扁平足にはどんなデメリットがある?扁平足の原因や自分でできる改善法も解説

二足歩行である私たちにとって、足の裏は直接地面に触れている部位であり、体重を支えたり、運動したりする際に重要な役割を果たしています。

もしこの足裏の構造が崩れて「扁平足(へんぺいそく)」になっている場合、どのような不具合が起こりうるのでしょうか?

当記事では、扁平足を放置することによるデメリットを分かりやすく解説しています。
あわせて扁平足の原因と改善が期待できるセルフケアも紹介していますので、ぜひ最後までお付き合いください。

扁平足とは?足裏の仕組みを理解しておこう

扁平足を説明している画像

扁平足とは、足の裏のアーチ構造(土踏まず)が潰れて、足裏が平らになった状態を指します。
扁平足の原因やデメリットについてみていく前に、まずは土踏まずの重要性をこちらで確認していきましょう。

アーチ構造(土踏まず)の役割

足裏のアーチ(土踏まず)には、おもに次のような役割があります。

  • 体重を支える
  • 歩行やジャンプ時の衝撃を緩和する
  • 歩行時に地面の蹴り出しをスムーズにする

歩行や運動時に足を地面につけた際、アーチがクッションの機能を果たして衝撃を吸収してくれています。また、つま先をあげた際に土踏まずが高くなり、剛性が高まる(足部の形がしっかりと固まる)ことで、歩行時に地面をうまく蹴り出せるようにもなっているのです。

ちなみに土踏まず「内側縦アーチ」以外にも、指の付け根あたりを横に走る「横アーチ」と足の外側(小指側)を縦方向に走る「外側縦アーチ」の合計3つのアーチ構造が足の裏にはあります。

なぜ土踏まずがなくなる?扁平足の見分け方もあわせて解説

扁平足への適切な対処や予防が行えるよう、足裏のアーチが崩れてしまう原因をこちらで理解しておきましょう。また、ご自身が扁平足かどうか判断する、簡単なチェック方法もあわせて紹介いたします。

扁平足の原因

扁平足のおもな原因は、老化足部の筋力低下体重の増加などです。1)

年齢を重ねるごとに関節を支える靱帯が徐々にゆるんでくるため、骨が本来の位置からズレやすくなります。また、運動不足にともなう筋力低下から骨を支える力が弱まったり、体重による負荷がかかったりすることで、アーチが潰れてしまう場合があります。

その他、家族からの遺伝性別(筋肉量や関節のやわらかさから女性に多い)など、扁平足になる要因はさまざまです。

扁平足の見分け方

立った状態で、土踏まずの下に指もしくはボールペンが入る隙間がなければ、扁平足と判断できるでしょう。

しかし、上記のチェックはあくまでも目安であり、扁平足の確定診断はレントゲンやMRI検査などで行います。

【要確認】土踏まずがないことによる6つのデメリット

扁平足自体に何か問題があるわけではありません。しかし、扁平足をそのまま放置していると、次のようなデメリットが生じるおそれがあります。

1.足が疲れやすくなる

足の疲れを気にしている人の画像

扁平足の方は土踏まずがないため、歩行や走行時の衝撃をうまく足裏で吸収できません。
それにより、ふくらはぎや太ももなど足の筋肉に余計な負担がかかるため、土踏まずがある方と比べて足に疲れが溜まりやすくなっています。

参考記事:足の疲れを取る方法とは?自宅でできるストレッチなどのセルフケア方法を紹介

2.足の痛みの原因となる

扁平足の方は、足をついた際に土踏まずやかかとが痛む「足底筋膜炎(そくていきんまくえん)」になりやすいといわれています。足底筋膜炎とは、足裏の指の付け根からかかとの骨にかけて付着している膜状の組織(足底筋膜)に繰り返しの負荷がかかり、微細な傷がつくことで炎症を起こしてしまう症状です。

 

足底筋膜炎を説明している画像

また、土踏まずが潰れていると、連動して足首が内側に倒れる「回内足(かいないそく)」となる傾向があります。足首が本来の位置からねじれているため足の関節や筋肉に余計なストレスがかかり、足首やふくらはぎ、アキレス腱、すね、膝、股関節などを痛めやすくなっています。

3.転倒しやすくなる

扁平足の方は、土踏まずが低くなっているため歩行時に地面をうまく蹴れず、バランスを崩しやすい傾向があります。
ふらつき転倒することで、骨折や打撲といったケガをするリスクがあるでしょう。

