半月板損傷の症状をチェック!原因や膝の痛みを早く治す対処法・ストレッチも解説

「半月板損傷(はんげつばんそんしょう)」は、スポーツ中に起こりやすいケガの一つです。また、特別な外力を受けていなくても、「膝の痛みが実は半月板損傷だった」というケースも少なくありません。

適切な対応を行うためには、今ある膝の痛みが半月板損傷なのかどうか、正確に把握する必要があります。

そこで本記事では、半月板損傷の症状をチェックする方法を分かりやすく解説しています。
あわせて半月板損傷を早く治すための対処法も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

半月板とはどんな組織?損傷が起こる原因も確認

半月板とは、膝関節内にある軟骨組織のことです。内側と外側にひとつずつ存在し、三日月のような形をしています。

半月板を説明した図

運動時に膝にかかる衝撃をやわらげたり、関節の安定感を高めたりすることが半月板のおもな役割です。

半月板損傷の原因

おもにスポーツの現場において、膝に体重をかけた状態でひねったり、外部からの衝撃を受けたりすることで半月板損傷が発生します。

たとえば「サッカーで相手選手と接触し、膝を強くひねりながら転倒した」「ジャンプの着地でバランスを崩して膝をひねった」といった状況です。

また、半月板損傷には、加齢も影響します。
年齢を重ねるごとに、半月板が徐々にもろくなっていきます。それにより、中年以降の方は特別な外力を受けることなく、半月板を損傷する場合があります。

膝の痛みで医師を受診したときに「気づかぬうちに半月板を損傷していた」と判明するケースも少なくありません。

これは半月板損傷?症状をチェックしよう

次のような症状がみられる場合は、半月板損傷の疑いがあります。

  • 運動時や荷重時に膝が痛む
  • 膝を曲げ伸ばしする動きに制限がある
  • 膝に水が溜まる
  • 太もも周辺の筋肉に力が入りにくい

その他、損傷した半月板が関節内ではさまり膝が動かなくなる「ロッキング」や、膝の曲げ伸ばしで引っ掛かりを感じる「キャッチング」も半月板損傷の特徴的な症状です。

参考記事:【膝を伸ばすと痛い】原因となる病気と4つのおすすめ対処法を解説!
参考記事:【膝を曲げると痛い】突然の痛みの原因とあわせ3つのおすすめ対処法を解説!
参考記事:【半月板損傷】膝のロッキングを自分で治すのは危険?適切な治療方法を解説

検査(確認)方法

先ほどご紹介した症状とともに、膝の痛みが半月板損傷かどうかを自分で確認できる方法があります。

やり方は簡単です。
膝を軽く曲げた状態で片足(患側)に体重をかけ、腰を軽く左右に回してみてください。その際、膝関節に痛みが誘発される場合は、半月板損傷が起きている可能性が高いです。

しかし、半月板の損傷を広げる可能性がありますので、上記のチェックは何度もやりすぎないようにご注意ください。

【重要】半月板損傷をできるだけ早く治す対処法

症状や検査によって半月板損傷が疑われる際は、素早く次のような対処を行いましょう。

炎症があるときはアイシングを行う

膝をアイシングしている写真

腫れや熱感がある際は、氷水を当てて患部を冷やしてください。アイシングには炎症や痛みを抑える効果が期待できます。

10〜15分ほどで冷却をやめてみて、痛みや熱が戻るようであれば再度冷やすを繰り返してください。

医療機関を受診する

できる範囲でアイシングを行ったら、早めに病院を受診して検査を受けてください。

「半月板損傷を手術しないで治したい」とお考えの方は多いかもしれません。しかし、年齢や半月板の痛めた箇所、損傷の仕方によっては、手術が必要な場合もあります。

自己判断で対処をしていると、回復を遅らせるばかりか、将来的に関節軟骨を損傷するリスクを高めてしまうため注意が必要です。

ストレッチを行い可動域を広げる

痛みや腫れが引いてきたら、徐々にストレッチで患部を動かしていきます。

ストレッチを行い筋肉の緊張をほぐすことで、膝関節の可動域を回復できます。また、血流もよくなりますので、損傷した部位の治癒力を高めることも可能です。

しかし、患部を急に動かすと、炎症をぶり返すおそれがあります。そうならないよう、慎重にストレッチを開始するようにお気をつけください。

トレーニングで太ももの筋力を鍛える

太ももの筋力をつけることで、膝の安定感が増していきます。それにより関節にかかる負担が減ってくるため、半月板の治癒を早めることにつながります。

とくに膝関節を支える筋肉としては、太もも前側にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)が重要です。

