【首を寝違えたような痛み】突然起きる痛みの原因と対処法を解説!

「なにもしてないのに突然首を痛めた」
「仕事中に激しい痛みが出て首が動かせない」

実は、首の痛みは腰痛と並んで非常に多くの方が経験すると言われており、一生のうち50%の方が首の痛みを経験します1)その中でも、首を寝違えたような痛みは日常生活や寝ているときの悪い姿勢が影響しているかもしれません。

首の激痛は仕事や育児などに大きく影響を及ぼすので、早急に改善するのが望ましいでしょう。

そこで、当記事では寝違えたような突然の痛みについて、原因と対処法を解説していきます。

最後まで読んでいただければ、突然起きた痛みの理由やどこでもできる簡単な対処法が身につきます。ぜひお付き合いください。

突然起きる首の寝違えたような痛み(ぎっくり首)の正体は?

女性が首を抑えている写真

まず、突然起こる首の痛みは「ぎっくり首」と呼ばれる首の捻挫かもしれません。

ぎっくり首は専門用語で「頚部捻挫(けいぶねんざ)」ともいわれます。ぎっくり首の特徴としては、とくに何もしていないのに突然「ギクッ」と強い痛みを感じ、動かそうとするとより痛みが強くなることが挙げられます。

実は、一般的に起こる「寝違えた痛み」と「ぎっくり首」は、同じ頚部捻挫と分類されています。したがって、寝違えとの違いは痛みが発生した経緯だけです。

今回は、寝違えとは発生要因が異なる「ぎっくり首」について解説していきます。

参考記事:【首の寝違えの治し方】正しい対処法とおすすめストレッチ3選
参考記事:寝違えに湿布は効果ある?首の痛みを早く治すための対処法や予防法も解説

【痛み・動かしにくさ】首の寝違えのような痛み(ぎっくり首)の症状とは?

女性が首を抑えている写真

先ほどもお伝えしたとおり、ぎっくり首は動かそうとすると、痛みがより強くなるのが特徴です。

また、症状は軽度のものから重症のものまでさまざまで、痛みが強く出ている場合はじっとしていても痛く、寝返りや起き上がりなどでも強い痛みが引き起こされます。しかし多くの場合、1番痛みが強いのはぎっくり首になった当日や翌日までです。

発症から数日経つと、少しずつ痛みが和らぐでしょう。もちろん個人差はあるので、参考までにとどめておいてください。

参考記事:【激痛】首が回らない原因とは?ストレッチやセルフマッサージなど簡単な治し方を解説

首の寝違えのような痛み(ぎっくり首)の原因は首周りの筋肉!?

ぎっくり首は、首周りの筋肉が緊張し血流が悪くなることによって引き起こされます。これにより、筋肉が硬くなり柔軟性が低下することで、筋線維が簡単に切れてしまうのです。

そのため、首を動かした時に突然「ギクッ」という痛みが起こります。

そして、筋肉が緊張する要因としては以下のようなものがあります。

  • スマートフォンやパソコンなど悪い姿勢で作業することが多い
  • 仕事や家庭でストレスを感じる

女性が猫背でスマホを使っている写真

実際には姿勢による筋肉への負担以外に、心のストレスが筋肉を過剰に緊張させる場合もあります

ある研究では憂鬱な気分が強い場合、首の痛みを生じるリスクは通常の3倍以上増加することも明らかとなっているのです2)

首の寝違えのような痛み(ぎっくり首)に効果的な3つの治し方を紹介!

先ほど解説した通り、ぎっくり首は筋肉へ過剰な負担が生じることで引き起こされます。そのため、ぎっくり首を引き起こさないためには、首や肩、背骨周りの柔軟性を引き出す必要があるのです。

それでは、寝違えたような痛みを引き起こす、ぎっくり首に効果的なストレッチを紹介していきます。

大胸筋ストレッチ

大胸筋(だいきょうきん)」は、胸の前部にある大きな筋肉です。大胸筋は胸と肩をつないでおり、柔軟性を保つことで背中を伸ばす(胸を張る)動きを邪魔しないようにしています。

しかし、長時間同じ姿勢でデスクワークやスマートフォンを使用するなどの前かがみ(巻き肩)の姿勢が多くなることで、大胸筋が硬くなり背中を伸ばす動きを邪魔してしまいます。

このように背中を真っ直ぐに伸ばせなくなることで、姿勢が常に前かがみ(巻き肩)状態になり、首や肩の周りの筋肉に大きな負担をかけてしまうのです。結果、首の筋肉は疲れがたまり、痛みを引き起こすことがあります。

これらの理由により、大胸筋の短縮を予防して正しい姿勢を保つことは、首の痛みを軽減するために重要です。

大胸筋ストレッチ

STEP1:両手を背中の後ろで組みましょう
STEP2:両肘を伸ばし胸を前方へ突き出しましょう
STEP3:元の姿勢に戻ります
STEP4:繰り返し実施します
※胸の前面の筋肉が伸びているのを感じながら実施しましょう

広背筋ストレッチ

「広背筋(こうはいきん)」は背中の中央にあり、面積が広く強い力を持つ筋肉です。背中だけでなく肩甲骨にも付着しているため、広背筋が硬くなることで肩甲骨の位置が乱れてしまいます。

また、肩甲骨には首の筋肉がつながっているので、広背筋が硬くなることで間接的に首の筋肉にも負担がかかってしまうのです。

よって広背筋を柔らかくすることによって、肩甲骨の位置を正しい位置に戻し、結果として首への負担も軽減させることができるでしょう。

広背筋ストレッチ

STEP1:両手を繋いでバンザイをしましょう
STEP2:片側のお尻に重心を乗せ、反対側へ体を傾けましょう
STEP3:元の姿勢に戻りましょう
STEP4:脇腹の伸びを感じながら実施しましょう
※重心は反対のお尻にしっかり乗せましょう

