とくに心当たりがないのに、なぜか背中の筋が痛いときがありませんか?背中の筋が痛いと「夜寝られない」「作業に集中できない」など、仕事やプライベートに影響を及ぼしかねません。
また、重篤な病気によって背中の筋が痛むというケースも存在します。いずれにせよ、背中の痛みをそのまま放置するべきではありません。
そこで当記事では、背中の筋が痛い原因や対処法を詳しく紹介します。
最後まで目を通すことで、背中の筋が痛いときも冷静に対処できて、早期改善が可能でしょう。
寝違えたように背中の筋が痛い場合に身体で起こっていること
寝違えたように背中の筋が痛い時、身体はどういった状態なのでしょうか。ご自身の身体で何が起こっているのか、不安に思うのも無理はありません。
当てはまる可能性が高い2つのケースを以下より紹介します。
筋肉の炎症(ぎっくり背中など)
背中が痛む場合、まず考えられるのが筋肉の炎症です。
「背中の筋肉を酷使した」もしくは「長時間に渡って背中の筋肉が緊張した」場合に、傷ついた筋線維を修復する過程で炎症が起こり、刺激物質が生まれ痛みを感じます。したがって、重篤な症状ではないですが、筋肉の使い方によってはすぐ再発しやすいといえるでしょう。
また「動くのも辛いくらい痛む」「痛みが背中全体の広範囲に広がっている」場合は、いわゆる肉離れに近い「ぎっくり背中」になった可能性も考えられます。
参考記事:ぎっくり背中の治し方は?どうしたら楽になるの?原因と対処法について専門家が解説!
参考記事:【背中のつるような痛み】ぎっくり背中を早く治すための対処法とストレッチを紹介
神経の圧迫・損傷
背中に存在する神経が圧迫、もしくは損傷したことにより痛みが出る場合もあります。とくに「背中が焼けるように痛む」場合は、神経に負担がかかっていることを考えましょう。
神経を圧迫・損傷する原因はさまざま。筋肉の緊張から起こる場合もあれば、なにかにぶつけた際にも起こり得ます。また天候・気圧が影響するケースも少なくありません。
背中を走る自律神経が原因で痛むケースのほか、肋骨(アバラ)に沿って片方だけ痛む場合は「肋間神経痛(ろっかんしんけいつう)」の可能性も考えられます。
背中の筋が痛む原因3つ
なぜ、背中の筋が痛むのでしょうか?そこで考えられる原因を3つ紹介します。
ご自身に当てはまっていないか確認してみてください。
原因①長時間同じ姿勢で仕事をした
長時間、同じ姿勢のままでいると背中の筋肉に負担がかかります。職場で数時間、同じ姿勢で作業することは珍しくありません。
また「慣れない作業が続いた」「納期が近い」など精神的なストレスが強いと、交感神経が優位になり、肩が力むことで背中の筋肉が一層緊張しやすくなります。とくにデスクワーカーの方は十分注意しましょう。
原因②普段の姿勢が悪い
「普段の姿勢」も背中の筋の痛みと密接に関係します。
誰しも、自分自身の姿勢はなかなか正確に把握できないもの。気づかないうちに背骨本来の形が崩れ「猫背」や「反り腰」になることで、背中の筋が緊張し痛みが発生します。
姿勢の悪さが原因で背中が痛む場合、姿勢を改善しない限り筋の痛みが再発する可能性があります。そのため普段から姿勢が崩れていないか、定期的にチェックしましょう。
参考記事:猫背を治す方法とは?姿勢改善にオススメのストレッチ・筋トレを詳しく紹介!
寝相にも注意!負担がかかっているかも
日中の活動時だけでなく、夜寝ている時の姿勢(寝相)が崩れていれば、背中の筋に負担がかかります。「朝起きてから寝違えたように背中の筋が痛い」場合は、睡眠時の体勢・姿勢に原因がある可能性が高いでしょう。
たとえば「枕の高さが合わなくて首に負担がかかる」、「寝返りが打ちにくいマットレスを使っている」など、使用する寝具がご自身に合っていなければ、就寝中に背中の筋肉が緊張してしまいます。
原因③力仕事・急な運動を行った
「重いものを持った」「重い台車を押した」など力仕事を行った際、あるいはウォームアップせずにいきなり運動を行った場合も背中の筋肉を痛めやすいです。
力仕事・急な運動による筋線維の損傷(筋肉痛)が、背中の筋の激痛に発展しかねません。したがって「このくらいの運動なら大丈夫」と安易に考えず、身体のケアを入念に行いましょう。
背中の筋を痛めたらどのくらいで治るか?
