多くの方を悩ます、嫌な痛みの1つが「頭痛」です。
頭痛が発症すると、その日の予定に大きな支障が出ます。痛みの度合いによっては仕事どころではなくなるかもしれません。
大事な時に限って頭痛が現れたり、曇った日には「頭痛になるかも」と憂鬱になったり。
ゆえに「頭痛が一瞬で治る方法が知りたい」と思っている方も多いでしょう。そういった方におすすめなのが「ツボ」を使ったセルフケア方法です。
当記事では、頭痛改善におすすめのツボを中心に、頭痛への対処法や予防法を詳しく解説します。
最後まで目を通すことで、頭痛に対しての知識が深まり、ご自身で頭痛を緩和させたり予防したりできるでしょう。
ぜひお役立てください。
【最初に確認】頭痛はどういった原因から起こる?
最初に頭痛の種類や原因について触れていきましょう。
頭痛はおもに「片頭痛(偏頭痛)」「緊張性頭痛」「三叉神経・自律神経頭痛」の3種類に分けられます。
それぞれの頭痛の特徴は以下のとおりです。
- 片頭痛(偏頭痛):ズキズキ痛む、目のチカチカ(閃輝暗点)が現れる
- 緊張性頭痛:頭が重く締め付けられるように痛む
- 三叉神経・自律神経頭痛:目の奥や側頭部が痛む、目の充血や鼻水などを伴う
上記のうち、もっとも多いのは緊張性頭痛と言われています。
頭部が痛む直接の原因は「血管の拡張・収縮」「神経の損傷や圧迫」などです。
そして頭痛につながる要因としてはストレスや喫煙、過度な飲酒、光や音による刺激、気圧の変化などが挙げられます。
頭痛が一瞬で治ることはほぼない
頭痛に悩む時間はできるだけ短いほうが良いですよね。一瞬で頭痛が治まれば理想的でしょう。
しかし、どういった頭痛であれ一瞬で治ることはほぼありません。
頭痛になった場合、短くても3時間から4時間ほどは痛みが続きます。人によっては1日経っても痛みが消えないケースも存在します。
頭痛のメカニズムについては解明されていない面も多いです。したがって、諦めではないですが「頭痛は数時間続くもの」と割り切ることも必要かもしれません。
しかし、短時間で頭痛を緩和する方法はあります。次項から見ていきましょう。
即効性あり!頭痛緩和に効くツボ6選
頭痛緩和に有効なのが「ツボ」を刺激する方法です。
頭痛は、文字通り頭部(骨)が痛みます。したがってストレッチや運動で痛みは緩和しません。
その点、ツボ刺激なら骨の上から行えるので、頭痛の緩和に役立ちます。加えて、ピンポイントで刺激できるのもメリットです。
では、頭痛に効くおすすめのツボを紹介します。
印堂(いんどう)
両まゆげの中間の凹みに存在するのが「印堂(いんどう)」です。
人差し指を使って、皮膚を伸ばすように優しく刺激してみましょう。
なお、「花粉症」「目の疲れ」「不眠症」にも効果が期待できるツボなので、ぜひ活用してみてください。
扶突(ふとつ)
喉仏(のどぼとけ)の指3本分外側にあるのが「扶突(ふとつ)」です。
横に向いた際に浮き出る「胸鎖乳突筋(きょうさにゅうとつきん)」を目安にしてみてください。
こちらのツボを押したまま頭をゆっくり左右に倒すと、効率よく刺激されます。頭痛が起こりそうな日(天候が悪い日など)に、入念に刺激してみましょう。
なお、頭痛以外に、「肩こり」にも効果が期待できます。
和髎(わりょう)
もみあげと耳の間のくぼみに存在するのが「和髎(わりょう)」です。
指先に「拍動」が感じられるので、目安にしてください。
とくに片頭痛が現れた時に、こちらのツボを指を使って優しく刺激するのがおすすめです。
耳尖(じせん)
耳たぶの上端に存在するのが「耳尖(じせん)」です。
指で耳たぶをつまむように刺激しましょう。もしくは指で優しくこするように刺激するのもおすすめです。
なお、目の不調に対しても効果が期待できます。
合谷(ごうこく)
頭痛に効くツボは、頭だけでなく手足にも存在します。
手の親指と人差し指の骨が交わる部位に存在するのが「合谷(ごうこく)」です。
ツボの位置が山間の谷(鞍部)のようであることから、合谷という名前が付けられました。
刺激する際は、谷の真ん中ではなく、人差し指側を押すのがポイントです。かつ、押されている側の手の親指をゆっくり回すと、より効率的に刺激できるでしょう。
