「運動中に皿の下に痛みがあって全力で走れない」
「膝の皿の下にある骨を押すと痛い」
あなたもこのような症状でお困りではありませんか?
膝は「歩く」「立つ」「走る」などの、基本的な動作で重要な役割がある関節です。膝に痛みがある状態のまま放置することで、スポーツはもちろん、日常生活に使用をきたす可能性もあります。
そのため、膝の痛みを改善するためには、原因に合った適切な対処を行うべきです。
そこで当記事では、膝の皿の下に痛みがある原因や対処法、予防にもオススメのストレッチを紹介します。
当記事を参考にすることで、普段の生活が少しでも楽になれば幸いです。ぜひ最後までお付き合いください。
膝の皿の下に痛みがある時に疑われる3つの原因とは?
膝の皿の下に痛みが出現する原因は、症状の出る部位や年齢、運動習慣などによって異なります。ここでは、皿の下に痛みが出現する時に疑われる3つの原因について、具体的な症状と合わせて解説します。
繰り返される膝への負担が原因となる「ジャンパー膝(膝蓋腱炎)」
ジャンプやダッシュ、ストップなどの動作を繰り返すことで、お皿につく「膝蓋腱(しつがいけん)」に負担がかかります。そして、膝蓋腱に負担がかかり続けることで、膝の前面に痛みや腫れなどの炎症症状を引き起こすスポーツ障害の一つが「膝蓋腱炎」です。
日常的にバレーやバスケットボールなどのスポーツを行う学生に多く見られ、女性に比べて男性に多い疾患1)です。
運動後に皿のすぐ下や上に痛みを感じ、重症化すると歩いていても痛みが出現することもあります。また、特徴的な症状として、膝の下や上にあるへこみ部分を押すと痛みを感じる圧痛が出現します。
参考記事:ジャンパー膝(膝蓋腱炎)とは?痛みの原因と症状・ストレッチなどの予防方法について解説
成長期の子どもに多い「オスグッド・シュラッター病」
膝の皿の下にある「脛骨粗面(けいこつそめん)」には、太ももの前にある大きな筋肉がつきます。筋肉の柔軟性が低下することで、脛骨粗面が引っ張られて起きる痛みが、「オスグッド・シュラッター病(オスグッド)」です。
オスグッドは太ももの前につく筋肉の柔軟性低下だけではなく、スポーツによる膝の使い過ぎが原因となることが多いです。また、成長期のお子さんは骨の成長に筋肉の成長が追いつかず、筋肉の柔軟性が低下するため発症しやすいと言われています。
ジャンパー膝と症状は似ていますが、痛みが出現する原因は異なり、オスグッドはお皿から指2〜3本下に痛みが出現します。また、脛骨粗面が引っ張られるため、立て膝をつくと痛みを感じやすいです。
参考記事:オスグッド・シュラッター病とは?痛みの原因と対処法を解説
膝のけが後に起きやすい「膝蓋下脂肪帯炎」
「膝蓋下脂肪帯(しつがいかしぼうたい)」とは皿の真下に位置し、膝の曲げ伸ばしに合わせて形を変化する脂肪組織です。膝への衝撃の緩和や、膝をスムーズに動かす役割があり、痛みを感じやすい物質が多く含まれるという特徴があります2)。
「膝蓋下脂肪帯炎」は膝の使い過ぎや柔軟性の低下、ウォーミングアップ不足が原因となることが多いです。「膝の曲げ伸ばしがスムーズにできない」「膝のお皿の下を左右から押すと痛みが出る」などの症状がある場合は、膝蓋下脂肪帯炎の可能性が疑われます。
【症状別】膝の皿の下にある痛みを治す方法
ここからは、症状に合わせた膝の痛みを治す方法について解説します。
症状に合わせた適切な対処を行うことで、より早い段階で痛みを軽減できるでしょう。ぜひ、自分の症状を確認しながら参考にしてみてください。
歩くと痛い場合は整形外科病院に受診しよう
歩くだけで痛みがあるなどの、日常生活に支障をきたしている場合は、すぐに整形外科病院を受診してください。
受診してレントゲンや超音波などの検査を行うことで、膝の下に出現した痛みの原因を特定できます。痛みの原因が特定できることで、適切な治療を受けられ、早い段階で痛みを軽減できるでしょう。
腫れがある時は「RICE処置」を
痛みのある場所に熱や赤みなどの腫れがある場合は、アイシングなどの「RICE処置」を行ってください。RICE処置とは無理な運動や仕事を控える「Rest(安静)」、患部を冷やす「Icing(冷却)」、患部を圧迫する「 Compression(圧迫)」、患部を心臓より高い位置に保つ「Elevation(挙上)」の頭文字で、炎症症状を抑える効果が期待できます。
痛みが落ち着いたらストレッチや筋力トレーニングが効果的
痛みや腫れなどの炎症症状が落ち着いたら、膝周りのストレッチや筋力トレーニングを行いましょう。
膝の使い過ぎや柔軟性の低下が膝の下に痛みの原因となることが多いです。そのため、ストレッチで膝周りの筋肉を伸ばすことで、痛みの軽減はもちろん運動中の膝への負担軽減にもつながります。
また、股関節や足関節につく筋肉を含めた筋力トレーニングも効果的です。膝への負担軽減だけではなく、運動再開後の再発予防のために継続して行いましょう。
【予防にも効果あり】膝の皿の下が痛い時にオススメのストレッチ3選!