僧帽筋上部線維ストレッチ

僧帽筋(そうぼうきん)」は、上・中・下の3つの線維に分かれ、背中から首の後ろに付く大きな筋肉です。その中でも、僧帽筋の上部線維は肩をすくませるような動きに関わります。

下を向く姿勢やパソコン作業で肩に力が入っている方は、僧帽筋上部線維が過度に緊張したり動きが悪くなったりします。

そのため、首や肩への負担につながるり痛みを引き起こしやすくなります。ストレッチを行って過度な緊張を和らげましょう。

僧帽筋上部線維ストレッチ

STEP1:片手を後方へ回しましょう
STEP2:もう一方の手で肩を抑えましょう
STEP3:首を斜め前へ倒しましょう
STEP4:繰り返し実施しましょう
※肩の上が伸びるのを感じながら行いましょう

ぶり返しは要注意!首の寝違えのような痛み(ぎっくり首)による症状を悪化させないためのポイント

突然起きるぎっくり首、原因は普段の姿勢やストレスが影響しています。

ぎっくり首を繰り返さないために、日頃から注意しておきたいポイントを紹介します。ぜひ参考にしてください。

日常生活の姿勢に注意する

あなたは、日常の中でスマートフォンやパソコンを操作することはありますか?

現代社会において、それらの道具を使わないことは難しいと思います。しかし、スマートフォンやパソコン作業をしている時の姿勢は、頭が前に出る姿勢となり、首への負担が大きくなります。

さらに、長時間同じ姿勢を続けている方は、より筋肉へ負担がかかりやすいのです。まずは、猫背や前かがみの姿勢にならないよう、姿勢を伸ばすことを意識しましょう。

そして、長時間同じ姿勢で作業している方は、適宜肩や首を回して筋肉の緊張を和らげましょう。

参考記事:【簡単】姿勢を良くする方法4選!猫背や反り腰を改善して正しい姿勢を保つには

症状が出現してからすぐのマッサージは逆効果

まず、首の痛みが出てから数日は筋肉が炎症している状態です。そして炎症している期間は、血流量が増えると痛みなどの炎症症状を悪化させる可能性があります。

そのため、マッサージなどは逆効果となるので控えましょう。まだ痛み症状が強い時期は、痛む部分を冷やすことで血流量が減少するので効果的です。

体に合わない寝具は変えよう

体に合わない寝具を使用していることで、寝ている間にも首や肩に力が入りやすくなります。それにより、首の筋肉が硬くなり柔軟性が低下するので、ぎっくり首になりやすいのです。

そこで、毎日使用している寝具を改めて見直してみてください。

柔らかい枕やマットレスが気持ちよく感じるかもしれませんが、柔らかすぎると逆に身体への負担が増える可能性があります。ある程度硬さがある寝具を選ぶとより楽に眠れます3)

また、枕の高さなどにも注意しながら、首への負担が少ない姿勢を探しましょう。

参考記事:首が痛い時の楽な寝方とは?姿勢別に負担の掛からない方法をポイント解説

首の寝違えのような痛み(ぎっくり首)はどのくらいで治るのか?

先述したように、ぎっくり首は発症した当日または翌日にもっとも痛みが強くなります。そして、痛みが強く出ている時は、筋肉が炎症している状態です。

一般的に炎症期間は2〜3日とされており、できるだけ安静に過ごすことが大切となります4)

炎症期間が過ぎると徐々に痛みも和らぎ、首は動かしやすくなります。ただし、痛みの度合いや個人差もあるため、痛みが変わらない時や悪化している時は専門の医療機関を受診しましょう。

1週間〜1か月経っても治らない場合は何科を受診するのが適切?

女性が首の痛みで医者に診察を受けている写真

痛みが出てから1週間以上たっても変化がみられない場合は、近くの整形外科を受診しましょう。

「首が痛いならマッサージに行こう!」と考える方もいるかと思います。ですが、実際にマッサージを受け、痛みが悪化したケースもあります。

まずは、自己判断せず専門医に診断してもらい、適切な処置を受けることが大切です。

参考記事:接骨院・整骨院の違いとは?整体院・整形外科との違いも合わせて解説

まとめ

今回は、首を寝違えたような突然の痛みについて、原因と対処法を解説していきました。

突然痛みが起きた時、何かの病気では?と思われる方もいるかと思います。しかし多くの場合は、積み重なった筋肉の疲労やストレスなどが原因となり、筋肉の柔軟性低下によるものです。

そのため、日頃から首や肩周りのストレッチを習慣的に行うことや、普段の姿勢や寝具の見直しなどで予防・再発防止を行っていきましょう。

それでは、当記事があなたの痛み緩和に役立つことを願っています。

参考文献
1)三木貴弘, 藤田直輝, and 竹林庸雄. “Treatment Based Classification に基づいた頸部痛に対する多面的な介入.” 理学療法学 46.2 (2019): 116-124.
2)Identifying risk factors for first-episode neck pain: A systematic review.Musculoskelet Sci Pract. 2018 Feb;33:77-83.
3)Radwan A, Fess P, James D, Murphy J, Myers J, Rooney M, Taylor J, Torii A. Effect of different mattress designs on promoting sleep quality, pain reduction, and spinal alignment in adults with or without back pain; systematic review of controlled trials. Sleep Health. 2015 Dec;1(4):257-267. doi: 10.1016/j.sleh.2015.08.001. Epub 2015 Oct 19. PMID: 29073401.
4)黒澤 和生,痛みとマニュアルセラピーI―軟部組織に対する治療―,理学療法学,15(3),111-115,2000