大腿四頭筋を示した図

ストレッチと同様、急な負荷をかけると半月板を再負傷する可能性があります。筋力トレーニングを行う際は、医師ともよくご相談ください。

栄養に気をつける

半月板損傷の回復を早めるには、食べ物にも気をつける必要があります。とくに半月板のような軟骨組織の修復には「コラーゲン」が大事だと言われています。

コラーゲンが多く含まれる食品には以下のようなものがありますので、ぜひ参考にしてみてください。

  • 牛すじ
  • 豚バラ肉
  • 鶏軟骨
  • 鶏の皮
  • 豚足

食べ物からの摂取がむずかしい場合は、コラーゲンペプチドのサプリメントを利用するのもおすすめです。

また、コラーゲンの生成には「ビタミンC」が欠かせません。上記に挙げた食品とあわせて、野菜や果物も意識的にとるようにしましょう。

半月板損傷のリハビリとして行えるおすすめストレッチ3選

ここからは、半月板損傷からの早期復帰を目指せるストレッチをご紹介します。
医療機関で状態を確認してもらいながら、無理のない範囲で行うようにお気をつけください。

お皿のマッサージ

膝蓋骨(しつがいこつ:膝のお皿)を左右や上下に動かすマッサージです。膝蓋骨を動かすことで関節の潤滑が良くなり、膝の曲げ伸ばしも楽になってくるでしょう。

膝蓋骨モビライゼーション
STEP1:片足を伸ばし両手で膝のお皿をつまみましょう
STEP2:お皿を左右交互に動かしましょう
STEP3:お皿を上下交互に動かしましょう

膝の曲げ伸ばし運動

膝の曲げ伸ばしを繰り返すことで、関節の可動域を広げていくストレッチです。
膝を曲げるときと伸ばすときは手でサポートしながら、可能な範囲で膝の曲げ伸ばしを行うように意識してください。

膝関節屈曲伸展運動
STEP1:両脚を伸ばし太ももを支えましょう
STEP2:アシストしながら膝を曲げていきます
STEP3:ゆっくり膝を伸ばしていきましょう
STEP4:繰り返し膝を曲げ伸ばししましょう
※可能な範囲で大きく動かしましょう

タオルつぶし運動

太もも前側にある大腿四頭筋の内側に位置する内側広筋(ないそくこうきん)を鍛えるトレーニングです。

内側広筋は、膝を伸ばしているときに膝関節を安定させる機能があります。したがって、内側広筋を鍛えると膝の位置が安定し、半月板にかかる負担をやわらげることができます。

タオルつぶし運動
STEP1:片膝を伸ばして座りましょう
STEP2:膝の裏にタオルを入れて膝を伸ばします
STEP3:膝裏でタオルを潰すように太ももに力を入れます
STEP4:数秒間力を入れ繰り返し実施します
※お皿を上に持ち上げるように意識しながら行いましょう
※なるべく姿勢は正して行いましょう

半月板損傷が治るまでの期間は?

半月板を損傷した場合、日常生活に戻るまでがおよそ4〜6週間、スポーツへの復帰を目指すなら2ヶ月から半年程度の治療とリハビリが必要と言われています。

しかし、半月板損傷が完治するまでの期間は、一概に言えません。損傷した部位や程度、手術の有無などによって、期間は大きく変わってくるためです。

とくに半月板損傷は自己判断での処置がむずかしいため、医師ともよく相談しながら治療とリハビリを行い、1日でも早い復帰を目指していきましょう。

【要確認】半月板損傷でやってはいけないこととは?

半月板を損傷し、まだ痛みや腫れなどの症状が残っている方は、以下の動きはなるべくとらないように気をつけてください。

  • 正座
  • 長時間の歩行
  • 膝をひねるような動き(急な方向転換)
  • 階段の上り下り

上記は、半月板に負担をかける姿勢や動作と言われています。患部の状態を悪化させる場合もありますので、ついうっかりやってしまったとしても、短時間でやめるように意識しておきましょう。

まとめ

今回の記事では、半月板損傷が起きているかどうかをチェックする方法を解説しました。
スポーツ中の外力はもちろんのこと、とくに運動をしていない方でも、加齢の影響で自然と半月板を痛めているケースがあります。

「半月板損傷は自分には関係ない」とは考えず、症状を確認して早期での対応を心がけましょう。

それでは、本記事があなたのお悩みの解決に役立てれば幸いです。

【参考文献】
1)S P Arnoczky, R F Warren:Microvasculature of the human meniscus
2)Dong-Yeong Lee, Young-Jin Park, Hyun-Jung Kim, Dae-Cheol Nam, Jin-Sung Park, Sang-Youn Song, Dong-Geun Kang:Arthroscopic meniscal surgery versus conservative management in patients aged 40 years and older: a meta-analysis
3)Antonio Frizziero, Raffaello Ferrari, Erika Giannotti, Costanza Ferroni, Patrizia Poli, and Stefano Masiero:The meniscus tear: state of the art of rehabilitation protocols related to surgical procedures