「股関節が立ち上がったり、歩く時に痛くて辛い…」
「脚の付け根の痛みをとる方法はないの?」
あなたも変形性股関節症の痛みで悩んでいませんか?
変形性股関節症は立ち上がりや歩行など、ただ普段の生活を送っているだけなのに脚の付け根に痛みを感じます。
当記事ではそんな変形性股関節症の痛みを和らげる効果的なストレッチを紹介していきます。
また、変形性股関節症がどういった病気かについても解説していきますので、ぜひ最後までお付き合いください。
変形性股関節症とは?原因と症状を解説!
ここからは変形性股関節症の原因と症状について解説していきます。原因については2つに分けられ、症状は4つの病期別で紹介していきます。
【原因】一次性変形性股関節症とニ次性変形性股関節症の違い
変形性股関節症は一次性変形性股関節症と二次性変形性股関節症の二種類に分けられています。
それぞれどんな原因があるのか紹介していきますのでご覧ください。
⚫︎一次性変形性股関節症
明らかな原因はなく、加齢による変化や体重増加、肉体労働やスポーツなどで股関節に負荷がかかりすぎることで起こるとされています。
⚫︎二次性変形性股関節症
先天性の病気や後天的な病気などが原因で起こるものです。日本では小児期の発育性股関節形成不全などが大半を占めているとされています。
こちらの「発育性股関節形成不全」とは、新生児などで生まれつき股関節を構成する臼蓋(きゅうがい)と大腿骨頭(だいたいこっとう)が離れた状態のことをいいます。
臼蓋とは骨盤のくぼみで大腿骨の頭の部分である大腿骨頭を受け止める役割をしています。
昔は「先天性股関節脱臼」と呼ばれた病気でした。
発育性股関節形成不全の原因は明らかにされていないことが多くありますが、臼蓋に大腿骨頭を受け止めるだけの深さが足りないことが原因のひとつとされています。
よって、変形性股関節症は二次性変形性股関節症で悩まされている方の割合も高く、若年層でも股関節の痛みに悩まされている方が多くいる病気なのです。
参考記事:【足を開くと股関節が痛い】それって変形性股関節症?痛みの原因と対処法をわかりやすく解説!
【病期別】変形性股関節症の症状とは
変形性股関節症は4つの病期に分けられており、それぞれの病期で症状の違いがあります。病期が進行することによって手術が必要になることもあるので、ご自身の状態をしっかりとチェックしておきましょう。
⚫︎前期・初期
脚の付け根のだるさなどから長時間立っていることや歩くことが辛くなります。また、普段の生活では足の爪を切ることや、靴下をはくことが行いにくくなります。
⚫︎進行期
前期や初期から症状が進行し、立ち座りの動作で股関節の痛みに気づくでしょう。階段や車、公共交通機関の利用の乗り降りの際に脚の付け根の痛み手すりを使用する機会が増えて来る方もいます。
⚫︎末期
痛みが強くなり、何もしていなくても股関節の痛みに悩まされてきます。夜間にも痛みが出て中には眠ることができない方も。レントゲンなどで股関節の変形が目立ち、歩くことも困難になってきます。
変形性股関節症の痛みの対処法を紹介!
ここまで、変形性股関節症の原因や症状について紹介してきました。ここからは変形性股関節症の痛みを和らげる方法について紹介していきます。
対処法としてはストレッチなどで股関節の硬さをほぐすことや痛みが出ている部位を温める、適度な運動をすること、股関節に負担をかけないように生活を見直すことが重要です。
それでは、それぞれについて解説していきます。
ストレッチなどで股関節の硬さをほぐす
変形性股関節症の方では立ったり歩いたりで痛みが出るとその動作を避けてしまいがちです。その結果、股関節の周りの筋肉の衰えや硬さに繋がります。
ご自宅でストレッチなどをすることで股関節を支える筋肉がしっかりと働けるようになり、痛みの軽減に繋がることが期待されます。
しかし、股関節の痛みが強い時や痛みが出るまでストレッチを続けることは、股関節に負担をかけて症状を悪化させる危険がありますので注意してください。
参考記事:【股関節痛の原因は何?】関連する病気を専門家が解説!