太衝(たいしょう)
足の親指と人差し指の間を触り、そのまま足首側に滑らせ止まる部位が「太衝(たいしょう)」です。
足の甲に位置するツボですが、頭痛の緩和に効果が期待できます。また、ストレスや疲れが溜まっている方ほど、このツボが痛く感じる傾向があります。
手の親指でじっくり揉みほぐしましょう。
その他の対処法もチェック
もちろん、ツボ刺激だけで頭痛が改善するケースはほとんどありません。
以下より、ツボ刺激以外の有効な頭痛対処法を解説します。状況に応じて、できる範囲で実践していきましょう。
暗い部屋で休む(眠る)
頭痛が現れたときは、できるだけ休むことを心がけてください。
灯りを消した薄暗い部屋で、30分ほど睡眠できれば理想的です。起床後は頭痛が幾分楽になっているでしょう。
とくに片頭痛の場合は、目を閉じて光刺激を遮ることが重要です。したがって、頭痛が起こったあとは、できるだけスマホを覗かないように心がけてみてください。
冷やす・温める
頭痛になったあと、痛む部位を冷やす・温めるのも有効です。
ただし、頭痛のタイプによって判断が異なります。目安として、片頭痛(目のチカチカが現れる)に対しては冷やす、緊張性頭痛に対しては温めるのがおすすめです。
また、冷やす際は「氷」か「冷水シャワー」を使い、温める際は「ホットパック」や「温水シャワー」を使ってみてください。
外用消炎鎮痛薬を服用する
頭痛を和らげるために、外用消炎鎮痛剤の服用も検討しましょう。
ドラッグストアなどで購入可能です。購入前に、常駐している薬剤師に相談することを忘れないようにしてください。
そのうえで、多めに購入し予備として置いておくこともおすすめです。
頭痛を予防するための習慣
いわゆる頭痛持ちの方には、「頭痛を未然に防ぎたい」と強く考える方もいるでしょう。
頭痛を予防するために、心がけるべきポイントがあります。
まず重要なのは、「ストレスや疲れを溜めすぎないこと」です。
長時間パソコン作業をされる方は、定期的に休憩を取りましょう。緊張状態が続くと頭痛が起こりやすいです。
また、普段から適度な運動を行いストレスを発散してみてください。
そして、「食べ物・飲み物を意識すること」も有効です。
とくに、マグネシウム(そば・豆腐・ほうれん草など)やビタミンB2(牛乳・レバー・うなぎなど)、EPA・DHA(青魚)などを意識的に摂りましょう。
また、身体の水分が不足すると頭痛になりやすいです。したがって、普段から水を多めに摂ってみてください。1日2リットルが目安です。
危険な頭痛もあり!早めに病院を受診することが大事
もし、頭の痛みと併せて「めまいがする」「呂律(ろれつ)が回らない」「手足に力が入らない」といった症状が見られる場合、危険な頭痛の可能性があります。
こういった頭痛には、ツボや他の対処法は効きません。
できるだけ早く病院を受診してください。頭痛なので、脳神経内科・脳神経外科で診てもらいましょう。
決して、危険な頭痛を放置しないでください。
まとめ
残念ながら、頭痛が一瞬で治る方法はありません。したがって、頭痛が現れた場合はいかに早く緩和するかを考えましょう。
頭痛を和らげる方法として、本文で紹介したツボがおすすめです。少しでも頭痛が楽になれば、気持ちにも余裕が生まれ、その後の過ごし方が随分変わってきます。
また頭痛の予防としてもツボは使えるので、普段からご自身で刺激してみてください。
ただし、痛み以外の症状が見られた場合は、すぐに医療機関を受診するのが大切です。
それでは当記事が、あなたのお役に立つことを願います。
【参考文献】
1)日本神経学会・日本頭痛学会・日本神経治療学会:頭痛の診療ガイドライン2021
2)大阪医科大学麻酔科教授 兵 頭 正 義:ツボの概念を利用した痛みの治療
3)菊井 祥二, 竹島 多賀夫:頭痛と予防医療
4)永田 栄一郎:片頭痛治療の現状―急性期療法と予防療法
5)清水 利彦 柴田 護 鈴木 則宏:片頭痛の病態研究および治療に関する最近の知見
6)社会医療法人寿会 富永病院 副院長,脳神経内科部長,頭痛センター長 竹島多賀夫:片頭痛の現在,過去,未来:頭痛医療の歴史をふりかえり,新たな展開を望む