腕立て伏せ(プッシュアップ)は効果大!正しいフォームと回数の目安を解説

健康への関心の高まりとともに、筋力トレーニング(筋トレ)に取り組む方が増えています。そんな筋トレのなかでも、知名度が高い種目の1つが「腕立て伏せ」です。

これから本格的に筋トレを始めるにあたって、「腕立て伏せの効果が知りたい」「腕立て伏せの正しいフォームを覚えたい」という方も多いのではないでしょうか。

そこで当記事では、腕立て伏せによって鍛えられる筋肉や正しいフォーム、効果が出てくる期間の目安についてお話ししました。

最後まで目を通すことで、腕立て伏せへの理解が深まり、ご自身で実践できるでしょう。

ぜひ参考にしてください。

腕立て伏せ(プッシュアップ)はどんな運動なの?

腕立て伏せ(プッシュアップ)を行う女性

腕立て伏せは、器具を使わない筋トレ、いわゆる「自重トレ」に分類されます。

「肘を伸ばしながら身体を持ち上げ、肘が伸びきった段階で肘を曲げながら身体を降ろす」という動作を繰り返す運動です。

諸説ありますが、腕立て伏せの起源は古代ギリシャまで遡るといわれています。

なお、腕立て伏せは「プッシュアップ」や「腕立て伏臥腕屈伸(うでたてふくがうでくっしん)」とも呼ばれます。

腕立て伏せの効果・メリットは?

腕立て伏せには数多くのメリットがあります。

まず、腕や胸の筋肉が鍛えられるので、腕を太くしたり胸板を厚くしたりできるでしょう。

また、後ほど解説しますが、正しいフォームで腕立て伏せを行うことで複数の筋肉を同時に鍛えることが可能です。

そして、肩周りの筋肉が刺激されるので、肩こりの改善も期待できます。

特別な準備は必要なく、自宅で簡単に取り組めますし、家族や友人など多人数で行えるのも利点です。

したがって、男性・女性問わず、腕立て伏せを続ける価値は大きいと言えます。

腕立て伏せで鍛えられる筋肉

腕立て伏せを始めるにあたって、「どの部位の筋肉が鍛えられるか」を把握しておきましょう。

まず、腕の前面に付く「上腕二頭筋(じょうわんにとうきん)」や、腕の裏側に付く「上腕三頭筋(じょうわんさんとうきん)」が刺激されます。

同時に、胸板にあたる「大胸筋(だいきょうきん)」を鍛えることが可能です。

そして、肩の丸みをつくる「三角筋」や、肩の後ろ側に付く「僧帽筋(そうぼうきん)」も刺激されます。

加えて、お腹につく「腹直筋」やお尻に付く「大殿筋」にも効きます。

つまり腕立て伏せは、腕の筋トレではなく全身の筋トレです。腕立て伏せを行う際は「どこの筋肉が刺激されているか」をおおまかにイメージしてみましょう。

腕立て伏せの正しいフォームとポイント

ではここから、腕立て伏せの正しいフォームを動画もまじえて解説します。

腕立て伏せ
STEP1:両手・両足で身体を支えます
STEP2:肘を曲げ胸を床につけます
STEP3:繰り返し実施しましょう
※可能な範囲で身体を床に近づけましょう
※腰を反らさないように注意してみてください

なお、腕立て伏せを行う際は手の位置に注意しましょう。両手を肩幅に開き、床に対して垂直に腕を置いてみてください。

そして、身体を反らさないために、お尻の筋肉に力を入れるのがコツです。

もう一点、肘を曲げた際に、脇が空いたり肘が外側に開いたりしないように注意しましょう。

動画を参考にしながら、さっそく実践してみましょう。

誤ったフォームで腕立て伏せを続けたらどうなる?

崩れたフォームで腕立て伏せを行ってしまっている女性の様子

腕立て伏せは効果のある筋トレです。ただし腰が反ったり、手の位置が悪かったりと、フォームを誤ると意味ないトレーニングになってしまいます。

また、誤ったフォームでの腕立て伏せは、肩や腰を痛めるリスクが大きいです。

もし「効果ない気がする」「肩や腰が痛い」という場合は、まず腕立て伏せのフォームを見直しましょう。

参考記事:【なぜ?】腕立て伏せしたら肩が痛い!正しいフォームとセルフケア(治し方)を紹介

【回数の目安】腕立て伏せは何回行うべき?

