がに股を矯正したい!おすすめのストレッチ・トレーニングを紹介

「美しい姿勢で歩きたい」と考える方にとって、悩みの種の1つが「がに股」です。

人の「歩く姿」は意外と印象に残るもの。なかには「がに股を矯正したい」と思いつつ、「でも、がに股は治らないから」と諦めている方もいるかもしれません。

そこで当記事では、がに股になる原因・がに股を矯正する方法について詳しく解説します。

最後まで目を通すことで、がに股についての理解が深まり矯正方法もわかるでしょう。ぜひお役立てください。

がに股とはどんな状態?

がに股とは、立った姿勢あるいは歩いている時に、膝のお皿とつま先が外を向く状態を指します。

がに股について解説した図

がに股はいわゆる俗称で、「外股(そとまた)」とも呼ばれます。したがって、病的な症状を指すわけではありません。

性別による差はほとんど無く、男女問わずがに股になる可能性はあるといえます。また子どもの成長過程で、がに股で歩く「そとわ歩行」が見られるケースもあります。

なお、がに股という名前は、「蟹(かに)」が由来だという説が有力です。

余談ですが、「柔道選手にはがに股が多い」と言われています。競技の特性として、相手に投げられたり足を払われたりしないように踏ん張るからだと思われます。

がに股をチェックする方法

続いて、がに股をチェックする方法を解説します。

立った姿勢で両足の踵を付けた状態で、膝と内ももを付けてみます。この状態で両足のつま先が大きく外側を向いている場合、がに股である可能性が高いです。

すぐにできるチェック方法なので、さっそく試してみましょう。

がに股とO脚は関連する?

