骨にはS字状のカーブがあり、これを生理的弯曲(せいりてきわんきょく)と言います。このS字カーブがあることで、歩く時や、ジャンプの着地動作などの衝撃吸収に役立っているのです。

これら背骨の周りに位置する筋肉の働きやS字カーブが破綻することで、腰を反らすと痛いなどのさまざまな症状が出現してしまいます。

腰を反らすと痛い主な原因は4つ

腰を反ると痛い場合に考えられる一般的な原因は、大きく4つに分類されます。ご自身に当てはまる原因を押さえて、適切な対処法を実践しましょう!

椎間関節への負荷(のけぞり腰痛)

のけぞり腰痛とも言われます。背骨の後方に位置する椎間関節にストレスが加わり、炎症が起こることで痛みが出現します。特に反り腰姿勢の女性に多いと言われています。

椎間関節へストレスが加わっている画像

以下の項目が当てはまる方は、椎間関節への負荷が原因である可能性が高いです。

  • 腰を左右どちらか一方に反らすと痛い(ゴルフのスイングなど)
  • 歩くと腰に痛みが出る
  • 痛みが限局的(一本指で示せる)

参考記事:【ぽっこりお腹を改善】腰痛のもとになる反り腰の原因・簡単な治し方をわかりやすく解説!

筋・筋膜への負荷

背骨の動きは、背骨の後方に位置する脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)が収縮することによって安定しています。この脊柱起立筋に慢性的な負荷が加わることで、炎症が生じ痛みが出現します。
筋・筋膜への負荷は、長時間のデスクワークや、前屈み姿勢による重労働を行っている方に多いため注意が必要です。

以下が当てはまる方は、筋・筋膜への負荷が影響している可能性があります。

  • 夕方、仕事後に痛みが出現
  • 長時間労働、長時間同じ姿勢を取ることがある
  • 痛みが広範的

参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!

脊柱管の狭まり(腰部脊柱管狭窄症)

脊柱管は椎体の後方に位置し、脊髄神経が通るトンネル状の菅のことを言います。この脊柱管が様々な要因で狭まる(狭窄)ことで、神経組織が圧迫され症状が出現します。

脊柱管狭窄症は様々な原因疾患が合併し、症状が出現している可能性が高いため、当てはまる症状がある方は専門の医療機関へ受診する必要があるでしょう。

腰部脊柱管狭窄症の病態

以下の症状が当てはまる方は、脊柱管の狭窄が原因である可能性が高いです。

  • 長時間歩くと、下肢の痺れ(しびれ)や痛みが出る
  • 休み休みでしか歩くことができない
  • 前屈みにすると痛みが楽になる

参考記事:【要注意】脊柱管狭窄症でやってはいけないことは?自宅で出来るストレッチも解説!

仙腸関節への負荷

背骨の下方には、仙骨・腸骨から構成される仙腸関節が位置します。この仙腸関節に不用意な動作や、繰り返しの負荷により関節に不適合が生じ、痛みが出現します。
一般的に、仙腸関節由来の腰痛は、出産後の女性に多いと言われています。

仙腸関節の構造・仙腸関節炎の病態

 

下記が当てはまる方は、仙腸関節への負荷が原因となっている可能性が高いです。

  • 出産後に痛みが出現した
  • 痛みが限局的
  • コルセットなどをつけると楽になる

【原因別】腰を反らすと痛い場合の対処法

ご自身に当てはまる症状は、見つかりましたか?