4.外反母趾やX脚につながりやすい

先ほども説明しましたが、扁平足で土踏まずが潰れていると、足首が内側に倒れやすくなります。足首のねじれから、足の親指や膝の関節にもねじれの負荷がかかり「外反母趾(がいはんぼし:足の親指が小指側に曲がる状態)」「X脚(膝が内側に向けてくの字に湾曲した状態)」といった変形の原因となる場合があります。

外反母趾やX脚自体に何か問題があるわけではありません。しかし、変形によって関節周辺の軟骨や靭帯を痛めて、炎症を引き起こす可能性があります。

5.姿勢が悪くなる

扁平足の方は、足裏のアーチ構造によって体重をうまく支えられないため、体のバランスが崩れやすくなっています。
また、足首の傾きから連動して股関節や骨盤の位置もずれてしまい、全体として背中の丸くなった「猫背」や、腰が強く反った「反り腰」などの不良姿勢につながる可能性があります。

6.膝痛・腰痛の原因となる

腰を痛めている女性の画像

猫背や反り腰といった不良姿勢によって、腰まわりの筋肉に負担が積みかさなり、腰痛の原因となる場合があります。
また、X脚になると膝の外側に負担が偏りやすくなるため、膝の痛みにもつながる可能性があります。

扁平足は、一見足だけの問題に思えるかもしれません。しかし、関節の一部がゆがむだけで、全身にも影響を及ぼしてしまうのです。

参考記事:【筋肉が原因となる腰痛】筋筋膜性腰痛とは?見分け方と対処法を解説!

【自分でできる】扁平足の改善・予防法

扁平足を改善・予防するために、次のようなセルフケアを行いましょう。

足裏の筋力を鍛える

・タオルギャザー

床に広げたタオルを、足の指だけでたぐり寄せていくトレーニングです。
足内在筋(あしないざいきん:足の裏や足の指の間に付着する筋肉)を鍛えることで、アーチの形を保ちやすくなります。

タオルギャザー
STEP1:タオルを床に置き踵(かかと)で踏みましょう
STEP2:指を握りタオルを引き寄せます
STEP3:タオルを元の位置に戻しましょう
※踵の位置は変えないように注意しましょう

親指から小指にかけて、5本の指を全体的に使うように意識して行ってください。

・Short Foot ex

Short Foot ex(ショートフットエクササイズ)は、タオルギャザーと同様にアーチを持ち上げる足内在筋を鍛えるためのトレーニングです。

Short Foot ex(座位)
STEP1:椅子に座り踵・親指・小指を地面につけましょう
STEP2:足裏のアーチを持ち上げるように地面をつかみましょう
STEP3:座った状態で繰り返し実施しましょう

 

動画でも解説していますが、力を入れる際に指が曲がらないように気をつけましょう。足の指の間や足裏の筋肉に、しっかり力が入ることを意識して行ってください。

インソールを入れる

インソールとは、靴の中に入れる中敷のことです。
靴底にインソールを入れることで足裏のアーチを補助したり、足首の角度を矯正したりする効果を期待できます。

インソールは市販もされていますし、整形外科や接骨院などで自分専用のインソールを作成することも可能です。

減量する

体の重みはそのまま足への負担となり、アーチ構造が崩れやすくなります。

目安にはなりますが、体重(kg)を身長(m)で2回割ったBMI値が25を超えると肥満といわれています2)。肥満気味の方は、扁平足の進行を食い止めるためにも、食事や運動に気をつけ減量するように努めましょう。

扁平足には何かメリットはある?

結論から述べると、扁平足のメリットは特にないといえるでしょう。

「扁平足の人は足が速い」「足の裏の接地面が広いので、安定感がある」といった俗説を耳にされたことがあるかもしれません。しかし、上記のようなメリットと扁平足との間に因果関係は特に認められていません。

反対に、これまで紹介したような扁平足のデメリットは数多くあるため、セルフケアで足の変形を改善・予防することをおすすめしています。

まとめ

今回の記事では、扁平足のデメリットや、扁平足の改善が期待できる対処法について解説
しました。

扁平足だからといって、すぐに何か影響があるとはいえません。しかし、骨の配置が崩れることで、足の裏をはじめとした関節や筋肉などに負担がかかり、将来的に痛みへとつながるリスクが高まります。

基本的に関節は一度変形させると、元の状態に戻せません。症状に気がついたら、今すぐに対策を始めるようにしましょう。

それでは、あなたのお悩み解決に、当記事が役立っていれば幸いです。

【参考文献】
1)公益社団法人 日本整形外科学会 「成人期扁平足」
2)e-ヘルスネット 肥満と健康