がに股同様に、悩んでいる方が多いのが「O脚(内反膝)」です。

がに股とO脚は併発しやすい

O脚とは、両足を揃えて立った際に両膝がくっつかない状態を指します。膝と膝の間が開いた様子がアルファベットの「O(オー)」に見えることから、O脚と呼ばれます。

そして、がに股の原因とO脚の原因にはいくつか共通点があり、併発しやすいです。

参考記事:内反膝(O脚)とは?原因と治し方をシンプルに解説

参考記事:【諦めないで】膝下O脚の原因と簡単にできる治し方を専門家が解説

がに股になる原因

では、がに股の原因について解説します。

がに股に悩んでいる方は、ご自身と照らしあわせてご覧ください。

内もも(内転筋)の筋力低下

がに股の原因のひとつである内転筋群を解説した図

まず可能性が考えられるのは、内ももの筋肉(内転筋群)の低下です。

内ももの筋肉は、股関節(脚)のさまざまな動作に作用しており、太ももの外側につく筋肉と引っ張り合いバランスを取り合っています

つまり、内ももの筋肉が衰えると太ももの筋肉バランスが崩れ、外側につく筋肉が強く作用し脚が外に引っ張られる形になります。

その結果、つま先が外側に開きがに股になってしまうのです。

悪い姿勢による骨盤の傾き

悪い姿勢で骨盤が傾くとがに股になりやすい

骨盤の傾きもがに股に関係します。とくに、普段から背中が丸まっている「猫背」の方は注意しましょう。

猫背になると骨盤は後ろに傾きます。そして人体の構造上、骨盤が後ろに傾くと股関節は外にねじれやすいです。

そして、股関節が外にねじれることで膝やつま先も外を向き、がに股になります。

足裏のアーチの崩れ

足裏アーチの崩れ(扁平足)もがに股の原因になる

他には、重心の偏りが原因になっている可能性もあります。

足裏のアーチ(土踏まず)が無くなることで重心が外側(小指側)に偏ると、がに股になりやすいです。

なお、足裏のアーチが消失する症状は「扁平足(へんぺいそく)」と呼ばれています。

がに股を放置すると股関節や膝の痛みにつながる

おそらく、がに股を矯正したい方の主な動機は「見た目が良くないから」ではないでしょうか。

ですが、がに股のデメリットは見た目だけではありません。

がに股を放置することで、股関節や膝の痛みにつながるケースも多いです。

したがって、がに股をそのまま放置することはおすすめしません。ぜひ矯正に取り組みましょう。

がに股を矯正する!自宅で実践可能なセルフケア方法

ここから、がに股矯正に効果的なセルフケア方法を解説します。

いずれも自宅にいながらすぐに取り組める方法ばかりです。ぜひ実践してみてください。

筋力トレーニング

先述したように、がに股には内ももの筋力低下が関係するケースが多いです。したがって、脚の筋力トレーニングを重点的に行ってみてください。

では、おすすめの筋トレを2つ紹介します。

1つ目は「股関節内転エクササイズ」です。

横向きの姿勢で横になり、上の脚をたたみます。ここから、下の足を天井へ上げる動作を繰り返してみてください。

こちらのエクササイズで、内ももの筋肉(内転筋群)が鍛えられます。

2つ目は「両脚ヒールレイズ」です。

壁に手をついた状態から、両足の踵をできる限り高く上げます。親指から小指の足趾に均等に体重を乗せるよう意識することで、歩行時の偏りを軽減できるでしょう。

どちらも特別な準備が不要で家にいながら実践可能です。ぜひ継続しましょう。

ストレッチ

股関節周りのストレッチも、がに股矯正に効果的です。筋トレとあわせてコツコツ続けてみましょう。

そこでおすすめのストレッチを紹介します。「大殿筋ストレッチ」です。

イスに座った姿勢から片脚を反対側の太ももに乗せます。ここから、膝を抱えて反対側の肩へ引き寄せ、数秒静止してみてください。

上記のストレッチによって、お尻につく「大殿筋(だいでんきん)」を伸ばせます。

姿勢を見直す

日常生活の中で、姿勢が崩れていないでしょうか。

先ほどもお話しした通り、猫背になることで骨盤が後ろに傾き、がに股につながります。背中が丸まっていないか注意を払ってみてください。

具体的には、「意識的に胸を張りながら頭を後ろに引く」方法がおすすめです。

ぜひ、普段から良い姿勢を心がけましょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

がに股矯正グッズ(ベルト・インソール)を使用する

筋トレやストレッチなどを行ったうえで、がに股矯正グッズを使用するのもおすすめです。

たとえば、がに股を矯正するベルトや、足のアーチ(土踏まず)を補助するインソール(靴の中敷き)が販売されているので検討してみましょう。

ただし、中には生活に多少の支障が出るグッズも存在します。また、グッズを使わなくなった途端にがに股に戻ってしまってはあまり意味がありません。

したがって、矯正グッズはあくまで補助として考えるのがおすすめです。

まとめ

人の好みや感性はさまざまです。

「がに股になっていても気にしない」という方にしたら、がに股を矯正する必要性は感じられないかもしれません。

ただ「親しい人にがに股を指摘された」など、気にする方にとっては切実な悩みです。また、がに股が股関節や膝の痛みにつながる可能性もあります。

したがって、がに股を矯正するメリットは多いでしょう。

時間はかかるかもしれませんが、本文で紹介したセルフケアを継続することで、がに股の矯正は可能です。

それでは、当記事があなたの役に立つことを願っています。

【参考文献】
1)松崎秀隆,吉村美香,漆川 沙弥香:内反膝を呈する若年女性の股関節周囲筋力
2)吉 井 一 郎 ・緒 方 公 介 杉 岡 洋 一:内反型変形性膝関節症 の下腿の回旋変形

3)原 崇之,鈴木 克彦:扁平足のインソール装着による骨盤・肩甲骨への波及効果―デジタルカメラの臨床応用の検討―
4)公益社団法人 日本整形外科学会:「O脚・X脚」
5)中道 哲朗, 渡邊 裕文, 大沼 俊博, 赤松 圭介, 藤本 将志, 鈴木 俊明:立位における骨盤後傾角度変化が大腿筋膜張筋、大腿二頭筋および内側広筋の筋電図積分値に及ぼす影響