ここからは、腰を反らすと痛い場合の対処法を、原因別に解説していきます。

椎間関節への負荷へは骨盤の体操が最適

椎間関節への負荷が原因で痛みが出現している場合(いわゆる、ぎっくり腰やのけぞり腰痛)は、反り腰姿勢の方が多く、日頃から椎間関節にストレスが加わっている場合が一般的です。なので反り腰姿勢を改善させるような骨盤の体操(骨盤前後傾運動)を行い、椎間関節への負担を軽減させましょう。

骨盤前後傾運動

STEP1:椅子に座り両手を腰骨に当てましょう
STEP2:鼻から大きく息を吸います
STEP3:口から息を吐きながら骨盤を後方へ転がしましょう
STEP4:鼻から大きく息を吸いながら元の姿勢に戻ります
※腰を反らす方向へはあまり動かさないように

簡単な対処方法をお伝えしましたが、痛みが急激に発症して動くことができない場合は、まずは安静が第一優先です。しかし、寝たきり状態は症状の改善を妨げます 1)。なるべく早期に日常生活への復帰と、可能な範囲での体操を心がけましょう。

筋・筋膜への負荷には腰部のストレッチをしよう!

筋・筋膜への負荷が原因で痛みが出現している場合は、脊柱起立筋に慢性的な負荷が生じ、筋肉の使い過ぎに陥っている場合が一般的です。なので腰部のストレッチ(脊柱起立筋ストレッチ)を行うことで筋肉の緊張を和らげましょう。

脊柱起立筋ストレッチ

STEP1:椅子に座り足を組みましょう
STEP2:下方に組んでいる足のつま先に向けて、両手を伸ばします
STEP3:腰の筋肉が伸びた状態を10秒間保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻り反対側も実施します
※痛みのない範囲で実施しましょう

脊柱管の狭窄へは股関節付け根のストレッチが効果的!

脊柱管の狭窄は、長時間の反り腰姿勢が原因で症状が出現します。股関節の付け根の筋肉を柔らかくすることで、反り腰姿勢が改善され症状緩和に繋がります。

腸腰筋ストレッチ

STEP1:片膝立ちになりましょう
STEP2:お腹に軽く力を入れながら骨盤を前方へ移動させます
STEP3:股関節の付け根の筋肉が伸びた状態を10秒間保持しましょう
STEP4:元の姿勢に戻り反対側も実施します
※腰を反らさないように注意

仙腸関節への負荷へはお腹・お尻の筋トレが効果的

出産後に腰痛がある方は、仙腸関節が不安定となりその周辺の軟部組織や関節自体にストレスが生じます。腹筋やお尻の筋トレを行い、仙腸関節の不安定性を軽減させることができます。

両脚ヒップリフト

STEP1:両膝を曲げた仰向け姿勢になりましょう
STEP2:鼻から大きく息を吸います
STEP3:息を吐きながらお尻を持ち上げます
STEP4:体が一直線のところで数秒間キープし、お尻を降ろしましょう
※腰を反らさないように注意

腰を反らすと痛いのはどのくらいで治る?

腰の痛い女性の画像

日頃悩まされている腰痛が、どのくらいで治癒するのか気になる方も多いのではないでしょうか?
多くの腰痛は、適切な対処法や時間の経過とともに症状が緩和してきます。しかし、腰痛には様々な要因・種類があり、治癒期間を名言することができません。

特に下半身の痛みや痺れ、歩行障害などが見られる場合は、神経に何らかのストレスが加わっている可能性があります。場合によっては手術が適応となるケースもあるため、専門の医療機関に受診されることをお勧めします。

参考記事:【誰でも簡単】腰痛を和らげる方法は?痛みの原因と簡単にできるストレッチを紹介

まとめ

腰を反らすと痛い場合の対処法について、原因別に解説いたしました。

腰を反ると痛い腰痛には、様々な要因があります。誤った対処法を行うことで、症状が悪化してしまう可能性もあります。なのでご自身の症状に当てはまるものを探し、適切な筋トレ・ストレッチを行いましょう。

本記事が皆様の痛みの改善にお役立ていただけますと幸いです。

参考文献
1) Dahm KT, et al. Advice to rest in bed versus advice to stay active for acute low-back pain and sciatica. Cochrane Database Syst Rev 2010; (6)