寝ると背中が痛い!でも起きると治るのはなぜ?痛みの原因や対処法を専門家が解説

「背中の痛みで目が覚めることがある」

「朝起きると、背中の真ん中や肩甲骨のあたりが痛い」

など、睡眠中や寝起きの背中の痛みでお悩みではありませんか?

 

起床して動き出すと痛みが軽くなる場合、何も対処をせずに過ごしている方は多いかもしれません。

しかし、できることなら背中の痛みを改善して、スッキリと朝を迎えたいですよね。

 

そこで当記事では、「寝ると背中が痛い。でも起きると治る」のはどうしてなのか、その原因と症状を改善するセルフケアを解説しています。

簡単にできるストレッチも紹介していますので、ぜひ最後までご覧になってください。

【なぜ?】寝るときに背中が痛い・起きると治る原因

寝ながら苦痛の表情を浮かべる女性の画像

睡眠中に背中が痛くなるおもな原因として「筋肉の凝り」が挙げられます。

 

筋肉が凝り固まると周辺の血管が圧迫されて、血流が悪くなります。血行が悪化すると筋肉へ十分な酸素や栄養が行き届かなくなり、老廃物が蓄積することで痛みを引き起こしてしまうのです。

 

しかし、起床して体を動かし出すと凝りがほぐれて血流がよくなってくるため「寝ると背中が痛い。起きると治る」状態になることが考えられます。

 

痛みへの適切な対策がとれるよう、こちらでまず「睡眠中に背中の筋肉が凝る原因」を確認しておきましょう。

寝具が体にあっていない

体にあわない寝具で寝ていると、寝返りがスムーズに打てなくなります。それにより同じ体勢が長時間続き、筋肉の緊張が強まってしまいます。

枕の高さマットレスの硬さをはじめ、「サイズが小さ過ぎて体が締め付けられる」「厚手の素材で動きにくい」などパジャマの影響で寝返りが妨げられる場合もあるため、注意が必要です。

寝過ぎている

長時間の睡眠も同じ姿勢が続きやすく、筋肉が凝る原因となります。

普段の生活で疲れが溜まり過ぎていたり、寝る前にお酒を飲み過ぎて泥酔したりしていると、睡眠が長くなりがちです。

また次の日が休みだとつい寝過ぎてしまいがちなので、平日や休日に関わらず、なるべく規則正しい生活を送ることが大切です。

参考記事:寝すぎて腰が痛いのはなぜ?痛みの原因と簡単にできるストレッチや対処法を紹介

睡眠の質が悪い

浅い眠りでは体がリラックスできず、緊張から背中の筋肉がこわばる可能性があります。

また、睡眠の質が悪いと疲れが取れにくいため、寝過ぎにつながることも考えられます。

日常生活において睡眠の質を低下させる原因は、以下の通りです。

  • 寝る直前までパソコンやスマホを見ている
  • 寝る前にカフェインやアルコールを摂る
  • 生活のリズムが不規則になっている
  • 運動する習慣がない
  • 仕事や人間関係などでストレスが溜まっている

不眠の予防にも役立ちますので、当てはまる項目がないか一度チェックしてみてください。

背中の痛みは内臓から?病気との見分け方も紹介

背中の痛みが、内臓の病気から生じている場合もあります。

基本的に、昼間の活動時に痛みがなければ、筋肉の凝りが原因に考えられるでしょう。

しかし、「動作に関係なく痛みが持続する」「腹部や胸の痛みがある」「突然、急激な痛みが出現した」「発熱や嘔吐、食欲不振など痛み以外の症状がある」といった場合は注意が必要です。

放置すると命に関わる可能性もあるため、一度医療機関に行って検査を受けてみてください。

なお、背中の右側が痛い場合は「腎盂腎炎(じんうじんえん)」「胆石症(たんせきしょう)」、左側が痛い場合は「狭心症(きょうしんしょう)」「心筋梗塞(しんきんこうそく)」など、内臓の位置によって痛む箇所が偏るケースも多いです。

参考記事:背中の左側が痛いのは内臓の病気かも?考えられる原因と対処方法を解説

参考記事:背中の右側の痛みは内臓が原因!?考えられる原因と適切な対処法

【睡眠中・寝起き】背中の痛みに効果的な7つのセルフケア

原因をもとに、背中が痛くて眠れない場合の対処法をこちらで紹介していきます。無理のない範囲で、ぜひ実践してみてください。

1.寝具を見直してみる

一番リラックスしているはずの睡眠中や寝起きに筋肉の凝りを感じる方は、寝具が体にあっていない可能性が高いです。使用している枕やマットレスを一度見直してみましょう。

まず枕の高さですが、基本的に「立っているときの姿勢」のまま寝られることが理想です。

具体的には、下記の2点に着目してみると良いでしょう。

  • 仰向けに寝たとき、目線が真上より少しだけ下を向く
  • 横向きで寝たときに首が横に傾かない

次に、マットレスですが、寝返りがしやすいように反発力があるものを選んでください。反対にやわらかいマットレスは、お尻が沈んで反り腰になったり、寝返りの妨げになったりするため、なるべく避けることがおすすめです。

