剥離骨折を早く治す方法が知りたい!適切な処置方法・注意するべきポイントを解説

重症度が高い怪我の1つが「骨折」です。日常生活はもちろん趣味やスポーツへの影響も避けられません。

そんな骨折にもいくつか種類があり、中でも発症頻度が高いのが「剥離骨折(はくりこっせつ)」です。なかには、「剥離骨折ってどんな特徴があるの?」「剥離骨折にはどういった処置を行うべき?」と思う方も多いでしょう。

そこで当記事では、剥離骨折について詳しく解説します。

最後まで目を通すことで、剥離骨折とはどういった症状なのか把握でき、早く改善するためのポイントがわかるでしょう。

ぜひ参考にしてください。

剥離骨折とは?どの部位に多く発生するの?

最初に、剥離骨折の要点について解説します。

まず、剥離骨折の正式名称は「裂離(れつり)骨折」です。そのうえで、当記事では剥離骨折という表記で統一します。

剥離骨折とは、「骨が剥がれるかたちで損傷した状態」を指します。筋肉が急激に収縮したり、骨と筋肉の付着部に強い圧がかかったりすることで、骨が欠けて剥がれてしまうのです。

剥離骨折して安静にしている様子

補足すると「骨折」とは、その名称から「骨が折れた状態のこと」だと考えやすいですが、実際には骨が損傷した状態(折れる・傷がつく・砕ける)を指すので、あらかじめ把握しておきましょう。

剥離骨折は、上肢(手指や肘・肩など)や下肢(足首・股関節・膝・スネなど)、あるいは鎖骨骨盤などさまざまな部位に起こり得ます。

なお、剥離骨折は性別問わずどの年代の方にも発症し得ますが、とくにスポーツに打ち込む10代の方に起こりやすいので注意が必要です。

一概には言えませんが、骨が折れてしまう、いわゆる「通常の骨折」に比べて剥離骨折は痛みが軽い傾向にあります。それだけに軽度の剥離骨折の場合は、発症したことに気づかないケースもあるので気をつけてください。

参考:「骨折を早く治す方法とは?骨折が治るしくみや治癒に必要な期間について解説」

剥離骨折が起こりやすいケース

先ほど少し触れたように、剥離骨折が起こりやすいのはスポーツの最中です。走る・跳ぶ・踏ん張るなどの運動によって身体に負荷がかかり、骨が剥がれてしまうと考えられます。

ほかには、日常での転倒交通事故がきっかけで剥離骨折を起こすケースもあります。

なお、剥離骨折のみが起こるケースもあれば、「捻挫(ねんざ)」「突き指」など他の怪我に伴って発生する場合もあるので、まずは病院で検査を受けて状態を把握するのが大切です。

参考:「突き指を正しい処置で早く治す!骨折との見分け方や対処法を専門家が解説」

参考:「足首の捻挫(ねんざ)を3日で治す方法はある?適切な応急処置やセルフケア方法を紹介」

剥離骨折はどのくらいで治る?

一般的に、剥離骨折が治り動けるようになるまで3か月はかかるとお考えください。もちろん個人差はありますが、1週間や2週間で完治することはほぼありません。

また、処置が甘かったり放置したりしていると、骨折が治るまでより時間を要します。「自然に治るから大丈夫」と考えず、適切な処置を実践しましょう。

剥離骨折を早く治すための処置・心がけるべきこと

ではここから、剥離骨折を早く治すための適切な処置方法、普段心がけるべきポイントについて解説していきます。

少しでも早く回復するために、参考にしてみてください。

負傷した箇所を氷で冷やす

氷嚢の画像

まず負傷した直後ですが、炎症を起こしているので、痛む箇所を氷で入念に冷やすのが大切になります。その際、氷を入れる「氷嚢(ひょうのう)」を使用するのがおすすめです。

たとえ痛みの原因が剥離骨折でなかったとしても、痛めた直後は冷やすべきだとお考えください。氷で冷やすことで炎症が引き、痛みが若干緩和されるでしょう。

なお、「冷湿布」は皮膚を冷やす効果がほとんどないので、補助的に使うのがポイントです。

病院や接骨院(整骨院)で固定する

負傷した後は、早めに病院を受診しましょう。骨の痛みなので整形外科に足を運ぶのが適切です。

精密な検査を受けることで、負傷した箇所の様子や痛む原因がわかります。そのうえで、ギプスなどの応急処置をしてもらいましょう。

もし近所に整形外科がない場合、接骨院(整骨院)に行くのも選択肢の1つです。接骨院には柔道整復師という骨折の専門家が在籍しているので、剥離骨折に対する処置を受けられます。