ここからは、膝の痛みに効果があるストレッチと筋力トレーニングを紹介します。再発予防にも効果があるため、スポーツ再開後も継続して行いましょう。
膝蓋下脂肪帯マッサージ
膝蓋下脂肪帯炎が疑われる場合は膝蓋下脂肪帯のマッサージを行い、柔軟性を向上させましょう。膝蓋下脂肪帯が軟らかくなると、お皿の動きやすくなるため、膝の曲げ伸ばしがスムーズに行えます。
STEP1:片足を伸ばし膝のお皿の下をつまみましょう
STEP2:もう一方の手で膝のお皿をつまみましょう
STEP3:つまんだ手を左右反対方向へ動かしましょう
STEP4:痛みのない範囲で繰り返し動かしましょう
大腿四頭筋ストレッチ
運動後や仕事後に膝の痛みを感じる、ジャンパー膝やオスグッド病が疑われる場合は、太ももの前につく「大腿四頭筋(だいたいしとうきん)」のストレッチがオススメです。
ただし、炎症症状が強い初期段階では、痛みを感じる場合があります。初期の段階では無理をせずに、息を吐きながらゆっくりと伸ばしましょう。
STEP1:横向きの姿勢となりましょう
STEP2:下の足を直角に曲げ、もう一方の足を後方からつかみましょう
STEP3:後方へ引っ張りましょう
STEP4:元の姿勢に戻りましょう
STEP5:繰り返し実施しましょう
STEP6:太もも全面の伸びを感じながら行いましょう
※腰が反らないように注意しましょう
両脚スクワット
膝の痛みが落ち着いた段階で、両脚スクワットを行いましょう。正しい姿勢でスクワットを行うことで、膝への負担軽減や筋力の左右差改善に効果的です。
実施する際は、自分のフォームを確認できるよう、大きな鏡の前で行うのがオススメです。膝と足首の向きや、猫背姿勢に注意しながら実施してみてください。
STEP1:肩幅に足をひらきます
STEP2:膝とつま先が同じ方向を向くように揃えましょう
STEP3:はずみをつけずに沈み込み、ゆっくりと戻りましょう
STEP4:繰り返し行いましょう
※膝が内側に入らないよう注意しながら行いましょう
※腰や背中が丸まらないようにしましょう
膝の痛みを悪化させないために注意することとは?
膝の下の痛みは、運動や仕事などによる膝の使い過ぎが原因となることが多いです。膝の痛みを悪化させないために、痛みがある状態で無理な運動を行わないように注意してください。
また、痛みが強い場合は早い段階で整形外科病院を受診しましょう。処方される湿布や痛み止めなどを使用することで痛みの軽減に効果があります。
テーピングやサポーターは痛みの予防に効果がある?
膝にテーピングやサポーターをすることで、痛みの緩和や予防に効果があります。ただし、痛みを緩和できる分、無理に動けてしまい膝への負担が大きくかかってしまう可能性もあるため、注意しましょう。
また、サポーターやテーピングだけでは根本的な対処とはならず、一度痛みが消失しても再発する可能性があります。再発を予防するためには、痛みの原因に合ったストレッチや筋力トレーニングなどを継続的に行うことが大切です。
まとめ
今回は、膝の下に痛みが出現する原因や対処法、再発予防にも効果があるストレッチを紹介しました。
膝の痛みは、使いすぎや柔軟性の低下が原因となることが多く、対処せずにいると日常生活にも支障をきたします。また、ジャンパー膝やオスグッド病はスポーツをする学生に多く、痛みを我慢して運動を続けることで、パフォーマンスが低下することも。
痛みの原因に合わせて適切な対処を行い、早期に痛みを改善しましょう。当記事で紹介したストレッチや筋力トレーニング方法を参考にしていただき、継続して実施することで再発予防にも効果的です。
それでは当記事が、あなたの膝の痛みを改善するお役に立てれば幸いです。
参考文献
1)Javier Peña,Daniel Moreno-Doutres他:チームスポーツにおける膝蓋腱障害:予防的エクササイズ,NSCA JAPAN(26)35-45,2019
2)和田 太成,鈴木 啓介,黒澤 和生:膝関節浅屈曲位での膝蓋下脂肪体の変形.理学療法科学 35(3)341-345.2020