【自宅で簡単にできる】股関節のストレッチを紹介
ご自宅で簡単にできる股関節のストレッチを紹介していきます。動画を参考にしながら股関節のケアをしてみてください。
STEP2:お尻を斜め後方に動かします
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※お尻の筋肉の伸びを意識しながら行います
STEP2:下の足を直角に曲げ、もう一方の足を後方から掴みます
STEP3:後方へ引っ張ります
STEP4:元の姿勢に戻ります
STEP5:STEP1〜4を繰り返します
※太もも前面の伸びを感じながら行います
※腰を反らさないように注意しましょう
STEP2:可能な限り膝を伸ばします
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※もも裏の筋肉が伸びているのを感じながら行います
※太ももがお腹から離れないように注意しましょう
STEP2:お尻を持ち上げます
STEP3:ゆっくり下ろします
STEP4:STEP1〜3を繰り返します
※身体が一直線になるまでお尻を持ち上げます
※腰を反らさないように注意しましょう
温めることも大切
変形性股関節症の症状が出ている部位を温めることで、血の巡りが良くなり痛みの軽減や炎症を和らげます。
ご自宅ではお風呂で温めることがおすすめです。
適度な運動をする
ストレッチの項目でもお伝えしましたが、変形性股関節症で痛みが出るからといって動かないでいると股関節の周りの筋肉が衰え、かえって症状を悪化させてしまう場合があります。
股関節の周りの筋肉が衰えないように適度な運動をすることで、筋力や関節の可動範囲の維持に繋がり、股関節周りの循環の改善や痛みの緩和も期待できるでしょう。
おすすめの運動としては先ほど紹介したストレッチなどのほか、関節への負担を浮力によって和らげる水中ウォーキングなどがあげられます。
先ほどもお伝えしましたが、股関節の痛みが強い時や運動のやり過ぎはかえって症状を悪化させる危険性がありますので注意してください。
股関節への負担をかけないように生活を見直す
変形性股関節症での痛みの対処法の一つとして、股関節に負担をかけないように生活を見直すことが重要になります。
イスを使うなど洋式生活を送る
洋式生活と違い、和式生活ではたたみや床からの立ち座りが基本となります。たたみや床に正座したり、布団から起き上がったりする際には股関節に大変な負担がかかります。
そのため、イスやベッドを使用した洋式生活を送ることで股関節への負担が軽減され、痛みの緩和に繋がるのです。
寝る時の姿勢に気をつける
変形性股関節症の末期では何もしていない安静時でも痛みが出ることが多くあります。特に眠っている時に股関節の痛みに悩まされる方もいるのではないでしょうか?
そのような時おすすめなのがクッションや枕を使った方法です。
仰向け寝の場合は膝の下に、横向き寝では両方の膝の間に枕やクッションを入れることで股関節の痛みの軽減が期待できます。
歩く時も早歩きは禁物!
歩く時も股関節に負担をかけないことが大切です。早歩きではなくできる限りゆっくりと、疲れを感じない程度の歩行ペースにすることがおすすめです。
また、長い時間歩くと股関節への負担が増しますので、休憩をとりながら歩くことを心がけてください。
【要注意】変形性股関節症でやってはいけないこと
ここからは変形性股関節症でやってはいけないことについてご紹介していきます。
自宅で気をつけること
基本となるのは股関節へ負担がかからないように生活することが重要です。特に股関節を深く曲げる動作が股関節への負担に繋がります。
以下が気をつけるポイントとなりますので、参考にしてみてください。
- 重い荷物を持ったり、運ばない
- あぐら姿勢や正座などは避ける
- 長時間の立ち仕事や長距離の歩行は避ける
- 階段の上りを可能な限り避ける
- 床の雑巾掛けや草むしりを避ける
こちらの気をつけるポイントの他に、過体重であることも股関節に負担がかかる要因となりますので、お心当たりのある方は体重の減量をすることもおすすめします。
参考記事:がに股を矯正したい!おすすめのストレッチ・トレーニングを紹介
運動時に気をつけること
運動時も股関節に負担がかかるような運動は避けるようにしましょう。
例えば、ランニングや長距離を歩くゴルフ、激しい動きが加わるダンスなどがあげられます。
しかし前述した通り、股関節への負担が少ないストレッチや水中ウォーキングであれば股関節の痛みが少ない時はおすすめと言えます。
まとめ
今回は、変形性股関節症の痛みを和らげる効果的なストレッチの方法をご紹介していきました。股関節に負担をかけ過ぎず、痛みに注意しながら適度なストレッチや運動を行うことが大切であることがわかりましたね。
しかし、股関節の痛みが強い時は無理をせず休むことも大切です。
気をつけるべきポイントをおさえ、股関節の痛みの出ない生活を送っていきましょう。それでは当記事が、変形性股関節症の痛みで悩むあなたのお役に立つことができれば幸いです。
【参考文献】
1)理学療法ガイドライン 第2版
2)日本整形外科学会
3)久保 俊一,齊藤 正純:変形性関節症を理解する,Jpn J Rehabil Med,52,256-264,2015