なお、整形外科や接骨院での「電気治療」も骨折の早期改善に役立ちます。

参考:【接骨院・整骨院のかかり方】健康保険の適用範囲と注意事項を解説

参考:接骨院・整骨院の違いとは?整体院・整形外科との違いも合わせて解説

参考:電気治療とは?痛みを改善できる?電気治療の仕組みや種類、効果を専門家が解説

運動や激しい動きは控える

剥離骨折が治らないうちは、激しい運動は控えましょう

無理をして動かすと、完治まで時間がかかってしまいかねません。すぐに動きたい気持ちがあったとしても、まずは安静に過ごすことを心がけてみてください。

ただし、ギプスを巻いている間も骨折した部位に負荷がかからない範囲であれば、軽い筋トレを行うことは有効です。専門家に相談したうえで、できる範囲で運動してみましょう。

栄養が豊富な食事を心がける

骨折を早く改善するには、栄養バランスの良い食事を摂ることも大切です。骨の生成に対し効率的に作用する栄養素をレシピの中に含めましょう。

とくに、「マグネシウム」や「カルシウム」を多く含む食べ物を選んでみてください。

マグネシウムは「そば」「玄米」「納豆」などに多く含まれ、カルシウムは「大根」「いわし」「ヨーグルト」に多く含まれています。

剥離骨折を長引かせないために気をつけるべきこと

運動する様子

ここで、剥離骨折を長引かせず治すために、気をつけるべきことを確認しましょう。

まず繰り返しになりますが、剥離骨折を放置するのは避けるべきです。固定するタイミングが遅くなると、それだけ治りが遅くなるリスクがあります。

また、ギプスが外れた後は、リハビリも兼ねて早めに運動を再開してみてください。スポーツを行っている方であればなおさら、早期に元の動きが戻るようにトレーニングを重ねましょう。

そして、規則正しい生活を心がけるべきです。栄養バランスが偏った食事や睡眠不足が、骨折が長引く原因になり得ます。あわせて、過度な飲酒や喫煙は骨の生成が妨げられる可能性があります。できるだけ控えてみてください。

まとめ

剥離骨折は、スポーツでの過度な負荷や、生活での転倒などがきっかけで発症します。症状が軽く骨折していることに気づかないケースもあります。

しかし、痛みの程度に関わらず、放置すればそれだけ症状が長引く可能性が高いです。したがって、少しでも痛みや違和感があれば、まずは病院で検査を受けましょう。

しっかり固定したうえで、運動を控えながら、早く治すためにできることを行ってみてください。

それでは当記事が、あなたの悩み解決に役立てば幸いです。

【参考文献】

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2)井上 知久, 島内 卓, 中河原 修, 本松 伸一, 綾 宣恵, 小林 靖幸, 江口 正雄:脛骨粗面剥離骨折の1例

3)照屋 周, 平良 啓之, 呉屋 五十八, 大城 義竹, 砂川 秀之, 新垣 宜貞, 西田 康太郎:成人脛骨粗面骨折の1例

4)蛯原 宗大, 濱田 貴広, 中村 公隆, 井口 明彦, 泉 貞有, 今村 隆太, 井上 隆広, 井上 逸人, 黒木 陽介, 有薗 剛:単独での上腕骨小結節剥離骨折の一例

5)田中 一成, 島内 卓, 巣山 みどり, 髙橋 祐介, 酒井 隆士郎, 野口 康男, 江口 正雄, 酒井 健次:坐骨結節剥離骨折に対して手術加療を行った1例

6)土居 雄太, 松下 優, 髙村 優希, 大森 治希, 清水 黎玖, 眞島 新, 馬場 覚, 平林 健一, 小宮 紀宏, 塚本 伸章, 林田 光正, 前 隆男:肘関節脱臼を伴う小児上腕骨外側顆骨折の2例

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