痛みの原因によって改善するまでの期間は異なります。筋肉の炎症で痛みが出ている場合、2週間以内に改善する場合が多いです。
一方で神経の圧迫・損傷で痛みが出ている場合は、改善までに3週間〜4週間はかかるとお考えください。場合によっては3か月以上続く場合もあるので、あらかじめ把握しておきましょう。
背中の筋が痛い時の対処法
ではここから、背中の筋が痛い場合の対処法をご紹介します。痛くてどうしようもない場合、まず以下の3つの方法を実践してみてください。
①痛みが酷い場合は安静にする
痛みが酷い場合は、無理に動かさずまずは安静にするべきです。背中に重力がかからないように、できるだけ横向きで寝た姿勢をとるか、柔らかいクッションを背中に当てながら座って休みましょう。
痛みを我慢して行動することは危険を伴います。したがって仕事を休む・予定をキャンセルすることを検討してみてください。
②ゆっくりストレッチを行って筋肉をほぐす
ストレッチを行うことで、背中の筋の痛みが幾分やわらぐ場合があります。背中の筋肉が伸びるストレッチを、動かせる範囲で行ってみてください。
ストレッチを行う際は呼吸を止めないことが大切です。無理に伸ばしたりはせず、ゆっくりと筋肉を伸ばすように心がけましょう。
参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介
参考記事:【背中のコリがしんどい方は要チェック】コリの原因と解消ストレッチを専門家が解説
③必要に応じて鎮痛薬を服用する
安静にしてもストレッチをしても痛みが引かない、どうしても外せない用事があるといった場合は、かかりつけ医や薬剤師と相談のうえ鎮痛剤を服用しましょう。
湿布などの「外用薬」も効果がありますが、短時間で痛みを抑えたい場合はロキソニンなどの「内服薬」を選ぶことがおすすめです。
ただし、他の医薬品と並行しての使用はできません。また「眠くなる」「お腹が痛くなる」などの副作用が出る場合もあるので、服用前に必ず確認してください。
生活習慣を見直して背中の痛みを予防しよう
生活習慣を見直すことで、背中の筋の痛みを予防できる場合が多いです。生活の中で背中の筋に負担がかかっていないか確認してみましょう。
まず、普段の姿勢が崩れていないか定期的にチェックしてみてください。姿勢が改善されるだけで背中の筋肉が緩み、神経の圧迫も減るでしょう。
また、定期的な運動も大切です。毎日数分だけでも良いので、背中の筋肉が刺激されるメニューを続けてみてください。
加えて、いつも使っている寝具をチェックしましょう。枕の高さやマットレスの硬さはご自身に合っているでしょうか?
「寝具を変えた途端に背中の痛みが改善した」というケースも決して少なくありません。可能であれば、寝具の専門家に枕やマットレスを選んでもらいましょう。
中には継続する必要があったり、多少の出費が必要だったりするケースもありますが、痛みのないスッキリした背中が手に入るということで、有意義なことは間違いありません。
参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには
要注意!重篤な病気の可能性も
筋肉の炎症・神経の圧迫が原因で背中の筋が痛むのであれば、比較的短期間で改善が期待できます。しかし、場合によっては内臓の重篤な病気が隠れている可能性があるので、十分注意してください。
異変を感じたら、すぐにかかりつけ医に相談しましょう。
また、以下の病気でも背中の筋が痛む場合があります。
- 多発性筋炎
- 悪性腫瘍(ガン)
- 狭心症・心筋梗塞
- 急性膵炎
- 大動脈解離・大動脈瘤
いずれも悪化すれば大変なことになる病気ばかり。したがって「背中の筋の痛みだから大丈夫」と放置するべきではありません。
参考記事:背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法
参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説
病気が原因で起こる背中の痛みの見分け方
病気が原因で起こる背中の痛みは、「痛み方」「他の症状の有無」で見分けましょう。
病気が原因で起こる背中の痛みは、安静にしてもストレッチをしてもまったく減りません。むしろ日が経つにつれて増していく傾向にあります。
また背中の痛みの他に、倦怠感や吐き気、動悸、発熱、腹痛といった症状が伴うケースが多いです。
こういった筋肉の炎症や、神経の圧迫で起こる背中の痛みとの相違点を見逃さないようにしましょう。
参考記事:ぎっくり背中を見分ける症状チェックリスト!ぎっくり腰との違い・要注意の病気も解説
違和感があるなら早めに病院へ行くべき
もし「背中の痛み方がいつもと違う」、「ただの背中の痛みではないかも」と少しでも違和感があれば、できるだけ早めに病院に行き検査を受けましょう。早めに病気が見つかることで、早い段階から治療を開始できます。
逆に背中の痛みを放置すれば、「病気が見つかったときには遅かった」という結果になりかねません。仕事などが忙しく面倒に思えても、早めの受診を心がけてください。
まとめ
背中の筋が痛い場合、まずは筋肉の炎症もしくは神経の圧迫や損傷が考えられます。できるだけ安静にして、ゆっくりストレッチを行ってみましょう。痛みが酷い場合は主治医や薬剤師に相談のうえ、鎮痛剤の服用も検討してみてください。
背中の筋の痛みは数週間で改善する場合が多いです。ただし、生活習慣を見直し改めないと痛みが再発する可能性もあります。普段の姿勢や睡眠時の姿勢が悪くなっていないか、あらためて確認してみてください。
また、痛みに加えて発汗や動悸などを伴う場合は、内臓の病気の可能性があります。すぐに病院を受診しましょう。
それでは当記事を参考に、背中の筋の痛みが快方に向かえば幸いです。
【参考文献】
1)千葉大学病院:多発性筋炎と皮膚筋炎