参考記事:寝起きに背中が痛い原因とは?寝具の選び方・即効性が高いストレッチを紹介

2.寝方を工夫してみる

寝方を工夫することで、背中の凝りを改善できる場合があります。

仰向けで寝るのが好きな方は、膝下にクッションを置いてみると良いでしょう。膝を軽く曲げた状態にすることで、背中の緊張を緩められます。

仰向けで膝下にクッションを入れて寝る女性の画像

そして横向きのほうが寝やすい方は、抱き枕を抱いたり、両足の間にクッションを挟んだりすることがおすすめです。抱き枕やクッションを利用することで、寝ているときの姿勢が安定し、背中にかかる負担を軽減できます。

参考記事:仰向けに寝ると腰が痛い原因とは?夜に寝れない場合の対処法を解説

3.生活リズムを整える

睡眠の質を改善するために、規則正しい生活を心がけてください。就寝時間と起床時間をなるべく一定に保つことで、寝過ぎの防止にもつながります。

もし生活リズムが乱れて昼夜逆転している方は、まずは起きる時間を早めてみてください。

初日は睡眠時間が短くて、辛いかもしれません。しかし、その分夜も早く寝られるようになるため、早寝早起きの生活習慣に修正しやすくなります。

4.適度な運動を行う

運動不足になっている方は、適度な全身運動を日常に取り入れていきましょう。最初は軽いウォーキングから始めるのでも構いません。

全身を動かすことで血流が改善されてくるほか、心地よい疲労で夜の寝つきも良くなってくるでしょう。

5.日常の姿勢に気をつける

背中の痛みを改善するには、起きているときの姿勢も重要です。猫背や反り腰の姿勢では背中まわりの筋肉が硬くこわばり、凝りを生じやすくなります。

姿勢が悪くならないよう、顎を軽く引いて、肩の上に頭を乗せることを意識してください。横からみた際「耳の穴・肩・股関節」が直線上に並ぶことが理想とされています。

正しい姿勢で立つ女性の画像

とくに仰向けに寝ると背中が痛い方は、猫背や反り腰が影響している可能性が高いです。気がついたときで構いませんので、鏡をみてこまめに姿勢をチェックしてみるのも良いでしょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

6.ゆっくり湯船に浸かる

体を温めることで血流が良くなり、凝りも和らいでいきます。

とくに湯船に浸かった入浴は、睡眠の質を高める効果も期待できます。心身ともにリラックスできるよう、38〜40度のぬるめの湯船に、時間をかけてじっくり浸かるようにしましょう。

7.ストレッチで筋肉をやわらかくする

ストレッチを行うことで血流が改善され、筋肉の凝りもほぐれていきます。

睡眠中の痛みを改善・予防するには、就寝前寝起きにゆっくりとストレッチを行うと良いでしょう。

簡単にできるストレッチ方法をこのあと紹介していますので、ぜひご参照ください。

参考記事:背中のコリをほぐしたい!凝りやすい場所とおすすめストレッチ・気持ち良いツボを解説

【ぐっすり眠れる】睡眠中の背中の痛みを緩和するストレッチ

それでは、背中の痛みを和らげるストレッチ方法を紹介していきます。布団の上でも簡単にできるので、ぜひ普段の生活に取り入れてみてください。

ヒップロール

まずは背中に広く付着する「脊柱起立筋(せきちゅうきりつきん)」を伸ばすストレッチです。こちらのストレッチを行うことで背中の緊張が和らぎ、血流も改善されます。

ヒップロール
STEP1仰向けとなり両手を真横へ広げましょう
STEP2両膝を閉じたまま片側へ倒しましょう
STEP3元の姿勢に戻りましょう
STEP4繰り返し実施しましょう
※腰の筋肉の伸びを感じながら実施しましょう
※肩が床から離れない様に注意しましょう

左右でバランスよく行うようにしてください。

胸椎伸展運動

次に、胸椎(背中の高さにある背骨)を反らせることで、背中全体の緊張をほぐしていくストレッチを紹介します。

タオルポール胸椎伸展運動
STEP1丸めたタオルを準備しましょう
STEP2肩甲骨の下にあてるように仰向けとなりましょう
STEP3可能な限り万歳をしましょう
STEP4ゆっくりと下ろし、繰り返し実施しましょう

腰を反らさないように注意しましょう

ハムストリングスストレッチ

最後は、太ももの後面に付着する「ハムストリングス」を伸ばすストレッチです。

ハムストリングスをやわらかくすることで、骨盤の動きが柔軟になります。それにより寝返りがスムーズに打てるようになり、背中の凝りを防止できるでしょう。

ハムストリングスストレッチ

STEP1仰向けとなり片脚を抱えましょう
STEP2可能な限り膝を伸ばしましょう
STEP3元の姿勢に戻りましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
もも裏の筋肉が伸びるのを感じながら実施しましょう

片側を30秒ほど伸ばしたら、反対側も同様に行ってください。

 

参考記事:背中の痛みをストレッチで改善!体の硬さチェックから対策方法を紹介

まとめ

「寝ると背中が痛いけど、起きると治る」といった場合は、背中の筋肉の凝りが原因に考えられます。

ぜひ本文で紹介したストレッチで、筋肉をゆっくり伸ばしてみてください。また、筋肉の凝りを防ぐには、寝具や寝るときの姿勢なども見直してみることが大切です。

セルフケアを継続することで背中の痛みが緩和し、夜もぐっすりと眠れるようになるでしょう。

それでは本記事が、あなたを悩ませる背中の痛みの改善に役立てば幸いです

【参考文献】
1)e-ヘルスネット 快眠と生活習慣