【半月板損傷】膝のロッキングを自分で治すのは危険?適切な治療方法を解説

急な激しい痛みとともに「膝が動かない」といった症状に悩んでいませんか。もしかしたらロッキングと呼ばれる症状かもしれません。

膝のロッキングが現れている場合、膝(半月板)の状態がかなり悪くなっている可能性が高いです。したがって決して我慢するべきではありません。

当記事では、膝のロッキングについて詳しく解説します。あわせて「自分で治すことはできるのか」「歩けない場合はどうするべきか」についても解説しました。

最後まで目を通すことで、膝がロッキングする原因などが詳しくわかり、取るべき対処法が明確になるでしょう。

【激痛】膝のロッキングとは半月板損傷で見られる症状

膝のロッキングとは、膝関節に存在する半月板に傷がつく「半月板損傷」において見られる症状の一つです。膝の関節がロックされたように急に動かなくなってしまいます。

膝のロッキングと半月板

半月板はクッションの役割を担っており、この部位に傷がつくことで膝がスムーズに動かなくなり、同時に激痛も伴います。椅子から立ち上がる際しゃがんだ瞬間をはじめ、夜寝ているときに膝のロッキングが起こるケースもあるので注意が必要です。

日常生活に大きな支障が出ることはいうまでもありません。

そして、膝のロッキングが見られるという時点で、既に半月板損傷が重症化している可能性が高いといえます。

膝のロッキングが繰り返すこともあるので要注意

膝のロッキングがすぐに治る(外れる)とは限りません。

人によっては膝が曲がらない、伸ばせない状態が数日間続くというケースもあるからです。また短期間のうちに、膝のロッキングが繰り返し起こる可能性もあります。

ロッキングの原因である半月板損傷が改善されないうちは、膝のロッキングが繰り返し起こると考えるべきでしょう。

半月板損傷で見られるその他の症状

半月板を損傷すると、激痛やロッキングの他に「膝の腫れ」や「膝に水が溜まる」といった症状も見られます。また、膝を曲げ伸ばす際にひっかかりを覚える「キャッチング」という症状も現れるケースがあります。

キャッチングはロッキング同様に、半月板損傷が進行しているサインの一つなので、見過ごさないようにあらかじめ把握しておいてください。

自分では解除できない?膝のロッキングは整形外科で診てもらうべき

半月板損傷で起こるロッキングを整形外科で診てもらう

膝がロッキングを起こした際に、「自分で治す方法はないか」「ロックの外し方を覚えたい」という方もいるかもしれません。

しかし、自分自身で膝のロックを外そうと試みることは危険です。仮に一度は治ったような形になっても、次からも同じ方法でロックを解除できるとは限りません。

また無理にロックを外そうとして、半月板の損傷が悪化するリスクもあります。

したがって膝のロッキングが起こったら、必ず整形外科に受診して治療してもらってください。

歩けない場合は救急車を呼ぶのがおすすめ

もし、膝のロッキングを起こした際に、病院まで連れていってくれる人が周りにいない場合は、救急車を呼びましょう。

病院まで自力で行こうと無理することは、大きな危険を伴います。

中には「救急車を呼んでもいいのかな?」と迷う方もいるかもしれませんが、歩くことが難しいのですからやむを得ません。

膝関節の手術が必要な場合が多い

半月板損傷が比較的軽度の場合は、筋力トレーニングやストレッチなどの「保存療法」で症状が改善していく可能性はあります。

ただし先述したように、膝のロッキングが現れている時点で、既に半月板損傷が重症化している可能性が高いです。

したがって、半月板の手術を行うことが適切なケースが多いので、前もって把握しておいてください。

なお半月板損傷の手術には、以下の2種類の方法が存在します。

  • 半月板縫合術(半月板の損傷部位を縫い合わせる方法)
  • 半月板切除術(損傷した半月板を切除する方法)

どちらも手術も保険適用ですが、入院費用と合わせると20万円近くかかります。高額療養費制度が使えるとはいえ、資金面でもある程度の準備が必要でしょう。

手術に対して躊躇するのは無理もありません。とはいえ、少しでも早く半月板損傷を改善させるために、手術を受けることを検討してみてください。

基本的に予後は良好!ただし例外もあり

膝の痛みに悩む女性

半月板切除術に比べて、半月板縫合術の方が復帰までに時間を要します。

とはいえ、一般的に半月板損傷手術の予後は良好です。

もちろんリハビリや、再発予防のための取り組みは必要ですが、多くの場合は6か月以内にスポーツへの復帰が可能でしょう。

ただし、手術後も膝に違和感が残るケースはあります。また変形性膝関節症など別の症状を併発している場合は、手術後の経過が良くないケースも存在します。

まとめ

膝がロッキングを起こし動かなくなれば、痛みとともに焦りを感じます。「自分で治すことはできないか」と考えるのも無理はありません。

しかし半月板という部位が損傷している可能性が高いので、自分で治そうとするのは危険です。また筋力トレーニングやストレッチによって改善する症状でもありません。

いうまでもありませんが、生活していく上で膝は非常に大切な部位です。症状が悪化する前に整形外科で治療を受けましょう。

それでは当記事を参考に、早めに膝のロッキングを治療することを検討してみてください。

【参考文献】
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