腕立て伏せを行う際に、気になるのは「回数」ではないでしょうか。

なるべく多くの回数をやったほうが良い気がしますが、腕立て伏せのやりすぎは怪我の原因になりますし、フォームの崩れにもつながります。

まずは5回から10回を目指してみてください。実践すればわかると思いますが、正しいフォームで腕立て伏せを5回行えば、十分に筋肉が刺激されるものです。

継続するにつれて徐々に回数を増やしていくことで、いつかは腕立て伏せを30回や50回できるようになるでしょう。

初心者におすすめの方法

もし、1回も腕立て伏せができないという方は、まず「膝つき腕立て伏せ」を行うのがおすすめです。

動画で詳しく解説します。

膝つき腕立て伏せ
STEP1:両手・両膝で身体を支えます
STEP2:身体を一直線にした状態で胸を近づけます
STEP3:繰り返し実施しましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※可能な範囲で胸を床に近づけてみてください

※腰を反らさないように注意しましょう

膝をついた状態なら、楽に腕立て伏せができるでしょう。

また、壁に向かって腕立て伏せをするのもおすすめです。壁と足の距離が近い状態で始めて、徐々に足を壁から離していきます。

ある程度慣れてきたら、床を使った通常の腕立て伏せを行ってみてください。

腕立て伏せの効果はいつくらいから出る?

腕立て伏せを毎日行う必要はありません

個人差があるので一概には言えませんが、2日から3日に1回のペースで続ければ十分です。

1か月間続ければ、筋肉の張りを自覚できるでしょう。ただし、見た目が変わりだすまでには3か月から半年かかると認識しておいてください。

まずは腕立て伏せを行う「習慣」を身につけることが大切です。

そして、腕立て伏せの効果を引き出すためには、栄養バランスの良い食事も大切になってきます。必要に応じてプロテインも摂取しましょう。

【中・上級者向け】腕立て伏せ(プッシュ)のバリエーション

最後に、ある程度腕立て伏せができるようになり、より負荷を強くしたい方向けに、腕立て伏せのバリエーションを紹介します。

ただし負荷が強くなる分、フォームが崩れやすくなったり、肩や腰を痛めるリスクが増えたりするので、十分に注意してください。

スピードを速くする・遅くする

腕立て伏せのスピードに変化をつけてみましょう

腕立て伏せを速く行うことで心肺機能が鍛えられます。反対に、腕立て伏せをゆっくり行うことで筋肉にかかる負荷が増します

手の位置(幅)を広くする・狭くする

腕立て伏せの手の位置(幅)を変えることで、刺激される部位や筋肉が変わるので試してみてください。

手の幅を広くした腕立て伏せ(ワイドプッシュアップ)では、胸の筋肉への刺激が増えるほか、肩の後ろの「肩甲骨(けんこうこつ)」のエクササイズ効果が高くなります。

逆に、手の幅を狭くした腕立て伏せ(ナロープッシュアップ)を行うと、上腕三頭筋へより強い負荷がかかります。

すり上げ腕立て(レスラープッシュアップ)

特殊な腕立て伏せの1つが「すり上げ腕立て」です。柔道選手やレスリング選手が行う方法で、「レスラープッシュアップ」とも呼ばれます。

両手をつき、膝を伸ばして両足を大きく開きます。ここから、頭を沈めながら肘を曲げ、胸とお腹で床を擦るように前方に動きましょう。

肘を伸ばしながら上半身を反らし、臀部と太ももの力で戻してみてください。

腕立て伏せに変化をつけたいときにおすすめです。

まとめ

本文で触れたように、腕立て伏せは全身の筋肉が鍛えられる優れた種目です。健康面でもさまざまなメリットがあります。

ただし、効果を得るためには正しいフォームで行うことが重要です。また、腕立て伏せを行ってもすぐに効果が出るわけではありません。

まずは3か月間、週2回のペースで腕立て伏せを継続してみてください。ご自身の身体が変わり始めればモチベーションも上がり、いっそう筋トレが楽しくなるでしょう。

それでは当記事が、あなたのお役に立てれば幸いです。

【参考文献】
1)平田 晃昌:簡便なトレーニングが筋力に及ぼす影響
2)鶴岡 祐治, 鈴木 雅夫, 多田 幸代, 前田 晴香, 青柳 秀城, 矢野 幸彦:プッシュアップ動作での主動作筋の検討

3)西元 淳司, 田中 幸子:プッシュアップの高さの変化と筋活動の関係
4)市橋則明:筋を科学する─筋の基礎知識とトレーニング─